Webディレクターのキャリアパスには、どのような道があるのでしょうか。Web制作のプロジェクト管理や進行を担うWebディレクターは、幅広いスキルや知識が求められます。一方で、具体的なキャリアパスがわからない方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、Webディレクターを目指す方・キャリアアップしたい方に向け、キャリアパスを具体的に紹介します。Webディレクターとしてキャリアの可能性を広げるヒントにしてみてください。
Webディレクターのキャリアパス
幅広いスキルが求められるWebディレクターには、さまざまなキャリアパスが存在します。以下が、具体的な例です。
得意とする領域や希望する業務内容によって、キャリアの選択肢は異なります。ここからは、Webディレクターのスキルが活かせる職種を解説していきます。
Webプロデューサー
Webプロデューサーは、Webディレクターの上流工程にあたる業務を担当します。Webディレクターが「制作現場の責任者」であるのに対し、Webプロデューサーは「プロジェクトの統括責任者」となります。主に企画立案から、人員・コスト・スケジュール管理・運用までのプロジェクト全体の責任と決定権を担う仕事です。
現場の制作メンバーだけでなく、運営側やクライアントとのコミュニケーションを重ねながらプロジェクトを進めていきます。Webディレクターよりもさらに幅広いポジションの人々と関わりがあるため、広い視野を持って的確なマネジメントをする必要があります。
ただし、企業によってはWebディレクターと業務範囲が重なる部分もあり、両者の明確な線引きがないケースもあるでしょう。
Webプランナー
Webプランナーは、クライアントの要望やイメージをヒアリングし、コンテンツの企画設計を行う仕事です。クライアントの意図を汲み取りながら、コンテンツアイデアを創り出していきます。制作現場の指揮・管理がメインのWebディレクターよりも、コンテンツの設計フェーズに注力します。
企業の規模によってはWebディレクター・Webプランナー・Webデザイナーを兼任することもあり、仕事内容は幅広いです。コーディングやデザインソフトの知見などのクリエイティブスキルがあることで、最適なデザイン設計の実現につなげられるでしょう。
Webコンサルタント
Webコンサルタントは、クライアントの課題解決を支援する仕事です。SEO・Web広告などの手法を使い分け、クライアントの事業拡大を目指します。Webディレクターとしてのマネジメント力とともに、クライアントを成功に導くための戦略思考やマーケティング力が求められます。
潜在的な課題に気づく力をつけるために、Webディレクターとして進行管理をするだけでなく、Webサイトの運用・分析・改善をするといった経験を積めるとよいでしょう。
Webマーケター
Webマーケターは、Webを活用したマーケティングにより事業拡大やブランディングに貢献する仕事です。WebディレクターがWeb制作全体の指揮・管理能力を求められるのに対し、WebマーケターはSEO対策・広告運用・SNS運用・メルマガなどの手法を深く理解している必要があります。
マーケティング理論をもとに戦略を立てABテストを行うなど、定量データをベースとした論理的思考力が求められます。一方で、ユーザーに刺さる訴求方法を考えるためにユーザーニーズの理解や最新情報のキャッチアップも必要です。
Webアナリスト
Webアナリストは、Webサイトの解析を行い課題を発見し、具体的な改善策を提案する仕事です。閲覧数やクリック率、コンテンツごとのアクセス状況などをツールや理論を用いて分析します。解決策の提案のために、ビジネスやマーケティングの知識にも精通している必要があります。
Webサイトの改善に向け新たなソリューションの導入提案をするなど、Webアナリストには高度な統計学・分析スキルのほか、提案を伝えるためのコミュニケーション能力も求められます。分析や課題解決が得意なWebディレクターであれば、さらに専門的なデータ分析スキルを身につけ、キャリアの選択肢として考えるのもよいでしょう。
Webディレクターとしてキャリアを極める
職種を変えずにWebディレクターとしてのキャリアを極める道もあります。転職して規模の大きいプロジェクトに参加したり、フリーランスとして挑戦したりするのもよいでしょう。
