日常生活のなかで、コミュニケーションに関する悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。コミュニケーションは、人々が社会生活を営むうえで切り離せないものです。
コミュニケーションの種類が多様化した現在、状況に応じて適切な伝達手段を選択し、活用するスキルが求められるでしょう。今回は、仕事におけるコミュニケーションの具体的手段やコミュニケーションスキルを磨くためのポイントなどを解説します。
コミュニケーション能力は今や重要な“ビジネススキル”
コミュニケーション能力は、ビジネスシーンにおいて非常に重要なスキルのひとつです。仕事で成果を上げるためには、目標達成に向けたチームワークの強化や効果的なリーダーシップなどが必要とされます。そのための手助けとなるのが、コミュニケーション能力です。
日本経団連の「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」によると、企業が選考時に重視した点は、16年連続で「コミュニケーション能力」であることがわかりました*1。加えて、コロナ禍によるリモートワークの推進やWeb会議の普及などにより、より高度なコミュニケーションスキルが必要になったといえるでしょう。
これから先も、コミュニケーションスキルがもたらす影響や重要性はより一層高まっていくことが予想されます。
コミュニケーションの種類は主に大きく2つ!
コミュニケーションは、主に「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」の2種類に分けられます。どちらも意思や情報を伝えるうえで欠かせない情報伝達手段であり、ビジネスにおいても重要な役割を果たすことはまず間違いありません。
ここでは、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの特徴や効果について解説します。
言語コミュニケーション
言語コミュニケーションとは、文字通り言葉を用いた伝達手段のことです。一般的なコミュニケーションの方法であり、ビジネスシーンではプレゼンテーションや会議、電話や面談などで活用されています。
なお、2011年には障害者基本法の改正により、手話による情報伝達も言語コミュニケーションに含まれるようになりました*2。
話し方や表情によって自由に表現できる言語コミュニケーションは、誰でも気軽に活用しやすいのが特徴です。相手と言語を交わすことで共通認識をもちやすく、友好的な人間関係の構築につながるでしょう。
非言語コミュニケーション
非言語コミュニケーションとは、動きや表情といった言葉以外で情報を伝える手段のことであり、「ノンバーバルコミュニケーション」ともいわれています。アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンは、「対人コミュニケーションにおいて、言語情報は7%、聴覚情報は38%、視覚情報は55%の割合で相手に影響を与える」というメラビアンの法則を提唱しました。
ここでの聴覚・視覚情報とは、表情や動作、声の大きさなどです。特に介護・看護業界では、耳が不自由な利用者や患者もいるため、こういった非言語コミュニケーションが重要視されています。
また、スポーツでは言語以外のサインを使って意思疎通を図り、適切な判断や動きをとっていくことも。非言語コミュニケーションは、意外にもさまざまな場面で使われているのです。
ビジネスシーンにおけるコミュニケーション方法6つ
ビジネスシーンでは、さまざまなコミュニケーション方法が複合的に活用されています。伝える内容や職場の状況、仕事相手に合わせ、適切なコミュニケーション手段を選ぶことが大切です。以下には、主なコミュニケーション方法とそれぞれに効果的な手段を一覧にまとめました。
主なコミュニケーション方法 | 効果的な手段 |
---|---|
会議やプレゼンテーション | 資料などを活用した視覚情報による訴求 |
1対1の対話 | 相手に受け入れられやすい表情や雰囲気 |
電話などの音声通話 | 普段よりも1トーン上げた声 |
Web・オンライン会議 | 対面よりも大きめのリアクションや積極的な自己開示 |
グループウェア | チャットや掲示板などの活用 |
メール・チャットの文章 | 効果的なテキストコミュニケーションの活用 |
ここからは、上記のコミュニケーション方法について詳しく解説します。
会議やプレゼンテーション
会議やプレゼンテーションでは、複数の人々が集まり意見交換や意思決定を行います。情報伝達をする際は、音声言語だけでなく、資料などを活用した視覚情報による訴求も効果的です。
たとえばテキストだけの資料よりも、図や写真などのビジュアルに工夫を施した資料のほうが内容を具体的にイメージしやすくなります。非言語コミュニケーションを補填的に活用することにより、効率的かつ正確な情報伝達ができるでしょう。
