ITパスポートとは?試験内容や合格するメリットを簡単に解説!

ITパスポートとは?試験内容や合格するメリットを簡単に解説!
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ライター あゆ
カナダ拠点のフリーランスライター。23歳で初海外・留学を経験。帰国後にWeb広告代理店に転職、SNS広告の記事・クリエイティブ作成、運用を担当。その後、再度カナダに渡航し現地で美容部員として働く。その後、SHEに出会い現在ライターを務める。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

テクノロジーの進化が著しい現代で、ITは人々にとって身近な存在といえます。ビジネスパーソンは、仕事でITスキルを問われる機会も多いでしょう。

近年注目されている「ITパスポート(iパス)」は、ITの基礎知識を証明するための国家資格です。IT関連の資格ではありますが、職種に関係なく全ての社会人がIT知識を向上させるために役立ちます。

本記事では、「ITパスポート」の試験内容や合格するメリットを解説します。キャリアやビジネスで活かせる資格を探している方は、参考にしてみてください。

ITパスポートとはITの基礎知識があることを証明できる国家資格

ITパスポート試験は別名「iパス」とも呼ばれ、その名の通り「IT化社会で活躍するためのパスポート」のような位置付けです*1学生・社会人問わず、現代社会で求められるIT知識の向上を目的としています。令和4年度の年間応募者数は253,159人*2と過去最高を記録し、IT系に限らずさまざまな業種に携わる人々が受験しています。

ここからは、ITパスポートの試験区分について解説します。

ITパスポートの試験区分

ITパスポートは、12区分ある情報処理技術者試験の中の1つです。IPAによると、「ITを利活用する全ての社会人に向けた共通的知識」を証明する資格として区分しています*3簡潔にまとめると「ITを活用するための基礎知識」を問うための試験といえるでしょう。

ITスキルの基本となる「経営・システム・セキュリティ・データベース」に関する知識が問われるので、エンジニアなどIT専門職の方にとっては既知の内容もあるかもしれません。一方で、IT専門職を目指すなら基礎理解のために取得しておくとよい資格ともいえるでしょう。ITパスポートをファーストステップに、一定の知識をつけてから専門的なITの資格取得に取り組むこともできます。

ITストラテジスト試験との違い

ITパスポートと同じく、情報処理技術者試験の1つに「ITストラテジスト試験」があります。ITの全般知識を広く学ぶITパスポートに比べて、ITストラテジストは、ITを活用した戦略策定や推薦の知識を問われる資格です。ITコンサルタントやCIO(最高情報責任者)など、ITマネジメント力が求められるポジションで活かせる内容が組み込まれています。

つまり、ITパスポートとITストラテジストでは、求められるIT分野の知識が異なります。「全ての社会人=ITパスポート」「ITマネジメント職=ITストラテジスト」のように、業務で必要なITの知識によって試験を選ぶ必要があるかもしれません。

ITパスポート試験の難易度は初級!

ITパスポートは、情報処理技術者試験の中では「初級レベル」といわれています。試験では一般的な基礎知識が問われるため、専門的なIT系の資格と比べると難易度はそこまで高くありません。しかし、ITに触れる機会が少ない方にとっては聞き慣れない専門用語が登場することもあるでしょう。

ITパスポートの合格率・合格点を確認して、万全の対策をしていきましょう。

合格率は50%前後を推移

ITパスポートの合格率は50%前後を推移しています。他の情報処理技術者試験と比べると高い合格率になるため、IT初心者にとっても挑戦しやすい資格といえるでしょう。近年の合格率は以下の通りです*4

  • 2020年度:58.8%
  • 2021年度:52.7%
  • 2022年度:53.4%

年々受験者数が増加しているにも関わらず合格率50%前後をキープしています。受験者の2人に1人が合格していることからも、ほかの情報処理技術者試験のなかでも比較的難易度は低いでしょう。

試験の合格点は?

