エンジニアのキャリアパスは多岐にわたり、その多様性は驚くほど広がっています。キャリアパスを設定することが重要だとわかっていても、具体的にどうすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ITエンジニアのキャリアパスの事例14選をご紹介します。
キャリアパスを設定する具体的な方法もご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
エンジニアのキャリアパス・キャリアプランとは?
エンジニアとして理想の働き方を実現するためには、キャリアパス・キャリアプランの設定が欠かせません。目標に向かう道筋を示すだけでなく、転職を含めたキャリア形成にも役立つキャリアパスについて詳しく説明します。
キャリアパスとは?
キャリアパスは、日本語で「キャリアを得るまでの道」という意味です。一般的には企業や組織内でのキャリアの進化を示すもので、希望する職務や職位に就くために必要なスキルや経験、踏むべきステップを明確にします。
エンジニアの場合、他の職種と比較して多様な選択肢があります。そのため、早い段階でキャリアプランを策定し、自分に合った環境と働き方を見つけることが大切です。
エンジニアにキャリアパスが重要な理由
ITエンジニアの職種や分野は多岐にわたるため、キャリアの進路を明確に設定しないと、必要なスキルや経験を獲得するのに時間がかかる可能性があります。急速に変化し続けるIT業界で、将来的な目標を実現するためには、キャリアパスの確立が欠かせません。
キャリアパスの構築には、自身の適性、スキル、興味を考慮し、将来の需要やトレンドに合わせた柔軟なアプローチが求められます。
また、未経験からエンジニアに転職したいと考える方にとっても、キャリアパスは重要です。
エンジニアがキャリアパスを設定するメリット
キャリアパスを描くことで、目標に向かって何をすべきかが明確になります。学習が将来のキャリアに直結することが理解できれば、目標達成に必要な技術や知識を習得する意欲が高まるでしょう。目標があれば成長の実感が得られやすいため、モチベーションも維持できます。
また、キャリアパスを設定することは、企業内での昇進に限らず転職活動にも有益です。働き方の多様化に適応できるようになるうえ、自分の理想の働き方を選択できるようになります。
エンジニアのキャリアパス事例14選とポイント
ここでは、キャリアパスを設定する際に役立つエンジニアのキャリアパス事例をご紹介します。エンジニアとして成長するためにどのステップを踏むべきか、どの専門分野に進むべきか、それぞれのポジションの特徴や必要なスキルなどをご紹介します。
開発エンジニア(システムエンジニア)のキャリアパス
開発エンジニア(システムエンジニア)のキャリアパスには、どのような事例があるのでしょうか。ここでは、システムエンジニア、アプリケーションエンジニア、組み込みエンジニア、それぞれのキャリアパス事例についてご紹介します。
システムエンジニア
システムエンジニア(SE)にはスペシャリスト、ジェネラリスト、マネージャーの異なるキャリアパスが存在します。
スペシャリストとして組み込みエンジニアやデータベースエンジニアの分野に特化したり、ジェネラリストとしてITコンサルタントやセキュリティエンジニアを目指したりする道も開かれています。マネジメントに興味がある場合、プロジェクトマネージャーや開発ディレクターへの道もあります。
AIやIoT、ビッグデータ、セキュリティなど需要の高い分野で戦略的にキャリアを築くなど、将来のトレンドに注意を払い、自身の目指す方向性を明確にすることが大切です。
アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアには複数のキャリアパスが用意されています。フルスタックエンジニアとして多岐にわたるスキルを習得して一人で多様なフェーズを担当したり、ITスペシャリストへ進んで特定の分野における深い知識と高度なスキルを磨いたりといった道を選ぶことができます。
また、コミュニケーションとマネジメントに関する能力を磨き、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクト全体を統括するキャリアや、ITコンサルタントとして経営課題の解決を行うキャリアも魅力的です。
組み込みエンジニア
組み込みエンジニアのキャリアパスには、さまざまな選択肢があります。未経験から始める場合はテストエンジニアからスタートし、その後プログラマーやシステムエンジニアにキャリアアップすることが一般的です。さらに、組み込みエンジニアはシステムアーキテクト、プロジェクトマネージャー、IoTエンジニア、AIエンジニア、ソフトウェアエンジニア、製品開発、研究開発など多彩なキャリアパスに進むことができます。
開発エンジニア(Webエンジニア)のキャリアパス
開発エンジニア(Webエンジニア)の仕事とは、技術の進歩とクリエイティビティが結びつく、Webサービスの開発をすることです。そんなWeb分野の開発エンジニアの成長と可能性をご紹介します。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、HTMLやCSSのスキルからスタートし、さらに多彩なプログラミング言語やフレームワークを習得するスペシャリストです。フロントエンドエンジニアから、WebデザイナーやUI・UXエンジニア、Webディレクターなどへの転向も考えられます。
