プロジェクトマネージャ試験の難易度は?おすすめの勉強方法も解説!

プロジェクトマネージャ試験の難易度は?おすすめの勉強方法も解説!

プロジェクトマネージャ試験(PM)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって運営されている国家試験です。プロジェクトを成功に導くために必要なプロジェクトマネジメントのスキルを証明することができる試験となっています。

難易度が高く合格率が低い資格のため、試験合格に向けてどのような勉強をしていくべきか悩んでしまう方も少なくありません。

この記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要から取得する難易度やメリットについて解説し、おすすめの勉強方法を紹介します。

プロジェクトマネージャ試験とは?

プロジェクトマネージャ試験(PM)は、国家試験である「情報処理技術者試験」の区分のうちの1つにあたります。

プロジェクトマネージャ試験の概要

プロジェクトマネージャ試験は、システム開発の責任者としてプロジェクトを確実に成功に導くマネージャーを目指している方に最適な試験です。

試験合格を目指して学習することで、プロジェクトを取り巻く環境変化やステークホルダーの多様な要求に柔軟に対応できるスキルを身につけることができるでしょう。

難易度が高いことで知られていますが、資格更新の必要がなく一度取得してしまえば長く活かすことができる資格となっています。

プロジェクトマネージャ試験の内容

プロジェクトマネージャ試験は年に1度、秋期に実施されています。

試験では高度な専門知識が問われる出題が多く、出題範囲も多岐に渡るのが特徴です。プロジェクトマネージャ試験の出題内容は、大きく次の3つに分けられます*1

プロジェクトの立ち上げ・計画に関することプロジェクト、プロジェクトの目的と目標、組織の戦略と価値創出、プロジェクトマネジメント、マネジメントプロセスの修整、プロジェクトの環境、プロジェクトライフサイクル、プロジェクトの制約、個別システム化計画の作成と承認、プロジェクト憲章の作成、ステークホルダの特定、プロジェクトチームの編成、システム開発アプローチの選択、プロジェクト計画の作成、スコープの定義、要求事項と優先度、WBSの作成、活動の定義、資源の見積り、プロジェクト組織の定義、活動の順序づけ、活動期間の見積り、スケジュールの作成、コストの見積り、予算の作成、リスクの特定、リスクの評価、品質の計画、調達の計画、コミュニケーションの計画、関連法規・標準など
プロジェクトの実行・管理に関することプロジェクト作業の指揮とリーダーシップ、ステークホルダのマネジメント、プロジェクトチームの開発、リスク及び不確かさへの対応、品質保証の遂行、供給者の選定、情報の配布、プロジェクト作業の管理、変更の管理と変化への適応、スコープの管理、資源の管理、プロジェクトチームのマネジメント、スケジュールの管理、コストの管理、リスクの管理、品質管理の遂行、調達の運営管理、コミュニケーションのマネジメント、マネジメントプロセスの改善、機密・契約の管理、プロジェクトに関する内部統制など
プロジェクトの終結に関することプロジェクトフェーズまたはプロジェクトの終結、プロジェクトの評価指標と評価手法、プロジェクトの完了基準、プロジェクトの計画と実績の再分析、検収結果の評価、契約順守状況評価、得た教訓の収集、プロジェクト完了報告の取りまとめなど

プロジェクトマネージャ試験の試験時間・出題形式

プロジェクトマネージャ試験では合計4つの試験が1日かけて実施され、すべての試験に合格しなければなりません。4つの試験はそれぞれ出題形式・出題数が異なります。

試験時間と出題形式は以下の通りです。午後Ⅰ試験は記述式、午後Ⅱ試験は論述式となっていて、試験時間も長めに取られています。

午前Ⅰ試験試験時間:9時30分~10時20分(50分間)
出題形式:多肢選択式
出題数:30問
解答数:30問
午前Ⅱ試験試験時間:10時50分~11時30分(40分間)
出題形式:多肢選択式
出題数:25問
解答数:25問
午後Ⅰ試験試験時間:12時30分~14時(90分間)
出題形式:記述式
出題数:3問
解答数:2問
午後Ⅱ試験試験時間:14時30分~16時30分(120分)
出題形式:論述式
出題数:2問
解答数:1問

