新しいビジネスモデルや技術で成長を目指すスタートアップ企業。柔軟な働き方や裁量の大きさに魅力を感じ、スタートアップ企業への転職を考える方も増えている一方で「後悔しないか不安」と悩む方もいるのではないでしょうか。
この記事では、スタートアップ企業の特徴や転職先として検討する際の注意点、自分に合った企業を見極めるポイントをわかりやすく紹介します。スタートアップ企業への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもスタートアップ企業とは?

スタートアップ企業とは、新たな技術やビジネスモデル(イノベーション)を活用し、短期間で急成長を目指す新興企業を指します*1。似た言葉として「ベンチャー企業」がありますが、こちらは「既存市場での事業拡大や差別化に重きを置き、比較的安定した成長を前提とする」点が特徴です。
一方、スタートアップは新しい市場の開拓を視野に入れ、イノベーションを軸に急成長を狙うモデルである点が大きな違いです。

スタートアップ企業へ転職する魅力
スタートアップ企業への転職には、以下の魅力的なポイントがあります。
- 事業拡大・組織成長のフェーズを体感できる
- 経営層との距離が近く自身の貢献度を実感できる
- 実力次第で早期の昇進が期待できる
- 幅広い業務に携わるチャンスがある
- ストックオプションなどで報酬アップが期待できる
それでは、一つずつ解説します。
事業拡大・組織成長のフェーズを体感できる
スタートアップ企業は、設立間もないフェーズから急速に成長していく段階にあるため、常に変化と新しい取り組みが求められる環境です。たとえば、新規サービスの立ち上げや、チーム拡大に伴う制度設計に関わることもあり、企業が形づくられていくプロセスを間近で体感できます。
大手企業では経験しにくいスピード感のある意思決定や組織の進化に立ち会えるのは、スタートアップならではの魅力といえるでしょう。
経営層との距離が近く自身の貢献度を実感できる
スタートアップでは組織がコンパクトなため、代表や役員と直接コミュニケーションを取る機会が多くあります。そのため、自分の提案や行動が事業にどのような影響を与えるのかを肌で感じやすい環境です。
たとえば、定例会議やチャットツールなどで経営層と日常的にやりとりする場合も多く、方向性の共有や意見交換が活発に行われています。自分の役割に対する手応えを感じやすく、会社への貢献度を実感できるでしょう。
実力次第で早期の昇進が期待できる
年功序列よりも、成果や行動力を重視する傾向にあるのがスタートアップ。実力次第で早期にリーダーやマネージャーのポジションを任されることも少なくありません。なかには、入社1〜2年でチームを率いる立場に抜擢されたという事例もあります。
自分のスキルや成長意欲を積極的に発揮できる環境であれば、キャリアアップのスピード感は大企業よりも格段に早くなる可能性も。実力が評価されやすいのもスタートアップならではの魅力です。
幅広い業務に携わるチャンスがある
スタートアップでは、組織の規模が比較的小さいこともあり、職種の枠にとらわれず、さまざまな業務に関わるチャンスがあります。たとえば、マーケティング担当が採用広報を担当したり、エンジニアが企画会議に参加することも珍しくありません。
こうした経験を通じてスキルの幅を広げられるのは、スタートアップならではの特徴のひとつです。役割の垣根を越え柔軟に取り組みたい方にとって、学びの多い環境といえるでしょう。
ストックオプションなどで収入アップが期待できる
スタートアップによっては、給与とは別にストックオプション(自社株を一定価格で取得できる権利)を導入している企業もあります。企業の株価が上がれば、その分高い売却益を得ることができるため、将来的な収入アップにつながる可能性があるのも魅力のひとつです。
自分の働きが会社の成長に直接結びつくことの実感を得やすい仕組みといえます。
スタートアップに転職するリスク
インターネット上では、スタートアップ企業への転職について「やめとけ」といったネガティブなワードを目にすることがあります。その理由について、以下にまとめました。
転職のリスクを最小限におさえる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
業務過多で激務になる可能性がある
スタートアップは少人数で事業を運営している企業が多く、担当業務が明確に分かれていないケースも少なくありません。そのため、営業活動をしながら採用広報や事務作業を担うといったように、ほかの業務も同時に担当し激務になってしまう可能性があります。
転職を検討する際は、自分の理想の働き方と職場の実情にズレがないか、事前に確認しておくことが大切です。
経営状況が不安定な場合がある
資金調達の成否や事業の進捗に経営が大きく影響されるスタートアップは、経営が安定していないケースも少なくありません。たとえば「資金調達がうまくいかず、採用の凍結や事業の縮小、人員整理を行う」といったことが突然発生するケースも。
