就職・転職活動を行う際に、ポートフォリオの提示を求められるケースがあります。ポートフォリオは今までの実績や作品を紹介するものですが、導入部分にあたる自己紹介も評価を左右する重要な要素です。
しかし「自己紹介に何を記載すればいいかわからない」「自己紹介のどこが評価されるの?」と悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、ポートフォリオの自己紹介の作成方法を解説します。
ポートフォリオにおける自己紹介(プロフィール)の役割
ポートフォリオの出だしとなる「自己紹介」は、人事担当者にあなたを印象付ける重要な要素です。自己紹介は、その後に続く中身に興味を持って読み進めてもらうための導入の役割があります。
人事担当者は、多くの志願者のポートフォリオを見るものです。出だしの自己紹介部分で「能力やセンスが高そう」「人柄に魅力を感じる」といった印象を与えられれば、たくさんの志願者の中でもあなたのポートフォリオに興味を寄せてもらうことができるでしょう。
ポートフォリオでは、提示する実績や作品に重きを置きがちですが、自己紹介を軽視するのは禁物です。自己紹介は、人事担当者に与える最初の印象を左右するため、丁寧に作り込むことをおすすめします。
ポートフォリオの自己紹介に書くべき内容
ポートフォリオの自己紹介部分には、以下4点を記載しましょう。
それぞれの記載内容の詳細を紹介します。
1.基本情報
基本情報は「氏名」「生年月日」「顔写真」「卒業大学・学部」をおもに記載します。内容自体は履歴書とほとんど同じと考えてよいでしょう。
ただし、ポートフォリオは履歴書よりも自由度が高いという特徴があります。よって、単純な情報の羅列にするのでなく、個性やセンスを感じさせるレイアウト・デザインにするのがおすすめです。
2.職務経歴の概要
職務経歴の概要には、過去にどの会社でどのような仕事を行ってきたのかを、端的にまとめます。
ポートフォリオでは「いつ、誰と、どのように」仕事をしてきたのか詳細を伝えることが重要ですが、それらは自己紹介とは別ページの実績紹介で詳しく記載します。
よって、自己紹介ではあくまで概要をわかりやすく記載するようにしましょう。
3.保有スキル
ポートフォリオでは、スキルセットを詳細に記載しましょう。あなたに何ができるのかを、人事担当者に具体的にイメージさせることが重要です。
ただ使えるツールを羅列するといった記載の仕方では、どの程度使用できるのかがわかりません。たとえば、レーダーチャートといったグラフを使用すればスキルのレベルも伝えることができます。
また、「使用可能なツール」といった実務的なスキルだけでなく、「コミュニケーション能力」といったビジネススキルも記載するのがおすすめです。
4.自己PR文
自己PR文には、他の人と差別化できるあなたならではの強みを記載しましょう。
たとえばデザイナーで「デザインのスキルやセンスがあるだけでなく、アクセス解析ツールで数値的な成果を出すための提案ができる」などは差別化できるポイントになるでしょう。
自己PR文には、強みを発揮できた具体的なエピソードや定量的な成果が記載できれば、より説得力が増します。
ポートフォリオで魅力が伝わる自己紹介の書き方
ポートフォリオで、あなたの魅力を伝えるために意識すべきポイントを7つ紹介します。
各ポイントの詳細を見ていきましょう。
1.わかりやすく簡潔にまとめる
自己紹介は「わかりやすく簡潔にまとめる」ことが大事です。人事担当者は多くのポートフォリオを読まなければならないため、デザインや文章で読みにくいという印象を与えてしまえば、中身をよく読んでもらえない可能性もあります。
たとえばデザイン系の職種であれば、ポートフォリオを見やすく設計することは、デザインスキルのアピールにもなるでしょう。
自己紹介文は、冗長にならないよう、メリハリをつけわかりやすく簡潔にまとめることが大事です。
2.見やすいレイアウトにする
レイアウトは、ポートフォリオの印象を左右する重要な要素です。わかりやすく見やすいレイアウトにすると、読み手が内容を把握しやすくなります。
具体的には、以下の点を意識しレイアウトを整えるのがおすすめです。
- 全体の色味・バランスに統一感を持たせる
- 画像と文字の配置を適切にする
- 読みやすいよう適切な位置で文章を改行する
中身を読んでもらえるよう、レイアウトにもこだわるようにしましょう。
3.成果は具体的に書く
成果が具体的であるほど、あなたのスキルに対する説得力が増します。具体的な成果が示されていれば、人事担当者はあなたが自社で活躍してくれるイメージをよりリアルに持つことができるでしょう。
