近年、ビジネスシーンにおいてラテラルシンキングが注目されています。ラテラルシンキングという言葉を聞いたことはあっても、以下のような疑問を抱く方はいるのではないでしょうか。
「ラテラルシンキングとは何?」
「ラテラルシンキングのやり方は?」
そこで、本記事ではラテラルシンキングの概要やメリットを解説。また、ラテラルシンキングの進め方と鍛え方も紹介します。
最後までチェックすれば、ビジネスシーンでラテラルシンキングを活用できるようになるでしょう。
ラテラルシンキング(水平思考)とは?
ラテラルシンキングについて理解するため、以下の3点を見ていきましょう。
- ラテラルシンキングの意味
- ロジカルシンキング(論理的思考)との違い
- クリティカルシンキング(批判的思考)との違い
それぞれを詳しく説明します。
ラテラルシンキングの意味
ラテラルシンキングとは、問題を解決する際に固定観念や既存の考え方にとらわれず多角的な視点や自由な発想で考察する思考法のことです。「ラテラル(lateral)」が「側面の」「水平な」といった意味を持つことから、日本では「水平思考」とも呼ばれています。ラテラルシンキングをビジネスに取り入れると、革新を起こしたり新しいアイデアを生み出したりする効果が期待できます。
環境が急激に変化する現代で企業が優位性を保ち続けるためには、既存のビジネスを維持するだけではなく、新たな商品・サービスの開発や革新的なアイデアの創出が欠かせません。ラテラルシンキングのビジネスへの活用は、今後ますます重要になると考えられます。
ロジカルシンキング(論理的思考)との違い
ロジカルシンキング(論理的思考)とラテラルシンキングは混同されることもありますが、それぞれの意味は異なります。ロジカルシンキングとは、筋道を立てて物事を合理的かつ論理的に考えて結論を導き出す思考法です。情報収集や分析、仮説の検証などを通して課題や問題を深掘りし、基本的には1つの結論にたどり着きます。
一方で、ラテラルシンキングは前述の通りさまざまな視点や自由な発想で問題の解決を目指すため、導き出される答えは1つとは限りません。複数の解決策が生まれ、すべてが正解であることもあり得るでしょう。
ちなみに、以下の記事ではロジカルシンキングについて詳しく解説しているので、チェックしてみてください。
クリティカルシンキング(批判的思考)との違い
クリティカルシンキング(批判的思考)とラテラルシンキングも異なります。クリティカルシンキングとは、考え方や結論などを批判的にとらえて本質に迫る思考法です。批判的といっても物事を否定的にとらえて批判するわけではなく、「本当にそうなのか?」「前提自体に問題があるのではないか?」のように問いかけながら考察します。
物事を客観的に検証するときや、正確な結論を導き出したいときには、クリティカルシンキングが有効でしょう。それに対し、新しいアイデアや視点が必要なときにはラテラルシンキングが適しています。
クリティカルシンキングを詳しく知りたい方は、以下の記事に目を通してみてください。
ラテラルシンキングのメリット
ラテラルシンキングのメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 斬新なアイデアを出しやすい
- 結論や解決策を素早く導き出せる
- 問題解決の精度が上がる
各メリットを詳しく見ていきましょう。
斬新なアイデアを出しやすい
1つ目のメリットは、斬新なアイデアを出しやすくなることです。既成概念や固定観念にとらわれず自由な発想で物事を考えるため、論理的思考では導き出せないような斬新でユニークなアイデアが生まれやすくなります。
環境が目まぐるしく変化し将来を見通すのが難しい現代では、既存の考え方にとらわれず創造的かつ柔軟に物事を考える姿勢が大切だといえます。ラテラルシンキングで新しいアイデアを生み出せれば、変化に適応できて優位性を維持できるでしょう。
結論や解決策を素早く導き出すことができる
ラテラルシンキングには、結論や解決策を素早く導き出せるメリットもあります。ラテラルシンキングはロジカルシンキングとは異なりデータの収集と分析や過去の事例の検証などを必要としないため、短時間で結論に至ることも可能です。
