イラストレーターの仕事は、クライアントの要望に応じてイラストを制作することです。Webや出版、広告など幅広い分野で求められており、特に「描くこと」が好きな人に人気があります。
とはいえ、「イラストレーターになるには資格が必要?」「スキルってどうやって磨くの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、イラストレーターに資格は本当に必要なのかを解説するとともに、おすすめの資格や取得するメリット、効果的な勉強法などを詳しく紹介します。将来イラストを仕事にしたい方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもイラストレーターとは?

イラストレーターとは、クライアントの依頼に応じてイラストを制作・納品する職種のことです。単に好きなように「絵を描く」のではなく、相手の要望をくみ取り、それをビジュアルとして形にする力が求められます。描いたイラストは、以下のような媒体で使用されます。
- 商品パッケージ
- ポスター
- LINEやSNSのスタンプ
- Webサイトや雑誌の挿絵
自分の作品が身近な場所で目に触れ、多くの人の記憶に残ることもあるため、やりがいを感じやすい職業です。興味のある方は以下の記事でより詳しい仕事内容を把握し、将来的な働き方をイメージしてみましょう。

イラストレーターに資格はいらない?
イラストレーターになるために、特別な資格は必要ありません。イラストレーターの求人においても、関連資格の保有が必須条件となっているケースはほとんどないのが現状です。
ただし、実際にイラストレーターとして活動していくためには、イラストを描くスキルや色彩の知識、デジタルソフトのスキルなど、さまざまな実践スキルが求められます。
イラストレーターの仕事に関連する資格を取得すれば、イラストレーターに必要な知識やスキルを身につけられます。資格取得を目指すことは、イラストレーターとしてのスキルアップのために有効な方法といえるでしょう。
イラストレーターが資格を取得するメリット
イラストレーターとして活動する際に資格は必須ではありません。しかし、資格取得すると以下のようなメリットを感じられます。
それぞれ詳しく解説します。
スキルの証明になる
イラストレーターの仕事は実力勝負の面が強く、実績が少ないうちは自分のスキルをうまく伝えづらいこともあります。そんなとき資格があれば、一定の技術や知識があることを第三者に示せるでしょう。
とくに未経験者や独学でイラストレーターを目指す人にとっては、依頼主に信頼感や安心感を与える有効な手段となり得ます。
収入アップ・キャリアアップにつながる
資格は実力や信頼性の裏付けとして評価されやすく、仕事の幅を広げるきっかけになります。たとえば、より専門性の高い仕事を任されたり、ポジションの幅が広がったりするなど、資格を通じてキャリアアップのチャンスが広がることも。
また、クライアントに提案する際にも説得力が増し、報酬アップにつながる可能性もあるでしょう。将来的により高単価な仕事を目指すなら、資格取得をひとつの手段として検討してみてください。
就職・転職活動で有利になることも
イラストレーターの仕事内容に関連する資格を保有していれば、専門知識とスキルがあることを証明できるため、企業や採用担当者に評価されやすくなります。また、資格取得に取り組む姿勢そのものが「意欲のある人材」として好印象につながるケースも。
数は少ないものの、応募条件に必須資格が明記されている求人も存在するため、資格取得は選択肢を広げたい人にとっては大きな武器になるでしょう。将来のキャリアに備え、資格の取得を検討する価値は十分にあるといえます。
イラストレーターにおすすめの資格試験・検定6選
イラストレーターにおすすめの資格試験・検定は、次の6つです。
それぞれの概要を紹介していきます。
1. Illustratorクリエイター能力認定試験
Illustratorクリエイター能力認定試験は、Adobe社が提供するイラスト制作に特化したソフトウェア「Illustrator」の活用能力を評価するものです。検定試験を通して、Illustratorの操作スキルや問題解決力などが習得できます。
試験は、指示に沿ってグラフィックコンテンツを時間内に完成させるなど、実践的な課題がメインです。ツールの操作スキルが重視される構成が特徴で、イラストレーターとして実務に必要な技術を身につけたい方におすすめの資格試験といえます。
主催団体 | 株式会社サーティファイ ソフトウェア活用能力認定委員会 |
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受験方法 | IBT方式 |
受験費用 | スタンダード:7,600円 エキスパート:8,600円 |
合格率 | 70.2%(2023年度平均合格率) |

