SHE Fukuoka OPENING PARTY〜うちらの物語、ここからやけん!〜【イベントレポート】

2025年12月13日、「SHE Fukuoka」のオープンを記念したイベント「SHE Fukuoka OPENING PARTY〜うちらの物語、ここからやけん!〜」を開催しました。

SHEの九州初拠点であり、今回イベント会場となった WeWork 天神ブリッククロスには、会員・非会員合わせて約50名が来場。オンライン参加者も加わり、福岡を起点に九州全体の女性活躍推進の未来を描く、特別な一日となりました。この記事では当日の様子をレポートします。

SHE Fukuoka OPENING PARTYについて

SHE Fukuoka OPENING PARTYでは、福岡市長 高島宗一郎氏をお迎えしたトークセッションや、九州で活躍するSHElikesの受講生によるプレゼンテーション、全国に展開するWeWork Japan 熊谷 CEOからWeWorkに九州初拠点をオープンするお祝いの挨拶など、地方における女性のキャリアと可能性を考える充実したプログラムが用意されました。

福岡の街を一望できる開放的な会場には、これまでSHElikesで学んできた方から、これから一歩を踏み出そうとしている方まで、さまざまな想いを持った参加者が集結。みなさん最初は緊張した面持ちでしたが、少しずつ空気が和み、他のシーメイト*1さんやスタッフとリアルで会えることに歓喜する様子も見受けられました。

*1:SHElikes受講生の総称。

福岡拠点立ち上げまでの軌跡 

イベントは、SHE Fukuoka立ち上げリード 石井の挨拶でスタート。

「今、頭が真っ白で…浮かんだ言葉をそのままお話しさせてください」

感極まった様子で語り始めた石井。その言葉には、3年間この日を夢見続けてきた想いがあふれていました。

10年前、変化し続ける天神ビッグバンの街づくりに感銘を受け、福岡の可能性を感じた石井。やがてシーメイトになったとき、「なぜ福岡に拠点がないのだろう?」とふと疑問を抱きます。

2022年のSHEアワード*2で宣言カードに記した「福岡拠点、必ず作るぞ!」という言葉。そのカードを額縁に入れ、自宅のデスクに置きました。SHEに入社後は、毎日その宣言を目にしながら歩み続けてきたといいます。

*2:SHElikesを通じて、自分らしい生き方を実現した受講生・卒業生を表彰する年に一度のイベント。

2025年夏、ついにプロジェクトは本格始動。多くの方々の協力を得て、ようやくこの日を迎えることができました。

「『夢は言葉にしていこう』というSHElikesのお約束の力を、本当に実感しています。地方にSHElikesを届けたい。地元企業や地域とつながる場所を、皆さんと一緒につくっていけたら嬉しいです」

九州で輝く!シーメイトのキャリアストーリー

続いては、九州で活躍する2名のSHElikes受講生を迎えた座談会。石井がMCを務め、それぞれのキャリアストーリーと、SHElikesでの学びがもたらした変化について語り合いました。

フリーランスWebデザイナーのたかなさんは、子育てと仕事の両立に悩み、仕事先で、自分がいなくても仕事は回ると感じた経験から、自分の存在価値を見失っていたといいます。

しかし、知人がSHElikesをきっかけにWebデザイナーになった姿を見て入会を決意。「趣味は何ですか?」と聞かれるたびに「SHElikesです」と答えるほど夢中で学び、入会7ヶ月後に念願のフリーランスに。

現在は地元大分でデザインの仕事を複数受注しており、カフェのタペストリーや看板なども手がけています。

「地方に住んでいても、子育てをしていても、自分に合ったスキルを身につけることで、在宅で働く選択肢は広がります。地方でも理想の働き方ができることを、これからも自分自身で証明していきたいです」

株式会社it’s hatch代表のはっちさんは、入会前は「母親は家にいるべき」という思い込みを抱え、新たな環境に飛び込む不安を感じていました。

入会当初はSNSへの苦手意識からシーメイトと交流できず孤独を感じながら受講を進めていましたが、3ヶ月目にコーチングで「マルチポテンシャライト*3」という考え方に出会い、転機が訪れます。シーメイト向けに自主企画したオンライン春フェスは、120人を集めるイベントになり、そこでビジネスパートナーとも出会いました。

