JavaScriptは、Webデザインやシステム開発などに使用される言語の一つです。汎用性の高い言語のため、JavaScriptを理解すれば仕事の幅をグッと広げられるでしょう。しかし、「JavaScriptは習得したい言語だけど、ちょっと難しい気がする……」「自分に本当に必要なのかわからない」と悩んでいる方もいるかもしれません。
そこで今回は、JavaScriptの意味や類似言語との違い、JavaScriptでできることなどについて解説します。記事の後半ではJavaScriptを勉強するべき人の特徴や学習方法なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
JavaScriptとは?
JavaScriptとは、WebサイトやWebページに動的な機能を追加するためのプログラミング言語のことです。具体的にはユーザー操作に応じてコンテンツを変化させたり、動的アニメーションを表示させたりすることが挙げられます。そのため、インタラクティブなWeb開発に必須の言語といえるでしょう。
またJavaScriptはブラウザ上で直接動作するため、特別な開発環境を用意する必要がありません。近年ではサーバーサイドでも利用可能となり、フロントエンドからバックエンドまで幅広く活用されています。さらにWeb上にはJavaScriptのフレームワークやライブラリが多数存在し、それらを活用することで開発効率を大幅に向上させることが可能です。
JavaScriptとJavaの違い
名前が似ているため混同されがちですが、JavaScriptとJavaはまったく異なる言語です。具体的には以下の表を参考にしてください。
言語 | 動作環境 | 特徴 |
---|---|---|
JavaScript | ブラウザ上、サーバーサイド | 軽量で柔軟性が高く、小規模なスクリプトから大規模なWebアプリまで幅広く対応している。 |
Java | デスクトップアプリケーション、サーバーサイド、モバイルアプリなど | さまざまな開発で使用でき、汎用性が非常に高い。 |
上記の違いをまとめると、主にJavaScriptはフロントエンド開発で使用される言語であり、アニメーションやWebデザインなどの領域で活用されています。一方でJavaはより汎用的な開発で使用される言語であり、ブラウザに依存しないシステム開発などでも使用されています。
以下の記事では、JavaScriptとJavaの違いをより詳しく解説しています。言語の違いを深く学びたい方は、ぜひ参考にしてください。
JavaScriptでできること11選
JavaScriptは使い方によってさまざまな開発を行うことが可能です。ここでは一般的に使用されている「JavaScriptでできること」の11例を紹介します。
開発に使用できるライブラリも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
1.Webサイトのアニメーション
Webサイトのアニメーションは、Webデザインの領域で使用されています。例えばページの読み込み時に表示されるローディングアニメーションや、スクロールに合わせてコンテンツが動くパララックス効果は、JavaScriptで開発されています。つまりJavaScriptを使用すれば、Webサイトにさまざまな動きを加えることが可能です。
またAmazonなどのショッピングサイトでは商品画像にマウスを載せると、画像が自動的に拡大されたり、スライドショーが開始されたりする機能が実装されています。アニメーションがどのように活用されているか知りたい方は、さまざまな企業のWebサイトを参考にしてみてください。
2.スライダー
画像やコンテンツを順番に表示するスライダーは、Webサイトで頻繁に目にする機能の一つです。使用するCMSによってはプラグインで利用できますが、自動再生や特定の条件定義を行うにはJavaScriptでコードを打ち込む必要があります。Webデザイナーのポートフォリオでは、自分で開発したスライダーを使用することが多く、スキルの証明としても利用できるでしょう。
またSwiperでは、JavaScriptで開発されたライブラリが多数公開されています。コードを追加するだけでオリジナルのスライダーを作成できるので、ぜひ活用してください。
3.ハンバーガーメニュー
ハンバーガーメニューとは、Webサイトの閲覧時に表示される「三本線」のメニューのことです。クリックやタップでメニューの表示・非表示を制御でき、限られた画面スペースを有効活用できます。スマートフォン向けのWebサイトでは頻繁に実装される機能の一つであり、ユーザーが目的の情報に素早くアクセスすることが可能です。
