Webサイトの企画立案や、制作現場の進行・管理を担当するWebディレクター。Web制作の需要増とともにプロジェクトを進めるうえで欠かせないWebディレクターの仕事ですが、その年収がどのくらいか気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、Webディレクターの平均年収、年収アップに必要なスキル、キャリアの選択肢について解説します。
Webディレクターの仕事に興味がある方や、Webディレクターとして収入をアップさせるためのポイントが知りたい方は、ぜひお役立てください。
Webディレクターの平均年収は？
「求人ボックス 給料ナビ」の求人統計データによると、Webディレクターの正社員の平均年収は、約470万円*1です。月給で換算すると39万円、初任給は23万程度が相場とされており、派遣社員の平均時給は1,870円、アルバイト・パートは1,199円です。
国税庁調査による令和4年の日本の平均年収458万円*2に比べ、Webディレクターの年収はやや高い傾向にあることがわかります。
ただし、Webディレクター全体の年収幅は316〜900万円*1と幅広く、勤務先や案件内容、スキル・経験によって、給与に差がある職種と言えるでしょう。
Webディレクターに年収の差が発生する要因
Webディレクターの年収に幅がある要因として、主に以下の項目が挙げられます。
それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。
レベルの差
Webディレクターのなかには、Web業界未経験で就任した経験が浅い人から、WebディレクションやWebマーケティングの実績が豊富な人までいます。
例えば、クライアントの要望を最低限満たせる人、またはクライアントの要望や予算を汲み取ってより良いビジネスモデルを提案できる人、さらにマーケティング視点やバックエンド領域まで強みを持つ人など、Webディレクター自身の実績や知識量によってスキルに差が生じます。
要するに、Webディレクターのスキルレベルによって業務が異なり、それは評価につながると考えられるため、給与や年収にも必然的に差が出ると言えるでしょう。
案件の大小や業務範囲
Webサイト制作の現場において、デザイナーやエンジニアを率いてプロジェクトチーム全体の指揮・進行管理を行うWebディレクターの業務は、勤務先の受注案件の大小や担当範囲によって異なります。
要望をテンプレート通りに管理・更新するだけの案件もあれば、企画立案から実現までの責任を負うWebプロデューサーに近い業務を担当することもあるでしょう。大規模な案件ほど予算や工数は増えるため、その案件を受注できるか否か、全工程をマネジメントできるかどうかが年収差につながる一因であると言えます。
フリーランスの場合は、Webサイト制作の進行管理だけでなく、戦略立案や運用・改善のためにマーケティング分野のスキルが重要視される場合もあるなど、継続して受注できる案件の大小や業務範囲で報酬に差が出やすいと考えられます。
所属企業による違い
Webディレクターの年収は、所属先企業によって変動します。
例えば、Webサイト制作会社・ゲームやアプリの開発会社・広告代理店・フリーランスなど、Webディレクターが活躍できる環境は多岐に渡ります。大手企業・中小企業問わず、これまでのWebディレクターの経験やスキルを高く評価してくれる企業であるか、また企業の業種・業態など業界動向の違いが収入差の要因とも言えるでしょう。
Webディレクターが年収アップするために必要なスキル
Webディレクターが収入をアップするためには、クライアントや所属企業にとって有用なスキルを身につけることが重要です。
各スキルの詳細を解説します。
課題抽出・問題解決スキル
Webディレクターとして年収アップを目指すなら、クライアントの課題を抽出して、問題を解決するスキルが重要になります。
WebサイトやWebサービスには、売上アップやブランディングなど、何かしら目的があります。目的を達成するにあたって、Webディレクターはターゲットや競合サイトの情報収集をしたり、アクセス解析ツールを使用したりして、クライアントが気付いていない課題まで抽出しなければなりません。さらに、抽出した課題の解決策を具体的に考えて、企画に取り入れていきます。
特に、Webサイトへの流入数に関わるSEOやマーケティングに関わる課題抽出力と問題解決スキルが高いと、評価されやすい傾向にあるでしょう。
企画力・提案力
Webディレクターはクライアントの要望や課題をしっかりヒアリングしたうえで予算を加味し、条件に合った企画を提案します。要望を鵜呑みにするのではなく、クライアントが置かれている状況やユーザーニーズをしっかり分析して、最適な提案をすることが重要です。もちろん、企画実現に必要な予算・人員・スケジュールの確保も欠かせません。
また、クライアントの条件に対して要望を実現するのが難しい場合は、ただ不可能だと判断するのではなく、代替案を提示することも必要です。
リーダーシップ
Webディレクターはプロジェクト全体の指揮・進行管理を担当するうえで、チームをまとめるリーダーシップが重要です。制作現場全体を把握して、制作スタッフに的確な指示を出したり、進行状況に合わせて対応を決めたりする判断力が問われるでしょう。
