要件定義と要求定義の違いとは?Web制作における一連の工程や進め方の例も解説!

要件定義と要求定義の違いとは?Web制作における一連の工程や進め方の例も解説!

Web制作やシステム開発において、要件定義と要求定義はプロジェクトの成功を左右する重要なプロセスです。しかし「要件定義と要求定義の違いがいまいちわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、要件定義と要求定義の違い、Web制作における一連の工程や具体的な進め方について詳しく解説します。

要件定義と要求定義の違いとは?

要件定義と要求定義の違いは、目的と視点にあります。具体的な違いは以下のとおりです。

  • 要件定義:システム開発者の視点から「要求を実現するためには何が必要か」を具体化する工程
  • 要求定義:ユーザーやクライアントの視点から「何を実現したいか」を明らかにする工程

両者は密接に関連し、どちらもWeb制作やシステム開発プロジェクトの成功に不可欠な工程です。

要件定義とは

要件定義とは、Web制作やシステム開発プロジェクトにおいて具体的な機能や仕様を定めることを指します。クライアントの要求を基に、実現可能な機能や技術的な制約を考慮しながら、Webサイトやシステムの詳細な仕様を決定します。

要件定義の段階では、ユーザーインターフェース・デザイン要素・機能の優先順位などを明確化することが重要です。要件定義を行うことにより、開発・制作チームが具体的な目標を持って作業を進められるようになります。

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要求定義とは

要求定義とは、クライアントのニーズや要望を明確化することを指します。要求定義では、Web制作の目的やニーズを定義し、クライアントが「何を実現したいか」を明らかにします。プロジェクトの初期段階で行われ、要件定義の前に行うプロセスです。

この段階では、ターゲットユーザー・ビジネス目標・期待される成果などを議論します。要求定義により、プロジェクトの方向性が定まり、後続の要件定義や設計作業をスムーズに進めることができます。

要件定義と要求定義の明確な違い

要求定義が「何を」達成したいかを明確にするのに対し、要件定義は「どのように」それを実現するかを定義するという明確な違いがあります。

要求定義はクライアントやWebサイトの運営担当の望むWebサイトの大枠を把握する段階で、ビジネス目標や期待される成果に焦点を当てます。

一方、要件定義はその要求を具体的な機能や仕様に落とし込む過程で、技術的な実現可能性を考慮します。

要件定義と要求定義は、その焦点と具体性に違いがあるということです。

要件定義と要求定義を区別するメリット

要件定義と要求定義を区別することは、プロジェクトの成功率を高め、効率的な開発・制作を実現できるというメリットがあります。

たとえば、要求定義で「ユーザー管理機能を付けたい」という要求をあげた場合、要件定義で「ユーザーの登録・削除・更新機能を追加する」と具体化します。このステップを踏むことにより、開発者が誤った機能を実装するリスクを回避できます。

また、要求定義を正確に行うことで、無駄な機能の開発を避けることができ、リソースを効率的に配分できます。要件定義・要求定義それぞれの段階で、必要な作業を確実に行うことが大切です。

Web制作における要件定義と要求定義を含む一連の工程

要件定義と要求定義を含むWeb制作の工程の流れは以下のとおりです。

  1. プロジェクト計画
  2. 要求定義
  3. 要件定義
  4. 基本設計
  5. 詳細設計
  6. 開発・実装
  7. テスト
  8. 公開
  9. 運用・メンテナンス

各工程で何を実施するか、具体的に解説します。

1.プロジェクト計画

プロジェクト計画では、プロジェクトの目的・スコープ・予算・スケジュール・必要なリソース・考えられるリスクなどを明確にします。適切な計画立案を行うことにより、プロジェクト全体の方向性が定まり、後続の工程をスムーズに進行できます。

2.要求定義

要求定義では、クライアントやWebサイトの運営担当の要望やビジネス目標を明確化します。Webサイトの目的・ターゲットユーザー・期待される成果などを明確にすることが大切です。

