近頃、「パソコン一台で働ける職業」として、Webデザイナー職の人気が高まっています。一方で、「本当に未経験から挑戦できるの?」と不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
Webデザイナーに必要な知識やスキルを身につけることで、未経験からでも目指すことは可能です。この記事では、未経験からWebデザイナーになるためのスキルや効果的な勉強方法などを解説します。
未経験からWebデザイナーになれるのか
Webデザイナーは近年人気が高まっている職種ですが、「未経験からのWebデザイナーになるのは難しい」「20代〜30代の人が目指せるもの」といった声もあり、不安に思う方も多いのではないでしょうか。結論からいうと、未経験の方や40代〜50代の方でもWebデザイナーになることは可能です。
社会人として会社に勤めながらWebデザインを学び、未経験からWebデザイナーとして就職・転職した方もいます。プロのWebデザイナーとして活躍するのは簡単なことではありませんが、必要な知識やスキルを身につけることができれば、未経験からでもWebデザイナーになるのは夢ではありません。
Webデザイナーはやめとけと言われる理由
Webデザイナーの仕事についてインターネットやSNSで検索すると、「Webデザイナーはやめとけ」など、否定的な言葉を目にすることもあるでしょう。ここでは、なぜWebデザイナーはやめとけと言われるのか、その理由について解説します。
給料・報酬が低い
Webデザイナーはやめとけと言われる理由のひとつに、給料・報酬が低い点が挙げられます。日本国内の給与所得者の平均年収は443万円*1ですが、正社員Webデザイナーの平均年収は340万円*2と、平均よりも低く推移しているのが現状です。さらに、完全未経験からのWebデザイナーとなると、最初の給料は低めに設定される可能性が高く、国内の平均年収より大幅に下回ることも考えられるでしょう。
また、フリーランスのWebデザイナーであっても、駆け出し直後に高単価の案件を獲得することは簡単ではありません。そのため、Webデザイナーは稼ぎにくいという印象を持たれているのです。
しかし、実務経験を積んでデザインスキルの幅を広げていけば、いずれ高単価の案件を獲得できるようになります。最初の給与・報酬が低くても、着実にスキルアップすることで年収も比例して伸びていくでしょう。
労働時間が長い
2つ目は、労働時間が長いことが挙げられます。Webデザイナーの仕事は、クライアントがいてこそ成り立つ仕事です。業務内容やクライアントの都合、あるいは納期によっては自分が希望する労働時間よりも上回ることがあるかもしれません。
一見デメリットに感じる労働時間の長さですが、フリーランスWebデザイナーであれば案件の量や働く時間を調整しやすくなります。「Webデザイナーになりたいけれど、プライベートの時間も大事にしたい」「自分の裁量で仕事量を調整したい」という方は、フリーランスWebデザイナーを目指してみてはいかがでしょうか。
Webデザイナーの仕事内容
Webデザイナーはどのような工程でデザインを作っているのでしょうか。ここからは、Webデザイナーの仕事内容について詳しくご紹介します。
ヒアリングを元に要件定義を行う
Webデザインを制作するうえでまず行うのは、クライアントへのヒアリングと要件定義です。要件定義とは、プロジェクトの概要やWebサイトへ盛り込む内容について話し合い、デザイン作成に必要な細かい内容をまとめることを指します。Webサイトの構成やレイアウトを決めるために必要な工程です。
Webデザイン制作における要件定義のポイントは、以下の9項目です。
- 背景
- プロジェクト概要
- サイト構成
- システム構成
- 技術要件
- インフラ要件
- セキュリティ要件
- リリース要件
- 運用保守
これらの項目を主軸に、丁寧なヒアリングを行います。
デザイン
要件定義を元に、Webデザイン制作に取り掛かる工程です。デザイン制作の工程では、Adobe社のデザインツール「Illustrator」や「Photoshop」などのソフトを使用し、Webサイトの配色やロゴ・アイコンなどの配置を決定します。
Webサイトの色合いや装飾決めをしたあと、デザインカンプと呼ばれるWebページのデザインデータの作成に入ります。これらの工程は、WebプロデューサーやWebディレクターなどの関連職種、またクライアントと相談しながら進めていくことがほとんどです。
コーディング
クライアントからデザインカンプの了承が得られたあとは、コーディングの作業に移ります。コーディングとは、Webデザインをサイト上に見える形として変換するためのソースコードを作成する作業のことです。
