LODはオブジェクトのポリゴン数を状況に合わせて調整できる設定であり、レンダリングの負荷を軽減できる技術です。しかし設定方法を間違えると映像に違和感が発生する可能性があるため、基本的な概念や計算方法を理解することが大切です。
今回は、LODの具体的な意味や使用するメリット・デメリット、一般的な設定方法などについて解説します。活用事例も紹介しているのでぜひ本記事を参考にしてください。
CGにおけるLODとは?
CGにおけるLOD(Level of Detail)とは、3Dグラフィックスやゲームなどのレンダリングで使用される技術のことです。オブジェクトのポリゴン数や詳細度をカメラの距離に応じて調整できることが特徴であり、適切な設定を行うことでレンダリング時の負荷を軽減できます。
例えば建築物やキャラクターを寄りから引きにかけてカメラを移動させる際に、オブジェクトを徐々にローポリゴンにすることが可能です。またCG制作でのLODは、以下の条件で使用されることが一般的です。
条件 | 内容 |
---|---|
オブジェクトとの距離 | カメラからの距離に応じてポリゴン数が減少する |
カメラの視野 | カメラの画角から外れたオブジェクトのポリゴン数が減少する |
システム | システムのパフォーマンスに合わせてポリゴン数が減少する |
つまりLODは、カメラとの距離や画角に合わせてオブジェクトのポリゴン数・テクスチャ容量を最適化できる技術といえます。またポリゴンの意味や目安などは以下の記事で解説しているので、こちらも参考にしてください。
LODとCLODの違い
CLOD(Continuous Level of Detail)とは、3Dグラフィックスやゲームなどの開発において継続的にモデルの詳細度を調整する技術のことです。
前述したLODは特定の距離や定義されたモデルの切り替えで実行されることに対し、CLODはオブジェクトの詳細度をリアルタイムで最適化することが可能です。そのためCLODは、オープンワールドゲームや災害分析などのリアルタイムレンダリングで使用されています。つまりLODとCLODの違いは、レンダリング時の定義が異なることといえるでしょう。
LODを使用するメリット・デメリット
LODは視点や距離に合わせてポリゴン数やテクスチャ容量を軽減できるため、レンダリングの負荷を最適化できることが大きなメリットです。適切な演算を行えば作品の質を維持したまま容量を低減できるので、レンダリング時間の短縮にも役立ちます。
一方で計算方法や定義の設定を間違えると、ハイポリゴンのオブジェクトにバグが発生したり、突然モデルが変化する「ポッピング」が生じたりするデメリットが存在します。よって、LODは適切なレベル設定を見つけるためにテストを繰り返すことが大切です。
LODの活用事例
ここからは、LODがどのように活用されているか見ていきましょう。定義や設定方法は作品によって異なりますが、ポイントなども紹介するので3D制作の参考にしてください。
ゲーム
ゲームにおいてLODは非常に重要な設定といえるでしょう。なぜならLODのレベル設定を行わないと、ゲームのファイル容量が膨大になり、プレイするにはハイスペックPCやゲーム機が必要になるからです。
例えば360度で視点移動ができるゲームでは、画角に入っていない映像は短時間でローポリゴンになるようにモデリング設計をすることが一般的です。シーンによっては画面サイズを小さくして、あえてポリゴン数を抑えるテクニックなども存在します。
ただし近年のゲームでは自由な操作性が求められる傾向にあるため、作品によってはCLODを採用することが最適とも考えられます。
CGアニメーション
映画やアニメなどのCGアニメーションでは、レンダリング時間の短縮とシーンの軽量化を目的にLODが使用されます。例えば3DCGでアニメーションを作成する際は、カメラワークに合わせてレベル設計を行い、作品に違和感が発生しないよう切り替えを行うことが大切です。
また映像作品によっては、ポリゴン数をあえて急激に抑えて、「キャラクターが突然カクカクする演出」などにも使用されています。
LODの基本的な設定方法
LODを設定する際は、ハイポリゴンのオブジェクトにレベル設定を行うことが一般的です。例えば複雑なモデリングをしたキャラクターにLODを設定する際は、コンポーネントの「LOD Sync」からレベルを設定します。LODによるレベル低減を一定にする際は、「Forced LOD」の設定で効果を固定することが可能です。
ただし使用するゲーム開発エンジンや3DCGソフトによって、LODの細かい設定方法や名称が異なります。例えば開発エンジンによってはレベル設定の値が「0〜8」です。しかしレベル設定ではなくローポリゴンオブジェクトの作成が必要なCGソフトも存在します。
どのソフトを利用しても基本的な概念に違いはありませんが操作方法には違いがあるので、使用する開発ツールの使い方を理解することが大切です。
LODを活用してレンダリングを最適化しよう
3DにおけるLODとは、カメラとオブジェクトの距離によってモデルのポリゴン数を軽減する技術のことです。レベル設定や要件定義に正解はありませんが、基準値や計算を間違えると作品に違和感が発生する可能性があります。したがってレンダリングを実行する前に、プレビューを確認しながら複数回のテストを実施することが大切です。
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