
スマートフォンの普及が拡大し、SNSの利用者が増加している近年、SNSマーケティングへの注目も高まっています。しかし、SNSマーケティングを始めたいと思っていても、「何をすればいいのか分からない」「自分にもできるのだろうか」と不安がある方もいるでしょう。
今回はそんな方に向けて、SNSマーケティングの始め方や具体的なやり方、個人で仕事をするコツなどについて紹介します。
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、SNSを活用したマーケティングの手法です。SNSを通じて情報を発信したり、ユーザーとコミュニケーションを取ったりすることで、商品やサービスの販売促進や、ブランディングなどを目指す施策です。
総務省の「令和4年通信利用動向調査*1」では、インターネット利用者に占める個人のSNSの利用状況は80.0%、SNSを情報収集のために利用する人は64.5%と、どちらも前年より増加しています。
Web検索だけでなくSNSで情報を得る人が増えていることから、SNSマーケティングを取り入れる企業も増えてきています。
SNSマーケティングの始め方7ステップ
まずはSNSマーケティングの始め方を、7つのステップで解説します。SNSをマーケティングに活用するには、ただアカウントを開設して投稿すればいいのではなく、適切な手順で進めていくことが重要です。
- ゴールやターゲットを設定する
- ターゲットにアプローチしやすいSNSを選択する
- SNSの特性やアルゴリズムを理解する
- 具体的な施策や戦略を決める
- 施策ごとにKPIを設定する
- アカウント運用体制を整える
- 施策の効果検証と改善を繰り返す
1.ゴールやターゲットを設定する
SNSマーケティングを行う目的を明確にするために、まずはゴールを設定しましょう。「10代〜20代の売上を◯%向上」など、具体的なターゲット層や数値を設定した方が、効果的な施策を検討しやすくなります。
ターゲット層や商品の特性によって、どのSNSを運用するのか、どの手法を選択するのが効果的であるのかなど、戦略の立て方も変わってきます。現状や今後の展望を踏まえて、なるべく具体的にゴールを設定しましょう。
2.ターゲットにアプローチしやすいSNSを選択する
ターゲット層が明確になったら、どのSNSであれば効果的にアプローチができるのかを検討します。SNSにはInstagramやX(旧Twitter)など種類があり、SNSによって、メインとなる利用者の年齢層や性別の割合、投稿の表示形式や機能などに違いがあります。それぞれのSNSの特徴を十分に理解し、目的に合ったものを選択しましょう。
また、特徴の異なるSNSの併用も効果が見込める場合があります。ただし、投稿するコンテンツの質が維持できるよう、管理が行き届く数に抑えて運用することが大切です。
3.SNSの特性やアルゴリズムを理解する
運用するSNSが決まったら、対象となるSNSの仕組みや機能、アルゴリズムを理解しましょう。SNSにおけるアルゴリズムとは、どのユーザーにどのコンテンツを表示するのか、投稿を評価して分類するためのルールのことを指します。
アルゴリズムを理解して運用しないと、投稿したコンテンツがターゲットとなるユーザーに届かない可能性があります。アルゴリズムはSNSによって異なるため、対象となるSNSのアルゴリズムに沿った運用をすることが重要です。
4.具体的な施策や戦略を決める
運用するSNSの特性を理解できたら、ゴールを見据えて施策や戦略を具体的に決めていきます。投稿するコンテンツの方向性や、どの手法を活用するかなどを検討しましょう。
例えばSNS広告を活用する、ハッシュタグキャンペーンを実施する、インフルエンサーに商品やサービスのPRを依頼するなど、SNSマーケティングにはさまざまな手法があります。目的やターゲット層、商品やサービスの特性に応じて使い分けるようにしましょう。
5.施策ごとにKPIを設定する
具体的な戦略が決まったら、施策ごとにKPIを設定します。KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」のことで、目標を達成するための各プロセスの行動指標を意味します。
具体的にはフォロワー数やコンテンツの閲覧数、CTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)などの数値をKPIの指数として設定するのが良いでしょう。例えばハッシュタグキャンペーンを実施する場合は、オリジナルハッシュタグの件数をKPIに設定することなどが挙げられます。
6.アカウント運用体制を整える
SNSマーケティングは結果が出るまでに時間がかかることが多いため、始める前に運用体制を整えておくことが大切です。アカウントの方向性を明確にし、運用のためのマニュアル、炎上発生時の対応フローなどを作成しておきましょう。
