労働者を取り巻く環境の変化から、終身雇用制度は終わりを迎えるといわれる昨今。「このままのキャリアで良いのかな」「もっと自分に合う職場があるんじゃないか」などと、転職を検討する人も多いのではないでしょうか。
本記事では、転職を考えるきっかけやその理由、また面接の際に使える理由別の例文などを紹介しています。ほかにも、転職に活かせる内容について詳しく解説しているので、転職を検討している人はぜひ最後までご覧ください。
転職を考えるきっかけ6つ
厚生労働省が発表した「令和2年転職者実態調査の概況*1」では、離職の理由について、労働条件や仕事内容などの理由を含む「自己都合」による退職が76.6%となっています。以下に、自己都合による退職の内訳の上位6つをまとめました。
気になる転職理由やそのきっかけについて、それぞれ詳しく紹介します。
1.労働条件や仕事内容
退職理由が自己都合のうち、もっとも多かったのは「労働条件や仕事内容に満足がいかなかった」という理由でした。具体的には、勤務時間や休日の取りやすさといった労働条件のほか、希望する業務に携われないなどの仕事内容への不満から、転職を考えるきっかけとなる人が多いと考えられます。
労働条件や仕事内容は、仕事するうえでのやりがいやモチベーションに大きな影響を与えるため、転職を検討する大きな要素となるでしょう。
2.給与
転職理由や転職を考えるきっかけのうち、給与も大切な要素の一つです。給与は自分の働きに対する対価として支払われるため、内容と給与が見合っていないなどのギャップが生じると、フラストレーションが溜まってしまうでしょう。
給与で悩むタイミングで、同じような条件でより良い給与をもらえる会社と出会ったことが、転職を考えるきっかけになったという人もいます。
3.人間関係
職場における人間関係は、働きやすさを構築する最大の要因であるといっても過言ではありません。たとえば、協働する仲間との関係性が築けないと、コミュニケーションエラーが起きてしまうなど、トラブルが起こりやすくなるでしょう。
人間関係におけるフラストレーションをきっかけに、良好な関係を築ける環境への転職によって、さらに自身の能力を発揮できるようになったという方もいるようです。
4.会社の将来が不安
顧客数の減少や売上の低迷など、会社の将来が不安になったことを転職のきっかけとする人もいます。また、顧客数の減少および売上の低迷といった業績悪化の背景には、顧客から将来性が見込めないと思われている可能性もあるようです。
将来性の見込めない会社に留まることは、スキルアップや新たな経験へのチャンスを逃す可能性があるため、転職理由の大きな一因となるでしょう。
5.人事評価や他職種への関心
人事評価は、仕事するうえでのモチベーションに大きく関わるため、正しく評価を得られないことによるフラストレーションも転職のきっかけとなります。また、他職種への関心が高まり、現職で関心を満たせないと感じた場合も、転職を検討する一因となるようです。
人事評価や他職種への関心が高まったタイミングで、成果主義の企業や自己実現できる企業を見つけたときが転職のタイミングとなる人もいます。
6.ライフステージの変化
これまで紹介した転職のきっかけは、いずれも職場環境や制度によるものでした。しかし、転職理由は職場によるものだけでなく、ライフステージの変化やプライベートによる影響が関わることもあります。
たとえば、結婚による引越しや妊娠・出産による育児の必要性など、仕事と家庭を両立させることが難しくなることもあるでしょう。このように、ライフステージの変化などによって自分を取り巻く環境変化が生じることも、転職を考えるきっかけとなります。
年代別にみた転職理由ときっかけ
転職を考える人のなかでも、年代によって転職理由やきっかけはさまざまです。以下に、年代別に多く聞かれる転職理由やきっかけをまとめました。
年代やそれぞれのライフステージによっても、転職理由やきっかけは異なります。それでは、年代別に詳しく解説します。
20代の転職理由ときっかけ
20代では、仕事内容と自分の特性との不一致や職場内の人間関係に悩むことが多いようです。なかでも、20代前半では大学卒業後に初めての就職を経て、このように悩む人も多くみられます。