たとえば「デザインが得意」「マーケティングが得意」など、独自の強みをアピールしてWebディレクターとしてのキャリアを形成することもできます。Webプランナー・Webマーケターの領域も任せられるWebディレクターとなれば、他者との差別化も可能です。
Webディレクターを目指すキャリアプラン
Webディレクターを目指す場合、どのようなキャリアプランが存在するのでしょうか。大きく分けて「他の職種からWebディレクターを目指す」「未経験からWebディレクターを目指す」の2通りがあります。
ここからは、それぞれのキャリアパターンを具体的な職種や方法を踏まえながら解説します。
他の職種からWebディレクターを目指す場合
Webデザイナー・エンジニア・Webマーケターなど、Webの関連職からWebディレクターを目指す場合は、実務経験で培ったスキルが強みになるでしょう。しかしWebディレクターとしてキャリアを築くには、職種ごとに異なる経験やスキルの追加が必要です。
職種ごとの視点で解説します。
Webデザイナー
WebデザイナーとしてWeb制作スキルを高めておくと、デザイン知識を兼ね備えたWebディレクターを目指せます。ただデザイン制作を完了するだけでなく、クライアントのコンセプトやターゲットユーザーなどを意識しながら、マーケティング視点を学んでおくことが大切です。デザイナーとしてチームをまとめるプロジェクトを経験できると、Webディレクターに必要なマネジメント力も育ちます。
エンジニア
エンジニアを経てWebディレクターになると、Web開発の経験やテクニカルスキルを活かした指示ができます。しかしWebディレクターはプロジェクトの指揮・管理を担うため、エンジニア領域以外のデザイン・マーケティングの知識もある程度学んでおく必要があります。
プロジェクトの進行管理に携わったりマネジメント経験を積んだりすることで、Webディレクターに必要なスキルを磨いていくことができるでしょう。
Webマーケター
Webマーケターに求められるWebサイトの運用・分析・改善スキルは、Webディレクターとしても重宝されるスキルです。洗練されたマーケティング思考は、ディレクターとしてクライアントの目的理解や提案の際にも活かせます。
Webディレクターは予算・スケジュール管理などプロジェクトマネジメント力も必要であるため、Webマーケターとして他のメンバーと連携してプロジェクトを進める経験も積んでおきましょう。
未経験からWebディレクターを目指す場合
未経験からWebディレクターを目指す場合、Web関連スキルを高めることが大切です。選択肢はいくつかあるため、自分にあった方法を探してみましょう。
以下が、具体的な方法です。
IT関連職に就く
未経験からいきなりWebディレクターを目指すのではなく、Webディレクターに関連するIT関連職に就いてスキル・知識を習得する方法があります。
幅広い知識やスキルが求められるWebディレクターは、他の業界から未経験で転職を目指すのが難しいこともあるでしょう。IT関連職の現場で経験を積みスキルを高めることが、将来Webディレクターとして活躍するための近道になるかもしれません。
未経験可の求人に応募する
未経験可の求人は、別の職種からWebディレクターに転職するチャンスです。実務経験を積みながら、Webディレクターとして成長できる環境に身を置くことができます。しかし未経験可とはいえ一定のスキルがないと厳しい場合もあるので、Web関連の知識を事前に身につけておくなど、積極的に学ぶ姿勢を忘れてはいけません。
スクールに通う
スクールに通ってWebディレクターとしての専門スキルを高める方法があります。理論だけでなく実践的なスキルを身につけるために、実際にプロジェクトや課題に取り組めるスクールがおすすめです。スクールを修了することで能力や意欲の証明となり、企業からの信頼性も高まるでしょう。
Webディレクターに必要なスキル
Webディレクターには、以下のような幅広いスキルが求められます。
- マネジメントスキル
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- スケジュール管理能力
- 分析・企画・提案・交渉スキル
