フリーランスが納める税金の種類は?控除や支払う金額もわかりやすく解説

フリーランスが納める税金の種類は?控除や支払う金額もわかりやすく解説
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ライター Yukie
大学卒業後は金融機関の事務員として8年働く。その最中にSHEに出会い、自分らしい生き方を叶えるという理念に共感。現在はフリーのライターとして、時間と場所にとらわれることない自由な生活を実現している。FP3級・簿記2級を保有。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。
監修者 板山 翔
平成28年に日本初のオンライン専門の税理士事務所を開業。塾講師歴7年、大手WEBメディアで連載を持つなどの異色の経歴を持つ。5人以下の小さな会社の経営者へ向けて、様々なメディアで情報を発信しており、YouTubeチャンネル「税理士ショウの超わかりやすいビジネスQ&A」は動画9本で登録者1,000人を超えるなど急成長している。

フリーランスの個人事業主として働くことになった場合、自分で税金を申告しなければいけません。フリーランスとして活動する場合は、税金に関する基本的な知識は押さえておいたほうがよいでしょう。しかし、フリーランスになりたての場合は税金の種類や利用できる控除制度など分からないという人もいるかもしれません。

本記事では「フリーランスが納めるべき主な税金の種類」から「税金の負担を抑える方法」、「税金に関するよくある質問」について解説しています。税金の基礎知識を知りたい方はぜひご覧ください。

フリーランスが納める主な税金の種類

フリーランスが納める主な税金の種類として以下の5つが挙げられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

所得税

所得税とは会社からもらう給料や、自分で働いて得た収入に対してかかる税金です*1。具体的には1月1日~12月31日までに得た売上に対して、事業で利用した経費を差し引いたものが事業所得となります。計算式にすると「収入-必要経費=事業所得」です。

ここから配偶者控除や扶養控除といった各個人の置かれた環境によって所得から控除できる所得控除を適用することができます。控除後の金額に税率がかけられたものが所得税です。計算式では「(所得-所得控除額)×税率=所得税額」で表されます。所得税は、収入や家族構成の状況に応じてそれぞれ異なり、収入が多ければ多いほど適用税率が高くなる累進課税制度がとられています。

住民税

住民税は自分の住んでいる地域の費用を負担しているもので、主に教育や福祉、ごみ処理といった私たちの生活を支える行政サービスのために利用されています*2住民税は前年度の所得を基準に決められ、「所得割」と「均等割」に区分されます。

「所得割」は所得に対して10%負担することを求めているもので、「均等割」は非課税限度額を上回る人に一定の金額を納めるように定められているものです。フリーランスの場合は直接納税する必要があり、毎年6月ごろに届く納付書を使用してコンビニや金融機関で支払います。自治体によって税率などが異なるため、住んでいる自治体のホームページを確認するとよいでしょう。

消費税

消費税は商品の販売やサービスの提供といった取引に対してかかる税金のことをいいます*3消費税の標準税率は10%*3、軽減税率は8%*3で、納税する人と税金を負担する人が異なる間接税となっています。消費税の計算方法は一般課税と簡易課税の2種類があり、それぞれ以下のような計算式です。

  • 一般課税「売上にかかる消費税額-仕入れなどにかかる消費税額=消費税額」
  • 簡易課税「売上にかかる消費税額-(売上にかかる消費税額×みなし仕入れ率)」=消費税額

また令和5年10月1日から納税する消費税額を正確に算出するため、インボイス制度というものが始まりました。フリーランスで事業をするのであれば、事業内容や取引する会社によっては登録する必要が出てくる場合もあるので、確認しておくとよいでしょう。

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個人事業税

個人事業税は都道府県に納付する地方税です。収益を伴う事業をするうえで行政サービスを利用していると考えられることから、行政サービスに対して一部経費を負担するものです*4。地方税法に定められている70種類の業種に該当する人が納税する必要があるとされていますが、たいていの業種がこの区分に該当しています。

個人事業税の計算方法としては「(事業所得-個人事業税で適用可能な控除)×業種ごとに決まっている税率=個人事業税」となっています。納付は原則8月と11月の年2回に分けられており、送られてくる納税通知書で納付しましょう。

固定資産税

固定資産税は、土地や家、事業用の機械などの固定資産にかかる税金をいいます*5「固定資産の評価額×標準税率(自治体により異なる)」で計算されており、固定資産の評価額は国の基準に基づいて計算されます。標準税率については自治体によって異なるため、ホームページで確認するとよいでしょう。納付方法は年4回納付するか、一括で納付する方法のどちらか選択可能です。

