ビジネスにおいて課題や問題はトラブルの原因になるため、早急に対処する必要があります。しかし課題抽出や課題分析の方法がわからない場合、事業の成長を遅らせるリスクが存在します。そのような際は、フレームワークを活用してみましょう。
フレームワークとは簡単にいうと自社や他社、市場や顧客などを理解できるテンプレートであり、体系的に分析できることが特徴です。型に沿って実践するだけなので、比較的容易に利用できるでしょう。
そこで今回は、課題分析に役立つフレームワークの紹介や分析のポイント、フレームワークを利用する際の注意点などについて解説します。課題を解決してビジネスを発展させたいと考える方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
課題分析に役立つフレームワーク10選!
それでは、課題分析に役立つフレームワークを紹介します。フレームワークにはさまざまな種類が存在し、それぞれによって特徴が異なります。課題分析になれていない方は、下記のフレームワークを参考にしてください。
順番に見ていきましょう。
ロジックツリー
ロジックツリーは、現状分析や課題抽出、課題分析などに役立つフレームワークの一つです。一つのテーマから枝状に要因を割り出し、思考整理や課題の原因などを視覚的に理解できます。
例えば「広告で成果が挙がらない」という課題がある場合、「コンテンツの質」や「出稿場所」などの要因が挙げられます。さらに細分化すると「セールスライティングができていない」「ターゲット属性を間違えている」などのより深い原因が可視化できるでしょう。
マインドマップなどのツールを使用して活用されるフレームワークであり、課題分析だけではなく解決策の発見にもつながります。自社の課題を深掘りして根本的な原因を解決する際は、ロジックツリーを利用してみましょう。
As is/To be
As is/To beとは簡単にいうと、理想と現実のギャップを可視化するフレームワークのことです。ビジネスだけではなく自己学習やキャリアアップなどにも利用できるフレームワークの一つで、ノートなどで手軽に実践できることが特徴です。
例えば「自社利益を2倍にする」というテーマで課題分析を行う場合、ノートの左側に現在の状況、右側に理想の状況(未来)を箇条書きで記載します。現実と理想の距離を視覚的に確認して、理想の状態に近づくための具体的な課題を考えます。その後、課題を解決するアクションプランを計画して実行することで、問題を解決できる可能性があるのです。
現状の課題と目標が明確に理解できている方は、As is/To beを利用してみましょう。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の強みや弱み、外部の影響などを考慮して分析できるフレームワークです。Strengths(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの要素から成り立っており、市場の中での戦い方を理解する際に活用できます。
例えば自社のビジネスで期待している成果が挙げられない場合、強みや弱みの内部要因を把握し、市場の変化や競合の影響力などの外部要因を掛け合わせてみましょう。4つの要因をクロスして考えることで、自社が立ち入るポジションを再認識できる可能性があります。
SWOT分析を定期的に行うことで会社の力を理解できるだけではなく、市場のトレンドにも対応できるでしょう。現状の問題理解から対策を考える際は、SWOT分析を利用してみてください。
3C分析
3C分析は、市場や領域などでの戦略を考える際に利用されるフレームワークの一つです。前述したSWOT分析と一緒に使用されることが多く、多角的な視点でマーケティング施策を検討できます。Company(自社)・Customer(顧客・市場)・Competitors(競合他社)の要素で成り立っており、市場の選定から競合調査までを行うことが可能です。
新商品やサービスをリリースする際に競合他社の製品や、市場における顧客層や顧客数を分析すれば、自社の強みをどこで発揮するべきかが理解できます。自社の強みや弱みが理解できている状態なら、具体的な広告手法やコンテンツ内容なども考えられるかもしれません。現状の課題を解決できる戦略を考える際は、3C分析を活用するとよいでしょう。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、外部的な要因に焦点を当てたフレームワークです。具体的な要素は下記の通りです。
- 市場・業界の競合の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
「市場・業界の競合の脅威」を中心に他の要素が取り囲む形のフレームワークであり、市場全体のリスクを把握できることが特徴です。
