

就活や転職活動をしていると、面接で「あなたのキャリアビジョンを教えてください」と質問されることがあります。しかし、「なぜキャリアビジョンについて質問されるの?」「キャリアビジョンの作り方が分からない」などの悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
そこで、本記事ではキャリアビジョンの必要性や作り方などを解説します。また、例文を職種別に紹介しているので、記事を読めばキャリアビジョンの具体的なイメージをつかめるでしょう。ぜひ、最後までチェックしてみてください。
キャリアビジョンとは
キャリアビジョンとは、自分が将来なりたい姿や理想的な人生を思い描くことを指します。明確なビジョンがあると目標を具体的に定めやすくなり、自分に必要なスキルや目標達成に向けた取り組み方が見えてくるといえます。
なお、キャリアビジョンは長期・短期の両視点で考えるのがポイントです。10年後や20年後だけでなく3年後〜5年後のビジョンも考えることで、理想を叶えるためのステップがはっきりするでしょう。
職種別!キャリアビジョンの例文5つ
それでは、キャリアビジョンの例文を職種別に紹介します。クリエイティブ系や企画系、営業系などさまざまな職種があるので、自分に合った例文を参考にしてみてください。
クリエイティブ系
私は、番組ディレクターとして活躍したいと考えています。学生時代に趣味の一環として、旅先の動画をインターネット上に投稿していたところ、多くの方から「現地の魅力が伝わってきた、ありがとう」とのコメントをいただき、喜びとやりがいを感じました。貴社に入社できましたら、まずはアシスタントとして番組制作の知識やノウハウを学びつつ、「なぜこの企画が採用されたのか」を主体的に常に考えます。入社から5年目までに自分の企画が採用されることを目指し、10年後にはディレクターとなって多くの視聴者に愛される旅行番組を手がけたいです。
IT系
私の夢は、ゲームプログラマーとして子どもたちに楽しいと思ってもらえるようなゲームを開発することです。以前開発に携わったスマホゲームが小学生の間でヒットしてお礼の手紙をたくさんいただいたことで、ゲーム開発にやりがいを感じるようになりました。これまでの経験を活かして、貴社でも子どもたちに夢を与えられるようなゲームを作り続けたいと思っています。入社後の目標は、5年以内にダウンロード数1位のゲームを開発することです。
企画系
私は貴社の企画部門で、多くの人に愛される商品を作りたいと考えています。貴社の冷凍食品はおいしいうえに作り方が簡単で、一人暮らしをしている私の味方です。サークル活動とアルバイトをしながら大学の課題にも取り組むと自炊をする時間は限られるため、5分で完成する貴社の冷凍食品は忙しい人の大きなサポートになると考えています。もし入社できましたら、まずは店舗営業を通して消費者のニーズを汲み取ります。そして、5年後には忙しい日々を過ごす方を支えられるような商品を開発するのが目標です。
接客・サービス系
私は、貴社が展開するレストランの一員として、多くの人が「また来たい」と思えるようなサービスを提供したいです。現在、私は飲食店でアルバイトをしており、「おいしかったよ」と言ってもらえることに喜びを感じています。また、スタッフ間のあいさつや声かけを大切にすることで連帯感が生まれ、ピーク時や人手が足りないときでもサポートし合いながらサービスを提供してきました。アルバイトで身につけた協調性を貴社でも活かし、助け合いながらおいしい料理を多くの方に届けたいです。そして、3年後には店長を目指します。
営業系
私は貴社で営業職に就き、クライアントと良好な関係を築きながら営業成績トップを目指したいです。前職でも営業を担当しており、顧客にとって有益な商品やサービスを提案しつつアフターケアも意識しました。貴社ではこれまでの営業経験を活かし、クライアントに「あなたが担当でよかった」と言ってもらえるような仕事をしたいと考えています。3年後には社内で業績1位を達成し、5年後に営業部のリーダーになるのが目標です。
キャリアビジョンはなぜ必要?
