サブスクリプション型のサービスが普及した昨今では、カスタマーサクセスが注目されています。しかし、以下のような疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。
「カスタマーサクセスは、カスタマーサポートとは違う?」
「カスタマーサクセスはどんな仕事をする?」
そこで、本記事ではカスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを解説。また、カスタマーサクセスを仕事にする方法も紹介します。
カスタマーサクセスについての知識を深めたい方やカスタマーサクセスの仕事をしたい方は、最後までチェックしてみてください。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い一覧
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを表でまとめると、以下のようになります。
カスタマーサクセス | カスタマーサポート | |
---|---|---|
目的・役割 | 顧客を成功へと導く | 顧客のトラブルを解消する |
仕事内容 | 顧客体験の向上を目指す | 問い合わせやクレームなどへの対応をする |
KPI/KGI | KPI:解約率の低下やLTVの向上など / KGI:売上のアップなど | KPI:課題解決率の向上や課題解決時間の短縮など / KGI:顧客満足度の向上など |
組織における位置づけ | 企業の収益アップや成長に貢献する | 製品開発や品質維持に貢献する |
業務への姿勢 | 能動的に顧客にアプローチする | 受動的に顧客対応を行う |
必要なスキル | 分析力、論理的思考力、プレゼンテーションスキルなど | 傾聴力、共感力、問題解決力など |
向いている人 | 積極的に動ける、分析が得意、論理的な説明ができるなど | ストレス耐性がある、コミュニケーションを適切にとれる、臨機応変な判断ができるなど |
顧客との関係性 | 長期的な関係性を築く | 短期的な関係性になる |
導入が必要な企業 | SaaS企業、サブスクリプション型のビジネスを展開している企業など | ほぼ全ての企業 |
なお、それぞれの違いの詳細については後ほど解説します。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスとは、文字通り顧客の成功に貢献することです。自社の商品やサービスを顧客に活用してもらい、その結果として成功や成果を得られるよう能動的にアプローチすることを指します。
GmailやZoom、Microsoft365のようなSaaS(Software as a Service)やサブスクリプション型のサービスが広がったことで企業と顧客の関係性が長く続くようになったため、カスタマーサクセスの重要度は高まっているといえるでしょう。
ちなみに、カスタマーサクセスの例としては、契約後も定期的にヒアリングを行い顧客のニーズを常に把握することや、顧客からのレビューやメッセージを分析してサービスの向上を図る取り組みなどがあげられます。
カスタマーサポートとは
カスタマーサポートは、顧客の支援を目的としています。商品やサービスに関する疑問やトラブルを顧客が抱えたときに、スムーズに解決できるようサポートします。
カスタマーサポートの例としては、お問い合わせ窓口やカスタマーセンターなどがあります。顧客からの質問やクレームなどを受けた際に、迅速に回答することで問題を解決します。
つまり、カスタマーサクセスが能動的かつ長期的なアクションなのに対し、カスタマーサポートは受動的で単発的だといえるでしょう。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い9つ
ここからは、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを見ていきましょう。今回は、以下9つの違いを解説します。
- 目的・役割の違い
- 仕事内容の違い
- KPI/KGIの違い
- 組織における位置づけの違い
- 業務への姿勢の違い
- 必要なスキルの違い
- 向いている人の違い
- 顧客との関係性の違い
- 導入が必要な企業の違い
それぞれの違いを詳しく説明します。
目的・役割の違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートはどちらも顧客満足度の向上を目指しますが、それぞれの目的と役割は異なります。