2. Photoshopクリエイター能力認定試験
Photoshopクリエイター能力認定試験では、Adobe社が提供する画像制作ソフトウェアの「Photoshop」の操作スキルや表現力が問われます。試験は指定された条件に沿って画像を編集・合成し、ひとつの作品を完成させる課題に取り組む、実技中心の内容です。
スタンダードとエキスパートの2つのレベルがあり、上位級では知識問題も出題されてよりハイレベルになります。イラストを商用目的で扱う際に必要なデータ処理能力や仕上げの技術を示せるため、案件や制作現場での信頼につながるでしょう。
主催団体 | 株式会社サーティファイ ソフトウェア活用能力認定委員会 |
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受験方法 | IBT方式 |
受験費用 | スタンダード:7,800円 エキスパート:8,800円 |
合格率 | 65.0%(2023年度平均合格率) |
3. アドビ認定プロフェッショナル
アドビ認定プロフェッショナルは、「Illustrator」「Photoshop」「Premiere Pro」など、Adobe社の主要ソフトに関する基本スキルを証明できる資格試験です。各アプリケーションごとに試験科目が分かれており、実際のソフトを操作しながら課題に取り組む実技形式で行われます。ツールの操作スキルはもちろん、イラスト制作や画像編集に関する基礎知識も問われるのが特徴です。
Adobe製品は、ツール同士を連携させて使える点が大きな強みといえます。たとえば、Photoshopで編集した画像をIllustratorで配置してポスターを作るなど、複数ツールをまたぐ制作が求められることも少なくありません。この資格を取得しておけば、実務で生かせるスキルの幅広さをアピールできる材料になるでしょう。
主催団体 | 株式会社 オデッセイコミュニケーションズ |
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受験方法 | CBT方式 |
受験費用 | ・2025年4月30日までの受験 (一般価格)10,780円 (学割価格) 8,580円 ・2025年5月1日以降の受験 |
合格率 | 非公開 |

4. 色彩検定
色彩検定は、色に関する知識を体系的に学べる試験です。色の基礎理論から配色の技法、業種ごとの色の活用法まで幅広く学べます。レベルは初心者向けの3級から、実務で生かせる2級、専門性の高い1級まで段階的に分かれており、自分のスキルに合わせて受験できる点も魅力です。
また、2018年にはユニバーサルデザインに特化した「UC級」も新設され、福祉や公共分野に携わる方にも注目されています。文部科学省後援の公的資格であるため信頼性も高く、ファッションやインテリア、グラフィックなど多様な業界で活用されています。色使いの説得力を高めたいイラストレーター志望の人にも、有利に働く場面があるでしょう。
主催団体 | 公益社団法人 色彩検定協会 |
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受験方法 | PBT方式によるマークシート (一部記述方・実技を含む級あり) |
受験費用 | 3級:7,000円 2級:10,000円 1級:15,000円 UC級:6,000円 |
合格率 | 3級:74.7% 2級:69.1% 1級:41.8% UC級:78.7% |
5. CGクリエイター検定
CGクリエイター検定は、映画・アニメ・ゲームといった映像コンテンツの制作に欠かせない、CG(コンピュータグラフィックス)に関する知識を問う試験です。CG理論や映像表現の技術、ソフトウェアの活用方法など、実践に直結する幅広いスキルが試されます。
検定のレベルは、基本的な知識理解を測る「ベーシック」と、専門的な知識を応用する力が求められる「エキスパート」の2種類。試験内容は、2D・3Dのデザイン手法や、CG制作のワークフロー、映像編集の基礎など多岐にわたります。イラストレーターが映像分野や立体的な表現に挑戦したいときのステップアップ資格としても、有用性の高い検定です。
主催団体 | 公益社団法人 画像情報教育振興協会 |
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受験方法 | PBT方式によるマークシート |
受験費用 | ベーシック:5,600円 エキスパート:6,700円 |
合格率 | ベーシック:70.9% エキスパート:26.0% |