ここからは、キャリアビジョンがなぜ重要なのかを解説します。結論からいうと、理由は以下の4つです。
- 理想の人生を考えるきっかけになるから
- 自己分析ができるから
- 就職や転職活動の軸が定まるから
- キャリアプランが立てやすくなるから
それでは、各理由について詳しく見ていきましょう。
理想の人生を考える機会となる
キャリアビジョンを描くことは、人生を考えるきっかけになります。多くの場合、人生の大半を仕事に費やすため、自分が今後どのようなキャリアを積んでいきたいかをはっきりさせると、生き方も明確になるといえます。
たとえば、「メーカーに入社して最初は店頭で経験を積み、その後は企画部で便利な商品を開発したい」というビジョンを描くとすれば、理想の人生は「誰かの役に立つことなのかもしれない」となるでしょう。また、理想の人生から考えることで、キャリアビジョンが見えてくる場合もあるといえます。
キャリアビジョンの作成を機に、どのような人生を送りたいか思い描いてみてください。
自己分析ができる
将来の理想像を考えることは、自己分析につながるといえます。なぜなら、キャリアビジョンを作成する際に自分の価値観や強み、経験などを洗い出し、自身を深く理解しようとするからです。
自己分析をして自分を客観視すると、人生において大切にしていることや譲れない価値観、困難に直面したときの考え方や乗り越え方などが見えてくるでしょう。また、新たな一面も発見できるかもしれません。
就職・転職活動の軸を決められる
明確なキャリアビジョンは、企業選びの基準になります。「将来どのような仕事をしたいか」「仕事で大切なことは何か」などがはっきりすると、就職や転職活動の軸が定まるでしょう。
たとえば、「将来は世界を舞台に人々の生活が良くなるような仕事をしたい」というビジョンを持つ方には、商社が向いているといえます。また、「好きな場所で仕事をするのが理想」と思う方は、リモートワークやワーケーションが企業選びの軸になるでしょう。
キャリアプランが立てやすくなる
キャリアプランは、キャリアビジョンとは意味が異なります。
- キャリアプラン:理想を叶えるために必要な経験やスキルを考える具体的な計画
- キャリアビジョン:将来なりたい姿や理想の人生を思い描くこと
キャリアビジョンを定めると、キャリアプランを練りやすくなるといえます。理由は、理想像が明確になり、現在の自分が身につけるべき経験やスキルが見えてくるためです。
なお、キャリアプランの立て方を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
関連記事:女性のキャリアプランの立て方は?例文や考え方のポイントを解説!
面接でキャリアビジョンを聞かれる理由
キャリアビジョンは、なぜ面接で質問されるのでしょうか。理由は、以下の3つがあげられます。
- 人柄や価値観を把握するため
- 自社で実現可能なビジョンかを確認するため
- 配属を決める際の基準にするため
それでは、各理由を詳しく解説します。
人柄や価値観を知るため
1つ目の理由は、キャリアビジョンを通して価値観や人柄を把握するためです。将来の理想像や入社後の目標などを聞くことで、その人の本質が見えてくるといえるでしょう。
また、価値観が企業理念にマッチするか確認する目的でキャリアビジョンを聞かれる場合も考えられます。学歴や資格などが魅力的でも、ビジョンが合わないと途中でやる気がなくなったり早期退職につながったりしてしまう可能性があるためです。
自社で実現できるかを確かめるため
自社で実現可能なキャリアビジョンかどうかを確認するのも目的の1つです。企業の方向性や業態とその人のビジョンにギャップがあると、双方にとって好ましくないといえます。
たとえば、「多くの消費者に愛される商品を作りたい」というビジョンを持った人が法人向けの事業を展開する企業に入社しても、目標達成は困難でしょう。また、企業側も自社の事業計画に合うビジョンを持った人のほうが一緒に仕事をしやすいと思うはずです。
適切な人材配置をおこなうため
配属を決める際の基準にするために、面接でキャリアビジョンを聞く場合もあります。就活生や転職活動をしている方のビジョンを把握しておくと、入社後にどのような業務を担当してもらうかを企業側がイメージしやすくなるためです。
