OJTとは?意味や目的、教育におけるメリットをわかりやすく解説

OJTとは?意味や目的、教育におけるメリットをわかりやすく解説
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ライター SanamiSasaki
フリーライター|新卒で金融業に従事し、出産後未経験で地元のメディアを運営する会社に転職。現在は推し活と育児を両立しながら、さまざまなWebメディアで執筆しています。

OJTとは社員育成の代表的な手法のひとつです。実際の仕事を通して知識や技術を身につけるため効率的な人材育成につながり、新人研修などで多くの企業で取り入れられています。

しかし、きちんと目的やメリットを理解していないとOJTの効果を得られない可能性もあるでしょう。そこで今回は、OJTとは何かわかりやすく解説します。成功させるポイントも紹介するので、取り入れる際の参考にしてみてください。

OJTとは?意味をわかりやすく解説

まずは、OJTの意味を分かりやすく解説していきます。OJTと同じように教育の場で使われるOFF-JTとの違いについてもチェックしていきましょう。

OJTの意味は?

OJTとは、「On the Job Training(オンザジョブトレーニング)」を略した言葉で、職場内訓練を意味します。教育担当の上司や先輩社員が指導役となり、マンツーマンで指導を受けるのが一般的な方法です。マニュアルを読んだり講義を受けたりするだけではなかなか身につかない知識を、実践を通して身につけていきます。

OJTのはじまりは、第一次世界大戦のアメリカでたくさんの軍人をまとめて指導するために生まれた「4段階職業指導法」。高度経済成長期に日本に入ってきて、社員研修の基本的な手法としてOJTが定着しました。「やってみせる(Show)」→「説明する(Tell)」→「やらせてみる(Do)」→「確認(Check)」という4段階の指導を基本として、即戦力の人材を育成します。

OFF-JTとの違いは?

OJTと同じく人材育成手法のひとつに、OFF-JTがあります。OFF-JTは、「OFF the Job Training(オフザジョブトレーニング)」の略で、職場外訓練を意味します。基本的には複数人の社員を一堂に集めた座学形式で、集合研修や講習会、セミナーなどにより学びます。最近はe-ラーニングといったオンライン講座になるケースもあるでしょう。OFF-JTでトレーナーを担うのは、外部講師や人材育成担当者になることがほとんどです。

OFF-JTは体系的な知識を身につけるのに役立ちますが、すぐにアウトプットできません。それに対してOJTは、インプットしたあとにすぐアウトプットできる点が大きな違いです。

OJTの目的

OJTを活用する目的には、以下の3点が挙げられます。

  • 業務効率の向上
  • 新入社員の不安解消
  • 新入社員の職場定着率の向上

OJTの効果を高めるには、これらの目的を理解したうえで指導に当たることが大切です。それぞれ確認していきましょう。

業務効率の向上

OJTによる人材育成の目的の1つは、業務効率の向上です。学んだことが業務に直結するので、OFF-JTと比べてスキルの定着率が高まります。マンツーマン指導により先輩社員の効率的な業務の進め方や考え方が理解しやすく、即戦力となる人材が育ちやすいでしょう。指導する側にとっても業務を改めて学ぶきっかけになるうえ、人材育成方法や組織運営について学ぶ機会になるかもしれません。結果として組織全体の生産性を高めることにもつながります。

必要な知識やスキルがOJTにより引き継がれていくのが当たり前の環境になれば、組織の発展にも直結します。

新入社員の不安解消

OJTによる人材育成は、新入社員の不安解消にも役立ちます。新入社員は新しい人間関係に慣れない仕事と、さまざまな不安を抱えているでしょう。不安を解消して働きやすい環境をつくるためにも、OJTは効果的です。

OJTは先輩社員とのマンツーマン指導となるため、コミュニケーションを取りやすい状態を作ることができます。先輩社員との実務段階からスタートするため、仕事での些細な不安や疑問も解消しやすくなるでしょう。先輩社員との交流をきっかけにほかの社員と交流するようになれば、会社になじみやすくなるかもしれません。

新入社員の職場定着率の向上

新入社員の職場定着率の向上にもOJTが役立ちます。OJTは1人に向き合って指導するため、強みや弱みを把握したうえで丁寧にサポートできるのが特徴です。適切な指導により戦力として働けるようになれば自信にもつながり、仕事へのモチベーションを維持しやすくなります。

コミュニケーションが取りやすい環境により新入社員が孤立しにくくなれば、精神的な安心感を与えることもできるでしょう。早期離職の防止にもつながるかもしれません。

OJTを実施するメリット

OJTを実施するメリットは以下の通りです。

  • 新入社員の個性や成長度に合わせて指導できる
  • 指導しながらすぐにフィードバックできる
  • 上司や先輩とのコミュニケーションにつながる
  • 教える側のスキルアップにもつながる

それぞれ確認していきましょう。

新入社員の個性や成長度に合わせて指導できる

マンツーマン指導を行うOJTは、新入社員の個性や成長度に応じたきめ細かなサポートができるメリットがあります。OFF-JTの場合、個別に研修プログラムを用意することはできません。OJTなら個性や成長度に合わせて調整できるため、成長も早いでしょう。