コーディングで主に使用する言語には、HTMLやCSS、JavaScriptなどがあり、コーディングをする人をコーダーと呼びます。Webデザイナーはコーディングスキルが必須な仕事ではありませんが、基本的な知識を持つことで関連職種との連携がスムーズになるでしょう。
Webデザイナーに向いている人・向いていない人
未経験からWebデザイナーとして活躍するには、デザインの基礎知識やスキルのほか、向き不向きがあるのは事実です。ここからは、Webデザイナーに向いている人・向いていない人についてご紹介していきます。
向いている人
Webデザイナーに向いている人の特徴は以下の通りです。
- デザインが好き
- 細かい作業が得意
- パソコンスキルが高い
- トレンドに敏感
- 自己管理能力が高い
Webデザインのトレンドは日々変化しているため、常にスキルアップする向上心を持っている人が向いているといえるでしょう。また、Webデザインの仕事は、細やかで地道な作業が多い面もあります。そのため、クオリティの高いデザインを求めて日々努力をし続けられる人が向いている職業なのです。
向いていない人
Webデザイナーに向いていない人の特徴は以下の通りです。
- 自己表現欲求が強い
- 時間管理が苦手
- コミュニケーション能力が低い
Webデザイナーに限りませんが、クライアントがいて成り立つ仕事である以上、何よりもクライアントの要望に応えることが最優先です。要望や制約のなかで、Webデザイナーとして最大限のパフォーマンスを発揮していく必要があります。
そのほか、納期を守るための時間管理や関連職種とのコミュニケーション能力など、基本的なビジネススキルも欠かせません。
未経験からWebデザイナーになる3ステップ
「未経験からWebデザイナーは難しい」などと言われることもありますが、必要なステップを踏みさえすれば、未経験から目指すのも夢ではありません。ここでは、未経験からWebデザイナーになるための3ステップをご紹介します。
Webデザインのスキルを身につける
Webデザイナーとして活躍するためには、デザインの基礎知識からツール操作まで、幅広いスキルを身につけなければなりません。勉強方法は独学やスクールなどさまざまな方法があるので、自分にあった方法を選択してみてください。
また、学んだ知識をアウトプットすることも大切です。実際に手を動かして、自分でデザインを制作してみましょう。その際、スクールなど、講師からのフィードバックを受けられる環境に身をおくのがおすすめです。プロの意見をもとにデザインをブラッシュアップすれば、スキルが格段にアップします。
ポートフォリオを作成する
ポートフォリオとは、自分の経歴・能力・制作物などをまとめた作品集のことです。就職の面接やクライアントへの営業時には、ほとんどの場合提出を求められます。未経験の人は実務経験がない分、ポートフォリオで自分をしっかりアピールすることが大切です。
Webデザイナーを目指すのであれば、ポートフォリオサイトを自分でデザインし、制作してみましょう。「ポートフォリオサイトをデザインした」という実績ができ、デザインスキルのアピールにも繋がります。
案件に挑戦し、実績を作る
採用の場では実績が重視されるため、Webデザインのスキルを身につけたら、案件に挑戦しましょう。とはいえ、未経験からいきなり案件を獲得するのは難しいかもしれません。その場合は、自主制作や知人の紹介などでWebデザインの実績を作るのがおすすめです。
自主制作の場合、「WebデザイナースクールのWebサイト」「30代女性向け化粧品のランディングページ」など、自分で要件を決めてデザインを制作しましょう。実務経験ではないものの、要件定義からデザイン制作まで一通り行ったという実績を作れます。
サービスや店舗を運営している友人・知人がいる場合は、ホームページ制作を引き受けさせてもらえないか交渉するのも良いでしょう。よりクライアントワークに近い形で実践経験を積むことができます。
Webデザイナーになるために必要なスキル
Webデザイナーには、デザインの基礎知識からデザインツールの操作まで、幅広い知識が求められます。ここでは、Webデザイナーに必要なスキルについてくわしく解説します。
デザインの基礎知識
デザインはセンスや直感に任せるものではなく、理論に基づいて作るものです。魅力的なWebデザインを作るために、配色やレイアウト、フォント選びなど、デザインの基礎知識をひと通り学びましょう。
また、レスポンシブデザインの知見も必要です。レスポンシブデザインとは、同一サイトをパソコンやスマートフォンなど、異なるデバイスで見た時のデザインを調整したものを指します。近頃はスマートフォンを利用してサイトを閲覧する人が増えているため、Webデザインにおいて必須の基礎知識といえるでしょう。
各種デザインツールの使用スキル