上記に加え、サイト構築や管理のためにプログラミング知識が必要なこともあれば、集客最大化のためマーケティング戦略スキルが求められることもあります。企業のポジションや規模、案件によって求められるスキルは異なるため、働きたい企業や形態に合わせてスキルを高めていきましょう。
Webディレクターに必要なスキルをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
Webディレクターがキャリアアップするために必要なスキル
前述したスキルのほかに、Webディレクターがキャリアの選択肢を広げたりキャリアアップを実現させたりするためには、以下のようなスキルの習得が必要です。
それぞれのスキルについて解説していきます。
論理的思考力
Webディレクターには、物事を筋道立てて考える論理的思考力が必要です。根拠のある提案ができなければ、クライアントや制作メンバーに納得してもらえません。たとえば「前例はそうしたから」「私はこう思うから」のような主観的な意見ではなく、分析結果など根拠ベースに説明することが求められます。
Webディレクターは社内外の多くの人を巻き込む立場にいます。感覚や判断で結論を出さず、関わる人々が理解し納得できるロジカルトークを意識しましょう。
高いマネジメントスキル
ディレクターは直訳すると「指揮者や管理者」という意味です。人や物事を動かすポジションなので、異なる役割を持つメンバーをまとめるマネジメントスキルが重要視されます。
メンバーとの意思疎通ができないと、プロジェクトの納期遅れなどが起こりえます。そのため、チームの各メンバーがパフォーマンスを最大限発揮できるようコミュニケーションを取り、モチベーションを高めてあげられるような対話力や人間性が求められます。
またキャリアアップとしてWebプロデューサーを目指す場合でも、プロジェクト全体を見通したマネジメントスキルは重要です。制作側だけでなく運営やクライアント側のスケジュール考慮、コストの把握や交渉など、広い視野を持ちながら采配していく力が不可欠だと言えるでしょう。
経営・ビジネス関連スキル
Web制作でクライアントのビジネスに成果をもたらすためには、経営的な観点が必要です。経営者目線で考えることで、クライアントの状況や利益、市場への影響などを踏まえた適切なアプローチができるでしょう。
「チームマネジメント」「リスク管理」などのビジネススキルも、Webディレクターにとって重要なスキルです。個々のメンバーの動きとプロジェクト全体の経過を把握し、作業漏れや納期遅れなどリスクがないかを確認する必要があります。
人脈構築スキル
Webディレクターにとって、さまざまな場所や人から情報を得るための人脈構築スキルは重要です。Web業界は常に変化しており、新しい技術やトレンドが次々と登場します。人脈があればそこから新しい情報に出会えたり、クライアント獲得につながったりする可能性が広がります。
またフリーランスWebディレクターとして独立する場合、勤めていた企業や培った人脈を通じて仕事が獲得できることもあります。Webディレクターとしてキャリアアップしていくためには、技術的なスキルだけでなく、周りから信頼されるような人間性を育てていきましょう。
Webディレクターにおすすめの資格
Webディレクターとしてキャリアを構築したい場合、資格取得を目指すのも1つの方法です。Webディレクターに資格は必須ではありませんが、専門知識を学びながら第三者にスキルを証明する手段として活用できます。
たとえばWeb検定の「Webディレクション試験」「Webリテラシー試験（Webアソシエイト）」などがあります。Webディレクション試験では、Web制作の工程管理・プロジェクト企画・集客施策立案などを学びます。Webリテラシー試験では、情報漏洩や著作権侵害などのミスを防ぐための知識を習得します。
資格の詳細は、以下の記事を参考にしてみてください。
Webディレクターに必要なスキルを高め、キャリアの選択肢を広げよう
Webディレクターのキャリアパスは、経験やスキルによってさまざまです。メンバーをまとめるマネジメント力や幅広いWeb知識を学ぶことで、Webディレクターとしてのキャリアが広がるでしょう。自分の得意なWebスキルを見つけることで、Webディレクターとしての具体的なキャリアがイメージできるようになるかもしれません。
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