ラテラルシンキングを活用すると、「解決策を考え出す→それが課題の解決につながるかどうか検証する→解決が難しい場合は次の解決策を試す」というサイクルを効率よく行えるでしょう。そのため、時間をかけずに結論に達する可能性は高まります。
問題解決の精度が上がる
問題解決の精度が上がるのも、ラテラルシンキングのメリットです。ラテラルシンキングでは多角的な視点や自由な考え方でアイデアを生み出すため、複数の解決策を導き出せるでしょう。すると、さまざまな方向から問題にアプローチできるので、課題を解決できる可能性は高まるといえます。
環境の変化が激しい昨今では、従来の常識や考え方では対応が難しいような問題に直面するケースもあります。そのとき、別の視点から考察したり革新的なアイデアを生み出したりできれば、問題を解決できるでしょう。
ラテラルシンキングの例
ここでは、ラテラルシンキングの例を紹介します。今回は以下3つの問題解決例を見てみましょう。
- 13個のオレンジを3人に公平に分ける方法
- 300グラムのマカロニの量り方
- アイスクリームのカップの回収問題
それぞれの例をチェックし、ラテラルシンキングの具体的なイメージを掴みましょう。
13個のオレンジを3人に公平に分ける方法
「13個のオレンジを3人の子どもに公平に分けるにはどうしたらよいか」という問題です。13は3で割り切れないため、一般的には「4個ずつ配り、残りの1個を3等分にする」という方法が考えられるでしょう。
しかし、ラテラルシンキングを活用すると、たとえば「オレンジジュースを作り、それを3等分する」「4個ずつ配って残りの1個は種を植え、実がなったら将来分配する」などのアイデアが生まれます。「目の前にある13個のオレンジをそのまま分ける」という前提にとらわれないことで、斬新な発想ができます。
300グラムのマカロニの量り方
「袋にマカロニが500グラム入っており、そのうち300グラムを料理に使用します。秤は1キログラムまで量れますが、皿が小さいためマカロニを100グラムまでしか乗せられません。どのようにすれば、マカロニを300グラムにできるでしょうか」という問題です。
この問題に対しては、「100グラムを3回量る」という方法が一般的でしょう。しかし、それでは少し手間がかかります。
ラテラルシンキングによる回答の例としては、「500グラムの袋をそのまま秤に乗せ、200グラムになるまでマカロニを取り出す」という方法が挙げられます。「使う分」ではなく「使わない分」に視点を移したことで、効率的な方法を生み出せたといえるでしょう。
アイスクリームのカップの回収問題
「あるアイスクリーム店は業績こそ好調でしたが、カップが返却されない問題を抱えていました。どうすればカップを回収できるでしょうか」という問題です。一般的な回答としては、「返却台を目立つ場所に置く」「アイスクリームを提供する際にカップの返却を念押しする」などが挙げられるでしょう。
一方で、ラテラルシンキングを活用すると、たとえば「カップも食べられるようにする」というアイデアが生まれます。「カップの回収方法」ではなく「カップを回収する必要をなくす」という発想に切り替えたことで、斬新な解決策が生まれたといえるでしょう。ちなみに、この問題がきっかけでアイスクリームのコーンが誕生したともいわれているようです。
ラテラルシンキングの進め方
ラテラルシンキングは、以下のステップで進めます。
- 現状の不満を洗い出す
- 不満の原因を探る
- 解決策の理想像を描く
- 理想の実現方法を見つける
各ステップをチェックして、ラテラルシンキングにチャレンジしてみてください。
1. 現状の不満を洗い出す
まずは、現状の不満を洗い出します。普段の仕事のなかで不便に感じることやストレス、抱えている課題などを書き出してみてください。すべて洗い出したら、ひと目でわかるようリスト化するのがおすすめです。
リストを作成して現状の不満を可視化することで解決すべき課題が明確になるうえ、「解決したい」というモチベーションも湧いてくるでしょう。
