基本情報技術者試験は、デジタル人材に求められるスキルを習得するための国家試験であり、「デジタル人材の登竜門」です。合格は基本的なIT知識・技術を有することの証明となり、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせる重要なステップとなります。そんな人気IT資格の基本情報技術者試験には「難しすぎる」との声も聞かれますが、実際の合格率はどの程度なのでしょうか。
この記事では、基本情報技術者試験の合格率や難易度、勉強のポイントについて解説します。
基本情報技術者試験の難易度
基本情報技術者試験は、経済産業省が行う情報処理技術者試験の中でもスタートラインとされています。*1 とはいえ、実際には「難しい」との声が多く聞かれることも事実です。ここでは基本情報技術者試験が難しいとされる理由について詳しく解説します。
基本情報技術者試験が難しい理由
基本情報技術者試験が難しい理由は複数あります。まず、IT業界未経験者が基本情報技術者試験に合格するには約200時間の学習時間が必要とされており、社会人がそれだけの時間を確保するのは難しいからという理由が挙げられます。また、アルゴリズムやプログラミングの初心者にとって難解な内容も含まれており、これらの理解にも苦労するでしょう。単純に学習範囲が広いことも、受験者にとっては負担になります。これらの要因が合わさり、難易度が高いと感じる方が多いと考えられます。
ITパスポート試験との難易度の比較
ITパスポート試験は広く一般の方を対象としており、難易度は比較的低めに設定されています。それに対して基本情報技術者試験は情報技術者を対象としているため、アルゴリズムやプログラミングといった専門的な知識が問われるなど難易度が高いです。また、試験時間もトータルで190分あり、問題への理解や相応の知識が求められます。これらのことから、基本情報技術者試験はITパスポート試験よりも難易度が高く、合格するためには入念な対策が必要です。
基本情報技術者試験の合格率
基本情報技術者試験の最新の合格率は、従来の試験方式では20〜30%程度で、新制度が導入された2020年秋期以降は40〜50%前後で推移しています。*2
情報処理技術者試験の中でも最も簡単なITパスポート試験の合格率は50%前後であり、比較すると基本情報技術者試験の難易度の高さがうかがえます。*3 合格を目指す方は、難易度の変動にも注意しながらしっかり対策を対策を講じましょう。
基本情報技術者試験の合格基準点は?
基本情報技術者試験の合格率は、科目A試験と科目B試験で異なります。どちらも合格ラインは100点満点中60点以上で、科目A試験は80問中48問以上正解しなければなりません。テクノロジ系分野は出題数が多いため重要ですが、一つの分野に偏らず幅広い学習が肝心です。
科目B試験では1問あたりの配点が大きく、ミスが響くため慎重に対策を練る必要があります。また、科目A試験はITパスポート合格者にとって比較的対策が容易ですが、科目B試験は読解能力が必要になり、やや難易度が高まります。合格ラインをクリアするために、得意分野に頼らず幅広い知識を習得するようにしましょう。
基本情報技術者試験の受験者数の推移と合格者の年齢の傾向
基本情報技術者試験の受験者数と合格者の年齢の傾向について紹介します。通常、年間の受験者数は10万人を超えていますが、2020〜2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響で10万人を下回りました。その後、新制度導入直後は再び10万人を超えましたが、以降は徐々に減少しています。
2023年春期の合格者の平均年齢は25.1歳で、大半が22〜25歳に入ります。*4 学生や業務経験の浅い社会人でも合格できる試験と言えるでしょう。さらに、最年少合格者は8歳、最高齢合格者は87歳と幅広い年齢層が合格しており、年齢に関係なく挑戦できる試験であることがわかります。*5
基本情報技術者試験を勉強する際のポイント
基本情報技術者試験の勉強法は科目A試験と科目B試験で異なり、効率的な勉強が合格の鍵です。ここでは、具体的な基本情報技術者試験の勉強をする際のポイントをご紹介します。
幅広い知識を習得する
科目A試験では幅広いIT知識が求められますが、難易度はそこまで高くありません。テキストや参考書をしっかり読み込んで、基礎知識を定着させることが大切です。科目B試験では、「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム」が中心となります。基礎知識だけでなく、応用力も問われます。同時進行で両科目に取り組み、知識の習得とアウトプットを繰り返しましょう。
苦手分野を克服する
基本情報技術者試験の合格を目指す上で重要なポイントは、苦手分野を克服することです。科目A試験では特に、ITに関する幅広い基礎知識が求められます。苦手分野に足を引っ張られないよう、過去問を通して何度も学習しましょう。多くの方が苦手意識を抱く最大の難関は、科目B試験の「アルゴリズム」です。科目A試験で出題されるアルゴリズムの問題を根気強く学習し、演習を行いましょう。苦手分野を克服することで、安定して合格ラインをクリアできる可能性が高まります。
アウトプットを繰り返す
基本情報技術者試験では多くの専門用語や概念を暗記する必要がありますが、単なる暗記だけでなく、アウトプットを繰り返して理解を深めることが大切です。習得した知識を誰かに説明したり、演習問題を解いたりなどアウトプットすることで、学習内容が脳に定着しやすくなります。また科目A試験で出題される計算問題は、計算式を暗記するだけでは足らず、その背後にある意味やスキルが使われる状況の理解が求められます。問題を解く際には、様々な知識を複合的に活用することを心がけましょう。
基本情報技術者試験と似たおすすめの資格
基本情報技術者試験に加えておすすめの資格として、ネットワークに特化した「CCNA」や、IT分野でのキャリアを強化できる「応用情報技術者試験」が挙げられます。
CCNA
CCNA(Cisco Certified Network Associate)はシスコシステムズが主催する認定試験で、ネットワークに関する知識やシスコ製品の取り扱い方など、実用的なスキルの有無を問うものです。CCNAを有することは基礎的なネットワーク知識を習得していることの証明となり、転職や就職時に有利になります。ネットワーク未経験者でも1ヶ月ほどの学習で合格可能で、基本情報技術者試験では学べないネットワークエンジニア向けのスキルを習得できます。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は情報処理技術者試験の一つで、高度IT人材を養成するための国家試験です。基本情報技術者試験合格者が次に目指す区分として知られ、合格率は約20〜25%であり、難易度は高いと言えます。*6 応用的な知識・技能を身につけ、高度なIT人材としてキャリアを築きたい方に向いています。
基本情報技術者試験に合格してキャリアアップを目指そう
この記事では、基本情報技術者試験の難易度や合格率、合格基準点を解説し、効率的に学習するためのポイントをご紹介しました。
基本情報技術者試験は、ITエンジニアに不可欠な基礎的な知識を問うものです。習得した知識は就職だけでなく実務においても大いに役立つでしょう。その分出題範囲が広く、合格するためには十分な勉強時間を確保し、苦手分野の対策を講じる必要があります。IT未経験者は、ITパスポート試験を経て受験を検討するのもおすすめです。
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※参考
*1:情報処理技術者試験の現状と課題 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
*2:統計情報|基本情報技術者試験.com
*3:ITパスポートの合格率 その他統計情報|ITパスポート試験.com
*4:統計情報(基本情報技術者試験)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
*5:プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験に8歳の小学3年生が合格|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
*6:統計情報(応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構