ITパスポート試験は、総合評価点・分野別評価点の項目が存在します。簡単にいうと、各分野の点数から総合評価点が算出される仕組みです。以下が合格に必要な点数の目安です。

  • 総合評価:1000点中600点以上*5
  • 各分野:1000点中300点以上*5

分野ごとに1000点中「300点以上」を達成できないと、総合評価点が600点以上でも不合格となってしまうため、合格のためには各分野をバランスよく学習しなければいけません。

ITパスポート試験の概要

ITパスポート試験は 全国の試験会場で原則毎日実施されています。年齢や国籍問わず、誰でも受験可能です。

ここからは、ITパスポート試験の概要を詳しく解説します。

問題数と回答の仕方

ITパスポートは、分野別に「ストラテジ系32問・マネジメント系18問・テクノロジ系42問」が出題され、合計92問から総合評価の点数が算出されます。

  • 問題数:100問(92問が採点対象)
  • 試験時間:120分
  • 回答方法:四肢択一式

合計出題数は100問ですが、そのうち8問は今後の問題を評価するためのものであり、採点対象外です。単純計算で1問当たり約1分で解いていく必要があるので、時間配分の意識も必要でしょう。

出題範囲

ITパスポートの出題範囲は、ストラテジ系(経営全般)・マネジメント系(IT管理)・テクノロジ系(IT技術)の3つに分かれます。

分野分類具体的な内容
ストラテジ系・企業と法務
・経営戦略
・システム戦略
・経営戦略、技術戦略マネジメント
・ビジネスインダストリ
・システム戦略、企画
マネジメント系・開発技術
・プロジェクトマネジメント
・サービスマネジメント
・システム開発技術
・ソフトウェア開発管理技術
・システム監査
テクノロジ系・基礎理論
・コンピュータシステム
・技術要素
・アルゴリズムとプログラミング
・コンピュータ、システム構成要素
・ソフトウェア、ハードウェア
・情報デザイン、メディア
・データベース、ネットワーク、セキュリティ

ITパスポート試験は、各分野の評価点300点以上という合格基準が存在します。人によっては得意・苦手分野を明らかにし、特定の分野を重点的に勉強するのも1つの勉強方法といえるでしょう。

試験方式

ITパスポートは、国家試験として初めて「CBT(Computer Based Testing)方式」を導入しています。CBT方式とは、コンピュータで行う試験のことです。筆記試験に比べて採点や結果が早く出るというメリットがある反面、画面上の問題の行き来がしにくく迷いやすいデメリットもあります。試験本番で慌てないために、コンピュータ操作には慣れておきましょう。

採点方式

ITパスポート試験は「IRT方式」を用いて採点されます。この採点方法では、「一問あたり何点」といった明確な基準がありません。各問の難易度を考慮しながら、解答結果に基づいて評価点が算出されます。

毎回の試験で一定の難易度を保つことは難しいとされており、同一配点の採点方式では、難易度の高い試験で合格者の比率が低くなるケースがあります。IRT方式を採用することで、出題される問題の難易度に左右されず、全ての受験者の回答が平等に採点されます。

試験実施日と会場

ITパスポートは全国47都道府県で実施され、3ヶ月先までの試験日が確認できます。都道府県によって頻度は異なるものの、毎月数回、主に週末の午前・午後の部で試験が行われています。ちなみに、東京都では平日に試験を実施している会場も多くみられます。詳細については、ITパスポート試験の公式サイト「試験開催状況一覧」を確認しましょう。

申込方法

ITパスポート試験の申込の流れ*6は、主に以下の3ステップです。

  1. 利用者IDの登録(希望するIDとメールアドレスを入力)
  2. 利用者情報の登録(ID登録完了後、メールでIDと仮パスワードが届く)
  3. 試験日程の選択(会場と試験日、受験手数料支払い方法を選択)

受験料支払い後に申込みが完了するので、ITパスポート試験ホームページの「受験申込」の項目から確認表と領収書をダウンロードします。利用者IDとパスワードはWebサイトへのログインに必要なので、忘れないようにしましょう。

受験手数料

ITパスポートの受験手数料は、7,500円(税込)です。支払い方法は「クレジットカード・コンビニ・バウチャー」から選択できます。コンビニ支払いの場合は、別途払込手数料187円が必要です。

合格発表

ITパスポート試験ホームページの「合格発表」の項目で、合否が公表されます。合格発表がある時期の目安は以下の通りです。

  • 合格発表:受験した月の翌月中旬
  • 合格証書の送付:受験した月の翌々月上旬

合格者には、経済産業大臣から「情報処理技術者試験合格証書」が簡易書留で郵送されます。不合格の場合、通知はありません。

ITパスポート試験に合格するメリットは?