2. 不満の原因を探る
続いて、不満の原因を探ります。「何に対して不満を感じているのか」「どのような点が不便なのか」などに着目し、不満を抱く要因を深掘りしましょう。
原因を考える際は常識や従来の考え方に縛られず、多角的な視点で考察することが大切です。広い視野で物事をとらえることで、さまざまなアイデアが浮かんでくるでしょう。
3. 解決策の理想像を描く
不満の原因を探ったら、次のステップは解決策の理想像を描くことです。不満の解消につながりそうな策を考えましょう。答えが1つとは限らないため、できるだけ多くのアイデアを出すことが大切です。
なお、解決策を考える際は固定観念やこれまでのやり方にとらわれず、斬新なアイデアや実現が難しいと思われるような方法も候補に入れてみてください。さまざまな方向から課題にアプローチできれば、解決の可能性は高まるからです。
4. 理想の実現方法を見つける
解決策を洗い出したら、内容を精査して課題の解決が期待できそうな方法を選定します。解決策の実施方法を定め、実行しましょう。
課題の解決が難しいと思われる場合は、別の解決策を試してみてください。「策が課題の解決につながるかどうか検証する→解決が難しい場合は別の解決策を試す」を繰り返すことで、理想を実現させられるでしょう。
ラテラルシンキングの鍛え方
最後に、ラテラルシンキングの鍛え方を紹介します。以下の3つを意識すれば、ラテラルシンキングができるようになるでしょう。
- 問題を別の角度から捉える
- 遊び心を持つ
- 他の人と意見交換をする
それぞれの方法を詳しく説明します。
問題を別の角度から捉える
1つ目は、問題を別の角度から捉えることです。これまでと同じ見方で物事を考えるだけでは従来の思考法や固定観念などにとらわれてしまい、新しいアイデアは生まれないでしょう。普段とは異なる視点で問題を捉えることで、これまでの枠を超えた思考ができるようになるといえます。
たとえば、相手や第三者の視点に立って考えると視野が広がるうえ発想が柔軟になるため、斬新なアイデアが湧いてくるでしょう。また、「問題は本当にこれなのか?」のように前提を疑ってみると、新たな考え方が生まれるかもしれません。
遊び心を持つ
遊び心を持つことも、ラテラルシンキングを鍛えるにあたって必要です。ラテラルシンキングは常識や既成概念にとらわれない思考法なので、ときには遊び半分の気持ちで考えることも大切でしょう。
遊び心を持って問題を捉えると、真面目に取り組んでいては思いつかないような解決策やユニークなアイデアが生まれる可能性は高まります。遊び心を養うためには、常識を疑ったり周囲の評価を気にしないよう意識したりするとよいでしょう。
他の人と意見交換をする
ラテラルシンキングを鍛えるためには、他の人との意見交換も大切です。自分とは異なる考え方や価値観を持つ人の意見を聞くことで視野が広がったり新たな情報を得られたりするため、固定観念に縛られない思考ができるようになるといえます。
また、自分の意見に対してフィードバックをもらうのもおすすめです。別の視点からアイデアを評価してもらうことで相手や第三者の立場で物事を捉えるイメージを掴めれば、ラテラルシンキングを鍛えられるでしょう。
ラテラルシンキングとはどのような思考法か理解して、ビジネスに取り入れてみよう
ラテラルシンキングとは、課題の解決を目指す際に従来の考え方や固定観念にとらわれず多角的な視点や自由な発想で考察する思考法のことです。環境の変化が激しい現代ではこれまでの常識が通用しないケースもあるため、革新を起こしたり斬新なアイデアを生み出したりする効果が期待できるラテラルシンキングはこれからのビジネスシーンで重要だといえるでしょう。
ラテラルシンキングを身につけるには、「別の視点で物事を考える」「遊び心を持つ」などが有効です。本記事で紹介したラテラルシンキングの鍛え方や進め方、問題の解決例などをチェックして、ラテラルシンキングの習得を目指してみてください。
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