SNS運用の業務は多岐にわたるため、企業の場合は担当ごとに必要な人員を確保し、定期的に会議を実施して情報を共有することが大切です。
7.施策の効果検証と改善を繰り返す
運用体制が整ったら、それぞれの施策を実行していきます。投稿したらそれで終わりではなく、実行した施策ごとにユーザーの反応を分析し、施策に対してどのような効果があったのかを検証していくことが重要です。
狙ったターゲット層がフォロワーになっているか、どの投稿のエンゲージメント率(投稿に反応したユーザーの割合)が高いのかなどを調べて分析し、改善策を検討していきましょう。結果が出るまでに時間がかかる場合が多いですが、検証と改善を繰り返すことでアカウントが成長していきます。
SNSマーケティングを始められるプラットフォーム5つ
SNSマーケティングを始める際には、目的に合ったプラットフォームを選択することが大切です。ここでは代表的な5つのプラットフォームを紹介するので、それぞれのSNSの特徴を十分に理解してから運用を始めましょう。
Instagramは画像や動画など、ビジュアル要素をメインに情報を伝える点が強みのSNSです。投稿方法はフィード投稿、ストーリー、リールの3つで、これらを使い分けながら運用していきます。
投稿された画像を数タップするだけで商品購入ページへ移動できるショッピング機能があるため、購買へ繋げやすいという特徴があります。ファッションや美容、グルメなど、画像や動画で魅力を伝えやすい商品やサービスを扱うジャンルでは特にPRしやすく、ブランディングにも活用できるでしょう。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、画像や動画付きの投稿もできますが、基本的にはテキストでの投稿がメインのSNSです。リポストという再投稿機能があるため、拡散力が非常に高いという特徴があります。情報が素早く拡散されることはメリットでもありますが、同時に炎上のリスクも高いということを理解しておきましょう。
企業公式アカウントなどでは「フォローとリポストをした人の中から抽選で賞品が当たる」といったキャンペーンもよく行われています。
LINE
LINEは日頃の連絡手段として多数の利用者がおり、日本での⽉間アクティブユーザーは約9,500万人*2にのぼるSNSです。LINEはその利用者数の多さから、幅広いユーザー層へアプローチできる特徴があります。
「LINE公式アカウント」でクーポンの配布や定期的な情報発信を行ったり、「LINE広告」でユーザーへ広告を配信したりするなどして、店舗への集客や商品の購入に繋げるための施策が行えます。
TikTok
TikTokとは、短い動画を作成・投稿できるSNSです。他のSNSと比べてアルゴリズムに独自性があり、フォローしていないユーザーの投稿もタイムラインに表示されるのが特徴のひとつです。拡散力の高さを生かしてユーザー参加型のキャンペーンを行ったり、広告を出稿したりすることで、幅広いユーザーにリーチできます。
ただし、コンテンツが魅力的だとしても売上に直結するとは限らないため、InstagramやX(旧Twitter)などへ誘導するなどの工夫も必要です。
Facebookとは、友人や知り合いを中心に交流を行う実名登録制のSNSです。「Facebookページ」を開設して情報発信やユーザーとの交流を行い、「予約をする」「お問い合わせ」といったCTAボタンを表示させることでユーザーの行動を促すことができます。
FacebookだけでなくInstagramやMessengerなどにも配信できる「Facebook広告」や、Facebook上にオンラインショップを開設できる「Facebookショップ」という機能も活用できます。
SNSマーケティングを始める際に覚えておきたい手法4つ
ここではSNSマーケティングを始める際に知っておくべき手法を4つ紹介します。商品やサービスの特性や、目的に応じて使い分けられるようにしましょう。
SNSアカウント運用
SNSアカウント運用とは、商品やサービス、自社ブランドなどについての情報発信や、ユーザーとのコミュニケーションを行うことを指します。テキストや画像、動画などのコンテンツを投稿するだけでなく、コメントへの返信やいいねなどでユーザーと直接コミュニケーションを取ることで、信頼関係の構築や商品の購入などに繋げます。
SNS広告運用
SNSでは、プラットフォームごとに独自の広告配信サービスがあります。地域や年齢、性別などターゲティングの設定ができるため、広告を届けたいユーザー層に的確にリーチできるという特徴があります。雑誌広告や、検索結果に表示されるリスティング広告などと比べると費用が抑えられ、ターゲティングにより効率的にリーチできることから、費用対効果が見込めるでしょう。
