近年では、キャリアコンサルタントの副業にチャレンジする方がしばしば見られます。一方で、「キャリアコンサルタントってどうやったら始められるんだろう…?」「未経験から始められるのかな…?」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、キャリアコンサルタントの具体的な意味や副業の始め方、仕事を開始する際の注意点などについて解説します。キャリアコンサルタントの副業に興味のある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
そもそもキャリアコンサルタントとは
キャリアコンサルタントの仕事内容は多岐に渡りますが、厚生労働省が公開している情報では下記のように定義されています。
「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
引用:厚生労働省 「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」より
キャリアコンサルタントの仕事は相談業務が一般的ですが、依頼主によっては講演会やセミナーに登壇することも見られます。つまりキャリアコンサルタントとは、クライアントのキャリア全般のサポートを行う仕事といえるでしょう。
ただしキャリアコンサルタントの仕事を行うには国家試験に合格する必要があります。したがって、まずは資格の取得を目標にすることが大切です。
副業キャリアコンサルタントの平均収入
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査結果によると、副業が該当する「非正規雇用」の平均年収は200〜300万円*1となっています。またフリーランス・個人事業主のキャリアコンサルタントの平均収入は、300〜400万円*1と記載されています。
しかしキャリアコンサルタントはその人の実績や受注する案件によって変動があるようです。そのためキャリアコンサルタントとして一定の収入を得たい方は、キャリアアップをしながら実践経験を積むことが大切と考えられるでしょう。
未経験でもキャリアコンサルタントの副業はできるのか
結論からお伝えすると、適切な勉強を行えば未経験でもキャリアコンサルタントの副業を始めることは可能と考えられます。理由は、キャリアコンサルタントの仕事を受注できるサービスが普及しつつあるからです。またキャリアコンサルタントの養成講座も存在するので、未経験からでも実現できるでしょう。
現代の日本社会において、DXや非正規雇用者のキャリアアップ、リスキリングなどの取り組みが課題となっています。これらの課題を解決するためにも、労働者の主体的なキャリア形成などを支援することが重要です。厚生労働省の「キャリアコンサルティング施策基本資料集」*2では、キャリアコンサルタントの育成や活用などを含めたさまざまな施策を講じるとしています。
人材開発について多くの課題があるなか、日本におけるキャリアコンサルタントの需要は今後も高まりをみせるでしょう。自身が長期的に活躍できるスキルを身につけることにもつながるはずです。
キャリアコンサルタントの副業を始めるステップ
それでは、キャリアコンサルタントの副業を始めるステップを見ていきましょう。具体的には下記の通りです。
順番に見ていきましょう。
1.国家試験の受験資格を満たす
「キャリアコンサルタント試験」の公式ページによると、キャリアコンサルタントの国家試験を受験するには下記の3つのうち、どれか一つを満たす必要があるようです。
1.厚生労働省が認定する養成講習課程を修了する
引用:JDCA 国家資格 キャリアコンサルタント試験より
2.実務経験を3年以上積む(実務経験とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関した経験を指します。)
3.国家検定である「キャリアコンサルティング技能検定」の学科試験又は実技試験に合格する
例えば現在キャリアコンサルティング業務を行う企業に勤めている場合、実務経験が3年以上あれば国家試験を受験することが可能です。
また「ヒューマンアカデミー」や「リカレント」などではキャリアコンサルタント養成講座をオンラインで受講できるので、隙間時間を活用して試験勉強したい方にはおすすめです。自分にあったやり方で、まずは国家試験の受験資格を満たしましょう。
2.キャリアコンサルタントの試験を受験する
受験資格を満たしたら、キャリアコンサルタントの試験を受験しましょう。国家試験は年に複数回行われています。「国家資格 キャリアコンサルタント試験」に詳しい日程が公開されているので、スケジュールを確認して自分に合った試験日に応募して試験を受けましょう。
3.キャリアコンサルタント名簿に登録する
国家試験に合格したら、キャリアコンサルタント名簿への登録を行いましょう。というのも試験に合格してもキャリアコンサルタント名簿に登録をしないと、「キャリアコンサルタント」の肩書きが使用できません。キャリアコンサルタントは「名称独占資格」です。名称独占資格とは特定の肩書きを名乗るために必要な資格のことです。
キャリアコンサルタントの場合、正式な手続きを行っていない方や類似する名称を使用している方には、30万円*3以下の罰金に処せられる可能性があります。「国家資格 キャリアコンサルタントWebセンター」から名簿へ登録できるので、国家試験に合格した方は名簿への登録を速やかに行ってください。
4.キャリアコンサルタントの仕事を受注する
キャリアコンサルタント名簿への登録が完了したら、仕事を実際に受注してみましょう。案件を請ける方法としては、キャリアコンサルタント名簿に登録した方が利用できる「キャリコンサーチ」や、個人の得意ジャンルで仕事を受注できる「キャリアバディ」などを活用する方がしばしば見られます。