複数のコンテンツやジャンルを扱うWebサイトを作成する際は、ハンバーガーメニューの作り方を覚えておきましょう。
4.サジェストキーワードの表示
サジェストキーワードとは、検索窓に特定の単語を入力した際に、自動的に表示される関連キーワードのことです。入力に応じてリアルタイムでキーワード候補を表示できるため、ユーザーは欲しい情報にいち早くアクセスできます。例えばAmazonの検索窓に「洗濯機」と入力すると、「洗濯機 一人暮らし」や「洗濯機 乾燥機付き」などのサジェストキーワードが表示されます。
サジェストに使用するキーワードはWebサイトの目的によって異なりますが、「ラッコキーワード」などの無料ツールを活用すればサンプルとなるキーワードを発掘できるでしょう。また近年では、機械学習を実装した「ユーザーにあったサジェストキーワードの表示」なども導入されています。
5.ポップアップウィンドウの表示
ポップアップウィンドウとは、特定の条件下でメッセージや広告を表示させる機能のことです。具体的にはWebサイト訪問時のウェルカムメッセージや、ECサイトの限定キャンペーンの告知などが挙げられます。またLINEやメールマガジンへの登録を促す、自社の顧客リスト作成にも活用できるでしょう。
ただしJavaScriptはポップアップウィンドウの実装に必要な言語であり、デザインは行えません。したがって、おしゃれなポップアップウィンドウを表示させる際は、CSSも理解しておきましょう。
6.図形・グラフ
Webサイトに表示する図形やグラフなども、JavaScriptで作成することが一般的です。開発方法によっては、リアルタイムで変動する動的なグラフなどを作成することが可能です。例えば金融系のWebサイトでは、日本円の為替レートを折れ線グラフで表示しています。グラフ上の特定のポイントにマウスを置くことで表示される詳細情報なども、JavaScriptで実装されています。
簡単なグラフや図形であれば高度なコードの実装は必要ありません。しかしユーザー操作によって変動したり、リアルタイムで動いたりするグラフを作成するには複雑なコード入力が必要になります。その場合は、「Chart.js」などで提供されているライブラリを活用してみるとよいでしょう。
7.入力フォームの拡張
ユーザーから入力を受け取るフォーム開発でも、JavaScriptが使用されています。具体的にはユーザーが入力ミスをした箇所を赤文字で指摘したり、正確なメールアドレスを入力しているかチェックしてくれる機能などが挙げられます。パスワード作成時の条件定義(何文字以上・文字の種類の指定など)の実装にも、JavaScriptが必要です。
ただしJavaScriptはフォームの定義・機能の部分を開発する言語であり、デザインを作成するにはCSSが必須です。
8.データ処理
クライアントサイドでのデータ処理が行えることも、JavaScriptの魅力の一つです。ECサイトやゲームなどで実装されている機能であり、高度な計算・情報処理を自動化できることが魅力といえるでしょう。例えばJavaScriptで開発されたアプリゲームでは、ユーザーがプレイしたスコアに応じたアクションの実装などが可能です。
ECサイトであれば商品の売上や視聴回数をもとに、「おすすめ商品」「売れ筋商品」など特定の条件で検索できる仕組みを作成できます。近年ではAIによる機械学習も注目されていますが、すでに一定のデータがある方はJavaScriptで開発を行ってみるのもおもしろいかもしれません。
9.アプリ開発
JavaScriptはブラウザ上で動作するWebアプリなどの開発でも活躍します。例えば「YouTube」や「Spotify」などはスマートフォンアプリと同様の機能をWebサイトに実装しており、「スマホアプリのように操作できるWebサイト」を提供しています。Webサイトに実装されている「チャットボット」や「カレンダー」なども、JavaScriptで作られたアプリといえるでしょう。
また特定のフレームワークでJavaScriptをネイティブコードに変換すれば、端末上で動作するアプリを開発することが可能です。ただしブラウザ上以外で動作するアプリケーションは開発手法が大きく異なるので注意してください。
10.拡張機能開発
使用しているブラウザを拡張する機能(アドオン)の開発では、JavaScriptを使用することが一般的です。例えばWebサイトで使用されているカラーコードの特定や、Webページ全体のスクリーンショットなどのさまざまな拡張機能が存在します。
ただしブラウザによって開発の定義が異なります。Chrome用に開発した拡張機能は、基本的にはChrome上でしか動作しません。拡張機能を作成したい方は、使用するブラウザの動作要件をしっかりと確認してください。
11.3Dモデル
