Webの仕組みを使ったアプリケーションのことを「Webアプリ」と呼びます。Webアプリはダウンロードが不要で、Webサイトと同様にWebブラウザ上で使用できるため、Webサイトとの違いを特に認識せず使用している方が多いかもしれません。
しかし、WebアプリとWebサイトは実現できることや開発方法などが異なるため、Webサービスに関わる方は両者の違いを理解しておくことをおすすめします。本記事では、WebアプリとWebサイトの違いをさまざまな観点からわかりやすく解説します。
Webアプリとは?
Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するアプリのことです。アプリは大きく分けると「ネイティブアプリ」と「Webアプリ」に分類できます。
ネイティブアプリは、アプリストアなどからデバイスにダウンロードすることで初めて使用できます。一方、WebアプリはWebブラウザ上で動作するため、Webサイトと同様に検索エンジンなどからアクセスし誰でも使用できます。
Webアプリでは、ネイティブアプリのようにユーザーの操作による情報の出し分けや、データの入出力が可能です。デバイスにダウンロードしないため、オフラインで使用できる機能はネイティブアプリと比べると限定的になりますが、ユーザーが使用するハードルが低いという特徴があります。
Webアプリの事例
Webアプリがどのようなものかイメージしにくいという方のために、Webアプリの具体例を紹介します。
Amazon
世界最大級のeコマースプラットフォームである「Amazon」は、Webアプリでeコマースサービスを提供しています。AmazonのWebアプリでは、商品の閲覧・検索・購入などが可能です。
Webアプリはユーザーの操作によって、表示内容を出し分けられるのが特徴のひとつです。Amazonでは、検索キーワードや絞り込みによって商品一覧ページに表示する商品を出し分けています。
食べログ
株式会社カカクコムが運営するグルメ情報サイト「食べログ」も、Webアプリで提供されているサービスです。ユーザーは、飲食店の検索・レビューの投稿・予約などを行うことができます。
Webアプリではユーザーごとの要素の出し分けが可能です。たとえば食べログでは、ユーザーの閲覧履歴やお気に入りの登録要素などを元に、おすすめの飲食店を表示しています。
Webサイトとは?
Webサイトは、Webページの集まりのことを指します。Webアプリと同様にWebブラウザ上で使用可能です。テキスト・画像・動画といったコンテンツをユーザーに提供することを目的に制作されます。
Webアプリはユーザーの操作や入力によって要素を出し分けることが可能ですが、Webサイトはどのようなユーザーがアクセスしても同じ要素が表示されるという違いがあります。よって、複雑な機能がない分、Webアプリと比べると安価に制作できるというのが特徴です。
WebアプリとWebサイトの違い
WebアプリとWebサイトには、以下の5つの点において違いがあります。
それぞれ詳しく解説します。
目的
WebアプリとWebサイトの提供目的の違いを紹介します。
Webアプリの目的
Webアプリは、特定の機能やサービスをユーザーに使用してもらうことを目的としています。商品の購入ができるeコマースサービスや、他のユーザーとコミュニケーションが取れるSNSなどがその例です。
データの入力・処理・出力が可能なため、さまざまな機能を提供できるのがWebアプリの特徴です。
Webサイトの目的
Webサイトが制作されるのは、ユーザーへの情報提供が目的です。企業を紹介するコーポレートサイトや、ブログサイトなどが例として挙げられます。
Webアプリと違い、ユーザーの操作によって表示要素を変更したり、ユーザーごとに情報を出し分けたりは基本的にはできません。そのため、さまざまなユーザーに対し広く情報を届けたい場合は、Webサイトが用いられます。
ダウンロード
ダウンロードについて、WebアプリとWebサイトは一部異なる点があります。
Webアプリ – ダウンロードについて
Webアプリはネイティブアプリと異なり、基本的にダウンロード不要で使用できます。しかし、オフライン状態でも一部の機能を使用するために、キャッシュやデータをダウンロードする場合があります。
デバイスにダウンロードする必要がないため、ハードドライブの容量を気にすることなく手軽に使用できるというメリットがあります。
Webサイト – ダウンロードについて
Webサイトも、Webアプリと同様にダウンロードは必要なく、Webブラウザを通じて直接アクセスできます。しかし、ページを読み込む際は常にインターネットに接続している必要があります。