たとえば、Webサイトのリニューアルを行ったのであれば、リニューアルの結果「流入数10%増加」「直帰率6%改善」といった数値を、具体的に記載するのがおすすめです。
「何を行ったか」だけでなく「どのような成果につながったか」は、採用にあたって重視されるポイントです。
4.応募先や目的によって内容を変える
ポートフォリオは、応募先や職務内容によって変更しましょう。企業によって求める人材は異なるため、ポートフォリオに記載する内容は企業ごとに変えるのがおすすめです。
ただし、内容を変えるといっても、嘘を記載するということではありません。たとえば、応募する企業の求める人物像に合わせて、自己PRで強調するポイントを変更するといった調整を加えます。
事実を偽らない範囲で、企業に合わせて自己紹介文を変えることも大事です。
5.強みを明確にする
自身の強みを明確にしたうえで、自己紹介でアピールしましょう。強みを明確にして伝えることは、入社後のミスマッチを避けることにもつながります。
たとえばWebディレクターといっても、広告代理店に所属するWebディレクターとサービス事業会社のWebディレクターでは、携わる業務の範囲や領域が異なる場合が多く、強みも異なってくるでしょう。あなたの強みについて正しく認識されていなければ、入社後任された仕事が合わなかいといったミスマッチが発生してしまうかもしれません。
強みは明確にし、具体的なエピソードと併せて説明すると、より解像度が高く伝わるでしょう。
6.人柄のアピール
履歴書や職務経歴書では伝えきれない「人柄」を伝えることも大事です。
会社には、一人で完結する仕事はほとんど存在しません。「チームワークを大切にできそうか」「一緒に仕事をしたいと思える人柄か」など、自己紹介では、実績やスキルでは伝えられないあなたの人柄をアピールすることが大事です。
自分らしさが反映されていないポートフォリオは、いまいち印象に残らなくなってしまいます。オリジナリティを出しすぎて読みにくくなってしまうのは避けなければなりませんが、自然な範囲であなたの魅力が伝わるような自己紹介にしましょう。
7.実績が少ない場合は理由を述べる
掲載できる実績が少ない場合は、その理由を述べるようにしましょう。理由が記載されていなければ、単に経験が浅いと認識されてしまう可能性があります。
たとえば、「数年かかるような大きなプロジェクトに時間を費やしていた」場合や、「クライアントの都合で開示できない」といった理由もあるでしょう。実績が少ない場合は、提示できる数少ない実績を深く掘り下げて紹介するのもおすすめです。
実績が少ない理由を明記すること、提示できる少ない実績をひとつひとつを丁寧に紹介することがポイントです。
ポートフォリオにおける自己紹介の「職種・シチュエーション別」ポイント
自己紹介の内容は、応募する職種・シチュエーションによっても変わります。
上記5つのパターン別に、ポートフォリオの自己紹介作成のポイントを紹介します。
Webデザイナーなどのクリエイティブ系
クリエイティブ系職の場合、自己紹介では「使用可能なツール」「クリエイティブで発揮できる個性」「収益化できた成果」をアピールするとよいでしょう。
クリエイティブ系職の場合は技術力が重要なため、使用可能なツールとそのツールをどのくらいのレベルで使用できるのかを明記すべきです。
また、クリエイティブで発揮できる「あなたならではの個性」をアピールすることも大事です。制作スキルは掲載する実績や作品でも伝わるため、自己紹介ではどのような考え方で制作をしているかといった思いを伝えるのがよいでしょう。
さらに、「収益化できた成果」があればアピールするのも大事です。センスの良いクリエイティブを作れるスキルは重要ですが、企業はそのクリエイティブによって収益を得られるかを重視しています。
自己紹介では、実績や作品では伝えきれないアピールポイントを記載することを意識しましょう。
エンジニア・プログラマーなどの開発系
開発系職では、プログラミングのスキルや経験をアピールすることが大切です。使用可能な言語や取得している資格は、漏れなく記載するようにしましょう。
Webのポートフォリオサイトを作成・提出するケースも多いため、ドキュメントだけの場合は、スキルを適切に伝えることは難易度が高いかもしれません。Webのポートフォリオを提出できる場合は、プログラミング言語を使用してサイトを作り込むことで実力をアピールできます。
プロジェクト全体に携わった経験があればそれをアピールすることで、プロジェクトマネージャーとしての活躍も期待される可能性があります。
どの言語をどの程度理解していて実践でどのくらい使いこなせるか、どのような立場でプロジェクトに関わった経験があるかをアピールしましょう。