この段階では、クライアントやWebサイトの運営担当と綿密にコミュニケーションを取り、要求を収集することが重要です。要求を正確に把握することで、プロジェクトの方向性が定まり、後の工程でのミスや手戻りを防ぐことができます。

3.要件定義

要件定義では、要求定義で明確化された要求を具体的な機能や仕様に落とし込みます。ユーザーインターフェース・デザイン要素・必要な機能・技術要件などを詳細に定義することが重要です。

この段階で、要求の実現可能性や優先順位を考慮しながら、Webサイトの具体的な姿を描きます。要件を要件定義書としてまとめることで、開発・制作チームは明確な目標を持って作業を進められるようになります。

4.基本設計

基本設計では、要件定義に基づいてWebサイトの全体構造を設計します。サイトマップの作成・ページレイアウトの決定・主要な機能の設計などを行います。

この段階で、Webサイトを利用するユーザーのユーザー体験(UX)を意識したサイト設計を行うことも重要です。基本設計により、Webサイトの骨格が形成され、詳細設計や開発の指針が明確になります。クライアントやWebサイトの運営担当と基本設計について合意形成を行い、プロジェクトの方向性を確認しておくことが大切です。

5.詳細設計

詳細設計では、基本設計をさらに具体化し、Webサイトの細部を設計します。各ページの詳細なレイアウト・色彩計画・タイポグラフィ・アニメーションなどのインタラクションの設計を行います。また必要であれば、データベース設計やAPIの仕様も決定しましょう。

この段階で、デザインカンプやワイヤーフレームを作成し、クライアントやWebサイトの運営担当の承認を得ます。

6.開発・実装

開発・実装の段階では、詳細設計に基づいてWebサイトを構築します。フロントエンド開発ではHTML・CSS・JavaScriptを使用してユーザーインターフェースを作成し、バックエンド開発ではサーバーサイドの処理やデータベース連携を実装します。

CMS(コンテンツ管理システム)を使用する場合は導入を行うことも必要です。開発・実装にあたっては定期的にクライアントやWebサイトの運営担当に進捗を共有し、必要に応じて調整を加えながら開発・制作を進めます。

7.テスト

テスト段階では、開発・制作したWebサイトの品質を担保するためにさまざまな検証を行います。機能テスト・ユーザビリティテスト・パフォーマンステスト・セキュリティテストなどを実施し、不具合や改善点を洗い出します。また、異なるデバイスやブラウザでの表示確認を行うことも重要です。

テストにより発見された問題は、修正して再テストを行います。クライアントやWebサイトの運営担当にもテスト環境を提供しフィードバックを受けることで、期待通りのWebサイトが完成しているか確認します。

8.公開

完成したWebサイトを本番環境にデプロイし、一般に公開します。公開時には、検索エンジン最適化(SEO)の最終調整や、アクセス解析ツールの設置も忘れず実施しましょう。公開後は、初期のアクセス状況を監視し、問題があれば迅速に対処することが大切です。

9.運用・メンテナンス

公開後のWebサイトを継続的に管理し、最適な状態を維持します。クライアントやWebサイトの運営担当からのフィードバックやアクセス解析データに基づき、必要に応じて機能追加や改修を行います。継続的な改善を行い、Webサイトの価値を長期的に維持・向上させることが大切です。

要求定義の進め方の一例

要求定義の進め方の例は以下のとおりです。

  1. 現状の把握と分析
  2. 要求の収集と整理
  3. 要求定義書の作成とレビュー

各工程で何を実施するか、具体的に解説します。

1.現状の把握と分析

既存のWebサイトやビジネスモデルを調査し、現状の強みと弱みを特定します。競合他社の分析も行い、市場での位置付けを明らかにすることも重要です。

また、ターゲットユーザーの特性や行動パターンを理解することで、Webサイトに何が求められるのかを明らかにできます。この段階で詳細な分析を行うことが、後続の工程での的確な判断につながります。