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、ユーザー参加型のイベント施策のことを指します。「オリジナルハッシュタグをつけて投稿すると抽選に参加できる」「フォローとリポストをすると抽選に参加できる」といったものや、フォトコンテストや大喜利コンテストなどで投稿を促すものなどがあります。たくさんのユーザーが投稿することで、認知拡大や販売促進に繋がることが期待できます。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらったり、コラボ商品を開発したりする施策のことを指します。インフルエンサーは数万人から数百万人のフォロワーやファンがいることが多いため、高い影響力が期待できます。ただし、インフルエンサーの選定には注意が必要で、フォロワーとターゲット層は近しいか、インフルエンサー自身に炎上の危険はないかなどを見極めて依頼しましょう。
個人でSNSマーケティングの仕事を始める方法
ここでは個人でSNSマーケティングの仕事を始める方法について紹介します。SNSマーケティングの仕事にはさまざまな種類があるので、自分に合うと思うものから始めてみましょう。
SNSでコツコツと情報発信をする
個人でSNSマーケティングの仕事を始める場合、まずは個人アカウントでコツコツと情報発信をしていくという方法があります。具体的には、アフィリエイトで広告収入を得たり、自身の商品やサービスを販売したり、自身がインフルエンサーとしてPR活動を行ったりする方法などがあります。
結果が出るまでに時間がかかることが多いですが、どんな投稿に多くの反応が集まるのかを分析しながら改善を繰り返していくことが大切です。コツコツと情報発信をしていく中で、より実践的にSNSマーケティングを学ぶことができるでしょう。
スキルを学んで副業をする
SNSマーケティングのスキルを学び、企業のSNSの運用代行の副業を行うのも個人で仕事を始める方法のひとつです。企業によっては社内でSNSを運用するリソースがなく、運用代行ができるSNSマーケターを募集している場合があります。そのような企業と業務委託契約を結ぶことで、SNSの運用代行を仕事として受けることができます。
コンテンツを投稿・拡散するSNSアカウント運用から、SNS広告の運用まで、業務内容は企業によってさまざまです。指定された内容を投稿・拡散するような比較的始めやすい業務から、投稿内容の企画やユーザーの反応の分析など、よりスキルが求められる業務まで多岐にわたるため、スキルに応じたものを選んで挑戦してみるのが良いでしょう。
個人でSNSマーケティングの仕事をするときのコツ
SNSマーケティングの仕事内容は多岐にわたるため、幅広い視野で仕事を行う姿勢が大切です。ここでは個人でSNSマーケティングの仕事をするときのコツを紹介します。
分析機能の使い方を把握しておく
各SNSの分析機能の使い方を把握しておくと、ユーザーの反応が分かり、施策の改善に役立てられます。分析機能はSNSによって異なりますが、投稿のインプレッション数やプロフィールへのアクセス数、フォロワー数の増減、エンゲージメント率など、施策の分析に活用できる数値が確認できるものが多いです。
運用するSNSの分析機能にはどのようなものがあるのかを一通り確認し、日々の運用に役立てていきましょう。
SNSの最新動向をチェックし続ける
SNSマーケティングの仕事を始めたら、新機能の追加や仕様変更、アルゴリズムの変更など、それぞれのSNSの最新動向をチェックする習慣をつけましょう。2023年7月に「Twitter」から「Ⅹ」へ名称が変更されたことは強く印象に残っている人が多いかもしれませんが、ニュースメディアで取り上げられないような小さな仕様変更は、日常的に行われていることが多いです。
新機能の追加や仕様変更については、各SNSの公式ページからチェックできます。アルゴリズムの変更についてはすべてが公開されているわけではありませんが、一部については公式発表されることもあります。常に最新動向をチェックする習慣をつけておきましょう。
企業が求めていることを理解する
SNSの運用代行やインフルエンサーとしてPR活動を行う際には、企業が求めていることを理解して取り組む姿勢が重要です。SNSマーケティングの目的やゴールをどのように設定しているのか、自分への依頼の目的は何なのかといった点は、最初にきちんと理解しておきましょう。
企業が求めていることへの理解が曖昧なまま仕事を始めてしまっては、企業が求める成果を出すことはできません。疑問点は遠慮なく質問し、理解を深めた状態で仕事をスタートさせましょう。
スキルのかけ算を意識する
SNSマーケティングの仕事では、SNSマーケティングの知識やスキルはもちろん、そのほかのスキルをかけ合わせることで仕事の幅が広がる可能性があります。