まず、カスタマーサクセスの目的は、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の充実を目指すことです。商品やサービスを利用する顧客が最大限の利益を得られるよう、能動的に働きかけたり、顧客のニーズを想定してサービスを改善したりします。
一方で、カスタマーサポートの役割は顧客の疑問や課題を解消することです。電話やメール、SNSなどで顧客から問い合わせやクレームなどを受けた際に対応します。
要するに、カスタマーサクセスのミッションは顧客を成功へと導くことで、カスタマーサポートの役割は顧客が抱える一時的なトラブルへの対応だといえるでしょう。
仕事内容の違い
カスタマーサクセスは、顧客体験の向上が主な仕事です。データ分析や成果の管理、顧客のニーズや課題のヒアリング、顧客への提案などを通じて、顧客の成功を支援します。
一方で、カスタマーサポートの仕事内容は、主に問い合わせやクレームなどへの対応があげられます。顧客の疑問や不満をスムーズかつ適切に解消することが求められます。
それぞれの仕事内容は異なりますが、顧客のアフターケアは顧客体験の向上につながるでしょう。そのため、カスタマーサクセスの業務にカスタマーサポートが含まれる場合もあるといえます。
KPI/KGIの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、KPIとKGIも異なります。KPI/KGIとは、簡単にいうと以下の通りです。
- KPI:「Key Performance Indicator」の略で、目標を達成するための中間的な指標を指す
- KGI:「Key Goal Indicator」の略で、カスタマーサクセスやカスタマーサポートにおける目的やゴール、成果を指す
カスタマーサクセスにおけるKGIの1つは顧客体験の向上で、定量的に考えると、たとえば「売上を前年比の150%にする」などがあげられます。そうすると、KPIは「解約率を前年より5%下げる」「LTV(ライフタイムバリュー)を10%高める」のようになるでしょう。
一方で、カスタマーサポートはより多くの問い合わせやクレームに適切に対応することを目指すため、KGIの例には「顧客満足度のスコアで満点の10点を目指す」などがあります。この場合、KPIは「課題解決率を10%高める」「課題解決にかかる時間を5%短縮する」などが考えられるでしょう。
組織における位置づけの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、組織の位置づけも異なります。カスタマーサクセスは取り組み次第で企業の収益アップや成長につながるため、営業やマーケティングなどと連携するといえます。
一方のカスタマーサポートは、問い合わせやクレームの内容を社内で共有して商品やサービスの品質維持・改善に貢献するため、製品開発と連携すると考えられます。また、取り組みが会社の収益に直結するわけではない点もカスタマーサクセスとの違いの1つです。
業務への姿勢の違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、顧客に対する姿勢が異なります。カスタマーサクセスは能動的に顧客にアプローチし、価値の提供や成功に向けた支援を行います。例としては、データ分析をもとに新たな提案をしたり、顧客が共通の疑問を抱えていると判断した場合にFAQを充実させたりなどがあげられるでしょう。
それに対し、カスタマーサポートは受動的です。顧客からクレームや問い合わせを受けた際に、顧客のニーズを満たせるよう迅速に対応します。
必要なスキルの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、それぞれ異なるスキルが求められます。まず、カスタマーサクセスに必要なスキルは、分析力や論理的思考力、マーケティング、コンサルティング、プレゼンテーションなどです。その理由は、データを論理的に分析することで顧客が把握していない課題を先回りして発見し、顧客が納得できるよう分かりやすく提案する必要があるからです。
一方で、カスタマーサポートに求められるスキルは、傾聴力や共感力、クレームを受け入れるメンタルの強さなどがあげられます。加えて、顧客からの問い合わせに対し的確かつスムーズに回答できるよう、専門知識を深めたり問題解決力を磨いたりする必要もあるでしょう。
向いている人の違い
カスタマーサクセスに向いている人は、「積極的に動ける人」「分析が得意な人」「論理的な説明ができる人」などでしょう。カスタマーサクセスは顧客に能動的にアプローチするため、自主的に行動を起こすことが求められます。また、分析したデータをもとに顧客に提案するので、適切な分析を行い、その結果を相手に納得してもらえるよう伝えられる人がカスタマーサクセスに向いています。