Webデザインツールとは、Webデザインにおけるコンセプトやイメージを視覚化するためのツールのことです。Webデザインで使用する主なデザインツールは、以下の4つに分けられます。
- UI/UXデザインツール
- グラフィックデザインツール
- 画像編集ツール
- ロゴ作成ツール
どれもWebデザイナーとして仕事をしていくうえで必要なスキルです。
コーディングスキル(HTML・CSS)
コーディングとは、Webデザインをブラウザ上で見られるよう、マークアップ言語と呼ばれるHTMLやCSSを用いてサイトを実装することをいいます。HTMLはサイトの骨組み、CSSは装飾に関わる言語です。
コーディングの知識があれば、デザインを実装してくれるコーダーに配慮したデザインを制作できるため、実務が円滑に進みます。場合によってはデザインからコーディングまでを一貫して担当できるようになるため、仕事の幅も広がるでしょう。
マーケティングスキル
Webデザイナーに求められるスキルはWebデザインだけではありません。Webサイトをユーザー目線のものにするには、マーケティングのスキルも必要です。
マーケティングとは、商品やサービスを得るための仕組みづくりのこと。Webデザイナーが身につけたいマーケティングスキルとして、以下が挙げられます。
- データ分析
- KPI設計
- ペルソナ設計
- マーケティング戦略
- LPO
- SEO
- ABテスト
- UI/UXデザイン
マーケティングの知識が豊富なWebデザイナーは顧客を深く理解したサイト構築が可能となるため、市場価値が高まるでしょう。
コミュニケーションスキル
Webサイト制作の場には、Webデザイナー以外にもたくさんのメンバーが関わっています。クライアントニーズを満たす制作を行うためには、複数のメンバーやクライアントと円滑なコミュニケーションを図るスキルが必要不可欠です。
以下の3つのポイントをおさえ、Webデザイナーに必要なコミュニケーションスキルを身につけていきましょう。
- 聞き出す力
- クライアントやWebディレクターのイメージを具体的に聞き出す力
- 理解する力
- クライアントがWebサイト制作によって達成したい目標や目的を理解する力
- 伝える力
- クライアントの要望や意見をWebデザインにどう反映したかを説明・伝える力
Webデザイナーになるために役立つ資格
Webデザイナーとして採用される際に、これまでの制作実績やポートフォリオのほか、資格の有無がポジティブに影響するケースもあります。
ここからは、Webデザイナーになるために役立つ資格についてご紹介します。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、厚生労働省より指定を受け、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が実施しているものです。1級〜3級まであり、それぞれ学科・実技試験で構成されます。Webにまつわる全般的な内容を理解できるため、知識の定着という面でもおすすめの資格です。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、サーティファイWeb利用・技術認定委員会が主催・認定する試験です。試験はスタンダードとエキスパートの2つに分かれ、Webページ作成能力から応用的なWebサイトデザインまで幅広い出題範囲から試験が構成されます。
Photoshop®︎クリエイター能力認定試験
Photoshop®︎クリエイター能力認定試験は、ソフトウェア活用能力認定委員会が主催・認定する試験です。Photoshopを駆使し、画像編集技術に関する知識を測定します。スタンダードは実技のみ、エキスパートは知識・実技形式の2つに分かれ、Photoshopの基礎から応用までの知識を試すことが可能です。
Illustrator®︎クリエイター能力認定試験
Illustrator®︎クリエイター能力認定試験は、ソフトウェア活用能力認定委員会が主催・認定する試験です。ドキュメントデザイン技術に関する知識を有し、Illustratorを駆使して提示されたテーマ・素材から、仕様に従いコンテンツを制作する能力が測定されます。スタンダードは実技のみ、エキスパートは知識・実技形式に分かれています。
Webデザイナーになるためのおすすめ勉強方法
続いて、Webデザイナーになるための勉強方法についてまとめました。
平均期間 | 費用 | 身に付くスキル | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|---|---|
スクール | 2〜6ヶ月 | △ | ・Webデザインのスキル | ・講師からのフィードバックを受けられる ・挫折しにくい |
・費用が高い |
会社員 | 3ヶ月〜(転職期間) | ◯ | ・Webデザインのスキル ・実務経験 |