スキルの幅広さが市場価値を高めることになり、プログラマーやシステムエンジニア、フルスタックエンジニア、さらにはプロジェクトマネージャーへのキャリアアップが視野に入ります。
バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアは、Webサービスの急速な発展に伴い不可欠な職種であり、その需要は増加し続けています。キャリアを重ねることで年収アップも期待できるでしょう。マネジメント職やシステムエンジニア、フルスタックエンジニアなど、バックエンドエンジニアのスキルと経験を活かし、他のポジションに転職することも可能です。
インフラエンジニアのキャリアパス
インフラエンジニアには、ネットワーク、クラウド、セキュリティなど多様な職種があります。ここではIT環境の運用と管理を行うインフラエンジニアの、魅力的なキャリアパスを見ていきましょう。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアのキャリアでは、マネージャーやスペシャリストへ進む道が一般的です。マネージャーはプロジェクトの指揮をとり、組織をリードする役割で、財務管理やプロジェクトマネジメントのスキルが必要となります。
スペシャリストは高度な技術を磨き、サーバーの設計や運営に専念します。さらに、他のインフラ領域へのジョブチェンジやITアーキテクト、フリーランスエンジニアとしての独立も可能です。
データベースエンジニア
データベースエンジニアのキャリアパスには、スキルや経験を活かして提案・管理分野に挑戦する道や、プロジェクトマネージャーとしてチームを統括する道があります。スキルを磨いて技術職を極める選択も可能です。さらに、データサイエンティストやアプリ開発エンジニアへのキャリアチェンジも候補に入ります。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアのキャリアパスには多様な選択肢があり、専門家であるITスペシャリストや開発エンジニア、インフラエンジニア、クラウドコンサルタントなど、幅広い分野での活躍が期待できます。マネジメント職に転身するか、プログラミングスキルを磨いてフルスタックエンジニアになるかなど、個人のスキルや関心によって選択するとよいでしょう。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアのキャリアパスには、インフラエンジニア、クラウドエンジニア、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント、フルスタックエンジニア、セキュリティエンジニア、テクニカルサポートエンジニア、ネットワークスペシャリストなど多くの選択肢が存在します。
フリーランスエンジニアとして独立する選択肢もあり、これらの道に進むには、スキル向上や専門資格の取得などが必要となるでしょう。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアのキャリアパスには、セキュリティアナリスト、セキュリティコンサルタント、セキュリティアーキテクトなど、幅広い選択肢が存在します。
これらの職種に進むには、情報セキュリティの専門知識や経験が不可欠です。さらに、同じIT分野内でセキュリティの専門知識を活かしながら、サーバーやインフラ分野のエンジニアやマネージャーに転身する道もあります。
その他のエンジニアのキャリアパス
テクノロジーの進化に伴い新たな職種が生まれ、エンジニアの世界には多様なキャリアパスが広がっています。ここでは、前述したポジション以外のエンジニアのキャリアパスについてご紹介します。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアのキャリアパスには、多くの専門分野を網羅し、技術を極める道や、フリーランスとして独立するなどの選択肢があります。また、経験を積みながらマネジメント分野へ進む人や、専門知識を活かしてコンサルタント業に転身する道も考えられるでしょう。
さらに、別分野のスキルを習得し、幅広い知識を活かすことで、どんな職場でも価値を提供できるのがフルスタックエンジニアの特徴です。
フィールドエンジニア
フィールドエンジニアのキャリアパスは、主に2つあります。1つは製品知識と技術力を活かして、開発エンジニアやシステムエンジニアに進む道です。もう1つはコミュニケーション能力を重視し、セールスエンジニアや営業職としてキャリアを積む道です。
フィールドエンジニアは技術を磨くだけでなく、クライアントとの密なコミュニケーションを経て、異なるキャリアへの転身も可能といえます。
データサイエンティスト
データサイエンティストのキャリアパスには、AIエンジニアやグロースハッカーとしてデータを活用し、ビジネス課題を解決する道があります。また、データサイエンティストとして培ったスキルを活かして、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントに転身することも可能でしょう。
社内SE