Webブラウザがあれば閲覧できるため、デバイスやOSに関わらず使用できるというメリットがあります。
ターゲット
WebアプリとWebサイトのターゲットの違いを紹介します。
Webアプリのターゲット
Webアプリは、特定のニーズや目的を持つユーザーをターゲットにしています。たとえば、商品を購入したいユーザーがeコマースサービスを使用する、友人や知人・家族とコミュニケーションを取りたいユーザーがSNSを使用するといった例があります。
ログイン機能が設けられることも多く、リピーターも多いのが特徴です。
Webサイトのターゲット
Webサイトは、幅広いユーザーをターゲットとしています。情報の提供が目的のため、その情報を必要とするユーザーはすべてターゲットとなります。たとえば、商品を購入したユーザーが、使用方法を製品サイトで確認したり、ブログで便利な使い方を調べたりといった例があります。
検索エンジンで知りたいことを検索してWebサイトに辿り着くというユーザーも多く、新規ユーザーも多いのが特徴です。
ユーザーとのコミュニケーション
WebアプリとWebサイトは、ユーザーとのコミュニケーションに明確な違いがあります。
Webアプリ – ユーザーとのコミュニケーションについて
Webアプリは、Webアプリ側とユーザー側の双方向のコミュニケ―ションが可能です。具体的には、ユーザーの操作によって表示内容を変えたり、ユーザーごとにパーソナライズした要素を表示したりすることができます。Instagramのタイムラインに自身のフォロワーの投稿が表示されるのがパーソナライズの例です。
Webサイト – ユーザーとのコミュニケーションについて
Webサイトは、運営側からの一方向の情報発信というコミュニケーションになります。ユーザーの行動は、主に提供される情報の閲覧に限られます。ユーザーからの情報入力がないため、基本的にはパーソナライズされた情報の提供はなく、すべてのユーザーに同じ情報が提供されます。
通信速度
WebアプリとWebサイトの通信速度による違いは以下のとおりです。
Webアプリの通信速度
Webアプリは、ユーザーの操作に応じてリアルタイムでデータを取得・更新するため、頻繁にサーバーとの通信が必要です。また、動的なコンテンツや複雑な機能を持つため、読み込みに時間がかかる場合があるでしょう。
やり取りするデータの容量が多く、通信速度が遅い環境ではスムーズに使用できない場合があります。
Webサイトの通信速度
Webサイトは静的なコンテンツで構成されることが多く、やり取りするデータはテキストや画像が中心になります。そのため、データ容量が比較的軽量で、Webアプリに比べると読み込みは早いでしょう。
静的なコンテンツはブラウザにキャッシュされやすいため、初回の読み込み以降はさらに読み込み速度が早くなる傾向があります。
WebアプリとWebサイトのメリット・デメリット
WebアプリとWebサイトのメリット・デメリットをまとめると、以下の通りになります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
Webアプリ | ・高度な機能を提供できる ・リアルタイム更新ができる ・ユーザーの操作によって表示情報を変えられる |
・開発コストが比較的高い ・メンテナンスに手間がかかる ・読み込みに時間がかかる場合がある |
Webサイト | ・開発コストが比較的低い ・動作が早い ・メンテナンスが容易 |
・機能が限定的 ・双方向のコミュニケーションは難しい |
WebアプリとWebサイトの一番の違いは、提供できる機能の幅です。Webアプリはバックエンド技術やデータベースを用いた開発が行われるため、さまざまな機能が提供できます。しかし、Webサイトの主な機能は静的コンテンツの表示です。
Webアプリのほうが複雑な機能を持つため、開発コストが比較的高く、メンテナンスに手間がかかります。一方、Webサイトは機能がシンプルで開発コストが比較的低く、Webアプリに比べるとメンテナンスも容易です。
WebアプリとWebサイトのどちらがよいのか悩む場合は、上記のメリット・デメリットを踏まえ適したほうを選択するとよいでしょう。
WebアプリとWebサイトは機能・目的に違いがある
WebアプリとWebページは、Webブラウザ上で動作しダウンロードが不要という点は同じです。しかし、Webアプリのほうが高度な機能が提供できるという違いがあります。WebアプリとWebサイトはそれぞれの目的や特徴を踏まえて、適したものを選びましょう。
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