6. カラーコーディネーター検定試験
カラーコーディネーター検定試験は、色の持つ効果や意味を理解し、ビジネスやデザインに生かすための実践的な色彩知識を学べる資格です。「この色を使うとどんな印象を与えるか」といった視覚的な心理効果や、場面に応じた色選びの理論などを体系的に身につけられます。
レベルは基本的な色彩理論を学ぶ「スタンダードクラス」と、実際のビジネスシーンで色をどう使うかまで踏み込む「アドバンスクラス」の2段階。検定に合格すれば、単なるセンスだけではなく、理論に基づいた色選びができることを証明できるでしょう。
主催団体 | 東京商工会議所 |
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受験方法 | IBT方式またはCBT方式(選択可能) |
受験費用 | スタンダードクラス:5,500円 アドバンスクラス:7,700円 |
合格率 | スタンダードクラス:45.5% アドバンスクラス:73.0% |
イラストレーターに役立つ資格取得のための勉強法
イラストレーターに役立つ資格は、独学でも取得を目指せます。おすすめの勉強方法は次の3つです。
それぞれ順番に解説します。
書籍を活用する
独学で資格取得を目指すなら、市販の参考書や公式テキストを使った学習が効果的です。イラストレーター関連の資格の多くは公式テキストや問題集が用意されているので、出題範囲を体系的に押さえられます。
ただし、ソフトウェア系の資格を受験する際は、実践力が不可欠です。参考書を読みながら実際にツールを操作する、問題集を活用してアウトプットを繰り返すなど、知識と実践力の両方を養うようにしましょう。まずは自分のレベルに合った書籍を選び、インプットとアウトプットをバランスよく進めることをおすすめします。
学習サイトや単発セミナーを活用する
効率良く学習を進めたいなら、学習サイトやセミナーを活用するのも有効です。たとえば、Adobe社の公式チュートリアルサイトでは、IllustratorやPhotoshopの操作を学べる動画が多数公開されており、初心者でも取り組みやすい内容になっています。1本あたり5〜15分程度で視覚的に学べるので、隙間時間の活用にもぴったりです。
また、資格によっては公式サイトでサンプル問題を公開していることも。本番の出題傾向をつかむためにも、事前に確認しておくとよいでしょう。
スクールに通う
イラストを体系的に学びたいなら、スクールに通うのもおすすめです。独学で見落としがちな基礎をカバーしたり、講師による添削やアドバイスを受けたりしながら短期間で実力を伸ばせる点が魅力といえます。
さらに、仲間と切磋琢磨できる環境ならモチベーションを高めやすいでしょう。たとえば、オンラインキャリアスクールSHElikes(シーライクス)はコミュニティが充実しており、さらにイラストレーターに必要なスキルを含む全45以上の職種スキルが学べます。Webデザインやプログラミングなど、掛け合わせのスキルを効率的に習得できる点も魅力です。

イラストレーターに関するよくある質問
最後に、イラストレーターに関するよくある質問をまとめました。疑問点の解消にお役立てください。
イラストレーターに向いている人の特徴は?
以下のような特徴を持つ人は、イラストレーターとしての素質を備えているといえるでしょう。ひとつでも当てはまるなら、その強みを生かして挑戦してみる価値があります。
- イラスト作成を楽しめる人
- 依頼に応じて柔軟に対応できる人
- オリジナルイラストが描ける人
イラストレーターに必要なスキルは?
イラストレーターとして仕事を続けていくためには、絵を描くスキルだけでなく、実務に必要なスキルも欠かせません。とくに重要なのが以下の2つです。
- 専門ソフトの使用スキル
- コミュニケーション能力
イラストレーターの仕事は、依頼主からのオーダーに応えて作品を仕上げるのが基本です。クライアントの意図を正確に理解し、必要に応じてこちらから提案もできると、より質の高い作品をアウトプットできるでしょう。

イラストレーターの年収はどのくらい?
厚生労働省の調べによると、イラストレーターの平均年収は521.2万円です*1。ただし、働き方によって幅がある点は注意が必要でしょう。
たとえば、副業やフリーランスとして仕事を受注する際は、実績や受注数により単価が異なります。スキルや経験が豊富で人気のあるイラストレーターであればイラスト1枚につき「5万円」や「10万円」といった報酬で仕事を受けられることもあるようです。

イラストレーターの仕事に将来性はある?
イラストレーターは書籍・広告・Webなど多様な分野でニーズがあり、活躍の場は広がり続けています。近年では、動画やSNS向けのビジュアル制作など、新たな需要も生まれており、将来性はあるといえるでしょう。
一方で競争が激しい職種でもあり、技術力に加えて提案力や独創性も必要です。また、AIの進化によって市場環境は変化しているため、独自性や表現力を磨き続けることが、将来も選ばれ続けるためのカギとなります。
イラストレーターに役立つ資格を取得して、スキルアップを目指そう
イラストレーターとしてスキルアップを目指すなら、資格取得は有効な手段のひとつです。とはいえ、資格を取れば必ず仕事がもらえるとは限りません。活躍の場を広げるには、実践力や提案力など「仕事に直結するスキル」もあわせて身につける必要があります。
イラストレーターとして活躍するためのスキルを効率的に身につけたいなら、オンラインスクールの活用がおすすめです。
たとえば、オンラインキャリアスクールSHElikesなら、IllustratorやPhotoshopの使い方が学べるほか、案件に挑戦できる機会があるなど、実践を通してスキルアップできる環境が整っています。興味がある方は、一度無料体験レッスンに参加してみてはいかがでしょうか。


※出典
*1:職業情報提供サイト Jobtag|「イラストレーター」より