また近年では、「ココナラ」や「ストリートアカデミー」などのスキル出品サービスを活用して、個人向けのキャリアコンサルティング案件を受注している方もいるようです。キャリアコンサルタントの仕事を受注できるサービスは多数存在するので、自分に合ったプラットフォームを利用して副業を始めてみましょう。
副業でキャリアコンサルタントを始めるメリット
ここからは、副業でキャリアコンサルタントを始めるメリットを見ていきましょう。具体的な内容は人によって異なりますが、一般的には下記の通りです。
- 副収入を得られる
- 実績を積める
順番に解説します。
副収入を得られる
キャリアコンサルタントにかかわらず、副業を始めることで本業以外の収入を得ることが可能です。例えば月5万円以上の副収入が入るようになれば、休日に旅行に行けたり、新しい勉強への自己投資などができるでしょう。
つまり副業を始めることはライフスタイルを豊かにすることが期待できます。キャリアコンサルタントの仕事に興味のある方は、ぜひ副業に挑戦してみてください。
実績を積める
実績を積みながら仕事を受注できることも、キャリアコンサルタントの魅力の一つです。例えば個人向けのキャリアコンサルティングを行う場合、実践経験がある方とない方とではサービスの質に差が生じるかもしれません。
一方で経験豊富な方であればより高単価な案件を受注できるだけではなく、起業やフリーランスなどの独立も考えられるでしょう。キャリアコンサルティングは依頼主によってニーズが異なる仕事なので、多くの経験を積みながらさまざまなユーザーに対応できる人材を目指しましょう。
キャリアコンサルタントの副業を始めるデメリット
さまざまな魅力がある一方で、キャリアコンサルタントの副業には下記のデメリットが存在します。
- 一定以上の収入で確定申告が必要になる
- 就労規則に違反する可能性がある
これからキャリアコンサルタントの副業に取り組む方は、上記の項目を意識しておきましょう。順番に解説します。
一定以上の収入で確定申告が必要になる
キャリアコンサルタントの仕事にかかわらず、副業をしている方で一定以上の収入がある方は確定申告を行う必要があります。確定申告とは1年間の所得税を精算するために国へ申告する手続きのことです。国税庁が公開している「スマホで確定申告 副業編」によると、「副業などで得た所得が20万円を超える方は、確定申告が必要になります。」*4と記載されています。
確定申告を怠るとペナルティが課される場合があるため、キャリアコンサルタントの副業を始める方は会計ツールなども導入して、正しく確定申告ができる体制を整えておくことも重要です。
就労規則に違反する可能性がある
勤めている会社によっても異なりますが、企業によっては副業を禁止している可能性があります。勤務先がキャリアコンサルティング事業を行っている場合、キャリアコンサルタントの副業を無断で始めることはトラブルにつながるかもしれません。そのため就労先の規約やルールを確認したうえで、キャリアコンサルタントの副業を始めてください。
キャリアコンサルタントの副業を開始する際の注意点
最後に、キャリアコンサルタントの副業を開始する際の注意点を紹介します。
上記の3つに注意したうえで、キャリアコンサルタントの副業に挑戦してください。
資格を取得する前に「キャリアコンサルタント」を名乗らない
キャリアコンサルタントは「名称独占資格」なので、国家試験に合格してキャリアコンサルタント名簿に登録した方でない限り、「キャリアコンサルタント」の肩書きは使用できません。
また「キャリア・コンサルタント」や「〇〇キャリアコンサルタント」など、「キャリアコンサルタント」を連想させる肩書きも罰則対象になる可能性があります。*3したがってキャリアコンサルタントの副業にチャレンジしたい方は、資格の取得を最優先にすることを推奨します。
キャリアコンサルタント名簿には早めに登録する
「国家資格 キャリアコンサルタントWebサイト 登録センター」によると、「キャリアコンサルタント試験及び技能試験に合格後5年経過すると、登録前に講習受講が必要になります。」*5と記載されています。
具体的な登録期限はないため試験合格してすぐに登録しなくても、合格の事実は無効になりません。しかしキャリアコンサルタントの肩書きを使用するには名簿への登録が必要なので、合格した方はすぐに手続きを行ってください。
本業との兼ね合いに気をつける
副業としてキャリアコンサルティングを始める場合、クライアントと面談できる時間が限られる可能性があります。そのため人によっては、期待通りに案件を受注できないかもしれません。
しかし「実践経験を早く積みたい」と考えて休日や本業の合間に副業をすると、従来の業務に支障をきたすリスクがあります。したがってキャリアコンサルタントの副業を検討している方は、勤め先の就業時間や自分の仕事量を考慮し、適切に調整して案件を受注してください。
さまざまなスキルを活用してキャリアコンサルタントの副業に挑戦しよう
キャリアコンサルタントは国家資格なので、試験に合格する必要があります。また名称独占資格でもあるため、キャリアコンサルタントの肩書きを使用するには資格の取得が最優先といえるでしょう。
しかしキャリアコンサルタントは依頼主の人生を好転させるきっかけを作る魅力的な仕事の一つです。興味のある方は、ぜひキャリアコンサルタントの副業に挑戦してみましょう。
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<出典>
*1:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「労働制作研究報告書 Np.227 第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況に関する調査」より
*2:厚生労働省「キャリアコンサルタント養成計画について P2」より
*3:厚生労働省「「キャリアコンサルタント」名称独占について」より
*4:国税庁「スマホで確定申告(副業編)」より
*5:国家資格 キャリアコンサルタントWebサイト 登録センター「よくあるご質問 お問い合わせ」より