転職活動において入社を決める判断材料の一つとなる給与。もし提示された給与が希望する金額よりも低かった場合、「給与交渉してもいいのかな……」「交渉して採用されなかったらどうしよう」と悩む人もいるでしょう。
そこで今回は転職時の給与交渉について、おすすめのタイミングや伝え方、交渉が成功しやすいパターンやコツ、注意点などを紹介します。
転職時の給与交渉は可能?
転職時において給与交渉をすることは可能であり、特に問題もありません。年功序列制度が根付いていた日系企業では年収交渉をするイメージが沸きにくいかもしれませんが、日系・外資系に関係なく給与交渉することはできます。
ただし、あくまでも交渉自体が可能なだけであり、必ずしも希望通りの給与になるとは限りません。また、タイミングや伝え方次第では相手にマイナスの印象を与えてしまう可能性があるため、後述する注意点も踏まえたうえで慎重に給与交渉をすることが大切です。
転職の給与交渉のタイミングはいつ?伝え方も紹介
給与交渉をする際は、タイミングに注意し、適切な伝え方で採用担当者を納得させる必要があります。ここでは、以下の内容について解説します。
それぞれ見ていきましょう。
給与交渉のタイミングは面接時?内定後?
給与交渉をするタイミングは、主に以下の3つのシーンです。
- 面接で希望年収を聞かれたとき
- 最終面接での逆質問
- 内定後の承諾前(オファー面談時など)
面接の段階で給与交渉をする場合の一番自然なタイミングは、面接官から希望年収を聞かれたときです。もし聞かれなかった場合は、最終面接での逆質問で他の質問をした後に切り出すのもよいでしょう。
内定前の交渉に不安がある場合は、内定後やオファー面談などでの交渉がおすすめです。内定を承諾する前であれば交渉の余地があるため、内定のお礼を伝える際に切り出しましょう。
給与交渉の切り出し方
希望年収を聞かれずに自分から給与交渉を切り出す場合、まずは会社の給与体系について聞き、具体的に入社時の給与を提示されてから交渉したい旨を話すとよいでしょう。会社の給与テーブルや自分の想定給与がわかれば、どのくらいの金額で交渉できるかの目安になります。
給与交渉の方法としては、面接やオファー面談時に直接話すのがベストですが、メールで内定連絡が来た場合は返信としてメールで交渉をしても構いません。
希望する給与・年収の伝え方
給与交渉をする際は、自分が希望する給与・年収を伝える必要があります。その際は「前職が〇〇円だったので、〇〇万円を希望いたします」というように、前職の給与・年収とあわせて伝えるとよいでしょう。
また、希望年収や現年収は、基本的に手取りではなく額面で伝えます。年収には残業代やボーナスなどが含まれていることも踏まえて、あらかじめ額面上の月収・年収を確認しておくことが重要です。
転職時に給与交渉が成功しやすいパターン
給与交渉は希望通りにならないこともありますが、希望金額や自分のスキル次第では成功率を高めることも期待できます。ここでは給与交渉が成功しやすいパターンとして、以下の3つを紹介します。
それぞれのパターンについて見ていきましょう。
応募企業の給与テーブルとかけ離れていない
給与交渉の成功率を高めるには、希望金額が応募企業の給与テーブルとかけ離れていないことが重要です。給与テーブルとは、等級や能力によって給与を決める際の基準となる表のことを指します。
希望する給与額がこの給与テーブルとかけ離れていると、企業側も検討する余地がなく断られてしまう可能性が高くなります。既存社員との給与バランスをとらなければならない企業側の事情も考慮したうえで、適切な希望金額を提示しましょう。
前職の給与より高すぎない
希望金額を伝える際は、前職の給与よりも高すぎない金額を提示することが大切です。特に前職と同業界・同職種へ転職する場合は年収アップを希望する人も多いですが、極端に高い希望金額を伝えてしまうと「適切な自己評価ができていない」と判断されてしまう可能性があります。
培った経験やスキル、応募先の募集要項にある想定年収の記載にもよりますが、前職より5〜10%の年収アップとなるイメージで希望金額を考えましょう。
評価に値する実績やスキルがある
企業側が定める基準に対して評価に値するような実績やスキルがあれば、給与交渉を受け入れてもらいやすくなります。たとえば、「応募企業と同じ業務内容で〇%の達成を継続していた」といった入社後にも活かせる実績があれば、現職の給与と同等かそれ以上で検討してもらえるかもしれません。
応募するポジションに必要なスキルだけでなく、さらに会社に貢献できるような能力や経験があることを示せれば、「交渉を受け入れてでも採用したい」と思ってもらえるでしょう。
転職時に給与交渉するときのコツ
いざ給与交渉をしようと思っても、ポイントがわからなければ交渉の仕方に迷ってしまうでしょう。ここでは給与交渉を成功させるためのコツとして、以下の5つを紹介します。
これらは給与交渉をする前に行うべき大切な準備のため、一つずつ順に進めていきましょう。
応募企業の募集要項を確認しておく
まずは、応募企業の募集要項を改めて確認しておくことが大切です。想定給与・年収に限らず、求めているスキルや経験なども細かく見ておきましょう。
給与交渉をする際は、企業側が「採用したい」と思えるような人材であることをアピールする必要があります。そのためにも、募集要項を確認して応募企業がどのような人材を求めているのかを具体的に把握することが重要なのです。
業界の給与水準を調べておく
応募企業の給与テーブルだけでなく、業界の給与水準も同時に調べておきましょう。給与の相場は業界によっても異なるため、同じ職種への転職だとしても給与が大きく変動する可能性があるのです。