加えて、会議やプレゼンテーションでは、服装や髪型といったビジュアルへの配慮も大切です。相手に好印象を与え、信頼感を得られるような身だしなみを心がけましょう。
1対1の対話
1対1の対話は、日常的に行われやすいコミュニケーションのひとつです。近年は1on1の導入などにより、上司と部下が対話する機会が増えた職場も多いのではないでしょうか。
上司と部下による1対1の対話では、非言語コミュニケーションに注意が必要です。特に上司は部下に対して高圧的な態度を取らず、相手に受け入れられやすい表情や雰囲気、また寄り添う姿勢が求められるでしょう。
また、職場での簡単な挨拶やちょっとした世間話などのコミュニケーションでも、1対1の対話は効果的です。ふとした瞬間に交わす会話が相手との信頼関係を築く重要な要素になるため、日頃の何気ないコミュニケーションの取り方を意識することが大切といえます。
電話などの音声通話
電話などの音声通話は、メールやチャットの普及により減少傾向にあるものの、仕事における大切なコミュニケーション方法のひとつです。
電話では、普段よりも声量や声のトーンを上げるといった、非言語コミュニケーションの工夫が求められます。表情が見えないぶん、感情を声で表す必要があるためです。
直接ではなくとも相手と会話できる電話は、細かいニュアンスまで伝えられるため、チャットやメールよりも情報が正確に伝わりやすいといえます。必要な際は電話をかければすぐにコミュニケーションを図れることから、緊急時にも適しているでしょう。
Web・オンライン会議
Web・オンライン会議は、リモートワークの普及とともに定着したコミュニケーション方法です。場所にとらわれずに会議を実施できるため、遠方にいる人々が一箇所に集まるための交通費や移動時間を削減できます。
Web・オンライン会議がビジネスシーンに普及したことで、点在している関係者が気軽にコミュニケーションを図りやすくなったといえるでしょう。対面よりも大きめのリアクションにしたり、自己開示を積極的に行うとより効果的です。
グループウェア
グループウェアとは、業務情報の一元管理や、社内コミュニケーションを円滑にすることを目的としたツールの総称です。チャットや社内SNSといった機能は、職場でカジュアルに発言できるコミュニケーションの場として活用されます。在席確認やスケジュール管理ができる機能は、社内にいなくても従業員間でコミュニケーションを図りやすいのが魅力です。
グループウェアを用いたコミュニケーションは、情報共有の強化や業務の効率化につながります。チャットや掲示板などを活用することで、社員同士のスムーズな連携や信頼関係の構築が期待できるでしょう。
メール・チャットの文章
ビジネスシーンで使われるメールやチャットは、文章の送受信によるコミュニケーション方法です。送信者と受信者のそれぞれが自分のタイミングで対応できるメリットがあります。作業の手を止めて電話に出たり、対面アポイントのスケジュール調整をしたりする必要がありません。
しかし、テキストのメッセージは感情を読み取りにくいことから、相手に誤解を与えてしまうリスクもあります。相手に受け入れられやすいテキストコミュニケーションスキルを身につけ、なるべくポジティブな言葉を選択し、簡潔明瞭な文章を書くようにしましょう。
コミュニケーションを活性化させるメリット
ビジネスシーンにおいてコミュニケーションを活性化させることは、個人と企業の両方に多くのメリットをもたらします。ここからは、個人と企業、それぞれのメリットを解説します。
個人のメリット
コミュニケーションの活性化によってもたらされる個人のメリットは、以下の通りです。
- 自信につながる
- モチベーションアップにつながる
- 生産性がアップする
- 困ったときに助け合える
自分の意思や意見を言語化し、相手に正しく伝えるスキルが身に付くと、仕事におけるモチベーションやリーダーシップの向上につながります。
また、上司や同僚と良好なコミュニケーションが図れるようになるため、生産性が向上したり、困ったときに助け合ったりできるといったメリットもあるでしょう。コミュニケーションは一つひとつの対話の積み重ねによって成り立つため、相互作用を意識することでより活性化しやすくなります。
企業側のメリット
一方で、企業側のメリットには以下のものが挙げられます。
- 社員のエンゲージメントが上がる
- 社員の離職率低下につながる
- 組織内でのミスコミュニケーションが減る
- アイディアが生まれやすくなる
職場内のコミュニケーションが活性化されることにより、社員の満足度が高まり離職率の低下につながります。
また、個人のメリットが組織レベルで拡大していくことで、社員全体のエンゲージメントが高まるでしょう。組織内でのミスコミュニケーションの減少やアイディアの促進により、職場全体の生産性の向上も期待できます。