午前Ⅰ・Ⅱ試験

午前Ⅰ試験は、テクノロジー、マネジメント、ストラテジ系の全分野から30問が出題されます。問題は、同日に実施される応用情報技術者試験の午前問題80問からピックアップされます。

午前Ⅱ試験では、プロジェクトマネジメントに特化した出題がされることが多いようです。過去に出題された問題で確実に得点を稼ぐことが重要な試験なので、数年分の過去問をしっかりマスターすることをおすすめします。

午後Ⅰ・Ⅱ試験

午後Ⅰ・Ⅱ試験の記述問題は、最初に書かれているプロジェクトの内容を正確に把握し、その後の記述問題に速く正確に対応できるようになることが求められます。短時間でスムーズに回答できるよう練習し、解答の手順を決めておくことが大切です。

午後Ⅱ試験では、2200~4000字程度の論述問題も出題されます。問われていることを正確に認識して漏れがないように解答することで合格に近づける試験となっていて、独創的な発想が求められているわけではありません。勉強したことを問われている内容に合わせて提示していく判断力と文章力を高めておきましょう。

プロジェクトマネージャ試験の難易度

プロジェクトマネージャ試験は、7段階にレベル分けされたIPAのITスキル標準で高難易度の「スキルレベル4」に位置づけられています。ITエンジニアとして応用的な知識・技能を有することを証明できる試験です。

スキルレベル4の定義は、次のようになっています*2

「高度な知識・スキルを有し、プロフェッショナルとして業務を遂行でき、経験や実績に基づいて作業指示ができる。またプロフェッショナルとして求められる経験を形式知化し、後進教育に応用できる」

情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要項

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱの計4つの試験で合格ライン(100点満点中60点)をクリアしなければ合格できません。

データベース・ネットワーク・セキュリティなどの高度な知識に加え、マネジメント力が問われる試験であり、難易度は高いといわれています。出題範囲が多岐に渡るうえ、午後におこなわれる試験は記述式・論述式なので、実践的な知識をしっかり身につけることで合格を勝ち取ることができるでしょう。

また記述式・論述式の試験に向けて、手書きで答案を書く練習もしておくことをおすすめします。文章力を高めることで、考えが伝わる答案を素早く作成することができます。

プロジェクトマネージャ試験の合格率

プロジェクトマネージャ試験の合格率は約例15%前後で推移しており、難易度の高さが伺えます。

他の情報技術者試験にあたる基本情報技術者試験や応用情報技術者試験が平均30%程度の合格率と比べてみると、プロジェクトマネージャ試験の難易度の高さが伺えます。

プロジェクトマネージャ試験のメリット

プロジェクトマネージャ試験に合格すると、次のようなメリットがあります。自身のキャリアに役立てられるなら、挑戦してみましょう。

スキルを客観的に証明できる

プロジェクトマネージャ試験に合格する大きなメリットとして、スキルや知識があることを客観的に証明できる点が挙げられます。

未経験からプロジェクトマネージャーを目指す方など豊富な実績を持っていない方の場合、就職・転職で自分の実力を相手に伝えるのが難しく悩むこともあるかもしれません。ですが試験に合格することで、プロジェクトマネージャーを担うために必要なスキルが身についていることを客観的に証明することができます。

プロジェクトマネージャ試験は難易度も高いので、取得していれば転職後に大規模なプロジェクトに携わることができる可能性も高まるでしょう。

転職に有利になる可能性がある

IT業界の転職活動では、システム開発やネットワーク構築の実務スキルが重視される傾向があります。プロジェクトマネージャ試験に合格すれば、さらに高度なスキルを客観的に示せるため、キャリアアップにも役立つでしょう。

また大規模な開発においては、複数のエンジニアを取りまとめてプロジェクトを推進していく人材が求められます。プロジェクトマネージャ試験に合格していることで、高度なマネジメントスキルが身についていることの証明になるので、転職活動時にマネジメントスキルを高く評価される可能性があります。

年収アップにつながる可能性がある

プロジェクトマネージャ試験に合格すると、プロジェクトマネージャーとしての高いスキルを有していることが客観的に評価されるため、年収アップにつながる可能性があります。