2.要求の収集と整理

クライアントやWebサイトの運営担当へヒアリングを実施したり、ワークショップを開催したりして、Webサイトに対する期待や要望を広く収集します。

集めた要求を、機能面・デザイン面・ビジネス面など、複数の観点から整理します。優先順位付けを行って、コストや技術的な実現可能性も考慮しながら、要求の全体像を把握します。この過程で、クライアントやWebサイトの運営担当との認識のズレがないようにしておくことが大切です。

3.要求定義書の作成とレビュー

収集・整理した要求を文書化し、プロジェクトの目的・スコープ・主要機能・期待される成果などを明確に記述します。完成した要求定義書は、クライアントやWebサイトの運営担当、プロジェクトメンバーと共にレビューし、認識齟齬がないかを確認しておきましょう。

必要に応じて修正を加え、全関係者の合意を得て、要求定義書を完成させます。

要件定義の進め方の一例

要件定義の進め方の例は以下のとおりです。

  1. 課題と目標の明確化
  2. 仮説立案
  3. 合意形成
  4. 要件定義書の作成

各工程で何を実施するか、具体的に解説します。

1.課題と目標の明確化

クライアントやWebサイトの運営担当のビジネス課題を深く理解し、Webサイトを通じて達成したい具体的な目標を設定します。

たとえば、ユーザー獲得率の向上や問い合わせ数の増加などが目標になります。具体的な目標を設定し、プロジェクトの方向性を明確にすることが重要です。

2.仮説立案

課題解決と目標達成のための具体的なアイデアを立案します。ユーザーのニーズやビジネス目標を考慮しながら、Webサイトの構造・機能・デザインなどについて具体的なアイデアを出しましょう。

複数の仮説を用意し、クライアントやWebサイトの運営担当と共に最適な案を検討するという方法を取るのもおすすめです。

3.合意形成

今後のプロジェクトを円滑に進行するために、クライアントやWebサイトの運営担当と合意形成を行います。立案された仮説や要件案を共有し、フィードバックを得ます。

全ステークホルダーの合意を得ることで、後々の大幅な変更や手戻りを防ぐことができ、プロジェクトの成功確率を高めることが可能になります。

4.要件定義書の作成

これまでの議論で合意した事項を、要件定義書という形で文書化します。定義すべき項目を明確かつ詳細に記述します。

要件定義書は、プロジェクトの関係者全員が参照する重要な文書となるため、曖昧な表現は避け、具体的かつわかりやすい内容にすることが大切です。最終的にクライアントやWebサイトの運営担当の承認を得て、正式な文書として確定させます。

要件定義と要求定義の違いを理解し適切に実施するのがプロジェクト成功の鍵!

要件定義と要求定義は、Web制作プロジェクトの成功を左右する重要な工程です。両者の違いを理解し適切に実施することで、クライアントやユーザーのニーズを満たす高品質なWebサイトを効率的に制作できます。

要件定義と要求定義を行うには、Web制作の全体像を理解している必要があります。Web制作を一から学びたい方には、女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)がおすすめです。

SHElikesでは、全45以上の職種スキルが定額で学び放題となっています。Webディレクターコースでは、「要件定義」「制作・ローンチ」「効果検証・運用」などWeb制作の工程を網羅的に学ぶことができます。プロジェクトマネジメントコースでは、プロジェクトマネジメントの基礎やプロジェクトを円滑に進めるためのスキルを学ぶことも可能です。

そのほかにも、WebデザインやWebマーケティングなど、Web関連のさまざまな職種スキルを学ぶことができます。ご興味のある方は、ぜひ一度無料体験レッスンに参加してみてはいかがでしょうか。

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ライター wami
企業でプロジェクトマネージャーとして働きながら、副業ライターとして活動中|ECサイトディレクター⇒UXデザイナー⇒プロジェクトマネージャー|主にIT系・Webマーケティング系・転職系の記事を執筆
エディター Tomomaru
フリーランスWeb編集・コンテンツディレクター兼たまにライター。 略歴は、アパレル→事務職を経てWebデザインをスクールで学んだのち、SHElikesと出会いWeb制作会社でマーケOLしてみたり。結果、書くことが天職だと思い込み、副業ライター道を歩んでいる。次なる野望は絵描きになること。思い込むのは自由です。

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