なお、特定の部署や業務を希望する場合は、企業がそのポストを募集しているか事前に把握しておきましょう。人員が足りていると、ほかの部門の配属になったり採用が難しくなったりする可能性があると考えられます。
キャリアビジョンを考える手順
それでは、キャリアビジョンの作成方法を見ていきましょう。ステップは4つで、「過去の経験を振り返る」「自分の強みと弱みを把握する」「理想の将来像をイメージする」「ビジョンを詳しく書き出す」の流れで作成します。
以下で各手順の詳細を解説するので、参考にしながらノートに書き出してみてください。
1. 過去の経験を振り返る
まずは、これまでの人生における経験や印象に残っていることなどを思い出してみてください。自分の価値観や考え方、経験から身についたことなどを振り返ることで、自己分析ができます。
なお、自分史やマインドマップなどを作成すると、自分自身をより深く理解できるでしょう。
- 自分史:自分がこれまでの人生で感じたことや行動したこと、印象に残っているエピソードなどを、幼少期〜現在の期間ごとに分けて書き出したもの。
- マインドマップ:自分の思考を体系化して整理するもの。「特技」「苦手なこと」「頑張ったこと」などをベースにして関連するキーワードをクモの巣のように広げていくことで、自分の考え方や行動原理などを可視化する。
2. 現在の自分の強み・弱みを把握する
過去の経験をもとに、自分の強みと弱みを見つけましょう。強みの例としては、接客のアルバイトで身につけたコミュニケーション力や、法人営業を3年間担当していた経験などがあげられます。スキルや経験、実績など、目標を達成するための武器となるのが強みです。
一方、弱みは現在の自分に不足しているスキルやキャリアなどを指します。たとえば、「海外営業を担当したいが、ビジネス英語を磨く必要がある」「プロジェクトリーダーになりたいが、マネジメント経験が少ない」などがあります。
3. なりたい将来像をイメージする
自分の価値観やスキル、強みなどが明確になったら、理想とする将来像をイメージしてみましょう。現在の状況をもとに将来像を設定するのではなく、たとえ実現が難しいと思えることでも理想の姿を思い浮かべるのが大切です。なぜなら、妥協した目標設定は自分の理想像とはいえないため、途中で挫折してしまったりビジョンを練り直す必要が出てきたりする可能性があるからです。
もし10年後や20年後といった遠い未来をいきなり思い描くのが難しい場合は、近い将来から考えてみてください。1年後〜3年後のビジョンが定まると、その先もイメージしやすくなるでしょう。
4. ビジョンを詳しく書き出す
最後に、具体的なキャリアビジョンを作成してみてください。自分の将来像を明確にすることで現在の自分とのギャップが分かり、今後何をやるべきかが見えてくるでしょう。
ゴールが定まったら、逆算して3年後や5年後など短期的なスパンでの目標を設定してみてください。それぞれのステップで身につけたいスキルや必要なアクションなどを書き出すと、目標達成までの道のりがはっきりするといえます。
キャリアビジョンを考える際のポイント
キャリアビジョンを考える手順が分かったところで、作成時に押さえておきたい以下3つのポイントを紹介します。
- 実現が簡単な目標から立てるようにする
- 自分のライフステージも含めて考える
- 回答例は企業ごとに変える
3つのポイントを意識しながら、キャリアビジョンを考えてみてください。
実現しやすい目標から立てる
キャリアビジョンを考えるときは、結果を出しやすい目標から立てるのがおすすめです。たとえ小さな目標でも、達成するとモチベーションのアップにつながるといえます。
いきなり大きな目標や難易度の高いゴールを設定すると、途中であきらめてしまったりやる気がなくなってしまったりする可能性があるでしょう。成功体験を積み、最終的な目標に向かって1つずつステップアップしていくことが大切です。
自分のライフステージも考慮する
キャリアビジョンは、ライフステージも含めて考えるのがポイントです。たとえば結婚や出産、介護など、状況の変化に伴い変更が求められることも少なくありません。
仕事とライフステージの両方から考え、実現しやすいキャリアビジョンを作成しましょう。