・アウトプットの機会が豊富 ・給料をもらいながらスキルアップできる |
・就職するまでのハードルが高い ・未経験の採用求人が少ない傾向にある |
独学(動画・書籍) | 半年〜1年 | ◯ | ・Webデザインのスキル(教材の内容による) | ・費用が安い ・気軽に学べる |
・つまずいたときに挫折しやすい ・アウトプットの機会がない ・フィードバックを受けられない |
独学(アプリ) | 半年〜1年 | ◯ | ・アプリの内容による | ・費用が安い ・手を動かしながら学べる ・気軽に学べる |
・つまずいたときに挫折しやすい ・フィードバックを受けられない |
Webデザインを学ぶための方法はいくつかありますが、何よりも自分に合ったペースや学習方法を選ぶことが大切です。とはいえ、たくさんの方法があると迷ってしまうこともあるでしょう。まずはどのような環境でWebデザインを学びたいか考えることが大切です。
ここでは、スクールや会社員、独学での学び方についてくわしくご紹介します。
スクール
最短期間でWebデザイナーを目指したい方におすすめの勉強方法です。大きく分けて、時間や場所にとらわれず受講できるオンラインのスクールと、講師に質問しやすい対面のスクールがあります。自分のライフスタイルや求める条件に合ったスクールを選択しましょう。
スクールではデザインの基礎やデザインツールの操作だけでなく、コーディングやマーケティングなどあわせて学べるスクールを選ぶと、仕事の幅が広がります。講師からフィードバックを受けられるなど、効率よくスキルを身につけられるのがメリットです。独学で勉強を続けられるか不安な人は、スクールの利用をおすすめします。
会社員
Webデザイナーとして会社に就職し、実務のなかでWebデザインのスキルを身につける方法もあります。同僚や上司から直接フィードバックを受ける、実践経験を積むなどして、独学よりも早くデザインスキルを習得できるでしょう。
給与をもらいながら知識の獲得と実践を並行できるため、効率的にスキルアップを目指せます。しかし、デザイン実務未経験から応募できる求人は多くないため、内定を勝ち取るハードルが高いという点も。「自分のペースで学びたい」「デザインの基礎からしっかり学びたい」という方は、ほかの手段を検討するのも良いでしょう。
独学(動画・アプリ・書籍)
最近では動画やアプリ、書籍など、独学でもWebデザインスキルを習得できる手段が増えてきました。独学の最大のメリットは、学習にかける費用を抑えられることです。ほとんどの教材が月額無料〜数千円程度の低価格で利用できるため、勉強のはじめの一歩として気軽に始められます。
一方で、質問やフィードバックの機会がない分、学習効率が落ちてしまう点も。分からないことにつまずいたとき、挫折する可能性も高まります。「効率よくスキルアップしたい」「一人で頑張れるか不安」という方は、スクールの利用を検討するのもおすすめです。
未経験からWebデザイナーになった人の事例を紹介!
ここからは、SHElikesを活用し、未経験からフリーランスWebデザイナーとして独立した受講生の例をご紹介します。
「『娘のために生活を変えたい』保育士だった私が、未経験から自由に働けるデザイナーになるまで」michiさん
仕事と家庭の両立に悩み、家族を最優先にできる仕事がしたいと考えるようになったmichiさん。そんなとき、SHElikesの体験レッスンへ参加し、「ここで何か新しいスキルを身につけたい!」と入会を決意しました。現在は時間を気にせず自宅で働くフリーランスロゴデザイナーとして活躍しています。
「本音に蓋をしていた接客・営業職から、憧れのWebデザイナーになるまで」Aya.さん
幼い頃から憧れていたデザイナーの仕事に未練を抱きながらも、アパレルショップの接客・営業職として働いていたAya.さん。夢を諦めきれずSHElikesへの入会を決意し、デザイン以外の周辺スキルまでも幅広く習得しました。現在は、副業フリーランスとしてデザイナーの夢を叶え活躍しています。
最短距離でWebデザイナーを目指すならスクールがおすすめ
未経験からWebデザイナーになるには、実践を積める環境で学ぶことが大切です。Webデザインの基礎知識だけでなく、Webマーケティングやブランディングなど、Web制作に活かせるスキルを掛け合わせて学ぶと、自分にしかない強みをもったWebデザイナーを目指せるでしょう。
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※出典
*1:「国税庁」令和3年分民間給与実態統計調査結果についてより
*2:「求人ボックス」Webデザイナーの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)より