インクルージョンとは?ダイバーシティとの違いや導入事例を解説

インクルージョンとは?ダイバーシティとの違いや導入事例を解説
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ライター 美亜
専門学校卒業後、シンガーとして音楽活動を行う。その後、リラクゼーションサロンのセラピスト、IT・web系の人材紹介会社にてライター業、派遣にて経理事務を経験。現在はフリーライターとして、主にキャリア系・IT系の記事を執筆。
エディター Tomomaru
フリーランスWeb編集・コンテンツディレクター兼たまにライター。 略歴は、アパレル→事務職を経てWebデザインをスクールで学んだのち、SHElikesと出会いWeb制作会社でマーケOLしてみたり。結果、書くことが天職だと思い込み、副業ライター道を歩んでいる。次なる野望は絵描きになること。思い込むのは自由です。

近年、ビジネスにおいてダイバーシティ(多様性)とともに耳にすることが増えた「インクルージョン」。インクルージョンは、イノベーションの促進や人材定着に効果があり、時代の流れに適応しながら企業が成長していくために必要な考え方として注目されています。

今回は、インクルージョンの意味やダイバーシティとの違い、インクルージョン促進のメリットやポイント、企業の導入事例などをわかりやすく解説します。

インクルージョンとは?

インクルージョン(inclusion)は、日本語に訳すと「包括」「包含」「一体性」などを意味する言葉です。ビジネスにおけるインクルージョンとは、企業内の多様な人々が個性や価値観を認め合い、個々の能力を発揮し活躍できる状態を指します。

ダイバーシティとの違い

インクルージョンに似た言葉であるダイバーシティ(Diversity)は、直訳すると「多様性」を意味します。ビジネスにおいては、年齢や性別、国籍などの違うさまざまな属性の人材を、分け隔てなく受け入れられている状態のことを指します。

つまり、ダイバーシティは多様性を認めること、インクルージョンは多様性を活かすことというニュアンスの違いがあります。ダイバーシティはインクルージョンの前提条件とも言えるでしょう。

ダイバーシティ&インクルージョンとは

ダイバーシティ&インクルージョンとは、属性の違う個々が互いに認められ、活躍できる環境作りに重点を置いた取り組みのことを指します。

元々は、インクルージョンよりも前にダイバーシティを推進する動きが広まりました。しかし、ただ多様性を受け入れるだけでは個人の能力を発揮できず、生産性や従業員のモチベーションが上がりにくいという問題が発生しました。

そこで広まったのが、インクルージョンにダイバーシティをプラスした「ダイバーシティ&インクルージョン」という考えです。経済産業省が推進する「ダイバーシティ経営」*1も、ダイバーシティ&インクルージョンと同義と考えてよいでしょう。

インクルージョン推進のメリット

企業がインクルージョンを推進するメリットは、以下の4つです。

それぞれのメリットについて、解説します。

イノベーションの促進

インクルージョンの推進は、イノベーションの促進につながります。さまざまな知識やスキル、経験を持った人材が集まり、それぞれの意見や価値観を尊重することで、固定概念にとらわれずに新しい発想が生まれやすくなるためです。

特に、国籍や文化の異なる人材を新しく採用できれば、グローバルな視点で物事を考えることもでき、海外進出を目指すきっかけになるかもしれません。事業展開や競合他社との差別化も期待できるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上

従業員の個性が認められる環境であれば、一人ひとりが伸び伸びと働くことができ、エンゲージメントの向上も期待できます。ただし多様な人材を集めただけでは、どのように意見を出し、自身の持つ能力を活かせばいいのかわからなくなってしまうため、それぞれがストレスなく働ける環境を作ることが大切です。

従業員のエンゲージメントを高めることで、一人ひとりのモチベーションも上がるため、結果的に企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

企業成績の向上

イノベーションの促進やエンゲージメントの向上が実現することで、企業成績の向上も期待できます。事業の成長には、多角的な視野からの定期的な振り返りや新しい風を吹かせる優秀な人材の採用、変わりゆくニーズに対応する姿勢が欠かせません。インクルージョンの推進では、これらのメリットによる相乗効果で業績アップも目指せるでしょう。

