近年人気が高まっているWebデザイナーですが、一定のデザインスキルやコミュニケーション能力があれば完全在宅でOKの案件もあります。ただし未経験の場合、実践で通用するスキルの習得や環境の整備などといった準備を入念に行わなければ、完全在宅で働くのは難しいでしょう。
今回は、未経験から完全在宅のWebデザイナーを目指す方法や必要なスキル、学習方法や成功事例などを紹介します。Webデザイナーとして時間や場所にとらわれない働き方がしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
未経験から完全在宅のWebデザイナーになるのは難しい?
一般的に、未経験の方がWebデザイナーとして完全在宅で働くのは難しいといわれています。ただし、選択する働き方や入社する会社の方針次第では、未経験から完全在宅のWebデザイナーになることは可能です。
どのような段階を踏んで完全在宅のWebデザイナーへの夢を叶えるかを考え、自分に適した働き方を選択しましょう。ここでは、2つの可能性について解説します。
フリーランスや副業なら可能
フリーランス・副業Webデザイナーになる選択をすれば、未経験からでも完全在宅で働くことは可能です。会社員のような就業規則にとらわれずに働けるため、求められたクオリティの制作物を期日までに作成すれば、出社を命じられることも少ないでしょう。
実際に、フリーランス・副業Webデザイナー向けの求人や案件には、「リモートワーク可能」としているものが多くあります。正社員や契約社員では難しくても、フリーランスや副業として働く場合は、完全在宅のWebデザイナーになれる可能性が高いといえるでしょう。
未経験から転職・就職の場合は数ヶ月出社が必要なケースも
未経験からWebデザイナーとして企業に転職・就職する場合は、「在宅可」としていたとしても入社してしばらくは出社を命じられることもあります。Webデザイン業務や社内連携の仕方について、研修や指導が必要になるからです。
またリモートワークを取り入れていても、与えられた業務をきちんと遂行する人材かどうか見極めるために、一定の出社期間を設ける企業もあります。数か月ほど出社し、勤務態度やスキルを評価されたうえで在宅勤務が認められるケースが多いでしょう。
未経験者が完全在宅Webデザイナーになるのは難しいといわれる理由
「未経験から完全在宅勤務のWebデザイナーになるのは難しい」といわれるのは、以下のような理由があります。
完全在宅で働くWebデザイナーを目指す方は、上記の理由を確認したうえで対策を練りましょう。
一定のスキルが求められる
完全在宅で働くWebデザイナーには、一人で指示通りのクリエイティブを作成するスキルが求められます。未経験だったり、スキルが不足していたりするWebデザイナーには研修や業務中のサポートが必要になることがほとんどですが、在宅勤務となるとこまめな指導や連携が難しいでしょう。
そのため、フォローしなくても作業できる人材のほうが、完全在宅勤務のWebデザイナーとして採用されやすい傾向があります。未経験から完全在宅のWebデザイナーになりたい場合は、ポートフォリオの内容を充実させるなどしてスキルレベルをアピールするのがおすすめです。
オンラインやテキストのコミュニケーション能力が必須
完全在宅で働く場合、業務上の連絡はオンラインやテキストでのコミュニケーションがメインとなります。そのため、完全在宅のWebデザイナーには、高いコミュニケーション能力が欠かせません。文章だけで業務報告や相談の内容を伝えたり、先方からの指示内容や意図を正しく理解したりするスキルを身につけておきましょう。
オンラインやテキストで適切にコミュニケーションを取れる能力があれば、相手と認識の齟齬が生じにくくなるため、円滑に業務を進められます。指示やニーズを的確に伝えられる能力を買われれば、制作リーダーやWebディレクターなどのポジションに就けるチャンスも広がるでしょう。
自己管理能力が必要
Webデザイナーに限らず、完全在宅で働くには自己管理能力が欠かせません。制作物を期日までに納品するために逆算して計画を立て、進捗を都度確認しながら作業する必要があります。
また、完全在宅のWebデザイナーは成果物に対する指摘やアドバイスをもらう機会が少ないため、常に自分でデザインスキルを磨き続ける向上心も求められます。納期に間に合わない、制作物のクオリティが落ちるといったことが続けば、在宅勤務どころか信頼を失いかねないので、気をつけるようにしましょう。
作業環境の構築・整備が必要
自宅でWebデザイナーの仕事をするには、作業環境を整える必要があります。フリーランスや副業の場合はパソコンやモニターなども実費で揃える必要があるため、業務を開始するまでにある程度のコストがかかるでしょう。