フリーランスが支払う保険料の種類

フリーランスが支払わなければいけない保険料は以下の3種類です。

一つずつ見ていきましょう。

国民年金保険料

国民年金保険料は、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人が全員納付しなけばいけない保険料です*6。フリーランスの場合は第1号被保険者に割り当てられ、自分で保険料を納付する必要があります。

令和6年度の1か月あたりの国民年金保険料の金額は16,980円*7となっており、納付対象月の翌月末日までが支払期限です。納付方法は口座振替を始めとして、クレジットカードでの支払いも可能です。また将来の老齢基礎年金の額を増やしたい場合は、月額400円の付加保険料を納付することもできます。

国民健康保険料

国民健康保険料は、フリーランスなどの自営業者が加入する公的医療保険制度に対する保険料です*8。保険料は各市町村により異なりますが、以下のいずれかの方式で定められます。

  • 2方式(所得割・均等割)
  • 3方式(所得割・均等割・平等割)
  • 4方式(所得割・資産割・均等割・平等割)

また保険料は収入や年齢によっても変動します。計算方法が複雑なため、各自治体のホームページによっては保険料早見表やシュミレーターが設置されています。詳しく知りたい方はぜひ利用してみましょう。

介護保険料

介護保険料は強制加入の保険で、40歳以上の住民が市区町村に支払う保険料をいいます*9。40歳になった月から徴収され、健康保険料と一緒に請求されます。40歳〜64歳は第2号被保険者、65歳以上は第1号被保険者として区分され、介護保険料は市町村ごとに定められた基準額をもとに決められます。計算式としては「毎年4〜6月に支払われた給与の平均額を標準報酬月額表のテーブルにあてはめたもの」×介護保険料率です。自分の介護保険料が知りたい方は各自治体のホームページで確認してみましょう。

フリーランスが利用できる控除制度一覧

フリーランスが利用できる控除制度は以下の2つです。

  • 所得控除
  • 税額控除

それぞれ見ていきましょう。

所得控除

所得控除の代表的なものをいくつか紹介します。

所得控除の種類内容
基礎控除*10全ての人が控除でき、最大48万円の控除可能
配偶者控除*11配偶者の所得が48万円以下(給与の場合は103万円以下)の場合に適用可能
ひとり親控除*12納税負担者がひとり親の時に適用
生命保険料控除*13生命保険や個人年金に支払った保険料がある場合に最大12万円控除可能
寄付金控除*14ふるさと納税や震災関連の寄付金をした場合に一定金額に対して控除対象
医療費控除*151年間に10万円以上の医療費を払った場合などに適用可能

所得控除には15種類あり、適用可能条件や控除可能な金額は種類によって変わります。所得控除を上手に利用することで、税金の負担を軽減することは可能です。控除項目の適用要件などの詳しい内容は国税庁のホームページを確認するとよいでしょう。

税額控除

税額控除の代表的な例として以下のようなものが挙げられます。

税額控除の種類*16内容
住宅借入金等特別控除一定の要件をクリアしている住居に対して住宅ローンを借りて新築、取得した場合に控除可能
配当控除一定の配当所得があるときに、その所得の10%または5%控除の適用
外国税額控除海外で生じた所得がある場合、二重課税とならないように一定額を控除できる制度

税額控除はさまざまな種類があり、節税効果が高くなっています。ただし、税額控除を利用するにはそれぞれ必要書類が異なるため、手間がかかる場合が多いです。必要書類や税額控除対象要件については国税庁のホームページで確認しておくとよいでしょう。

フリーランスが税金の負担を抑える方法

フリーランスが節税するための対策方法として以下の4つの方法があります。

それぞれ一つずつ見ていきましょう。

経費を正しく計上する

税金の負担を軽減する方法として、経費を正しく計上する方法があります。経費とは「事業において収益を得るために使用した費用」のことをいいます。基本的に業務で使った費用は、経費として計上できます。経費として落とす場合には、領収証やレシートなどお金を使用した証明が必要になるため、必ず残しておきましょう。

経費にできるもの

経費にできるものの例として、以下が挙げられます。

  • 事務用品やデスクといった「消耗品費」
  • 人を雇うことで発生する「人件費」
  • 取引先との飲食代の費用やお中元などの購入費用を含む「接待交際費」
  • 出張や現場への旅費交通費
  • 製品やサービスを新しく作るための「研究開発費」
  • 事業に必要な知識を得るための「新聞図書費」
  • インターネットや携帯料金などの「通信費」
  • 事業のサービスや商品を宣伝するためにかかった「広告宣伝費」
  • 事業を運営するための事務所や店舗の「地代家賃」
  • 建物や車などの固定資産を一括で費用計上せず、資産の使用可能期間に応じて経費を計上する「減価償却費」
  • 事業用の建物などの固定資産を修理する「修繕費」
  • 事業上発生する金融機関への振込や税理士・弁護士への「支払手数料」