なかには、リリース前のプロジェクトが中止になったり、事業自体が撤退したりといった事例もあります。安定した環境を求める方は、企業のフェーズや資金の流れのほか、収益モデルが機能しているかどうかなどを事前に確認しておくと安心です。
大企業に比べると待遇が良くない場合がある
スタートアップは成長途中のため、給与水準や福利厚生の制度が大企業ほど充実していない場合も。たとえば、住宅手当や交通費の支給が限定的といったケースや、育児休業などの取得実績がないといったケースもあります。
福利厚生などの待遇については、転職前の確認でミスマッチを防げることが多いため、自分にとって優先したいものは何かを整理して企業を選ぶことが重要です。
制度や仕組みが整っていない場合がある
就業規則や人事評価、教育制度といった社内の仕組みが整っていないことも。たとえば、入社時に明確な研修が用意されておらず、業務を進めながら必要な情報を自分でキャッチアップしていくスタイルの企業もあります。
こうした環境では、積極的に動ける姿勢や、わからないことを自ら解決する力が大切です。サポート体制の有無は企業によって異なるため、入社前に制度面やオンボーディングの流れを確認しておくと安心できます。
社風が合わないと働きにくさを感じる可能性がある
少人数のスタートアップは、上層部の考えが企業文化や価値観に色濃く反映されやすい傾向にあり、社風が合わないと働きにくさを感じることがあるかもしれません。
たとえば、上下関係の垣根が低くフラットなやりとりを重視する職場では、自分から意見を発信したり判断したりする場面が多くなることも。自分の価値観や働き方と合っているかを見極めるために、口コミや社員インタビューなどを活用し、入社前に社風についてよく調べておくとよいでしょう。
スタートアップ企業への転職を成功させるコツ
スタートアップ企業への転職を成功させるため、押さえておきたいコツは以下の3つです。
一つずつ解説します。
企業研究で経営者の考え方を理解する
スタートアップ企業の多くは、経営者のビジョンや価値観がそのまま企業文化に反映されています。転職前に代表のインタビュー記事やSNSの投稿、登壇動画などに目を通すことで、どのような思いで会社を運営しているのかを理解しやすくなるでしょう。
たとえば、社員に求める働き方や意思決定のスピード感などを発信しているケースもあり、自分に合った環境かを判断する材料になります。方向性に共感できるかは、長く働くうえで重要な視点です。
即戦力となる経験やスキルをアピールする
採用人数が限られるスタートアップでは、入社後すぐに成果を出せる人材が歓迎されやすい傾向にあります。たとえば「SNS広告を企画・運用した経験」や「少人数チームでのプロジェクト推進」など、即戦力となるスキルを具体的な実績を交えて伝えると印象に残りやすくなります。
また、未経験でも自主的に取り組んだ学習や副業経験が評価されることもあるため、過去の経験を棚卸しして、即戦力としてどのように貢献できるかを明確にしておきましょう。
スタートアップに強いエージェントを利用する
自分に合った企業を効率的に見つけたい場合は、スタートアップ転職に特化したエージェントの利用も有効です。スタートアップに精通したエージェントなら、企業の成長フェーズや社風をふまえたマッチングが期待できます。
たとえば、一般には出回らない非公開求人の紹介や、企業の内情に関する情報を得られるのも大きなメリット。一人での転職活動に不安を感じる方にとって、心強いサポートになるでしょう。

スタートアップへの転職に向いている人・向いていない人
スタートアップ企業への転職を成功させたい場合、スタートアップ企業への向き不向きも大切なポイントとなります。スタートアップ企業の特徴や向いている人の特徴を参考に、ポイントを押さえていきましょう。
スタートアップへの転職に向いている人の特徴
自分の考えで動き、変化の多い状況にも前向きに対応できる人は、スタートアップで力を発揮しやすい傾向にあります。たとえば、役割の枠を超えていろいろな業務に挑戦したり、自ら課題を見つけて改善に動いたりと、主体的な行動が求められるのがスタートアップの特徴です。
自由度が高い反面、マニュアルや手厚いサポートが整っていない場合も多いため、自走力や柔軟性が求められます。明確なルールや指示がない中でも柔軟に対応できる人ほど、成長の機会を得やすいでしょう。型にはまらず、新しいことに積極的に取り組む姿勢があれば、大きな成長の機会をつかめるといえます。
スタートアップへの転職に向いていない人の特徴
決まった仕事を着実にこなしたい、安定した仕組みの中で働きたいと考える人にとっては、スタートアップの環境が負担になる可能性があります。たとえば、職務範囲が日々変化したり、制度が未整備で手探りで動かなければならない場面も珍しくありません。
また、新しい取り組みにスピード感を持って対応する必要があり、「一度決めた業務だけに集中したい」と感じるタイプの方はミスマッチを感じやすい可能性も。安定性や明確な役割分担を重視する方は、自分の価値観に合う職場かどうかを慎重に見極めるとよいでしょう。
後悔しないスタートアップ企業選びのポイント