企業に合わせて回答例を変える
企業の経営方針や方向性にマッチするキャリアビジョンを作成するのも大切です。ビジョンがどれだけ魅力的でも、企業が思い描く未来とかけ離れていると採用に至らないケースがあります。
「この企業だからこそ、このビジョンを持てる」という点に着目し、企業ごとにキャリアビジョンの回答例を変えるとよいでしょう。
キャリアビジョンが思いつかないときの対処法
理想とするキャリアをイメージしようとしても、なかなかビジョンが見えてこない方もいるでしょう。そのときは、キャリアの棚卸しやキャリアコンサルタントへの相談などが効果的です。また、ロールモデルを見つけるのもおすすめできます。
以下で具体的な対処法を解説するので、キャリアビジョンが思いつかない方は目を通してみてください。
とにかくキャリアの棚卸しをしてみる
1つ目の対処法は、過去の経験や業務内容、成果などをとにかく書き出して整理することです。以下のようなポイントに着目し、これまでのキャリアの棚卸しをしてみましょう。
- 経験した職種
- 担当した業務内容
- ポジション
- 身についたスキルや資格
- 成功体験
- 失敗と、そこから学んだこと
- 「楽しい」「やりがいがある」と感じたこと
上記を書き出すことで、価値観や強みなどが明確になり将来像が見えてくるでしょう。また、就職や転職活動の軸が定まるため、会社選びがしやすくなるといえます。
ロールモデルを見つける
ロールモデルとは、自分が理想とするキャリアや生き方を目指す際にお手本となる人です。自分のロールモデルを見つけることで、キャリアビジョン作成のヒントを得られるでしょう。
「あの人のようになりたい」「あの生き方に憧れる」などと思える人を見つけたら、その人の経歴や実績などを調べてみてください。OBやOGなどで連絡がとれそうな場合は、直接会って話を聞いてみるのもよい刺激になるでしょう。
ちなみに、「SHElikes(シーライクス)」では自分らしい生き方を実現した100人の物語を紹介しています。ロールモデルが見つからない方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
関連記事:2023夏 特別企画「行動する人がいちばんかっこいい」小さな積み重ねで180度キャリアが変わった100人
キャリアコンサルタントに相談してみる
キャリアコンサルタントの意見を聞くのもおすすめです。厚生労働省によると、キャリアコンサルタントは以下のように定義されています。
キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています*1。
また、キャリアコンサルティングの定義は以下の通りです。
「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます*1。
要するに、キャリアコンサルタントとは、キャリアビジョンの作成をサポートしてくれるパートナーといえるでしょう。
今後のキャリアや転職活動などについてアドバイスが必要な方は、キャリアコンサルタントに相談するのがおすすめです。プロの視点からヒントをもらうことで、将来のビジョンが見えてくる場合もあるでしょう。
キャリアビジョンを明確にして自分に合った仕事を見つけ、理想的な人生を目指そう!
キャリアビジョンを明らかにすることで、自分の理想とする仕事や働き方の将来像が見えてくるでしょう。実現が難しいと思えるようなビジョンでも、ステップごとに目標を設定することで、達成に向けたロードマップが描けるようになります。
もし、ビジョンを実現させるためのスキルや経験が足りないと感じているなら、オンラインスクールで学ぶのもおすすめです。SHElikesなら、ライティングやデザイン、マーケティング、動画編集など全40以上の職種スキルを学べるコースが用意されています。足りないスキルを補えれば、現状と将来像のギャップを埋められたり、人生の選択肢が広がったりするかもしれません。
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※引用
*1:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」より