また、年齢が大きく離れた世代とのやりとりが増え、学生と社会人とのさまざまなギャップに悩まされやすいのもこの時期です。より良い人間環境の職場や適職な職場を求めるようになることが、転職理由やきっかけとなります。
30代の転職理由ときっかけ
30代では、「20代で身につけた実務経験を活かしたい」「自分の強みや弱みを把握したからこそ、自分らしいキャリアを歩みたい」という思いから、転職を考えるきっかけとなる人もいます。
また、結婚や妊娠・出産などのライフイベントによって、私生活が変化する人が多くなるのもこの世代の特徴のひとつです。家庭と仕事を両立させられる環境か、といった点がポイントとなるといえるでしょう。
40代の転職理由ときっかけ
40代は、管理職となり部下への教育やマネジメントに携わる人も増えてくる年代です。この年代では、部下と上司との間に立つことも増え人間関係に悩んだり、職場内における評価にフラストレーションを抱いたりして、転職を考えるきっかけとなる人もいます。
また、会社の将来性や収入に不安を感じるようになる人が増えるのもこの年代の特徴です。より自己実現できる環境や、収入面での不安を払拭できる環境かどうかが転職のポイントとなるといえます。
50代の転職理由ときっかけ
50代では、引き続き人間関係での悩みや仕事内容への不満のほか、会社への将来性や安定性への不安をきっかけに転職を考える人が増えています。給与面よりも、自己実現や安定性など、より良い環境で成果を上げたいと考えるようです。
また、給与面を除いた労働条件をきっかけに転職を考える人が多く、プライベートを重視する傾向がみられるのも50代の特徴といえるでしょう。
転職のタイミングに迷ったときのチェックポイント
転職理由やきっかけが明確になったとしても、いざ転職するとなると悩みの種となるのが転職のタイミングでしょう。以下に、転職に迷った時のチェックポイントをまとめました。
転職のタイミングに迷ったとき、これから紹介するチェックポイントに沿って洗い出してみてください。
転職を考えた理由を洗い出す
まずは、どうして転職したいと考えたのか、転職を考えた理由をしっかりと洗い出しましょう。転職理由が定まらずに転職のタイミングを誤ってしまうと、スムーズに転職が決まらなかったり年収が下がってしまったりなど、思わぬトラブルに見舞われる可能性もあります。
また、転職理由について深く追求することで、同様の理由での再転職や転職先とのミスマッチを防ぐといったメリットがあり、必ず押さえるべきポイントのひとつです。
解決したいことを整理する
次に、転職によって解決させたい問題や課題などを整理しましょう。たとえば、転職の理由が給与面なら希望年収の設定、人事評価であるなら成果主義の企業を探すなど、叶えたい要素を一つひとつ整理することが大切です。
また、解決したい課題や問題を抽出する際は、やみくもに挙げていくのではなく、優先順位をつけていくのがおすすめです。全てを解決させようとすると、転職の難易度が上がるだけでなく、かえって転職先とのミスマッチが起こる可能性もあるため注意しましょう。
現職で解決できないのか明確にする
ここでは、これまでのステップで導き出された考えを、「転職でなければ叶えられないのか」「現職では解決できないのか」といった客観的視点から評価します。これは、現職への課題に対して、転職せずとも自分の努力や自己研鑽によって解決できるケースを払拭するために大切な工程です。
「思っていた転職と違った」というようなミスマッチが起きないよう、しっかりと押さえたいポイントといえます。
リサーチし転職のタイミングを計る
自分が希望する業種やタイミングで転職するには、転職に適した時期に転職活動するのが大切です。たとえば、希望する企業であっても希望する職種の募集がないタイミングなど、十分にリサーチしなくては転職活動がスムーズに進みにくくなってしまうでしょう。
ちなみに、年度の節目や社内異動があるシーズンなどに備えてリサーチすると、より多くの求人情報をリサーチしやすいためおすすめです。
転職に踏み切るべきタイミングとは
ここまで、転職する前に整理しておくべきポイントについて紹介しました。ここからは、以下のポイントに沿って、転職に踏み切るべきタイミングについて解説します。
