フォローアップとは?意味や方法・タイミングをわかりやすく解説

フォローアップとは?意味や方法・タイミングをわかりやすく解説
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ライター 美亜
専門学校卒業後、シンガーとして音楽活動を行う。その後、リラクゼーションサロンのセラピスト、IT・web系の人材紹介会社にてライター業、派遣にて経理事務を経験。現在はフリーライターとして、主にキャリア系・IT系の記事を執筆。
エディター Tomomaru
フリーランスWeb編集・コンテンツディレクター兼たまにライター。 略歴は、アパレル→事務職を経てWebデザインをスクールで学んだのち、SHElikesと出会いWeb制作会社でマーケOLしてみたり。結果、書くことが天職だと思い込み、副業ライター道を歩んでいる。次なる野望は絵描きになること。思い込むのは自由です。

近年リモートワークが普及するなかで、若手人材の確保や定着という課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。そこで、従業員のスキル向上や離職防止に効果的な手法の一つが、「フォローアップ」です。

今回は、フォローアップの意味や重要となる理由、方法や注意すべきポイントについて、わかりやすく解説します。

フォローアップとは

ビジネスにおけるフォローアップとは、すでに習得している知識やスキルの強化・確認のために、定期的に行う振り返りのことを指します。人材育成に効果的な取り組みであり、計画性を持って実施することが大切です。

まずはフォローアップの詳しい意味と、類義語との違いについて見ていきましょう。

フォローアップの意味

「ビジネスにおけるフォローアップ」を前述しましたが、そもそもフォローアップはビジネスだけでなく、教育分野やスポーツ分野、医療現場などでもよく使われる言葉です。

辞書には「ある事柄を徹底させるために、あとあとまでよく面倒をみたり、追跡調査をしたりすること*1」と定義されており、基となった英語の「follow up」には、「再確認する」「追跡する」という意味があります。

たとえば、医療現場では「経過観察」と同じ意味を持ち、スポーツ分野では「チームメイトの攻撃をサポートする」という意味を持つなど、使う場面によっても解釈が多少異なります。

フォローアップとフォローの違い

フォローアップの類義語に、「フォロー」があります。フォローとは、他者の足りない部分やできないことを代わりに補うことです。たとえば、部下がミスをした時に上司が手を貸すのは、フォローと言います。

一方で、フォローアップは他者が特定のことをできるようになるまで支えていくことを意味します。代わりに補うのではなく、相手の成長を促す行為です。

つまり、短期的にカバーすることが「フォロー」、長期的に面倒を見続けるのが「フォローアップ」というようにイメージをすると区別しやすいでしょう。

ビジネスにおけるフォローアップ

ビジネスにおけるフォローアップは、主に以下の2つの分野で使われることが多いです。

ここでは、フォローアップとして具体的にどのようなことをしているのかをそれぞれ解説します。

マーケティングにおけるフォローアップ

マーケティングにおけるフォローアップは、企業が関係を持っている取引先や顧客に対して後日連絡を行うことを指します。たとえば、過去に取引や商談をした相手に状況確認の連絡をしたり、自社の商品やサービスを購入した顧客にアフターサービスの案内をしたりするのもフォローアップの一つです。

このように一度きりのやり取りで終わらせないことで、新規契約の獲得や顧客満足度の向上につながります。取引先や顧客と長く良好な関係を築くためにも、フォローアップは有効な手段と言えるでしょう。

人事におけるフォローアップ

人事におけるフォローアップは、主に研修や教育訓練を行った従業員に対して、後日研修内容の定着を図ることを指します。「フォローアップ研修」とも呼ばれ、新しく入社した従業員の研修に対して使われることが多いようです。

ただし、ステップアップしたタイミングなどで研修を行うケースもあり、必要であれば中堅社員に対してフォローアップを実施することもあります。

なお、次項からは人事におけるフォローアップについて解説します。

人事においてフォローアップが重要な理由

企業の人事分野においてフォローアップが重要な理由は、以下の2つです。

事業の存続や組織の発展を目指すにあたって、企業とマッチした人材の確保は欠かせません。そのため、フォローアップを通じて、従業員の定着率向上や優秀な人材育成を目指す必要があるのです。

それぞれの理由について、さらに詳しく解説します。

離職率の低下を図るため

フォローアップは、新入社員の離職率低下を図るのに有効な取り組みです。厚生労働省は、令和2年3月卒業の新規学卒就職者の離職率として、就職後3年以内に離職した人の割合は高卒就職者で37.0%、大卒就職者で32.3%*2と発表しました。

このように、早期離職者の割合は3〜4割と少なくないため、企業は採用した従業員をいかに定着させるかが課題になっています。

環境に慣れていない従業員に対してフォローアップを定期的に行うことは、「仕事内容についていけない」「人間関係がうまくいかない」という悩みの解決にもつながります。心身ともに安心して業務に臨める体制を作っておくことで、離職率の低下も期待できるでしょう。

