
起業に興味があるものの、「どうやって始めればいいの?」「個人事業主とはどう違う?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、起業とは何かを説明したうえで、個人事業主やフリーランスとの違い、起業の手順、注意点などを詳しく紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
起業とは?
起業とは、簡単にいうと「新しく事業を立ち上げること」です。法人を設立するケースもあれば、個人事業として始めるケースもあります。一般的なビジネス文脈では、法人を設立して会社を運営する形を指すことが多いです。
近年はSNSやオンラインツールの普及により、情報収集や資金調達の方法が増え、起業は以前よりも身近な選択肢になりました。支援制度や補助金の拡充もあり、チャレンジしやすい環境が整いつつあります。
関連して、起業と似た意味で使われる「創業」「開業」「独立」の意味を以下の表にまとめました。
用語 | 意味 |
---|---|
創業 | 過去に事業を始めたタイミングを指す言葉で、一般的には過去を表す場合に使用される。 |
開業 | 主に個人が店舗や事務所などを構えて、正式に事業を始めること。 |
独立 | 組織や会社などに属さず、個人事業主として自分の力で事業を始めること。 |
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起業と混同されやすい他の言葉との違い
「起業」と混同されやすい言葉との違いも見ていきましょう。
それぞれ具体的に解説します。
個人事業主との違い
起業とは、新たに事業を始めること全般を指します。株式会社や合同会社などの法人を設立して行う場合も、個人事業主として始める場合も「起業」です。個人事業主は法人とは異なり、自分の氏名や屋号で事業を営み、税務上は「開業届」を提出して事業を開始します。
個人事業主は、会社員のように雇用契約で毎月固定給を受け取るのではなく、自らの責任で事業を運営し、取引先との契約や商品・サービスの販売によって収入を得るのが特徴です。税務署に開業届を提出すれば比較的手軽に始められるため、初期費用や手続きの負担を抑えて事業をスタートできます。
まずは個人事業主として活動を始め、事業が安定してきた段階で法人化へ移行する人も少なくありません。この方法を取れば、初期のリスクを抑えながら、段階的に事業規模を拡大できます。

フリーランスとの違い
フリーランスとは、特定の企業や組織に雇用されず、自分のスキルや経験を活かして取引先と契約し、収入を得る「働き方」を指します。税務上は、ほとんどのフリーランスが個人事業主として開業届を提出していると考えて問題ないでしょう。
働く時間や場所を自分で決められる自由度の高さが魅力で、Webデザインやライティング、プログラミングなど専門性を活かした分野で活動する人も多いです。
主な起業の方法
主な起業の方法としては、以下の6つがあります。
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
会社の設立(営利目的)
まずは、営利を目的とした会社を設立して事業を行う方法です。会社法で規定する営利法人には「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類があります。それぞれの特徴は下記のとおりです。
特徴 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
株式会社 | 1名以上の出資者で設立できる 出資者は有限責任 |
信用力が高く取引先や金融機関からの信頼を得やすい 株式発行により多額の資金調達ができる |
役員任期が最長10年までと定められている 毎期の決算内容を公告する義務がある |
合同会社 | 1名以上の出資者で設立できる 出資者は有限責任 |
設立費用が低め 出資者全員が経営に関わり、意思決定がスピーディ 決算公告の義務がない |
株式会社に比べて社会的な知名度が低め |
合資会社 | 出資者2名以上で設立できる 無限責任社員と有限責任社員の両方が必要 |
設立費用が低め 決算公告の義務がない |
株式会社に比べて社会的な知名度が低め 無限責任社員は負債が出た場合、個人資産で返済する義務がある |
合名会社 | 1名以上の出資者で設立可能 すべての出資者が無限責任を負う |
設立手続きが簡単で設立費用が低め 決算公告の義務がない |
株式会社に比べて社会的な知名度が低め 全員が無限責任を負うためリスクが大きい |
※合資会社・合名会社は会社法上は現在も設立可能ですが、無限責任のリスクや信用力の面から新規設立は非常にまれです。
法人化すれば会社名義で契約や取引ができるようになり、信用力や資金調達力が高まります。事業が軌道に乗れば、節税面でのメリットも期待できるでしょう。その一方で、登記や税務申告、社会保険加入などの手続きが必要で、設立後も維持費や事務作業が発生します。
将来的に事業規模を拡大したい人や、大きな取引を目指す人に向いている方法です。
副業・週末起業
副業・週末起業は、会社員として本業を続けながら、空いた時間で小規模に事業を始める方法です。本業の収入があるため、生活への影響を抑えながらチャレンジできます。
副業・週末起業は、経験や実績を積みながら徐々に事業を拡大できるのがメリットです。週末や夜間など、自分の時間を活用して在宅中心でできる仕事を選べば、無理なく続けられるでしょう。
ただし、忙しくなってくると本業との両立や時間管理が課題になる場合もあるため、スケジュールの工夫が必要です。あわせて、トラブルを避けるためにも勤務先の就業規則や副業禁止規定、競業避止義務などの確認も事前に行ってください。