未経験者は作業に適したパソコンや回線が分からず、調べたり迷ったりするなかでモチベーションが低下する可能性もあります。以下の記事では、Webデザイナーにおすすめのパソコンや主要ツールなどを解説しているので、参考にしてみてください。
未経験から完全在宅Webデザイナーを目指すための4ステップ
未経験から完全在宅のWebデザイナーを目指す際は、以下のステップに沿って進めるのがおすすめです。
Webデザイナーとして完全在宅で働きたいものの、なにから始めるべきかお悩みの方は、参考にしてください。
1.パソコンや各種ツールの準備
まずは、円滑に業務を進められる環境を自宅に整えましょう。たとえば、以下のようなツール・備品の準備が必要です。
- 一定以上のスペックがあるパソコン
- 通信速度が安定したインターネット環境
- Webデザインツール
- コミュニケーションツール
- 作業に集中しやすいデスクとチェア
会社員であればパソコンなどは支給されますが、フリーランス・副業Webデザイナーであれば自分で用意しなければなりません。スムーズに業務を進めるためにも、事前に用意べきものをチェックしておきましょう。
2.Webデザイナーに必要な基礎スキルの習得
Webデザイナーに必要な基礎スキルを習得しておくと、円滑に作業を進められます。余裕があればWebデザイン以外のスキルも学ぶことで、企業からの指示を理解しやすかったり、他職種との共通認識を持ちやすかったりするでしょう。ここでは、以下のスキルについて解説します。
就職・転職活動や案件に応募する前に、必要なスキルを学びましょう。
デザインスキル
いうまでもありませんが、Webデザイナーになるにはデザインスキルは欠かせません。デザインの基本原則をはじめ、レイアウトや配色、フォントやタイポグラフィなどの知識は最低限習得しておきましょう。
実は、感覚だけでデザインしていてはユーザーニーズや目的に合ったクリエイティブを作ることはできません。基礎を押さえるだけで一気に垢抜けたデザインになるので、しっかり学んでおきましょう。
デザインツールの操作スキル
Webデザイナーとして業務をするには、デザインツールの使い方を理解しておく必要があります。完全在宅勤務の場合、ツールの操作方法が分からなくても気軽に質問できる環境ではないため、わからないことばかりだと業務に支障が出てしまうでしょう。
少なくとも、写真編集に強いPhotoshopや、オリジナルのグラフィックデザインを作成するIllustrator、複数の人と共同編集できるfigmaなどの使い方は事前に学んでおくことをおすすめします。ツールは繰り返し使って慣れることが大事なので、反復練習を心がけてください。
ヒアリング・情報設計スキル
Webデザイナーは、クライアントからWebサイトの目的や方針を聞き出し、競合やターゲットユーザー、トレンドの情報収集をしたうえで適切なデザインを提案するのが仕事です。そのため、ヒアリング・情報設計スキルも欠かせません。
クライアントの潜在的なニーズを引き出すための効果的なアプローチや、収集した情報の整理をスムーズに行い、目的達成や課題解決につながるWebデザインを考案できれば、Webデザイナーとして重宝されるでしょう。
コーディングの基礎知識・スキル
コーディングの基礎知識やスキルも身につければ、デザイン〜実装まで一気通貫して担当できるようになります。たとえ自分でコーディングしない場合も、エンジニアが実装しやすいデザインを考案できたり、他職種との連携がスムーズになったりするので、学んでおいて損はないでしょう。
未経験者におすすめなのは、Webサイトを構築するのに欠かせないHTML・CSSや、Webサイトに動きをつけるJavaScriptなどの言語です。コーディングに関するすべての知識やスキルを習得する必要はないものの、基礎を理解することで業務がスムーズに進むので、未経験からでも完全在宅のWebデザイナーになる道が開けるかもしれません。
WordPressの操作スキル
WordPressの操作スキルを習得していれば、仕事や案件を受注しやすくなります。WordPressとは、コーディングなしでWebサイトを簡単に構築できるサービスのことです。
企業から依頼されるWebサイトのなかには、WordPressで制作されたものも多くあります。操作を理解していると対応できる業務の範囲が広がるでしょう。完全在宅のWebデザイナーとしてより幅広い案件を獲得したい方は、ぜひ学んでみてください。
SEOの知識
Webデザイナーとしての付加価値を高め、在宅勤務で活躍したい方は、SEOの知識も習得しておきましょう。SEOとは、検索エンジンでキーワードを入力した際、検索結果画面で上位表示されるための施策のことです。
つまり、SEO対策ができているWebサイトは、より多くのユーザーに閲覧されやすくなります。SEOにはユーザビリティの高さも影響するため、制作するWebサイトに知識を反映させることで、より上質な顧客体験を提供できるでしょう。