コミュニケーションスキルを高める方法
コミュニケーションスキルを高めるには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
コミュニケーションスキルを高められれば、人間関係や仕事の評価に良い影響を与えることも。ここからは、コミュニケーションスキルを高めるための具体的な方法について解説します。
普段の会話で実践する
普段の会話からコミュニケーションの取り方を意識することで、日常的な習慣として身につきます。対話する相手の反応を観察したり感想を伝えたりしてもらうと、自分の会話の癖やコミュニケーションスタイルが分析できるでしょう。
コミュニケーションスキルの向上は、日々の会話の積み重ねにより図れるものです。自己評価や他者からのフィードバックを通して、自分のコミュニケーションスタイルを継続的に見直すことが、コミュニケーションスキルを高めるための第一歩といえます。
スクールや講座を受ける
コミュニケーションスキルを高めるには、スクールや講座を受講する方法もあります。個別レッスンや集団レッスンといった、さまざまな形態の講座を展開しているスクールが多いため、目的や学習スタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
専門家やアナウンサーなど、コミュニケーションのプロから学びたい方は、独学だけではなくスクールや講座の受講がおすすめです。
コミュニケーションを円滑に進めるために意識したいポイント
コミュニケーションを円滑に進めるには、以下のポイントを意識することが大切です。
それぞれ一つずつ解説します。
明るい挨拶を心がける
明るい挨拶は相手に対してオープンになり、かつ友好的な印象を与えるため、信頼関係のベースを築くきっかけになります。対話のはじまりとしても効果的なため、相手との意見交換や情報共有がスムーズになるなど、円滑なコミュニケーションには欠かせない要素です。
また、明るい挨拶は、非言語的コミュニケーションとしても重要な要素のひとつ。感謝や信頼、関心などの言葉だけでは伝わりにくい感情を表現するためにも役立ちます。
対話相手との共通点を探す
対話相手との共通点を探すことは、コミュニケーションを通じた共感の形成や信頼関係の構築につながります。「相手のことを理解し、関心を持っている」というサインにもなるため、コミュニケーションが円滑に進みやすく、深い対話が可能となるでしょう。
また、共通点を通してお互いの立場や背景を理解しやすくなると、ミスコミュニケーションの減少やチームワークの向上も期待できます。話題に困ったら、まず相手との共通点を見つけてみるのも良いかもしれません。
適切なタイミングで相槌をうつ
適切なタイミングで相槌をうつことは、対話相手に対して「話を聞いている」「関心を持っている」というサインになります。対話相手は、適切に相槌が入ることで安心しながら心地よく話せるため、円滑な意見交換がしやすくなるでしょう。
ちなみに、「はいはい」と相槌を連発したり話にかぶせて相槌を打ってしまうと、相手の話を聞いていない印象を与えてしまうことも。相槌のタイミングや回数には注意が必要です。
質問力を磨く
質問力を高めると、相手に深い関心を持っている姿勢が伝わり、信頼関係の構築や理解の促進につながります。またビジネスシーンにおいては、質問力は問題解決のための重要なスキルです。問題の本質が明らかになり、具体的な解決策を導き出せるようになるでしょう。
質問力を磨くには、さまざまなことに疑問を持ったり物事や人を客観的に捉える練習をするのがおすすめです。ぜひ日々のコミュニケーションから意識してみてください。
身だしなみを整える
身だしなみは、第一印象の形成に大きく関わります。ポーランドの心理学者であるソロモン・アッシュは、「人は最初に与えられた情報が印象に強く残りやすい」という初頭効果を提唱しました。
初対面の際の身だしなみや表情といった視覚情報は、相手に強い印象を与えます。今後のコミュニケーションを円滑にするためには、相手に受け入れられやすい清潔な身だしなみや表情を心がけることが重要です。
コミュニケーションスキルを磨いて自分の強みにしよう
状況に合わせて適切な伝達手段を選択し、情報を正確かつ簡潔に伝えられるコミュニケーションスキルは、日常生活だけではなくビジネスにおいても重要です。コミュニケーション能力を高めたい方、隙間時間を活用してコミュニケーションが肝となる職種を目指したい方には、、スクールの受講をおすすめします。
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*スタンダードプランの場合
※出典
*1:日本経団連「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」内、「選考にあたって特に重視した点」より
*2:内閣府「障害者基本法の一部を改正する法律【概要】 」より