業界の給与水準を把握しておくことで、相場とかけ離れた金額の提示を防げたり、応募企業の給与が妥当であるかの判断ができたりします。志望する業界の求人情報や平均年収などインターネットの情報を参考に確認してみましょう。
自分の市場価値から相場を把握する
業界や職種だけでなく、自分の市場価値から給与の相場を把握することも大切です。自分の保有しているスキルや経験だとどのくらいの給与・年収が一般的なのかを理解することで、適切な金額で交渉できたり、交渉の根拠となる要素を整理できたりします。
「自分を過大評価している」「給与が目的の転職ではないか」と思われないためにも、自分の市場価値に対する相場を目安に給与交渉をするとよいでしょう。
妥協できる金額を考えておく
給与交渉をする際には、希望金額とは別で妥協できる金額も考えておきましょう。企業が検討した結果、希望金額までは届かなくても給与・年収を上げてくれるケースがあります。その際に承諾する最低ラインを考えておかなければ、本当は妥協できない金額にもかかわらず上げてくれたことに焦点をあて判断を誤ってしまうかもしれません。
また、希望金額に固執せずに幅を持たせることで、交渉が難航したとしても冷静に交渉を進めることができるでしょう。
他社の提示額をもとに交渉する
選考が複数社で進んでいる場合、他社から提示された金額をもとに交渉をするのも手です。たとえば、「御社が第一志望なのですが、現在内定をいただいている他社から年収〇円を提示されており、給与水準を近づけていただけると嬉しいのですがご検討いただけますか」と伝えることができます。
この際に重要なのは、あくまでも交渉する企業が第一志望であり、条件面がクリアになれば入社したいという姿勢を見せることです。
転職時に給与交渉する際の注意点
最後に、転職時に給与交渉する際の注意点として以下の5つを紹介します。
給与交渉は、やり方次第では悪い印象を持たれてしまうリスクもあるため、上記の注意点を踏まえながら慎重に行うことが大切です。それぞれ解説するので、実際に給与交渉する際の参考にしてみてください。
交渉する相手とタイミングを選ぶ
給与交渉をする際は、相手やタイミングに注意しなければいけません。一次面接は応募者のスキルや人柄を知るための場であり、いきなり給与の話をすると「お金のためだけに転職を考えている人」という印象を与えてしまうため、一般的に交渉はNGです。
また、役員面接では最終的な意思確認や入社の熱意を見られているため、どうしても内定前に交渉したい場合以外は避けたほうが無難です。給与交渉は、基本的に条件面について発信している採用担当者に適切なタイミングで持ちかけるようにしましょう。
前職の給与・年収を偽らない
前職の給与・年収は、採用担当者から聞かれたり交渉する際に伝えたりする要素の一つですが、決して偽らないようにしましょう。たとえば、大幅に年収を上げたいという気持ちから本来よりも高い金額を伝え、給与交渉でさらに高い年収にしてもらおうと考える人もいるかもしれません。
しかし、前職の給与・年収は源泉徴収票などで確認でき、すぐにバレてしまう可能性が高いです。また、リファレンスチェックが行われた場合は、嘘をついていることがバレてしまい信用を失いかねないため、必ず正直に答えるようにしましょう。
具体性のないお願いは避ける
給与交渉の仕方として、具体性のない交渉にならないよう注意が必要です。前職の金額や交渉の根拠となる自分のスキルや実績などを話さずに、ただ給与交渉を進めても、何を基準にどのくらいの給与アップを求めているのかが伝わりません。
給与交渉する際は、必ず前職の給与、交渉の根拠となる内容に具体性を持たせて希望金額を伝えるようにしましょう。
自分の能力を過大評価してしまう
希望金額は、自分の能力を過大評価していないかに注意しながら考えるようにしましょう。自分の能力を客観視せずに意欲ややる気などを含めた評価にしてしまうと、「市場価値を把握できていない」「自己分析ができていない」という印象を与える可能性があります。
自分の能力に対する給与の相場をきちんと把握し、希望金額に納得してもらえるような根拠を提示できるようにした状態で給与交渉を行うことが大切です。
給与交渉によって評価や内定に影響する可能性もある
給与交渉は決してマナー違反ではありません。しかし、給与交渉によって評価や内定に影響する可能性があることも認識しておく必要があります。伝えるタイミングや相手、伝え方や内容によってマイナスな評価をされたり、その結果採用に至らなかったりするケースも考えられます。
また、冒頭でもお伝えしたように必ず希望が通るとも限りません。自分のなかで優先順位をつけながら、思い切って給与交渉をするのか、それとも別の手段を探すのかなど最適な選択を考えることが大切です。
転職時の給与交渉は、タイミングの見極めや準備が重要!
転職時の給与交渉は、切り出すタイミングや相手を見極めたうえで、伝え方や話す内容に注意しながら慎重に行う必要があります。説得力のある根拠があり、入社したいという熱意や誠意を見せることができれば、給与交渉が成功する可能性も高まるでしょう。
また、給与・年収アップを目指すには、市場価値が高まるようなスキルを身につけることが重要です。女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)では、全45以上の職種スキルが学べて、自分自身の興味や適性にあわせてスキルアップができます。強みを伸ばしたり弱みを補ったりすることで、給与交渉をする際のアピールにも役立つでしょう。
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