スタートアップ企業への転職で後悔しないためには、以下のポイントを参考に企業選びをするとよいでしょう。
- 経営陣のビジョンに共感できるか確認する
- 企業文化や働く環境が自身にマッチするか確認する
- 会社のフェーズを理解する
- 自身のキャリアにプラスになるか検討する
- 労働環境・資金調達状況・離職率など実態も要チェック
それぞれくわしく解説します。
経営陣のビジョンに共感できるか確認する
スタートアップでは、企業の方向性に強く影響するのが経営陣の考え方。理念に共感できないまま入社すると、判断の背景が理解できずに違和感を覚えることもあります。企業選びの際は、代表のインタビュー記事やSNSでの発信から、どのような思いで事業を展開しているのかを確認するとよいでしょう。
ビジョンやミッションに共感できるかどうかは、入社後のモチベーションにも影響する重要なポイントです。
企業文化や働く環境が自身にマッチするか確認する
働くうえでの快適さは、仕事内容だけでなく「どんな人たちと、どのように働くか」にも大きく左右されます。たとえば、全員で声を掛け合いながら動くタイプの組織もあれば、個人の裁量に任せて静かに業務を進める文化の会社もあるでしょう。
実際に社員の声を知るには、座談会やSNSの発信、OB訪問なども効果的。働きやすさを感じられる環境かどうかを、自分自身の性格や希望と照らし合わせながら見極めることが大切です。
会社のフェーズを理解する
会社のフェーズが創業初期なのか成長中なのか、あるいは上場準備段階にあるのかによって、求められる役割や働き方は大きく異なります。たとえば、立ち上げ期の企業では仕組み作りから関われる一方、業務範囲が広くなる傾向があります。
一方で、安定フェーズに入った企業では体制が整っていることが多いため、職種ごとの役割が明確化されているでしょう。自分のスキルや志向がどの段階の企業にフィットするのかを考えることで、入社後のギャップを防げます。
自身のキャリアにプラスになるか検討する
仕事内容やポジションが、自分の将来のキャリア形成にどうつながるのかを考え企業を選ぶことも重要です。たとえば、スタートアップで新規事業に携わる経験は、独立志向のある人にとっては大きな財産になることも。逆に、専門性を深めたい人にとっては、職域の広さが負担になる場合もあります。
目の前の条件だけで判断せず、自分が描くキャリアビジョンにマッチするかという観点から検討すると、より後悔の少ない選択につながるでしょう。
労働環境・資金調達状況・離職率など実態も要チェック
求人票だけではわからない、企業の実態にも目を向けることが大切です。たとえば、平均残業時間や有給取得率、離職率などからは働きやすさを、資金調達の状況や出資元からは経営の安定性や将来性が見えてきます。
また、ベンチャーキャピタル*からの支援があるかどうかも、信頼性の一つの判断材料になるでしょう。応募前には、企業HPやIR情報**のほか、社員インタビューや口コミサイトなど複数の情報源を活用し、多角的にチェックしておくと安心です。
*成長性の高い企業に投資して支援する専門の投資会社や投資家
**企業が投資家向けに開示する経営状況や財務データなどの情報
スタートアップ転職に強い転職支援サービス
スタートアップ企業への転職に強い転職サイトや転職エージェントをまとめました。
種別 | サービス名 | 特徴 |
---|---|---|
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転職エージェント | プロコミットキャリア | キャリアコンサルタントがチームとなり伴走 |
転職エージェント | キープレイヤーズ | 転職を通過点とし、キャリアアップを第一として支援する転職エージェント |
転職エージェント | Goodfind Career | スタートアップ・ベンチャー企業でのキャリア形成を支援 |
それぞれの転職支援サービスによって求人の特徴や強みが異なるため、スタートアップ企業への転職で後悔したくない方は、ぜひ参考にしてください。
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また、キャリアコンサルタント個人の見解に依存しないようチームとして伴走するのも特徴のひとつ。コンサルタントチームが求職者や企業の情報をシェアし、要望や条件などを考慮のうえ、求職者にあった企業を紹介・転職完了までサポートします。
キープレイヤーズ
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そのため、転職のポジティブ面だけでなく、リスクやデメリットも正直に伝えてくれるのが信頼のポイントといえます。
Goodfind Career
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※参考
*1:経済産業省|スタートアップの力で 社会課題解決と経済成長を加速する(スタートアップとは)より
※出典
*2:PR TIMES|スタクラ、「Startup JAPAN EXPO 2025」出展のお知らせより