例えばWebデザイナーとしてのスキルをかけ合わせることで、ECサイトへの誘導からCV数を増やしたり、企業や商品、サービスのブランディングに繋げたりすることが考えられます。また、ライティングスキルがあれば投稿のテキスト作成に生かせるでしょう。
女性向けキャリアスクールの「SHElikes(シーライクス)」は、SNSマーケティングをはじめとした40の職種スキル*が学び放題です。Webデザイン入門コースやSNS動画制作コース、ライティング入門コースや広報・PRコースなど、SNSマーケティングの仕事に関連した職種スキルも好きなだけ学ぶことができます。
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*2023年8月時点のコース数です。今後もコース数は増設していきます。
未経験からSNSマーケターとして活躍している事例
ここでは実際に未経験からSNSマーケターとして活躍している方々の事例を紹介します。
「接客業からSNSマーケターに転身」りさちょんぬさん
テーマパーク接客業をしていたりさちょんぬさんは、未経験からSNSマーケターへの転職に成功しました。

無料体験レッスンで先輩の転職成功例を見てSHElikesへの入会を決意し、マーケティングやWebデザインを中心に、約1年でほぼ全コースを受講。入会から1年半で、SNSマーケターへのキャリアチェンジを叶えました。
SHElikesで身につけたマーケティングや動画編集のスキルをYouTube発信に生かしていることをアピールし、無事に内定をいただけたそうです。
「営業職から副業SNSマーケター&ライターに」シホさん
現職の営業職に不満はないけれど、今後のキャリアに漠然とした不安を抱いていたシホさん。学生時代の先輩がSHElikesのアンバサダーをしていたのをSNSで発見したことをきっかけに、入会を決意したそうです。

入会直後は自分にどんな仕事が合うのかが分からず、とりあえずWebデザインコースを受講。後に受講したWebマーケティングコースがきっかけで、マーケターの仕事が自分に合っていると気づきました。
現在は週5日出社している本業に影響が出ないよう、SNSマーケティングの案件やグルメ系のライティング案件に副業として取り組んでるそうです。
個人でSNSマーケティングの仕事をする際の注意点
ここでは個人でSNSマーケティングの仕事をする際の注意点を3つ紹介します。注意点をしっかりと抑え、安心してSNSマーケティングの仕事を始められるようにしましょう。
炎上リスクに細心の注意を払う
SNSでは、投稿が炎上することで企業のイメージダウンにつながるケースがあります。炎上した投稿は瞬く間に拡散されてしまうため、SNS上の批判だけでなく、場合によっては企業活動そのものにまで影響が出てしまう可能性もあります。
アカウント運用のマニュアルを整え、炎上を未然に防ぐために細心の注意を払うようにしましょう。
怪しいWeb・ネットビジネスに気をつける
SNSマーケティングの仕事をしていると、怪しいWebビジネスやネットビジネスの勧誘に遭遇することがあります。例えば「SNS集客の無料アドバイスをします」「自動で稼げる仕組みをお教えします」といった誘い文句のDMを手当たり次第送り、反応があった人に対して勧誘を行うケースです。
このような手法は怪しいネットビジネスである可能性が考えられるため、少しでも不審に思うものに対しては絶対に返信しないようにしましょう。
短期的な目標は避ける
SNSマーケティングは、成果が見えるようになるまでに時間がかかることがほとんどです。短期的な目標を立ててしまうと、達成できずにすぐに挫折してしまうかもしれません。地道にコツコツと続けていくことができるよう、長期的な目標をもって取り組みましょう。
SNSマーケティングのスキルを学び、SNSマーケターとしての仕事を始めてみよう
今回はSNSマーケティングの仕事の始め方について、具体的な手法や注意点、未経験から活躍している事例などを紹介しました。
「SNSマーケティングの仕事を始めたい」「SNS運用で副業してみたい」という方も、SNSマーケティングのスキルを学ぶことで未経験でも挑戦することができます。
SNSマーケティングを学びたい方は、女性向けのキャリアスクール「SHElikes」の「SNSマーケティングコース」がおすすめです。SHElikesでSNSマーケティングの基礎知識を学び、SNSマーケターとして企業やブランド、個人アカウントのSNS運用を始めてみませんか?
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※出典
*1:総務省「令和4年通信利用動向調査」内、3 SNSの利用動向(個人)より
※参考
*2:LINE for Business「LINE広告」より