例えば課題分析でファイブフォース分析を行う場合、現在の業界全体を俯瞰して確認することで自社の改善点が見つかるかもしれません。戦略のリスクヘッジを考えられることも魅力の一つです。
会社の障害となる問題を理解できることは、より質の高いマーケティング施策の立案につながります。市場の影響を受けやすいビジネスを行っている方は、ファイブフォース分析を活用して適切な解決策を考えてみてください。
4C分析
4C分析は、Product(特性)・Price(価格)・Place(駐通・販売場所)・Promotion(広告・PR)の要素で成り立っているフレームワークです。商品販売や集客などのセールス的な要素が強いフレームワークであり、新しい戦略立案にも活用できます。
課題分析として利用する際は売上や集客率をテーマにすることが一般的です。例えば実行している施策で成果を挙げられない場合、商品の特徴の打ち出し方や価格を見直すことで改善できるかもしれません。企業によっては商品を販売する場所や流通の方法、広告手法がブラッシュアップできることもあるでしょう。
ただし4C分析は自社に特化したフレームワークなので、外部的要因の分析にはやや物足りない可能性があります。したがってSWOT分析や3C分析と組みあわせて、課題分析の角度を高めることが大切です。
STP分析
STP分析は、市場・競合を分析して自社のポジションを検討できるフレームワークです。Segmentation(市場の細分化)・Targeting(市場・領域の選定)・Positioning(立ち位置の選定)の3要素から成り立っており、より細かい市場分析をできることが特徴です。ブランディングやターゲット顧客の選定にも役立つので、汎用性の高いフレームワークといえるでしょう。
例えば競合との差別化が難しいと悩んでいる場合、STP分析で市場と他社を比較することで空いているポジションを見つけられる可能性があります。マトリクスでポジショニングマップを作成すれば、競合他社の詳細な領域なども理解できるでしょう。
前述した4C分析と組み合わせて分析を行えば、競争の少ない場所でのビジネス展開も期待できます。市場分析から自社の立ち位置を見つけたい方は、STP分析を利用してみましょう。
6W3H
6W3Hは、5W1Hにビジネス要素を加えたフレームワークです。新規ビジネスの設計や現状課題の分析に利用されるフレームワークであり、顧客目線で考えられることが特徴といえるしょう。具体的な要素は下記の通りです。
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 誰が(Who)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
- 誰と・誰に(with Whom)
- いくらで(How much)
- どれだけ(How many)
従来の5W1Hに「誰と・誰に」「いくらで」の要素が追加されています。例えば自社商品の売上が伸び悩んでいる場合、6W3Hに当てはめて顧客の消費行動を考えると自社の改善点が見つかるかもしれません。また社内予算の見直しなどにも活用できるため、幅広い課題に対応できると考えられます。
PDCA
PDCAは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(測定・評価)→Action(改善・対策)の要素をサイクル化したフレームワークです。現状分析や課題抽出、課題解決などさまざまな要素をもつフレームワークであり、多くのビジネスパーソンに利用されています。
例えば自社の課題を解決できる計画を実行してフィードバックを得ることで、プランの正確性を確認することが可能です。実施した施策を見つめ直すことで、より精度の高い戦略が実現できるでしょう。
ただしPDCAサイクルを活用するには、具体的な施策を考える必要があります。そのためロジックツリーやAs is/To beなどで現状の問題点を明確にしてからPDCAに落とし込むと、より適切なプランの実行が期待できるでしょう。
PEST分析
PEST分析は、外部環境に焦点を当てたフレームワークです。Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)の4つで構成されており、社会全体をマクロな目線で分析する際に役立ちます。外部環境によってビジネスは大きく傾く可能性があるため、外部的な要因を理解して対策を考えることは事業の存続に役立つでしょう。
例えば法律や規制により消費者の思考や行動に変化が生じる場合、PEST分析を実施することで社会全体の動向を観察できるでしょう。AIツールの登場によるトレンドの変化や、新型コロナウイルスによる働き方の多様化なども外部環境に該当します。