JavaScriptを活用すれば、ブラウザ上で起動する3Dモデルやゲームなどを開発できます。例えば「Minecraft」や、「Infinite Mario Bros」などがJavaScriptで作られたゲームとして挙げられます。
Webデザインよりも高度なスキルが求められる領域ではありますが、「three.js」などで配布されているライブラリを活用すれば、簡単なゲームなら手軽に開発できるでしょう。ただしPS5やSwitchなどの据え置き型のゲーム機に対応したコンテンツでは、別の言語が必要になります。
JavaScriptでできないこと2選
JavaScriptを学習すれば開発領域が広がり、あらゆる分野で活躍できるチャンスがあるでしょう。ただしJavaScriptにはできないことや苦手分野も存在します。なかでも以下の2つはJavaScriptでは対応が難しいジャンルと考えられます。
具体的な理由を見ていきましょう。
AI開発
AIや機械学習の開発は、PythonやJava、C言語やR言語などを利用することが一般的です。これらの言語はデータ解析や機械学習に特化したライブラリやフレームワークが存在し、高度なAIモデルの構築やトレーニングに適しています。一方でJavaScriptはフロントエンド開発向けに設計された言語であり、大規模なデータ処理や高度な計算処理が求められるAI開発には不向きとされています。
「TensorFlow.js」などのライブラリを利用すればブラウザ上で実装できる機械学習モデルを開発することは可能です。しかしPythonなどの言語に比べると効率が劣る傾向があります。そのため高度なAI開発や深層学習を行いたい場合は、専用のライブラリやフレームワークが充実している言語を選択するとよいでしょう。
OS開発
OS(オペレーティングシステム)の開発には、ハードウェアに直接アクセスできる言語を使用する必要があります。具体的にはC言語やC++、アセンブリ言語などが必要です。
JavaScriptはブラウザ上で動作するプログラミング言語のため、OSのコアとなるCPUやメモリなどは開発できません。つまりスマートフォンやパソコンのOS開発にチャレンジしたい方は、デバイスに直接アクセスできる言語を習得する必要があります。
JavaScriptの学習がおすすめの人
JavaScriptの学習は、以下のような人におすすめです。
それぞれ順番に見ていきましょう。
Webデザイナーに興味がある人
インタラクティブなWebサイトの作成には、JavaScriptは必須の言語と考えられます。したがって、Webデザイナーとして活躍するなら、JavaScriptに関する一定のスキルを習得することが大切です。JavaScriptを理解すれば、例えばホバーエフェクトやスクロールアニメーション、ユーザー操作に合わせた演出などを実装することが可能です。
またJavaScriptを習得したWebデザイナーのなかには、フロントエンドエンジニアとして活躍している方も存在します。Webデザイン関連のライブラリも充実しているので、高度なスキルがなくても魅力的な機能を実装できるでしょう。デザイン領域に興味のある方は、ぜひJavaScriptを勉強してみてください。
プログラミングを始めたい人
JavaScriptは汎用性の高い言語のため、これからプログラミングを始めたい方にはぴったりといえるでしょう。前述したWebデザインだけではなく、JavaScriptはさまざまな開発に必要なスキルです。
ブラウザ上でコードを実行できるため、ハイスペックPCや特定のデバイスなどを用意する必要はありません。そのため手軽に学習をスタートすることが可能です。プログラミングに興味のある方は、学習しやすいJavaScriptから始めてみるとよいでしょう。
業務効率化を図りたい人
JavaScriptを活用して自分に適したビジネスツールを開発すれば、日々の業務を効率化できるでしょう。例えば特定のWebサイトから情報を自動的に抽出できるツールを作成すれば、情報収集の時間を短縮できます。CRMシステムにデータを入力する際に、必要な情報を自動で入力できる拡張機能を開発しているエンジニアも少なくありません。
ライブラリや既存のフレームワークを活用すれば手軽に作成できるツールは多数存在するので、試してみるとよいでしょう。
JavaScriptの学習方法
JavaScriptが何かを理解はできたものの、「どういう学習方法が一番効率的なんだろう……」と悩む方もいるかもしれません。人によって得意・不得意が存在するため、最適な勉強方法はその人によって異なります。一般的には、以下のような方法が挙げられます。
それぞれの特徴について解説します。
本で勉強する