転職に踏み切るべきタイミングは、人によりさまざまです。自分に合ったタイミングで進められるよう、ぜひ参考にしてみてください。
課題が明確かつ現職では解決が不可能なとき
まず、現在抱えている課題が明らかになっており、さらに現職ではその課題を解決させられないときは、転職に踏み切るべきタイミングといえます。たとえば、さらなるキャリアアップや異業種へのキャリアチェンジなど、現職でのキャリア構築に限界がある場合などが該当するでしょう。
ちなみに、キャリアアップやキャリアチェンジを目的とした転職では、必要なスキルや知識をリサーチし、資格の取得なども含め転職に向けて準備していくことがおすすめです。
ライフステージが変化したとき
結婚や妊娠・出産、また介護などといったライフステージが変化したときも、転職に踏み切るひとつのタイミングといえます。ライフステージが変化すると、どうしてもこれまでと同じように仕事に注ぎ込める時間が減ってしまうことがあるため、仕事と家庭のバランスが取れる職場環境を選択するにはおすすめの時期でしょう。
しかし、ライフステージが変化するタイミングや回数は人それぞれのため、長期的な目線でのライフプランを設計することが大切です。
求人が増える時期
1年間を通して、求人が増える時期がいくつか存在します。
- 1〜3月
- GW明け〜6月
- お盆明け〜10月
これらの時期は、採用予算の関係や中途採用で人数を補填したいといった関係から、求人が増えやすい時期といわれています。この時期は求人数が多いため、希望する職種や条件とマッチする募集も見つけやすくなるでしょう。
転職理由の好印象な伝え方は?例文3つを紹介
転職を成功させるためには、相手に好印象を与える転職理由が大切です。とはいえ、「好印象な転職理由が思いつかない」という人もいるのではないでしょうか。ここからは、相手に好印象に伝わる転職理由ごとの例文を3つ紹介します。
当てはまるものを参考に、転職に向けて準備してみてください。
労働条件や仕事内容が転職理由のとき
労働条件や仕事内容が転職理由の場合、改善させたい点をネガティブに表現せず、ポジティブに言い換えて表現するのがポイントです。
たとえば、労働時間が長く休日が取りにくいといった理由の場合、
「前職では、業務量の多さから残業が慢性化している環境でした。業務効率化の取り組みに積極的で、仕事とプライベートのメリハリを大切にしている御社であれば、限りある時間で質の高い仕事に勤められると感じております。」
といったように、前職での課題や問題を前向きに解決させたいと考えていることを伝えると、相手に好印象を与えられるでしょう。
給与が転職理由のとき
給与面が転職理由の場合は、収入アップを全面に押すのではなく、キャリアアップにフォーカスした表現がおすすめです。
たとえば、「前職では、成果や目標達成に応じた評価や報奨金の支給制度などがなく、目標達成による手応えを感じにくい環境でした。インセンティブ制度が導入されている御社では、モチベーション高く目標や成果に向けて邁進していけると考えております。」といった形です。
この場合も同様に、前職のマイナス面のみを表現することは避けましょう。転職先では、キャリアアップなどの働きや取り組みを通し、収入アップさせたいことを伝えると好印象を与えられるでしょう。
ライフステージの変化が転職理由のとき
結婚や出産といったライフステージの変化で転職する場合、新たな環境で長く勤めていきたいことをアピールすると良いでしょう。
たとえば、「1年前に出産し子育てにも慣れてきたことで、キャリアアップや仕事を通して社会貢献したいという思いが高まりました。御社は、オン・オフのメリハリやワークライフバランスを大切にした職場環境であるとお聞きし、ぜひ御社で子育てと仕事を両立させながら社会貢献を果たしたいと考えております。」
といったように、ライフステージの変化のみが理由ではなく、変化をきっかけにどのような役割を果たしたいのかといった点を伝えると、説得力を与えられるでしょう。
転職のきっかけに悩んだらすべきこと
ここまで、転職理由やきっかけのほか、転職時に活用できる例文について紹介しました。貴重な転職のタイミングを逃さず理想の環境で仕事するためには、自分のキャリアや転職そのものに対する解像度を上げることも大切です。ここからは、転職のきっかけに悩んだらすべきことを4つ紹介します。