Webディレクター・プロデューサーなどのマネジメント系
マネジメント系職の場合は、自身がリーダーシップをとって取り組んだプロジェクトについて、具体的なエピソードと成し遂げた成果を紹介するのがよいでしょう。
マネジメント系職は、「コミュニケーション能力」「管理能力」「企画・提案力」「交渉力」「課題解決力」など幅広いスキルが求められます。どのくらいの予算規模・人数のプロジェクトをどのように推進したのかを伝えれば、マネジメント系職としての能力が伝わりやすいでしょう。
さらに、ビジネスや経営に関しての知見がある場合や、デザイナーやプログラマーとして制作に関わった経験があるといった場合は、他の人と差別化できるポイントになる可能性があるため、積極的にアピールするのがおすすめです。
学生の場合
学生の場合には、ポテンシャルで採用されるケースも多いため、あなたの強みや今後の伸びしろを感じられるような自己PRが大事です。
応募する企業が求める人物像を確認したうえで、自身がマッチするポイントを強調してアピールしましょう。自己PRに説得力を持たせるためには、強みを活かした学生時代のエピソードを盛り込むのも効果的です。
社会人で未経験職に応募する場合
未経験職の場合は、応募する職種に必要なスキルや知識を身に付けていることや、その職種に必要な素養があることをアピールしましょう。
転職者には、即戦力を求める企業が多い傾向にあります。実務の経験はないけれど、独学でスキルや知識を身に付けているという場合はその点を伝えることが重要です。
また、応募する職種は未経験でも、今まで身に付けたビジネススキルを活かせることをアピールするのもおすすめです。未経験職でも、ポテンシャルがあることを感じてもらえる自己紹介をしましょう。
ポートフォリオにおける自己紹介の注意点
ポートフォリオの自己紹介を作成するにあたって、以下3点に注意しましょう。
これらの基本的なことに注意しなければ、マイナスイメージを与えてしまったり、あまり印象に残らないポートフォリオになってしまったりする可能性があります。
誤字・脱字
自己紹介に限らないことですが、ポートフォリオでは誤字脱字をしないようにしましょう。
誤字脱字があると「入念に確認ができない人」と認識され、あなたの印象が悪くなってしまう可能性があります。
さらに誤字脱字といった誰でも修正できるようなミスを、企業に提出する大事な資料で行ってしまうような人は、仕事でもミスが多いのではないかと懸念されることもあるでしょう。
誤字脱字は目視で確認するだけでなく、チェックツール・ドキュメント作成ソフトの校閲機能などを活用して、入念にチェックすることをおすすめします。
人となりが伝わらない
あなたの人となりを伝えることも、ポートフォリオの大切な役割です。
人事担当者は、自社に溶け込める人材かどうかも重視しています。そのため、履歴書・職務経歴書では伝わりにくい人となりはポートフォリオで伝える必要があります。
上手く人となりが伝わらない自己紹介になってしまうと、あまり印象に残らないポートフォリオになってしまう可能性があるでしょう。
虚偽の情報を書いてしまう
履歴書や職務経歴書にもいえることですが、ポートフォリオでも虚偽の情報を書いてはいけません。
自らを良く見せたいからといって嘘を記載しても、面接で掘り下げて質問された時に上手く答えられずバレてしまうでしょう。仮に嘘がバレずに入社できたとしても、仕事について行けなくなり離職につながる可能性もあります。
嘘はどこかでバレてしまう可能性が高いもの。さらに、嘘をつくことは社会人としてのモラルにも欠ける行為です。ポートフォリオに虚偽の情報は記載しないようにしましょう。
自身を魅力的に見せる自己紹介を作成するには自己分析と企業分析が大切
ポートフォリオは掲載する実績や作品に重きを置きがちですが、第一印象を左右する自己紹介も軽視できない要素の一つです。
人事担当者の目に留まる自己紹介を作成するには、自身のアピールポイントと企業が求める人物像を理解している必要があります。自己紹介に書くべき内容と魅力的に見せるためのポイントを抑え、自分らしい自己紹介を作成しましょう。
自身をアピールするための魅力的なポートフォリオを作成したいと思っている方には、女性向けキャリアスクール「SHElikes(シーライクス)」がおすすめです。
SHElikesでは、Webデザイン・動画編集・マーケティングといった全45以上の職種スキルが学び放題です。コースによっては、ポートフォリオに掲載する作品を制作することができる実践的な講座もあります。
SHElikesでスキルを身に付け、魅力的なポートフォリオで自身をアピールしてみてはいかがでしょうか?
女性向けキャリアスクールSHElikes無料体験レッスンはこちら