フランチャイズ契約
フランチャイズ契約は、すでに知名度のあるブランドや経営ノウハウを利用して事業を始める方法です。加盟金やロイヤリティの支払いが必要ですが、店舗運営や集客方法、商品開発などのサポートを受けられるため、未経験でも比較的スムーズにスタートできます。
ブランドの信用力を活用できる一方で、運営方針や価格設定、メニュー構成などに自由度の制限がある場合も。契約前にはサポート体制や条件を十分に確認し、自分の目指す方向と合っているかを見極めることが重要です。
M&A
M&Aは、既存の会社や事業を買収して経営を引き継ぐ方法です。すでに顧客基盤や売上があり、スタッフや設備も整っている状態から始められるため、ゼロから立ち上げるよりも早く事業を軌道に乗せられる可能性があります。
一方で、買収には多額の資金が必要であり、事業内容や財務状況の詳細な調査(デューデリジェンス)も不可欠です。また、前経営者や既存スタッフとの関係構築も重要な課題となります。資金力と経営経験がある人は、検討してみると良いでしょう。
NPO法人(非営利)
NPO法人は、利益の追求ではなく社会的課題の解決や地域貢献を目的とする非営利法人です。活動で得た収益は配当せず、事業や活動の継続に再投資されます。法人を持つことで信頼性が向上し、契約や助成金の申請がしやすくなるのがメリットでしょう。
設立には社員(メンバー)を集め、定款の作成や所轄庁への申請など、いくつかの条件と手続きが必要です。営利事業に比べ資金調達の手段が限られるため、安定した活動資金の確保が課題といえます。
一般社団法人(非営利)
一般社団法人は、非営利目的で活動する法人形態です。社員(構成員)が2名以上いれば設立でき、資本金は不要です。非営利とはいえ収益事業を行うことができますが、その利益を構成員に分配しないことが条件となります。
地域活性化やイベント運営、業界団体の設立など幅広い分野で利用されています。設立要件が比較的緩く、活動の幅を広げたい団体やグループに適した方法です。
起業はどんな手順で進めるの?
起業を成功させるには、いきなり行動するのではなく、段階を踏んで準備を進めることが大切です。ここでは、起業までの6つの基本ステップを順番に解説します。
それぞれのステップを具体的に見ていきましょう。

起業の目的や軸を考える
まずは「なぜ起業するのか」「事業を通して何を実現したいのか」を明確にしましょう。目的や軸が定まっていないと、方向性がぶれ、途中で迷いやすくなります。
目指す姿や価値観を言語化しておけば、自分が進むべき道を見失わずにすむかもしれません。新しい仲間や協力者を募る際にも、事業の方向性に共感してもらいやすくなるでしょう。
ビジネスの内容を決める
起業の目的が決まったら、次は具体的なビジネス内容を考えます。ビジネスの形は、商品販売、サービス提供、セミナー開催、Webサービスなどさまざまです。自分のスキルや経験、興味を軸にアイデアを広げ、その中から方向性を絞り込みましょう。
加えて市場調査を行い、競合や顧客ニーズを分析することで、差別化できるビジネスモデルが見えてきます。