3.学習のアウトプット・ポートフォリオの作成
Webデザインに必要な知識やスキルを学習したら、積極的にアウトプットしていきましょう。最初は既存のWebデザインを真似ることから始め、少しずつオリジナルの作品をデザインするのがおすすめです。
案件獲得や就活・転職を有利に進めるには、ポートフォリオの作成も効果的です。ポートフォリオとは、制作したWebデザインや自分のプロフィールをまとめた作品集のこと。
多くの企業では、案件の応募にポートフォリオの提出が必須であったり、ポートフォリオの内容を重視してWebデザイナーを採用したりしています。仕事を得るための重要な要素となるため、丁寧に作りましょう。
4.未経験可の求人や案件を探す
作業環境やポートフォリオが準備できたら、クラウドソーシングやSNSなどを活用しながら、未経験でも応募可能な求人や案件を探しましょう。正社員Webデザイナーになる場合、転職活動を開始するのもこのタイミングです。
会社員は働き方の自由度が低いものの、研修制度や福利厚生が整っています。個人で働く場合は稼働時間や場所が自由であることが多いですが、案件や企業への営業活動が必要です。それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、適した働き方を選択してください。
未経験者が完全在宅Webデザイナーになるためにスキルを身につける方法
未経験者が完全在宅Webデザイナーになるためのスキルを習得するには、以下の方法があります。
予算やライフスタイルにあわせて、継続して学べる方法を選びましょう。ここでは、具体的な学習法を一つずつ解説します。
独学
Webデザイナーに必要なスキルや知識を独学で身につけることは可能です。独学は学習コストを抑えられるほか、自分のペースで学べるメリットがあります。
しかし、わからないことを解消するのに時間がかかったり、挫折しやすかったりするデメリットがあるのも事実です。プロの指導を受けられる機会も少ないので、独学でスキルを磨く際は学んだことを積極的にアウトプットし、第三者からフィードバックをもらえる環境を整えることが大切といえます。
職業訓練校に通う
ハローワークが実施している職業訓練でも、Webデザインを学べます。ハローワークに登録して面談と試験を受け、訓練の必要性が認められた場合に受講可能です。テキスト代などの費用はかかるものの、基本無料で講座を受けられること、一緒に学習する人々との出会いがあることがメリットです。
ただし、カリキュラムはタイトなスケジュールで行われます。家庭や仕事との両立は難しい可能性があるので、勉強に割けられるリソースを考慮しつつ活用を検討しましょう。
キャリアスクールやデザインスクールで学ぶ
キャリアスクールのWebデザインコースや、Webデザイン専門のスクールで学ぶ方法もあります。自分のペースで学びたい方は、オンラインスクールがおすすめです。時間や場所にとらわれず、空いた時間を活用して学べます。
スクールは一定の受講費用がかかりますが、プロの講師から指導やアドバイスを受けられるのがメリットです。Webデザイナーになるための学習を効率的に進められるカリキュラムが組まれており、WebデザインやSEO、基礎的なコーディングなど、実践的な知識とスキルを習得できるので、未経験者にぴったりでしょう。
完全在宅Webデザイナーとして求人や案件を見つける方法
Webデザイナーとして完全在宅の求人や案件を見つけるには、以下の方法があります。
複数の方法を並行して活用することで、働き方がマッチする求人や案件に出会える機会を増やせるでしょう。求人や案件をうまく見つけられないとお悩みの方は、参考にしてみてください。
求人サイトやエージェントの利用
まず、求人サイトやエージェントを利用する方法があります。求人サイトを使えば、複数の求人を比較しながら自分のペースで検討することが可能です。一方エージェントは、企業への営業活動や単価交渉を代行してくれます。完全在宅勤務などの希望条件を伝えておけば、条件に沿った求人や案件を紹介してもらえるかもしれません。
ただし、全職種の求人を取り扱う求人サイトやエージェントでは、Webデザイナーの求人件数が少ない可能性があります。なるべくクリエイティブ職の求人や案件を多く取り扱うサービスを選びましょう。
クラウドソーシングサイトの利用
クラウドソーシングサイトとは、企業や個人がインターネットを経由し、仕事を受発注できるプラットフォームのことです。主にフリーランスや副業で働きたい方が利用しており、案件の検索や受注、納品や支払いまでをオンラインで行えます。
難易度が低いものから高いものまで、数多くの案件が掲載されているので、未経験からWebデザイナーの仕事を始める方の最初のステップとしておすすめです。