一つひとつ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
自己分析する
自己分析にはキャリアの棚卸しやコーチングなどの活用がおすすめな観点からSHEを紹介
転職を考えるきっかけに悩んだら、まずは自己分析をしてみましょう。自己分析には、これまでのキャリアの棚卸しがおすすめです。キャリアの棚卸しとは、これまでの社会人経験を細かく書き出し、職務内容や経歴などを整理することをいいます。
また、自己分析するなかで「自分の強みや弱みが分からない」「本当にやりたいことがわからない」といった悩みを抱える人もいるでしょう。そのような場合には、コーチングなどのサービスを活用するのもおすすめです。女性向けオンラインキャリアスクールSHElikes(シーライクス)では、理想のライフプランやキャリアプランを叶えるためのグループコーチングサービス*や、自分と向き合う方法や達成したいゴール設定方法について学べる「セルフコーチングコース」が用意されています。
より深く自己分析したい、いまいち自己分析方法がわからないという人は、プロによるサポートが受けられるサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
*SHElikesオリジナルのコーチングで、理想の人生を棚卸しし、毎月の目標を立て先月の振り返りを行います。グループコーチングで、月に1回オンライン限定です
キャリアプランを考える
転職するきっかけは人によりさまざまですが、キャリアプランを設計し叶えたい目標や理想の働き方について考えることが大切です。
キャリアの目標や計画はあっても、これまでなかなか実行に移せなかったという人は、転職を考えるタイミングでキャリアプランの練り直しをしてみても良いかもしれません。改めて自分の特徴を把握することで、具体的なアクションプランを立てられるようになるでしょう。
転職について相談する
転職や今後のキャリアに悩んだときは、他者に相談し客観的な意見をもらうのも役立ちます。相談する際には、先に転職を経験した同僚や上司、またハローワークや転職エージェントなど、転職経験や知見のある相手に相談するのが良いでしょう。
一方で、現職の同僚や上司などに相談すると、転職活動の引き止めにあったり仕事がしづらくなったりなど、思わぬトラブルに見舞われる可能性もあります。そのため、相談相手は慎重に選ぶことが大切です。
求人情報のリサーチ
転職のきっかけに悩むときは、まず転職市場にどういった求人が出ているのかリサーチするのもおすすめです。昨今、「doda」や「ビズリーチ」といった求人情報サイトが数多く登場しており、自分に合ったサイト探しをすると求人情報を探しやすくなります。
転職のきっかけや理由に合わせて条件を絞り込めるサイトもあるため、転職を考えはじめたタイミングでリサーチすると、転職市場の様子がわかるようになるでしょう。
転職を考えるきっかけと向き合い、より理想の職場で夢を叶えよう!
経済情勢の変化と労働者の価値観の変化など、労働者を取り巻くさまざまな環境変化により終身雇用の時代は終わりを迎えているといわれています。そのなかで、転職を考えるきっかけがあったら、そのきっかけについてしっかりと向き合い、キャリアアップやキャリアチェンジに活かしてみると良いでしょう。
転職したいけど、「自分のキャリアプランに自信がない」「理想を叶えるために必要なスキルが分からない」などとお悩みの際は、女性向けオンラインキャリアスクールSHElikesを活用がおすすめです。自己分析に必要なコーチング*や「セルフコーチングコース」のほか、ワークを通してキャリアプランを設計する「キャリアデザインコース」など、全45種以上の職種スキルが定額制で学び放題**となっています。
今回の記事を参考に、転職を考えるきっかけと向き合い、ぜひ理想の働き方やライフプランを叶えてください。
*夢や理想に近づくために、コーチと一緒に目標設定・振り返りを行う場。
**スタンダードプランの場合
※引用・参考
*1:厚生労働省「令和2年転職者実態調査内、2転職理由」より