また、多様性を認めている企業として企業のイメージアップも期待でき、消費者に好印象を与えることも見込めます。

離職率の改善

インクルージョンの推進は、離職率の改善にも役立ちます。従業員にとって個性や能力を発揮しやすい会社であれば、人材定着率の向上に自ずとつながりやすいでしょう。

従業員の定着には、「自分が必要とされている」という自己肯定感や安心感が重要です。従業員一人ひとりがやりがいを持って働くためには、さまざまな視点の意見が取り入れられるような環境作りが求められるでしょう。

さらに、離職率の改善だけでなく、一人ひとりが働きやすい会社として求職者からの関心を集めることも期待できます。

企業のインクルージョン導入事例

ここでは、インクルージョンの導入事例として、以下の3社を紹介します。

それぞれの事例について、具体的に見ていきましょう。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所は、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)を「イノベーションと成長の源泉」とし、誰もが貢献できる会社を目指しています。

取り組み例には、「ジェンダーバランスの実現」に向けて産休/育休前・復職支援セミナーの実施や保育所への入所支援、「文化的多様性」として新たな市場の開拓とグローバル推進、「世代の多様性」としてキャリア開発支援やトップから若手までが一堂に会するワークショップの実施などが挙げられます。

株式会社リクルートホールディングス

株式会社リクルートホールディングスは、「多様な従業員の価値創造への意欲を最大化すること」を経営の重要テーマとし、グループ全体でDEIの推進に取り組んでいます。

すべての求職者がより速く簡単に仕事に就ける社会の実現に向けて、移転手当の支給やキャリア開発の機会提供など、さまざまな観点から支援を行っています。また、サービスだけでなく、自社内でもセクシュアルマイノリティ(LGBTQ+)に向けた社内制度の整備や障がい者雇用の取り組みなどを実施しています。

株式会社ローソン

株式会社ローソンは、従業員の多様性を推進し、誰でもアイデアを声に出しチャレンジできる企業を目指しており、人事本部と連動してDEI推進担当役員を配置しています。女性の活躍推進に向けた宣言も行っており、女性の活躍が進んでいる企業として「えるぼし(2段階目)」も取得しています。

女性活躍推進に向けた具体的な取り組みとしては、女性社員選抜型リーダーシップ研修や女性社員キャリア開発研修、育児休職社員研修の実施が挙げられ、育児と仕事を両立するためのさまざまな支援制度も整備されています。

インクルージョン導入のポイント

インクルージョンの効果を最大限に発揮するためには、以下のポイントを押さえたうえで導入を検討することが大切です。

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

明確なビジョンを確立する

まずは、「インクルージョンを導入した先にどうなりたいのか」といった明確なビジョンを確立させましょう。ゴールを設定することで、どのような組織を構築すればよいのか、制度やルールの改定は何をしたらよいのかが明確になります。

また、ビジョンが定まることで、従業員全体の意思共有にもつながります。インクルージョンの効果を発揮するためには、経営陣だけでなく従業員の理解や意識改革が欠かせません。インクルージョンを導入する意味を社内に浸透させたうえで、推進していきましょう。

自社の現状を的確に把握する

インクルージョンの導入では、自社の現状や改善点を的確に把握することが大切です。多様な人材の採用を行っているか、従業員が個性を発揮できる環境を作れているかなど、インクルージョンの推進度を理解したうえで施策を考える必要があります。

社内アンケートや各部署とのミーティングなどを実施し、現場の状況を把握しながら施策の選定や見直し・改善を繰り返しましょう。インクルージョンの効果は数値で測りにくいため、定期的な振り返りもおすすめです。

インクルージョンとは、企業の発展を促す重要な考え方

多様性や個々人が尊重され活躍できるインクルージョンの実現は、外部環境の変化が著しい昨今において重要視されています。企業が社会に適応し発展していくためにも、インクルージョンの導入は有効な取り組みだと言えるでしょう。

また、企業の発展・成長を目指すには、インクルージョンを始め、起業や社内マネジメントに関する知識を身につけることも大切です。

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※参考
*1:経済産業省「ダイバーシティ経営の推進」より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。