社内SEのキャリアパスには多くの選択肢が広がりますが、転職が最も一般的です。企業の規模により業務や求められるスキルが異なるため、希望を明確にして転職活動することが重要です。
また、知識や経験を積み重ね、マネージャーやCIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)などの上級職を目指すのも良いでしょう。他にもITコンサルタントや他のエンジニア職への転身、フリーランスとして独立する道も考えられます。
エンジニアのキャリアパスを考える4つのステップ
エンジニアが自己成長とキャリアアップを叶えるためには、以下のステップが必要です。
- 自己分析・キャリアの棚卸し
- 情報収集
- 目標の設定
- 実現に向けた計画を立てる
ここでは、エンジニアのキャリアパスを考える4つのステップをご紹介します。
1.自己分析・キャリアの棚卸し
エンジニアがキャリアパスを設定する際には、自己分析・キャリアの棚卸しが欠かせません。棚卸しは自分がこれまでに成し遂げてきたこと、できること、そして今後の目標を整理するプロセスで、転職を目指す場合だけでなく、現職での成長や進路設定にも役立つでしょう。
具体的には、職務経歴、実績、自己評価、スキル、業務で使用しているプログラミング言語や技術、やりたい仕事、適正などを振り返り、自己分析を行います。その結果を踏まえて自分の進むべき方向を考えることで、自分の価値を正しく把握し、キャリアパスを明確にすることができるでしょう。
2.情報収集
エンジニアのキャリアパスを考えるうえで、自己分析に次いで重要なステップは情報収集です。業界情報、企業情報、求人情報はもちろんのこと、自身の現在のポジションと目指すポジションの情報を収集しましょう。勉強会やコミュニティへの参加は、自己理解と新たな刺激を得るための助けになります。
常に最新のIT技術やトレンドにアンテナを張り、柔軟な対応ができるよう心がけましょう。情報収集はキャリアアップに不可欠であり、常に需要の高いエンジニアであり続ける鍵となります。
3.目標の設定
エンジニアが理想のキャリアを築くためには、目標を設定することが大切です。初心者のエンジニアには難しく感じられるかもしれませんが、スキルを磨いてスペシャリストを目指すのか、マネジメント分野に進むのかで具体的な目標は変わります。
目標を設定する際は、数字を使って評価できる内容が理想です。また、現実に達成できそうなレベルで、細分化されていることも重要です。現職の業務に囚われず視野を広く持ち、新しい技術と知識の習得を目標に取り入れることで、キャリアパスの可能性を広げることもできます。
4.実現に向けた計画を立てる
前ステップで設定した目標達成に向けて、計画を策定しましょう。まず、不足しているスキルや知識を明確にし、その習得方法を考えます。この時、資格取得を目標に加えると、学習のきっかけにもなり、現職で昇給が期待できたり転職時のアピールポイントとして活用できたりするためおすすめです。
具体的な目標を設定した後は、日々の学習スケジュールを立てます。行動計画は短期的なものと中長期的なものを分け、計画に遅れが生じても慌てなくて済むように余裕を持たせることがポイントです。
キャリアパスに悩んだらやるべきこと
キャリアパスを設定しようと意気込んだものの、どこから手をつければいいのかわからなかったり、現在設定しているキャリアパスを突き進んでもいいものかと悩んだりすることもありますよね。ここでは、キャリアパスに悩んだらまずやるべきことをお伝えします。
まずは大まかな方向性を決めてみる
エンジニアにはさまざまなキャリアや働き方があるため、自分の進むべき方向を見つけるのは容易くありません。キャリアパスに悩んだら、まずは自己分析することが大切です。適正、能力、価値観を確認し、キャリアの棚卸しをしましょう。そうして得られた情報から、技術職を極めるのか、マネジメント分野に進むのかなど、まずは大まかに方向性を決めてみることをおすすめします。
一人で方向性を決めかねる場合は、エージェントの助言も有効です。エージェントは多くのキャリアパスに精通しているため、相談を通じて新たな選択肢が見つかったり、進むべき方向が明確になったりする可能性があります。
理想の働き方を考える
そもそもキャリアプランとは、将来の理想像を明確にし、それを実現するための行動計画です。エンジニアのキャリアにはさまざまな選択肢があり、理想的な働き方を実現するためには早い段階でキャリアプランを立てることが大切です。そのためには、最終的なゴールを設定する必要があります。
特定の分野で専門的な知識や技術を磨くのか、複数の分野の知識や技術を持ちさまざまな業務に携わるのか、経験を積んでマネジメント分野に進み組織をまとめるのか、それぞれの場合で設定すべき目標は変わります。ゴールから逆算してキャリアパスを設定するようにしましょう。
エンジニアが理想の働き方を実現するためには、キャリアパスの設定がマスト!
エンジニアのキャリアパスが多様化する現在において、どのようなキャリアパスがあるのかを14の事例を通じてご紹介しました。
キャリアパスを考える4つのステップやキャリアパスに悩んだらやるべきことなども参考に、自身の理想的な働き方の実現のため、キャリアパスを設定してみてくださいね。
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