また、クライアントの要望をそのまま伝えるのではなく、自分の言葉でメンバーにわかりやすく伝えるなど、メンバーのモチベーションが維持される関係を築くためのコミュニケーションスキルも重要です。
Webディレクターがより高い年収を目指すためのポイント
Webディレクターがより高年収を得るために重要なポイントを、具体的に3つ解説します。
Web制作に関わるスキルを深めるだけでなく、法律の知識も身につけておくとよいでしょう。
Web制作全般の知識・スキルを深める
WebディレクターはWeb制作全般の知識が必要になりますが、より年収アップを目指すなら、それぞれの知識・スキルを深めることが重要です。
Webディレクターに重要なスキルとして、以下が挙げられます。
- Webデザイン
- プログラミング
- Webマーケティング、SEO
- リーダーシップ・コミュニケーション能力
- 課題抽出・解決力
- UI/UX
- マネジメントスキル
上記のようなスキルを深く学んでいくことで、要望や条件に適したWebサイトの提案・制作が実現できるようになります。
実績を積む
Webディレクターとして年収アップするためには、スキルや経験を磨き、実績を増やすことが何より重要です。
Webディレクターの求人や案件のなかには、Webディレクション経験や、マーケティング業務経験が必須応募資格にされていることがあります。業務経験の条件は1年〜5年以上と、企業や案件によって異なります。未経験でも応募できる求人もありますが、より高い年収を目指すなら、まず実績としてアピールできる経験を積む必要があるでしょう。
法律の知識を身につける
Webサイトの内容によって、遵守するべき法律があります。例えば、サービスや商品を紹介する際は景品表示法、美容系・医療分野であれば薬機法や医療法ガイドライン、引用記載する際は著作権法などを遵守して、Webサイトを制作しなければなりません。
そのため、クライアントの要望や、制作スタッフの提出した内容が法律に抵触していないか、判断できるための法律知識が重要になります。
Webディレクターが年収アップするためのキャリアの選択肢
Webディレクターが年収アップするためには実績やスキルの習得が重要ですが、転職やキャリアチェンジが年収アップのきっかけになることもあります。Webディレクターが年収アップするための3つのキャリアの選択肢を紹介します。
所属企業で上位職を目指す
Webディレクターからのキャリアアップには、Webプロデューサー職を目指すという選択肢があります。WebディレクターがWeb制作の現場責任者であるのに対し、WebプロデューサーはWebサイト全体の統括責任者にあたります。
一般的に、Webプロデューサーが年間予算の策定や資金調達、運用方針などを決定し、Webディレクターが制作現場で進行の指揮をとります。ただし、企業によって業務の担当範囲や内容は異なるため、役割に明確な線引きがないケースもあります。またWebディレクターとしてスキルアップすることで、Webプロデューサーや、企画に特化したWebプランナーとの兼務などのキャリアパスもあります。
Webプロデューサーへのキャリアアップや、Webディレクターとしてさらにスキルアップしていくことで、所属企業内での年収アップが期待できるでしょう。
好条件の企業へ転職
Webディレクターの年収は業種によって差があるので、好条件の企業へ転職するのも年収アップが期待できる選択肢です。Web制作専門の事業会社以外にも、例えば広告代理店、アプリ開発会社、不動産、アパレルなど、Webディレクターの仕事は多方面で必要とされています。
また、フリーランスとして独立した場合、好条件の案件を受注することで年収アップが目指せます。フリーランスWebディレクターとして活躍する人のなかには、年収1,000万円以上稼いでいるケースもあるようです。要望通りのWebサイトを制作するだけでなく、企業の目的に沿った施策実行やブランディングを考慮した提案ができると、条件の良い案件を受注しやすくなるでしょう。
関連職種へのキャリアチェンジ
Webディレクターは幅広いスキルと知識が必要とされる職種なので、キャリアチェンジの選択肢も幅広いです。一般的なキャリアアップはWebプロデューサーが挙げられますが、クライアントと綿密なコミュニケーションをとってWebサイトの細部までを設計するWebプランナーや、Webマーケティングを用いて事業拡大や売上アップに貢献するWebマーケターなども目指せます。
給与は企業によって異なりますが、Webディレクターで身につけたコミュニケーションスキル、マーケティングスキルなどの強みを活かせる職種にキャリアチェンジすることで、年収アップが期待できるでしょう。
Webディレクターは実績やスキルで年収アップが期待できる
Webディレクターの年収は幅広く、実績・スキル、所属企業や受注案件次第で年収アップが期待できます。Webディレクターとして活躍するには、リーダーシップ、コミュニケーション力、課題抽出スキル、Webマーケティングスキルなど、さまざまなスキルが必要です。
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※出典
*1：求人ボックス 給料ナビ「Webディレクターの仕事の年収・時給・給料」より
*2：「国税庁」令和4年分 民間給与実態統計調査より