外部要因を企業がコントロールすることは難しいかもしれません。しかし大きな目で社会全体を見て自社の課題を分析できるのは、マーケティングのリスクを抑えることにつながるでしょう。
フレームワークを使って課題分析を行うポイント
課題分析に役立つフレームワークは理解できたものの、「分析の精度を高めるには何をしたらいいんだろう…?」と考える方がいるかもしれません。ここから、フレームワークを使って課題分析を行うポイントを紹介します。人によってもやり方は異なりますが、一般的には下記の通りです。
順番に見ていきましょう。
論理的な思考で分析する
フレームワークを活用すると、さまざまな分析結果が理解できます。しかし最終的な結論を出すのは分析者やチームのメンバーです。したがって最終的な結論は、論理的な目線で判断しましょう。論理的思考とは簡単にいうと、物事を根拠と結論に分け、辻褄が通っているかを考えることです。
物事を論理的に考えることで自社のやるべきことに確信をもち、強い気持ちで施策を実行できることが期待できます。したがって課題分析は感覚で行うのではなく、結果に対して具体的な根拠を見つけてから結論を考えましょう。
データを参考に分析する
課題分析や現状分析の精度を上げるには、質の高い情報が必要になります。理由は主観や思いつきで結論を出すことは的外れな結果になる可能性があるからです。例えば「顧客の購入サイクル」などを調査することで、消費者が商品を利用するペースや頻度が理解できます。
それらの理由を考えて再購入をするタイミングでアプローチできると、顧客がリピーターになってくれる確率が高くなるのです。したがって売上改善や集客率の増加などを改善する際は、自社データをしっかりと理解してから施策を打ち出すことが大切です。
仮説をもとに解決策を考える
フレームワークで導き出した答えから解決策を実行する場合は、必ず仮説を考えておきましょう。例えばWebサイトの離脱率が低い場合、「コンテンツの配置が悪いかもしれない」「デザインが顧客にあっていないかもしれない」と考えることで行うべき施策が見えてきます。また仮説を立てることで理想と現状の距離を理解することが可能です。課題分析を行う際はデータをもとに仮説を考えながら、行うべき戦略を考えましょう。
実践的なスキルを身につける
角度の高い分析を行うには、データ分析や顧客理解などの実践的なビジネススキルが求められます。フレームワークから導き出した結果を施策に落とし込むには、マーケティングノウハウやコンテンツ作成に必要なスキルが重要になるでしょう。
分析をして解決策が見つかっても、肝心の改善方法で結果を出せなければ課題分析の意味はありません。つまり質の高いスキルを身につけることは、ビジネスパーソンとして大きく成長するきっかけになります。必要なノウハウを学習して、成果を挙げられる人材を目指しましょう。
課題分析でフレームワークを利用する際の注意点
最後に、課題分析でフレームワークを利用する際の注意点を紹介します。
課題分析に取り組む方は上記の項目を意識しましょう。
潜在的な課題も意識する
潜在的な課題とは簡単にいうと、自社や分析者が気づいていない課題点・問題点のことです。具体的には「社員のモチベーションの低下」や「関連しない企業が競合になっている」などの事例が挙げられます。
根本的な原因や業界が違う企業が脅威になることは、ビジネスにおいてしばしば見られます。見えないリスクは予期せぬトラブルにつながるので、「自分たちが気づいてない問題はないか?」と考えながら分析を行いましょう。
適切なプロセスを理解する
フレームワークを利用する際は、適切なプロセスを理解しましょう。分析経験が豊富な方であれば独自のやり方でフレームワークを活用できますが、経験の少ない方は情報が整理できない可能性があります。
そのため、まずは型に沿ったやり方を理解することが大切です。また自社で考えたフレームワークを利用する際は、プロセスをテンプレート化して、誰でも利用できる仕組みを作ることが大切です。
フレームワーク以外のやり方も利用する
フレームワークは便利なツールですが、結果が正しいとは限りません。なぜならビジネスを動かしているのは、あくまで人だからです。したがって、顧客の感情や思考を理解することが問題の解決につながることも考えられます。そのため顧客にアンケート調査を行ったり直接コミュニケーションをとったりして、顧客心理に重点をおいて改善策を考えることも意識しましょう。
フレームワークで課題分析を行いビジネスを成長させよう!
フレームワークを活用すれば、さまざまな課題を体系的に分析することが可能です。より質の高い情報を集めながら論理的思考を駆使して、精度の高い分析を行ってみてください。
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