ビジネスのターゲットを定める
どんなに良い商品やサービスでも、届ける相手があいまいだと効果的なアプローチはできません。たとえば「40代会社員男性」と「20代大学生女性」では、求めるものも響くメッセージも異なるものです。
選ばれるビジネスを展開するためにも、明確なターゲットを設定し、商品の企画や価格設定、マーケティングの方向性を定めましょう。この際、具体的な人物像(ペルソナ)を設定すると、相手の感情や行動がよりイメージしやすくなります。
事業内容の計画を立てる
事業を継続的に成長させるには、基盤となる計画づくりが欠かせません。長期的な目標を設定し、そこから逆算して中期・短期の計画に落とし込みましょう。数字を用いることで計画が具体的になり、実行しやすくなります。
あわせて「事業計画書」も作成しておくのがおすすめです。提出義務はありませんが、出資や融資を受ける際には必要になることが多く、事業内容を整理した計画書は信頼性向上にもつながります。
資金を集める
起業には資金が必要です。自己資金だけでなく、外部からの資金調達方法も検討しましょう。方法としては以下があります。
- 自己資金を貯める
- 銀行や公的金融機関から融資を受ける
- 補助金や助成金を活用する
- クラウドファンディングで資金を募る
- 投資家やベンチャーキャピタル(VC)から出資を受ける
まずは自分で準備できる金額と追加で必要な資金を洗い出し、不足分をどう補うか計画します。複数の方法を組み合わせて資金調達するのも有効です。
設立手続きを行う
必要な準備が整ったら、いよいよ事業開始のための手続きに進みます。法人設立の基本の流れは以下のとおりです。
- 印鑑を作成する
- 公証人役場で定款を認証してもらう
- 法務局で設立登記を行う
- 年金事務所で健康保険・厚生年金保険の加入手続きを行う
- 税務署に法人設立届出書・給与支払事務所等の開設届出書を提出する
これらを順番に行い、正式に法人として事業をスタートしましょう。
起業する際の注意点
起業する際の注意点は、以下の5つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己資金を確認する
準備段階から事業が軌道に乗るまでの間は、資金が必要になります。外部からの出資や融資も有効な手段ですが、まずは自分で用意できる資金がどれくらいあるのかを把握しておきましょう。
新しい挑戦にはリスクがつきものです。最低限の自己資金を確保しておくことで、不安を減らし、計画的に事業を進めやすくなります。そのうえで、必要な資金を具体的に洗い出し、不足分をどの方法で補うのかを検討しましょう。

利益が出るビジネスモデルを考える
事業を長く続けるためには、売上だけでなく「利益」がしっかり残る仕組みが欠かせません。そのためには、原価や経費を把握したうえで、収支のバランスを取ることが必要です。
大切なのは、マーケティングの視点を取り入れて、価格設定、販路、宣伝方法を戦略的に設計することです。差別化ポイントを明確にし、ターゲット層のニーズに合った商品やサービスを提供できれば、リピーターが増えて安定的な利益を生みやすくなります。
人材を集める準備をしておく
事業を拡大するには、自分一人の力だけでは限界があります。将来的には仲間やスタッフを迎えることを視野に入れ、採用やチーム作りの準備を進めましょう。
そのためには、日頃から円滑なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築いておくことが大切です。異なるスキルや経験を持つメンバーが集まることで、多様な視点やアイデアが生まれ、ビジネスの質も向上します。気になる人とは早めにつながり、メンバーが増えても対応できる体制を整えておきましょう。
税金に関する知識を身につけておく
起業後は、税金や社会保険の手続きを自分で行う必要があります。たとえ赤字でも法人住民税や健康保険料などの支払いが発生する場合があるため、事前に把握しておきましょう。
さらに、法人化した場合は法人税や消費税、源泉所得税なども管理しなければなりません。こうした制度や支払いスケジュールを理解しておくことで、予想外の出費や期限切れによるペナルティを防げます。必要に応じて税理士などの専門家に相談し、計画的に対応できる体制を整えるのもおすすめです。
リスク管理をしっかり行う
起業後は、売上の変動、予期せぬ出費、契約トラブルなど、さまざまなリスクに直面する可能性があります。こうした事態に備えるためには、資金繰りや契約内容の管理を徹底し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
特に資金管理は、後回しにすると大きな負担になります。クラウド会計ソフトの活用や税理士への相談などで、日常的に数字を把握できる仕組みを整えましょう。加えて、申告期限や支払い期限を守るためのスケジュール管理も、安定した事業運営には欠かせません。
起業に成功したロールモデル
起業に成功したロールモデルとして、2名の女性を紹介します。
起業を考えるときの参考にしてみてください。

後藤美緒さん|副業起業でベビー服ブランドを立ち上げ!
ベビー服ブランドの立ち上げを目指し、SHElikesに入会した後藤美緒さん。仕事や育児と並行して学びや情報収集を続けたことで視野が広がり、自分に合った「副業起業」というスタイルにたどり着いたそうです。
さらに、SHElikesで出会った仲間が加わったことで心強いチームができ、起業という長年の夢を実現しました。

ケーナさん|ペットと飼い主のためのサービスで起業
メーカーの技術職として働く中で現状にモヤモヤを感じていたケーナさんは、動物に関わるサービスを立ち上げるためSHElikesに入会しました。起業に必要な知識を身につけると同時に、SNSでサービスへの想いを発信したところ、その想いに共感する仲間が集まったそう。
それぞれの得意分野を活かして事業を形にし、地元の起業コンペで見事認定を獲得!小さな行動を積み重ねるうちに、やりたいことをビジネスにして起業を叶えました。

着実に手順を踏むことで起業はできる!
起業は難しいと感じるかもしれませんが、目的や事業の軸を明確にし、ビジネスの内容やターゲットを定め、資金や体制を計画的に整えていけば、着実に実現することができます。
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