企業によっては、試験に合格することで資格手当や報奨金が付与される場合もあるでしょう。社内での昇進だけでなく転職などによるキャリアアップも見込めるなど、年収アップを目指している方にもおすすめできる試験です。

プロジェクトマネージャ試験合格のためにおすすめの勉強方法

プロジェクトマネージャ試験は難易度が高く、合格するためにはITに関する専門知識はもちろん、チームマネジメントに関わる知識や技能も身につけなければなりません。

ここではプロジェクトマネージャ試験合格のためのおすすめの勉強方法を紹介します。

参考書や過去問で傾向を掴む

プロジェクトマネージャ試験への合格を目指すためには、参考書や過去問で傾向を掴むことが大切です。プロジェクトマネージャ試験の過去問はIPAが無料で公開しているので、目を通して試験の雰囲気を把握しておくようにしましょう。

午前の問題は多肢選択式(四肢択一)の出題形式のため、過去に出題された問題と類似したものが出題されるケースが見受けられます。

プロジェクトマネージャ試験の参考書は各出版社からいくつか販売されているため、自分のスキル進度に合ったものを選ぶとよいでしょう。参考書で知識を深めつつ過去問を繰り返し解いて問題の傾向を把握することで、合格ラインである60%以上を目指していきます。

記述試験・論述試験対策もあるので、テーマに沿って出題される長文を理解し、解答する練習もおこないましょう。過去問の問題文と回答例、解説をしっかり読み込み、一読で内容を示すことができる文章を書く練習が効果的です。

小論文対策も行う

午後の論述試験では実務に基づく知識を問われることが多いため、実務経験のない受験者にとってはハードルの高いものといえるでしょう。しっかりと対策したうえで試験に臨むことが大切です。

小論文対策としては、事前に出題の傾向を把握しておき、出題の方向性に応じて書く内容のパターンを決めておくことで試験時間を有効に利用できるようになります。

未経験の方の場合は、プロジェクトマネジメントの知識が足りず書くべきことが思いつかないことも少なくないでしょう。

いきなり小論文に取り組むのではなく、まずはITの基礎知識やマネジメントに関する知識をしっかりと身につけましょう。データベース、セキュリティ、ネットワークなどの専門性の高い知識も含めて、網羅的に学習することが必要です。

また、「文章を書く」というスキル自体も求められるため、文章を書くトレーニングも必要です。市販の小論文対策の書籍なども活用し、文章力を高める練習もしましょう。 

講座を受講する

独学で試験の合格を目指すことは不可能ではありません。ですが、短期間で試験に挑みたい方には、資格取得を目指すことができる受験指導校で学ぶことをおすすめします。自力で学習するよりも効果的かつ効率的に学習を進めることができるでしょう。

また参考書や問題集も受験指導校で用意されていることが多いため、参考書を選ぶ手間を省くことができます。試験対策の参考書は、1つのものに集中して取り組むことが大切です。うまく勉強が進まないときに「ついほかの参考書に目移りしてしまいそう……」という方は、受験指導校のテキストに集中するとよいでしょう。

最近では、受験指導校へ通う時間がない方向けのオンライン講座もあります。自分の好きな時間に学ぶことができるので、仕事をしながらスキルアップを目指す方に最適な方法といえるでしょう。

論述試験では実務経験がないと対応が困難な問題も出題される可能性がありますが、受験指導校でプロの講師による指導を受けることで、実務でのケーススタディなど独学では理解しにくい部分も補うことができます。

プロの講師による添削指導サービスが利用できる講座を活用することで、自分では気づかなかったポイントや漏れを把握することができるでしょう。

試験以外でプロジェクトマネジメントスキルを身につけるのにおすすめの方法

プロジェクトマネージャ試験の合格を目指して勉強に取り組むことは、プロジェクトマネジメントスキルを身につける方法として有効です。しかし、試験以外でもスキルを身につけることはできます。

「試験勉強以外でプロジェクトマネジメントスキルを身につけたい!」と考えている方は、次の3つの方法も検討してみましょう。

オンラインスクールを受講する

試験以外でプロジェクトマネジメントスキルを身につける方法としては、オンラインスクールを受講する方法が挙げられます。普段の業務で忙しい方であってもペースを保って勉強を継続しやすくなるため、しっかりと受講することで技術や知識を身につけられます。