得意・不得意は人により異なり、さまざまなタイプの新入社員がいるでしょう。できると判断すれば時間をかけず、反対に苦手なことを重点的に教えるなど、タイプに合わせて指導することで、無理なく着実に成長を促すことができます。

指導しながらすぐにフィードバックできる

業務を通して指導を受けるOJTの場合、教えている場ですぐにフィードバックできるというメリットもあります。実践の様子を目の前でチェックできるので、気になるところをすぐに伝えて知識の定着を図ることができるでしょう。

指導を受ける側としても、すぐにフィードバックがもらえないとどこが間違っていたのか分かりにくくなることもあるでしょう。リアルタイムでフィードバックがもらえることは、早期理解の助けになります。

上司や先輩とのコミュニケーションにつながる

良好な関係を築くことは、安心して働くために欠かせないポイントです。マンツーマン指導の場合は、不明点があればその場で質問でき、自然と会話する場面も多くなります。OJTが終わったあともコミュニケーションが取りやすくなり、良好な関係が築きやすくなるでしょう。

会社やチームとしてOJTに取り組めば、全体のコミュニケーションを活性化させることにもつながります。さらに、教える側も上司に相談するなどして、従業員同士のコミュニケーションが活性化するきっかけになるかもしれません。

教える側のスキルアップにもつながる

OJTで成長するのは新入社員だけではありません。マンツーマン指導を行う側のスキルアップの機会にもなる点も、大きなメリットです。

指導するためにはこれまでの経験とノウハウを言語化する必要があります。どう説明すればきちんと理解してもらえるか試行錯誤することで、指導者としてスキルアップできるでしょう。普段何気なく行っている業務も、教えることで改めて理解が深まります。業務にまつわるスキルはもちろん、マネジメントやコミュニケーションといったスキルの向上にもつながるでしょう。

OJTを成功させるポイント

「OJTで人材育成したものの、うまくいかなかった……」というケースもあるでしょう。OJTによる人材育成を成功させるためには、以下の点を押さえる必要があります。

  • OJTの目標を社内全体で共有する
  • 事前に全体計画を立てて、実行する
  • 一度ではなく、反復して指導する
  • 企業全体でOJTをサポートする

詳しく解説していきます。

OJTの目標を社内全体で共有する

新人育成は企業の成長にも欠かせない課題のひとつです。OJTの担当者だけのミッションにせず、会社全体でサポートしていく必要があるでしょう。何のためにOJTを行うのか、OJTによる目標は何なのかを社内全体で共有して、バックアップする体制を整えておくことが大切です。会社全体でOJTのノウハウを蓄積していけば、人材育成も効率化でき組織力も高まるでしょう。

事前に全体計画を立てて、実行する

効率的にOJTを進めるためには、まず全体計画を立てて実行することが大切です。まずは、半年~1年経ったときの理想の姿を明確にします。目標から逆算して、必要な研修や期間を検討していきましょう。企画書を3回以上作成する、契約を10件取る、電話対応できるようになるなど、達成基準を設定しておくのがおすすめです。

関わり方や指導方法、仕組みなど、細かく計画しておくと実行もしやすくなります。全体計画があれば進捗状況が確認しやすくなり、OJT担当者の評価もしやすいでしょう。計画通りに進んでいないならフォローするなどして、都度調整していくのが理想的な進め方です。

一度ではなく、反復して指導する

OJTは一度だけでは定着せず、ある程度時間がかかります。業務は必ず複数回携わり、繰り返し学べる状態をつくりましょう。反復して指導することが、スキルの定着や向上につながるポイントです。OJTの学習サイクルは、以下のような流れで進めていきます。

  1. 実際の現場で仕事を経験する
  2. 経験を振り返る
  3. 学びや教訓を得る
  4. 次の仕事で試す

新入社員は経験が少ない分視野も狭くなりがちで、意図したような振り返りができない可能性もあるでしょう。OJT指導者が問いかけて考える機会を与えることで、学びや教訓が得られやすくなります。指導内容には段階を設けて、ひとつずつレベルアップしていけるように促すことも大切です。

企業全体でOJTをサポートする

OJTの質を高めるためには、OJTの指導担当者に任せきりにするのではなく、会社全体でバックアップしていく必要があります。たとえば、OJT担当者に向けた研修を行い指導者としてのスキルアップができると、安心して指導に当たれるかもしれません。OJT指導担当者同士が情報共有できる場があると、OJTがスムーズに進みやすくなるでしょう。人材育成の制度をつくるなどして、会社全体で人材育成をサポートすることが、OJTを成功させる秘訣です。

OJTを有効活用して人材育成に役立てよう

OJTとは、実際の仕事を通してスキルや知識を身につけていく研修方法のことです。先輩社員からのマンツーマン指導によりスキルを早く習得しやすいほか、コミュニケーションが円滑になり職場に慣れやすいなどのメリットもあります。ただし、OJTの効果を最大限に発揮するためには、ポイントを押さえた運用を行う必要があるでしょう。

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