ITパスポートは、さまざまな企業での活用事例があり、就職や転職で有利になると考えられています。たとえば、新卒採用活動(エントリーシート)や社員のIT知識を高める手段として、ITパスポート試験が活用されています。企業例の1つとして、大同生命保険株式会社はスマートフォンや外部サービスを利用した施策の増加にともない、全内務職員を対象にITパスポート合格の義務化を開始しています*7

ITの基礎知識だけでなく、情報セキュリティや経営まで幅広く学ぶITパスポートは、企業から信頼される人材の要素となるかもしれません。企業が求めるITスキルにもよりますが、デジタルツールの活用が多い現代において、ITスキルの需要は業種に限らずますます高まっていくでしょう。

ITパスポート試験に合格するためのおすすめ勉強方法

ITパスポート試験に合格するためには、例題を解きながら理解を深めていくことがおすすめです。具体的には、以下の方法があります。

  • まずは過去問を解いてみる
  • 市販のテキストでインプット・アウトプットを繰り返す
  • すきま時間はアプリを活用する

ここからは、それぞれの勉強方法を詳しく解説します。

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まずは過去問を解いてみる

大まかな試験内容を掴むために、まずは過去問を解いてみるのがおすすめです。過去問を何度か解いていくうちに、繰り返し出題される問題の傾向がわかるようになります。ITパスポート公式サイトでは、過去問が解説付きで公開されています*8。年度によって問題傾向が異なるので、できるだけ新しい年度の過去問を解くようにしましょう。

ITパスポート試験では、過去問だけでは対策が難しい最新テクノロジーに関する問題も稀に登場します。頻出問題を確実に正解できるよう学習を進めつつ、日頃からITに関するニュースをインプットしておくのがよいでしょう。

市販のテキストでインプット・アウトプットを繰り返す

市販のテキストを通じてインプット・アウトプットを繰り返し行うことで、記憶が脳に定着しやすくなります。ITパスポートの出題範囲は広いので、テキストで出題傾向の高い分野や用語を優先して覚えるのが効果的です。

おすすめの本として以下の「いちばんやさしいITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集:高橋 京介 (著)」があります。IT用語をイラスト図解を見ながらイメージとしてインプットできる内容です。頻出の過去問も掲載されているので、インプット・アウトプットをこの本1冊で行うことができます。

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以下の記事ではその他ITパスポート試験の合格に向けた学習におすすめのテキストを紹介しています。ぜひあわせてお読みください。

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すきま時間はアプリを活用する

通学・通勤時間などのすきま時間の学習には、スマホアプリの活用が効果的です。日中、学校や仕事で忙しい方は、机に向かう時間が作れなくても気軽にスマホで学習を進められます。

アプリによって内容や課金の有無が異なるので、異なるアプリの比較をして希望に合ったものを学習に取り入れてみましょう。

「ITパスポート」でIT化社会で活躍できる人材に!

就職や転職でのアピールポイントとして、ITパスポートは役立ちます。将来的にIT専門職を目指している方は、IT知識の基礎を固める手段として受験を検討してみるのもいいかもしれません。

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※出典
*1:情報処理推進機構「ITパスポート試験」より
*2:情報処理推進機構「令和4年度「iパス(ITパスポート試験)」の年間応募者数等について」より
*3:情報処理推進機構「試験区分一覧」より
*4:情報処理推進機構「情報処理技術者試験統計資料」より
*5:【ITパスポート試験】「試験内容・出題範囲」より
*6:【ITパスポート試験】「試験の流れ」より
*7:【ITパスポート試験】「活用事例」より
*8:【ITパスポート試験】|過去問題(問題冊子・解答例)

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。