親世代の価値観との衝突もありましたが、SHEアワードへの出場をきっかけに家族から活動を理解してもらい、今では全力で応援してもらえるようになったそうです。

現在は会社を設立し、キャリアデザインプログラムやコミュニティ運営、企業のクリエイティブサポート事業を展開しています。

「福岡だと、東京や大阪に勝てないと思いがちですが、全然そんなことはありません。地方だからこそできる働き方も、夢の叶え方も、チャンスも山ほどあるんです!『他の都市と同じくらい福岡も盛り上がっている』と言えるくらいのパワーを、この拠点から一緒に発信していきましょう!」

堂々と、そして笑顔で語る二人の姿に、会場からは大きな拍手が送られました。

*3:多様な興味や職業を追及する人たちのこと。

地方における女性のキャリアと街づくり 
福岡市長とSHE代表福田のトークセッション 

続いて行われたのは、福岡市長 高島宗一郎氏とSHE代表 福田恵里によるトークセッション「地方における女性のキャリアと街づくり」です。

高島市長は、元アナウンサーで36歳の時に福岡市長に就任。以降、選挙のたびに史上最多得票を更新し、現在4期目を務めています。地方自治体だからこそ実現できる変化のスピードや、天神ビッグバンによる人口増加、税収増と、その好循環について語ってくださいました。

福岡市の成長と魅力

高島市長:「市長や知事が変わるとどんどん変わっていく地方の様子を見て、日本を良くするためには地方から変えていこうと思い、福岡市長に立候補しました」

福田:「SHElikesでも地方在住の受講生が増えています。地方だからこそ、コミュニティの温度感や支え合いが生まれやすいと感じています」

天神ビッグバンプロジェクトでは、建て替えにインセンティブを与えるために高さ規制や容積率の緩和を実施。市民や企業から選ばれるまちづくりを推進した結果、福岡市の人口は市長就任時から約20万人も増加しました。

高島市長:「社会が変化している中で、自分も変わり続け、企業も変わり続けることが重要です。変わらないことは衰退を意味します。福岡から日本を変えていけると考えています」

福岡市の女性支援・子育て支援

福岡市では、男性の育休取得率が民間企業でも48%、市役所では100%と非常に高い水準を達成しています。

高島市長:「制度があっても使えない雰囲気が問題なので、育休取得のタイミングを検討するための上司との面談など、育休取得を『当たり前』にするための徹底した取り組みを行っています。また、育休を取る人の代わりに仕事をフォローする人にはインセンティブも設けています」

福岡の子育て支援では、2人目以降の保育料を無料にし、今年は給食費の無償化にも踏み出しました。3歳になるまではおむつやお尻拭きも毎月配送しています。これらの施策は、市長就任以来、税収が1.5倍になったことで実現できており、天神・博多の変革により得た税収を子育て支援や福祉に回すという好循環を生んでいるといいます。

福田:「子育てと仕事の両立で悩む受講生が多いですが、福岡のように行政がしっかりサポートしてくれる環境があると、女性も安心してスキルアップに挑戦できますね」

福岡のスタートアップ支援と女性起業家

2012年よりスタートアップ企業の支援を開始した福岡市。福岡のスタートアップの特徴として「ソーシャルスタートアップ」があります。これは、会社が成長すればするほど社会課題が解決されていくビジネスモデルです。

高島市長:「例えば、多胎児に特化したサービスなど、ニッチでピンポイントな課題解決型のビジネスが増えています。こうしたソーシャルスタートアップを支援するため、ふるさと納税を活用し、寄付金の100%がそのまま企業に届く仕組みを作りました」

この制度で採択された企業の6割が女性経営者だと言います。

高島市長:「女性だからこそ、強く感じる社会課題も存在しています。自分が困っていることは他の人も困っているはずだという発想から、様々なサービスが生まれています」

これからの女性のキャリアについて

高島市長:「コロナ禍でも影響を受けにくかったのは、ネットやITのスキルを持った人たちでした。オンラインで仕事ができて、安定して働き続けられた。これからはAIも出てきて、『ソロプレナー』といわれる“1人でビジネスをする人”が登場する時代になっています」