従業員のスキルを向上させるため

フォローアップは、従業員のスキル向上にも役立ちます。研修や教育訓練を行ったとしても、誰もが一度でスキルを習得するのは難しいと言えるでしょう。スキルは何度も実践していくなかで身についていくものです。そのため、こまめにフォローアップを行うことで、知識やスキルの習得を促します。

また、定期的なフォローアップの実施は、適切なタイミングでの成長サポートにもつながります。状況に合わせて応用力や判断力も身につき、高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。

フォローアップの方法

実際にフォローアップを行う方法として、以下の3つが挙げられます。

それぞれの方法について、具体的に解説します。

人事担当との面談

人事担当者が従業員と面談を行い、仕事に対するヒアリングを行う方法です。仕事の悩みや不安、キャリアビジョンについてなど、本音を聞き出しながら現状を把握し、改善点や目標を考えます。

人事担当者と面談をするメリットは、普段直接やり取りがないため、業務で関わっている直属の上司や先輩には言いづらい本音も話しやすくなる点です。また、人事が現場の状況を把握することで、人事管理や労務、教育における改善点も見つけやすくなるでしょう。

上司との1on1

直属の上司と、1on1形式で面談を行う方法もおすすめです。一緒に働いている上司は、普段の業務内容や保有スキルを把握しているため、1on1を通して具体的なアドバイスや適切な目標設定が可能になります。またグループでなく1on1にすることで、従業員一人ひとりに向き合うことができ、信頼関係を深められるというメリットがあります。

従業員の変化を感じた際に実施したり、中長期的なキャリアビジョンや悩み事などをヒアリングしたりすることで、フォローアップの効果を高められるでしょう。

メンター制度の利用

メンター制度とは、先輩社員が個別に後輩社員のサポートをする方法です。一般的には異なる部署の先輩がメンターを担うため、部署内では打ち明けにくいような悩みも相談しやすくなります。

メンターを担う社員は上司よりも近い立場であるため、現場感を理解したうえで具体的なアドバイスができるのもメリットと言えるでしょう。また、後輩のフォローアップを行うことで、先輩としての自覚が芽生え、メンターになった先輩社員の成長も期待できます。

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効果的なフォローアップを行うための4つのポイント

フォローアップの効果を高めるためには、前述の方法をただ取り入れるだけでなく、注意すべきポイントを押さえたうえで実施することが大切です。ここでは、効果的なフォローアップを行うためのポイントとして、以下の4つを紹介します。

それぞれ見ていきましょう。

PDCAサイクルを回す

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返し、業務効率の改善を図るフレームワークです。PDCAサイクルに沿ってフォローアップを行うことで、従業員が成長を実感しやすくなるため、モチベーション向上にもつながるでしょう。

たとえば、「研修後に計画(P)を立て実行(D)し、フォローアップ面談で評価(C)を行い、改善(A)を進めていく」というような流れを、従業員が自ら取り組める仕組みを作ると効果的です。

話しやすい雰囲気を作る

フォローアップの対象者が話しやすい雰囲気を作ることも重要です。フォローアップは、対象者が本音や悩みを話したうえで課題解決に向かうため、緊張感や威圧感があるような話しにくい雰囲気では十分な効果を発揮できません。

研修や面談では本題の前にアイスブレイクを導入したり、上司やメンターは信頼関係を作れるように日頃からコミュニケーションを活性化させたりと、安心感を与えられるような工夫をすることが大切です。

適切なタイミングで行う

適切なタイミングでフォローアップを実施することも重要です。基本的には、研修や教育訓練の後に行うものと、日常的に上司やメンターと行うものとで、適切なタイミングが異なります。

研修や教育訓練後のフォローアップは、3ヵ月後に定着度の振り返りを行い、1年後に総合的な実績評価を行うのが一般的とされています。日常的なフォローアップは、対象者の希望や変化に合わせて柔軟に実施できる環境を作っておくのが理想でしょう。

視野を広げられる環境を作る

従業員が視野を広げられる環境を作ることも、自己成長の促進に役立ちます。たとえば、フォローアップの対象者同士で交流したり、お互いにフィードバックし合ったりできる場を設定すると効果的です。

同じ立場の人と意見を交わすことで、主体的な思考力・行動力が身についたり、新しい気付きを得たりできるでしょう。また、自分がインプットした内容をアウトプットする機会があれば、スキルや知識の定着にもつながります。

フォローアップとは、人材育成や離職防止に効果的な取り組み

ビジネスにおけるフォローアップは、企業の人事領域における課題解決に向けた効果的な取り組みの一つです。従業員一人ひとりと丁寧に向き合いながら継続的に行っていくことで、組織の成長や存続にも効果を発揮します。

また、フォローアップの効果を高めるためには、適切なタイミングや仕組みを理解し、従業員の成長につなげられるような環境を作ることが大切です。この記事を参考に、効果の高いフォローアップを実践し、人材育成に役立ててみてください。

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引用
*1:goo 辞書:「フォローアップ(follow-up) とは? 意味・読み方・使い方」より

参考
*2:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。