またオンラインスクールのなかには、経験豊富な講師にわからないことを都度質問することができるものもあります。疑問点を残すことなく解決できれば、よりスムーズにスキルを習得することが可能です。

「プロジェクトマネジメントスキルはもちろん、ほかのビジネススキルも幅広く習得したい!」と考えている方は、さまざまなスキルを学ぶことができるオンラインスクールを活用するのがおすすめです。

例えば女性向けキャリアスクールのSHElikes(シーライクス)ではプロジェクトマネジメントコースが用意されているだけでなく、マーケティングやライティングなどビジネスに幅広く役立てられる全45以上の豊富なスキルを学ぶことができます。包括的なスキルアップを目指したい方にもぴったりです。

メンターを見つける

プロジェクトマネジメントのスキルを身につけたい方は、メンターを見つけるのもおすすめです。

メンターとは、自身のキャリアや目標をサポートしてくれる専門家のことを指します。メンターを探してアドバイスをもらったり、メンターの仕事を間近でみたりすることで、より実務に即したプロジェクトマネジメントスキルを身につけることができるでしょう。

メンターを見つけるメリットは、仕事へのモチベーション向上や上司との関係性の改善、パフォーマンスの向上が見込める点です。自己の悩みや抱えている課題について経験の豊富なメンターからアドバイスを受けることで、問題を解決に近づけることができるでしょう。

メンターは職場の上司になってもらう以外にも、プロジェクトマネジメントスキルに精通している専門家などから見つける方法もあります。メンターを選ぶ際に最も重要なのが、自分が信頼関係を築くことができる相手かどうかを見極めることです。

しっかりとコミュニケーションをとりながら、メンターになってくれるかどうか相談してみてください。

書籍を活用する

自分のペースでプロジェクトマネジメントのスキルを身につけたいと考えている方は、書籍を活用してみましょう。

プロジェクトマネジメントに関する書籍は、書店で多く販売されています。プロジェクトマネジメントの基本が理解できる書籍から実践、応用までを網羅した本までラインナップされているので、自分のスキルに応じて選びましょう。

プロジェクトマネジメントの基礎を盤石に習得したい方には、タスク管理や計画立案、見積り・契約・要件定義・設計・テスト・保守まで幅広く網羅している書籍を活用するのがおすすめです。

プロジェクト全体を俯瞰する力と、プロジェクトの各段階で必要となるスキルを同時に身につけることで、スムーズなスキルアップを図ることができるでしょう。

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プロジェクトマネジメントは試験勉強を通してスキルアップ可能!

この記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要や勉強方法、試験以外でプロジェクトマネジメントスキルを身につける方法を解説しました。

プロジェクトマネージャ試験は難易度が高い試験ですが、勉強を続けて着実に知識を定着させることで合格を勝ち取ることができます。試験勉強を通じて身につけた知識は業務でも役立てることができるので、プロジェクトマネージャーを目指している方やシステム開発を担当している方にとっても有意義なものになるでしょう。

ぜひこの記事を参考に、プロジェクトマネージャ試験に挑戦してみてください。

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引用

*1:IPA「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要綱」38ページ
*2:IPA「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要綱」11ページ

ABOUT ME
ライター 大竹菜々子
高校3年生で脚本家としてデビュー。2018年5月、脚本を担当した映画『猫カフェ』及び『チャットレディのキセキ』が公開される。 慶應義塾大学法学部進学後は、「トラベル Watch」「グルメ Watch」(株式会社インプレス)にてライター・編集者としての活動を開始した。 現在に至るまで、「レスポンス」(株式会社イード)や「ビギナーズ」 (株式会社マーケットエンタープライズ)などで取材記事やSEO記事作成を手掛けている。 なお 2022 年からは、オウンドメディア立ち上げに関わるなど、メディアプロデューサーとしても活動している。JAPAN MENSA会員。
エディター 古澤 椋子
鹿児島大学大学院水産学研究科修了。水産系社団法人にて、水産に関わる調査研究、行政との折衝などを経験したのち、水産系ベンチャーにて、広報を担当。2023年からフリーライターとして活動を始め、主にエンタメ系の記事を執筆。SHElikesでキャリア、マインド共に変化した経験から、SHEsharesのライターを務める。

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