SNSの活用
SNSは、Webデザイナーとしてのスキルや知識をアピールするのに有効的なツールの一つです。SNSに掲載したポートフォリオや作品がクライアントの目に留まれば、直接依頼される可能性もあります。
また、SNSはWebデザインの最新情報や案件の募集情報の収集にも活用可能です。人脈の形成や情報のキャッチアップが難しい完全在宅のWebデザイナーだからこそ、SNSは積極的に活用しましょう。
知人の紹介・売り込み営業
知人から案件を紹介してもらったり、企業に直接営業活動をしたりする方法もあります。特にフリーランスや副業で働く場合、知人の紹介による案件の受注はよくあることです。交流会やコミュニティに参加して人脈を広げておくと、仕事に繋がる情報交換ができるでしょう。
加えて、Webデザイナーを募集している企業や働きたい会社に直接売り込み営業をするのもおすすめです。気になる企業がある場合は、企業のSNSや公式サイトの問い合わせフォームからメッセージとポートフォリオを送信してみてください。
SHElikesを受講して会社員から複業在宅デザイナーになった方の成功事例
会社員として営業事務の仕事をしていたアイさんは、子育てをするなかで場所や時間に縛られない働き方がしたいと思うようになりました。そんなときに女性向けキャリアスクール「SHElikes(シーライクス)」と出会い、Webデザインコースを中心にほぼすべての講座を受講したそうです。
デザイナーに求められるビジネススキルを学び、入会から7ヶ月後には会社を退職。オリジナルグッズ製作やIllustratorのワークショップを開催するまでになりました。現在は複数の収入口を得ながら、在宅Webデザイナーとして幅広く活躍しています。
未経験から完全在宅Webデザイナーを目指す方によくある質問
未経験から完全在宅のWebデザイナーを目指すなかで、メリットやデメリット、年収や将来性が気になる方も多いでしょう。ここでは、よくある2つの質問について具体的に解説します。Webデザイナーを目指して学習している方や、完全在宅で働きたい方は、参考にしてみてください。
完全在宅Webデザイナーのメリット・デメリットは?
完全在宅のWebデザイナーになるメリットは、通勤時間や就業時間に縛られることなく自分のペースで働けることです。人間関係のストレスも受けにくいため、一人で黙々と作業したい方には快適な環境といえます。
一方で、トラブルや不明点を一人で乗り越えなければならないというデメリットも。クライアントに確認や質問する際はオンライン上のやり取りになり、直接聞くよりも解決までに時間がかかるでしょう。スムーズに作業するには、Webデザイナーに必要なスキルやコミュニケーション能力を磨くことが大切です。
完全在宅Webデザイナーの年収や将来性は?
Webデザイナーの年収について完全在宅勤務に特化したデータはないものの、正社員の年収データは公開されています。求人ボックス給料ナビによると、正社員のWebデザイナーの平均年収は449万円です*1。
また、Webデザイナー含む「クリエイティブ・Web・フォト系職種」の回答者の割合が最も多い「フリーランス白書2024」の調査によると、年収のボリュームゾーンは200万円~400万円未満(26.8%)となっています。一方で、1,000万円以上と回答している方も9.7%いました*2。働き方や活動量、企業や案件によって、年収が大きく左右することが分かります。
Web業界は慢性的な人材不足に陥っており、Webデザイナーの需要も高まっています。人材を集めるために、完全在宅勤務や副業を認める企業が増えているのも事実です。したがって、完全在宅のWebデザイナーは将来性がある仕事のひとつといえるでしょう。
スキルを習得して未経験から完全在宅Webデザイナーになろう!
未経験の方が完全在宅のWebデザイナーになるには、一定以上のWebデザインスキルや、SEO、コーディングなどの付随するスキルを習得することが大切です。実務で通用するほどのスキルがあれば案件を受注しやすくなるだけでなく、在宅での作業を円滑に進められます。
未経験からWebデザイナーになるためのスキルを身につけるなら、デザイン系のコースが充実しているSHElikesがおすすめです。そのほかにもプログラミングコースなど、全45以上の職種スキルが学び放題なので、Webデザイナーに必要なスキルを複合的に身につけられます。未経験から完全在宅のWebデザイナーを目指して学習したい方は、ぜひ無料体験レッスンに参加してみてください。
※出典
*1:「求人ボックス給料ナビ」Webデザイナーの仕事の年収・時給・給料より
*2:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 「フリーランス白書2024」第一章調査概要と回答者属性①より