手軽に学習する方法としては、本で勉強することが挙げられるでしょう。JavaScriptは手軽に学べる言語の一つであり、初心者向けの書籍も出版されています。サンプルコードが紹介されている本で勉強すれば、コードを真似して書くだけで簡単なプログラムを作成できるでしょう。イラストや図で解説している本も多数存在するので、文章での学習が得意な方は自分にあった書籍を探してみてください。
動画で学習する
より体系的に学習したい方は、JavaScriptについて解説している動画を活用するとよいでしょう。例えばYouTubeなどの動画配信サービスには、プロのWebデザイナーやエンジニアが作成したコンテンツが投稿されています。
また有料動画を販売している「Udemy」を利用すれば、より実践的なプログラミングスキルを学べるでしょう。文章よりも映像での勉強が得意な方は、動画配信プラットフォームの学習コンテンツを利用してみてください。
アプリ・学習サービスを利用する
近年では、プログラミングを学習できるアプリやサービスが充実しています。例えばさまざまな言語学習で利用されているスマホアプリ「Progate」は、あらゆるプログラミング言語を無料で勉強することが可能です。海外で人気の「SCRATCH(スクラッチ)」は子どもを対象にしたプログラミングサービスなので、初心者でも理解を深めながら勉強を進められるでしょう。
「GitHub」などでは世界中のユーザーがコードをアップロードしているので、写経での学習に活用できます。解説なども充実しているので、JavaScriptを独学で深く学びたい方は、専用のサービスなどを利用するとよいでしょう。
スクールを受講する
実務レベルのスキルを身につけるなら、スクールの受講がおすすめです。プロの指導を直接受けられるので、短期間でのスキル習得が期待できます。自分が書いたコードを直接見てもらいフィードバックが得られることも、スクールで勉強するメリットと考えられます。
またWebデザインの領域であれば、ユーザー行動にあったサイト設計や、実装するアニメーションなどについてもアドバイスがもらえるでしょう。一定の費用が発生するデメリットはありますが、Webデザイナーを目指す方や、短期間でスキルを習得したい方はスクールの受講を検討してみてください。
JavaScriptの注意点
最後に、JavaScriptの注意点を紹介します。具体的には以下の3つが挙げられます。
上記の項目を理解したうえで、自分のやりたいことがJavaScriptで実現できるか考えておきましょう。
WebデザインではCSS/HTMLが必要
JavaScriptはWebデザイン領域における重要な言語です。しかしJavaScriptだけではWebサイトは構成できません。というのもWebサイトは以下の手順で作成されます。
- HTMLでページの構造を定義する
- CSSでデザインを整える
- JavaScriptで動的な機能を追加する
つまりWebデザインでは、HTMLとCSSの理解は必要不可欠です。双方を身につけることでDOM(Document Object Model)への理解が深まり、コーディングまでの作業を効率化できるでしょう。したがってWebデザイナーとして活動したい方は、JavaScriptよりも先にHTML/CSSの勉強をおすすめします。
ブラウザによって動作環境に差が生じる
ネット上には多種多様なブラウザが開発されており、それぞれ動作環境が異なります。そのため、ブラウザによっては動作が統一されない可能性があります。また古いブラウザでは新しい機能がサポートされておらず、システムエラーが発生する確率が高くなるでしょう。もし複数のブラウザで動作するプログラムを開発するなら、「Babel(バベル)」などで記載したコードを変換して実装してみましょう。
ハードウェアのアクセスには不向き
冒頭でも説明したように、JavaScriptはブラウザ上で動作する言語です。フレームワークやライブラリを活用すれば、モバイルアプリやデスクトップアプリを開発することは可能です。しかしデバイスに直接アクセスする必要がある低レベルのシステム開発や、OSそのものの開発にはJavaScriptは適していません。したがってハードウェアの制御に興味がある方は、C言語やC++などの言語学習を検討するとよいでしょう。
JavaScriptは汎用性が高いプログラミング言語
JavaScriptはWebサイトに動的機能を実装できる言語の一つです。データ処理や拡張機能開発にも活用できるため、汎用性が高い言語といえるでしょう。学習教材が充実しているので、初心者でも手をつけやすい領域とも考えられます。ただし開発ジャンルによってはJavaScriptは不要かもしれないので、目的にあった言語を選びましょう。
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