経費として計上できるのは「事業に関係する支出」です。

経費にできないもの

経費に計上できないのは「事業に関係のない費用」です。具体的な例を挙げていきます。

  • 私生活で必要な日用品や消耗品費
  • 所得税や住民税といった税金
  • 国民健康保険や国民年金などの社会保険料

経費を不正計上することで、税務署から指摘され、過少申告加算税や延滞税といったペナルティが与えられる可能性があります。

青色申告を選択する

青色申告をすることで最高65万円の所得控除ができ、税金の負担を抑えることができます*18青色申告とは、収入や必要経費など日々の取引状況をこまめに入力することで、正しく納税手続きを行うための制度です。白色申告は簡単な会計方法で事務作業が少ないというメリットがありますが、最大65万円の控除を受けられません。フリーランスとして従事するのであれば、青色申告で確定申告を行った方が節税につながります。

適用される控除を確認する

適用できる控除を確認しておくことも、節税につながる方法の一つです。所得控除は15種類あり、利用できる控除項目は人によって異なります。たとえば扶養家族がいる場合は「配偶者控除」や「扶養控除」が対象になったり、生命保険を一定金額支払っていると「生命保険料控除」を適用できたり、といった具合です。国税庁のホームページに所得控除の各項目の条件や控除可能金額が記載されているため、自分が利用できる控除が何かを事前に把握しておくとよいでしょう。

お金に関する知識を身につける

お金に関する知識を身につけることも重要です。税金は複雑なため、どうしても苦手意識を持ってしまう人もいるかもしれません。しかし税金やお金に関する知識を得ることで、税金に対する苦手意識がなくなり、節税方法について積極的に考えられるようになります。最初のうちは苦労するかもしれませんが、少しずつ勉強していくことで今後の事業に活かせる知識として活用できるでしょう。

フリーランスと税金に関するよくある質問と回答

フリーランスと税金についてのよく聞かれる質問は以下のとおりです。

回答と一緒にそれぞれ詳しく解説します。

税金を納めるタイミングはいつ?

税金を納めるタイミングの例として以下があげられます。

  • 所得税等:3月15日
  • 消費税及び地方税:3月31日
  • 贈与税:3月15日

納付時期は税金の種類や自治体によって異なるため、事前にお住まいの市区町村のホームページなどを確認しておきましょう。

税金を払わないとどうなる?

税金を払わないと、納税額や納付するまでの日数に応じて加算税や延滞税がかかり、税務署から督促がされることもあります*20。税務署からの督促にも応じない場合は、財産の差し押さえなどの処分を受ける可能性がありますので、迅速に税金を払うようにしましょう。

確定申告が不要なケースはある?

確定申告が不要なケースとしては以下のようなものが挙げられます*21

  • 所得が48万円以下
  • 副業での収入が20万円以下
  • 公的年金等の収入金額が400万円以下

たとえば所得額が2,400万円以下の場合は適用される基礎控除として48万円が控除されます。そのため、収入から必要経費を差し引いた所得額が48万円以下の場合、所得税が発生しないため確定申告が不要となります。

フリーランスが納めるべき税金や保険料を理解して、上手に控除制度を活用しよう!

今回はフリーランスが納める税金や保険料の種類について解説しました。税金の負担を抑える方法としては「経費を正しく計上すること」「青色申告を選択すること」「適用される控除を確認すること」「お金の知識を身につけること」が挙げられます。税金について勉強しながら、フリーランスとしての活動に従事していきましょう。

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<出典・参考・引用>
*1:国税庁「所得税の仕組み」より/財務省「身近な税」より
*2:財務省「身近な税」より/総務省「個人住民税」より
*3:国税庁「消費税の仕組み」より
*4:東京都主税局「個人事業税」より
*5:総務省「固定資産税」より
*6:日本年金機構「国民年金保険料」より
*7:日本年金機構「民年金の保険料はいくらですか。」より
*8:厚生労働省「国民健康の保険料・保険税について」より
*9:厚生労働省「介護保険制度の概要」より
*10:国税庁「No.1199 基礎控除」より
*11:国税庁「No.1191 配偶者控除」より
*12:国税庁「No.1171 ひとり親控除」より
*13:国税庁「No.1140 生命保険料控除」より
*14:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」より
*15:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」より
*16:国税庁「No.1200 税額控除」より
*17:東京都主税局「個人事業税 」より
*18:国税庁「No.2070 青色申告制度」より
*19:国税庁「税金納付」より
*20:国税庁「No.9206 国税を期限内に納付できないとき」より
*21:国税庁「No.2020 確定申告」より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。