それに対し、カスタマーサポートに向いている人の特徴は、「ストレス耐性がある」「コミュニケーションを適切にとれる」「臨機応変な判断ができる」などが考えられます。カスタマーサポートをするうえで悪質なクレームを受ける場合もありますが、仕事である以上メンタルを強く保って対応することが求められます。また、顧客と良好な関係を築き、イレギュラーが起きても柔軟に対応できる人は、カスタマーサポートの業務に適しているでしょう。
顧客との関係性の違い
カスタマーサクセスは、顧客と長期的な関係を築くことを目指します。自社の商品やサービスを長く使ってもらうため、顧客のビジネスや目標に寄り添って信頼関係を構築します。
一方で、カスタマーサポートは顧客と単発的な関わり方をします。顧客から苦情や問い合わせを受けた際は迅速な解決を目指し、トラブルが解消された時点で関係性は終了するため、顧客と関わる期間は短いといえるでしょう。
導入が必要な企業の違い
カスタマーサクセスの導入が必要な企業は、SaaS企業やサブスクリプション型のビジネスを展開している企業などです。これらの企業は顧客と長期的な関係を築くことが収益につながるため、カスタマーサクセスの導入は重要だといえます。
それに対し、カスタマーサポートは商品やサービスの品質維持を担うので、ほぼ全ての企業に必要でしょう。
なお、前述の通り、カスタマーサクセスの業務にカスタマーサポートが含まれる場合もあります。そのため、両方の導入が必要な企業もあると考えられます。
カスタマーサクセスと営業の違い
カスタマーサクセスと営業はどちらも売上に貢献しますが、それぞれの目的や業務内容は異なります。まず、カスタマーサクセスは、顧客が商品やサービスを購入したあとも長期的に利用することを目的としています。それに対し、営業の目的は顧客と良好な関係を築いて契約につなげることです。
また、カスタマーサクセスは、顧客が商品やサービスを購入したあとのサポートが主な業務内容だといえます。一方で、営業の仕事内容は、契約前の顧客にアプローチして商品やサービスの購入を促すことです。
つまり、営業の役割は契約前の顧客と良好な関係を構築することであるのに対し、カスタマーサクセスの役割は契約後の顧客と関係を維持することだといえるでしょう。
カスタマーサクセスとコンサルタントの違い
カスタマーサクセスとコンサルタントも、似ているようで異なります。それぞれの違いの1つは、業務の範囲です。コンサルタントは顧客が抱えるさまざまな課題の解決を担うのに対し、カスタマーサクセスは自社の商品やサービスを活用した支援に限られます。
また、カスタマーサクセスとコンサルタントはゴールにも違いがあります。カスタマーサクセスは顧客と長期的な関係を築くことを目指すため、明確なゴールはないといえるでしょう。一方で、コンサルタントの場合はゴールは決まっています。たとえば、顧客が抱える課題の解決やプロジェクトの完了などがあげられます。
カスタマーサクセスになるには?
カスタマーサクセスを仕事にする方法はさまざまですが、スクールで必要なスキルの習得を目指すのがおすすめです。カスタマーサクセスをするには幅広いスキルが必要なため、スクールを活用してプロから学ぶことで効率よく学習を進めるのがよいでしょう。
たとえば、女性向けキャリアスクールのSHElikes(シーライクス)にはカスタマーサクセスに特化したコースがあり、顧客分析力や課題発見力、企画力など、カスタマーサクセスに必要とされるスキルの習得を目指せます。ほかにも、「データ分析コース」やロジカルシンキングや資料作成を学べる「ビジネスコース」などもあり、幅広いスキルを学習できる環境が整っています。
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カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを理解して、カスタマーサクセスに挑戦してみよう
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは似ていますが、それぞれの目的や仕事内容、導入が必要な企業などは異なります。本記事を参考にし、それぞれの違いをしっかり把握してみてください。また、カスタマーサクセスとカスタマーサポートはそれぞれ適性や求められるスキルが違う点も押さえておきましょう。
カスタマーサクセスの仕事に興味がある方は、女性向けキャリアスクールのSHElikesをチェックしてみてください。前述した「カスタマーサクセスコース」や「ビジネスコース」を含め全45以上の豊富な職種スキルが定額・学び放題*なので、幅広いスキルの習得を目指せます。
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