福岡には、スタートアップカフェやエンジニアカフェなど、様々なコミュニティがあり、老若男女問わず学び合える環境が整っていると紹介されました。

福田:「たとえ起業するハードルが高くても、起業した方を支える側として社会に貢献することもできますよね。どちらの立場だとしても、福岡市ではそんな仲間を探せる場が充実しているんですね」

高島市長:「自分の興味の方向性に合わせて学びを極めていく道がたくさんあります。積極性がある皆さんなら、自分にぴったりフィットする場所がきっと見つかるはずです」

そして、トークセッションの締めくくりとして、高島市長よりこれから一歩を踏み出そうとしている女性たちへ、力強いメッセージが送られました。

高島市長:「素晴らしい人生や、自分らしい生き方は、誰も準備してくれません。自分で勝ち取るつもりで、ぜひ頑張ってください!」

参加者は頷きながら真剣に話を聞き、一人ひとりの表情からはそれぞれの未来への決意が感じられました。

お楽しみ満載の交流会

クロージング後は、参加者同士の交流会へ。

受付で配られたお土産セットには、願いを込める「だるま」と、自己紹介ビンゴシートが入っており、初対面同士でもすぐに打ち解けられる工夫が施されていました。

会場には自己紹介ビンゴシートを手に、積極的に声をかけ合う参加者の姿。ビンゴが完成するとSHEグッズがもらえるとあって、会場は大盛り上がり。「同じ県出身の方」「フリーランスの方」「子育て中の方」など、様々な共通点を見つけながら、新しいつながりが次々と生まれていきました。

フォトブースでは、参加者同士で写真を撮り合う姿も。SNSに投稿するための一枚を撮影したり、新しく出会った仲間との記念撮影をしたり、思い思いの時間を過ごしていました。

ケータリングでは、福岡名物の一つである一口いなりなどが用意され、軽食を囲みながらの会話も弾みます。

会場の一角には、願いを絵馬に書き込める「願掛けコーナー」も。「フリーランスとして独立したい」「新しいスキルを身につけたい」「仲間を増やしたい」とそれぞれの想いを絵馬に託し、だるまに目を入れる参加者たち。オープニングで石井が語っていた「夢を言葉にする」ことを、ここで実践する姿がありました。

また、会場ではキャリアカウンセラーによる相談会も実施され、「今後のキャリアをどう考えればいいか」「スキルアップの方法」など、一人ひとりの悩みに丁寧に耳を傾ける時間も設けられていました。

参加者の皆さんは初対面でもすぐに打ち解け、あちこちで連絡先の交換をする姿が。SHElikesのコミュニティの温かさが感じられる、充実した交流タイムとなりました。

おわりに 

イベント終了後、SNSにはハッシュタグ「#SHEfukuoka」を添えて、多数の感想が投稿されていました。

「うちらの物語、ここからやけん!」

この言葉の通り、SHE Fukuokaは、九州で新しい一歩を踏み出そうとする女性たちの物語が始まる場所となります。自治体・企業・地域コミュニティと連携しながら、福岡を起点に九州全体へ。

SHE Fukuokaは、学びの場であると同時に、仲間と出会い、支え合い、それぞれの「私らしい働き方」を実現するためのコミュニティのハブとして、これからも進化し続けます。

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ABOUT ME
ライター ヘルシーナースまちこ
インタビュー/取材/コピーライター。 看護師・公認心理師として現役を続けながら、人やものごとの魅力を伝える担い手としても活動中。企業様のコンテンツディレクションもお引き受けしています。
エディター 橋本 恵梨奈
コンテンツディレクター | SHElikes卒のフリーランス | ヘアケアブランドを展開するD2C企業での勤務を経て、ライターとして独立 | 「誰もが自分を満たせる世の中」を目指して活動している
カメラマン Tomo
現役シーメイト・フリーランスフォトグラファー│趣味で続けていたカメラスキルをシーライクスでの学びを通して進化させ幅広く活動中│ジャンル、職種など様々なことに制限を設けず自由な暮らしをしています。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。