思えば、40年生きてきて、私は“当たり前”にとらわれることが多かったように思います。
友だちは多くないと恥ずかしい、
大学までしっかり出るべき、
正式に採用されて働くほうがいい――
誰かに言われたわけではありません。それでも、世の中の“普通”から外れてはいけない気がして、必死にしがみついてきました。世代的な価値観や、地方ならではのコミュニティの狭さにも、影響を受けているのかもしれません。
休職・転職をきっかけに、ふと考えるようになりました。
「私が信じてきた“当たり前”って、いったい何だろう?」
「“当たり前”に従っていれば、本当に幸せになれる?」
――あれ? 私、もっと自分らしく生きていいんじゃない?
そんな気づきから、私の中の“当たり前”は少しずつ変わりはじめました。今日はそんな変化について、お話ししたいと思います。
“当たり前”にとらわれて、動けなくなった私
私は数年前まで、特別支援学校の教員として働いていました。大学を卒業し、目指していた教員として働けることが決まったときは、本当に嬉しかったのを覚えています。
「生徒が自分らしく進んでいけるサポートがしたい」そんな想いをもって働きはじめました。けれど、ここでも私は“当たり前”にとらわれていました。
「先生なんだから、ちゃんとしないといけない」
「経験年数を重ねたんだから、周りに迷惑をかけてはいけない」
そんな考えに縛られるほど「できていない自分」ばかりに目が向いていました。授業の進め方はこれでよかったのか。生徒への関わり方は間違っていなかったのか。同期や後輩が大きな仕事を任されている中で、私は何ができる教員なのか。
はっきりとした正解が見えない中で、教員としてのスキルに自信が持てず、少しずつ、でも確実に、心の疲れはたまっていきました。それでも、
「せっかく先生になれたんだから、投げ出してはいけない」
「辞めたら、周りに幻滅されるかもしれない」
そうやって、自分の気持ちにフタをし続けていました。でもやはり、身体は正直です。ある朝、これまでに感じたことのない怠さで仕事に行けなくなりました。診断は、適応障害でした。
教員の仕事を休職し、自分のこれからをどうするか、ゆっくり考えることにしました。
祖母の生き方に、ヒントがあった
休職中、ゆっくりと周囲を見つめ直したとき、ふと祖母の暮らしに目がとまりました。
私の祖母は、自宅で縫製の仕事を請け負い、生計を立ててきた人です。現在93歳。もう仕事はしていませんが、針に糸を通す速さは、今でも私よりはるかに上です。
「ミシンを使うようになって、80年は経ってるよ」
そう言いながら、今もひとりで元気に暮らしています。思えば祖母は、私が物心ついた頃から、ずっと自宅でミシンを踏んでいました。外で働いた時期もあったそうですが「自分には合わなかった」と、内職という働き方を選んだといいます。
祖母が家にいてくれたおかげで、幼い頃の私はよく祖母の家で過ごしていました。ミシンの音を聞きながら、本を読んだり、おやつを食べたり。ときには手芸を教えてもらったり、畑で野菜を収穫したり。
そんなゆっくりとした時間が大好きでした。
大人になってからも、祖母の家にはよく行っています。「私はミシンしかできないし、外で働くのはうまくできなかったから。でもあなたはすごい、立派に働いてるね」そう言って、教員として働く私を、いつも褒めてくれていました。
でも今になって思うのは、祖母は“できなかった”のではなく、“自分に合う形を選んでいた”のだということです。
長い年月をかけて技術を磨き、自宅で仕事をする。小さな畑で野菜を育て、季節を感じる。
ときには友人と旅行に出かけ、家族に手料理をふるまう。そんなふうに、自分のペースで、たくましく暮らしてきた祖母。
その生き方に、私はヒントを見つけた気がしました。
「私が自信をもてるスキルってなんだろう」
「私らしく働ける環境は、ほかにもあるのかもしれない」
そう思えたとき、ふっと肩の力が抜けました。そして私は、教員の仕事を退職し、別の道へ進む決意をしました。
SHElikesで知った、新しい選択肢
教員の仕事を退職したあと、パンを作る仕事に就きました。もともと趣味で楽しんでいたパン作りですが、「いつか誰かにおいしいと言ってもらいたい」という思いがあり、挑戦することにしました。
時間との勝負でもあるパン作りの仕事は、想像以上に大変です。それでも、お客さんが嬉しそうにパンを選んでいる姿を見ると、この仕事を選んでよかったと思えます。
今後も続けていきたいと思う一方、40代になり、収入や体力のことを考えると、働き方の選択肢を増やしたいと感じることが増えていきました。
そんな中、SNSの広告で出会ったのが、女性向けオンラインキャリアスクールのSHElikesでした。受講生の様子を見てみると、教員から新たなキャリアに進んだ人や、自信が持てなかった人が自分らしい働き方を見つけている姿があり「私も変われるのかな」と心を惹かれました。
無料体験レッスンの個別カウンセリングで、「これまでの経験や感性は、あなただけのもの。それを活かせたら素敵ですよね」と言われたとき、少し驚いたのを覚えています。
私の経験が活かせるの?
私にしかできないこともあるの?
これまで、職業に自分を合わせることが当たり前だと思っていた私にとって、その言葉は新しい視点でした。自分らしさを活かせる働き方があると知り、驚きと同時にワクワクしたのです。
どれはどんな世界なんだろう、もっと知りたい。その気持ちを大切にして、SHElikesへの入会を決意しました。
現在は、Webデザインやライティングを中心に学んでいます。スキルだけでなく、コーチングやイベントを通して、自分の強みや大切にしている感性を見つめ直す機会も多くあります。
その中で、教員時代から大切にしていた「誰かの背中を押したい」という想いや、祖母から教わった裁縫のようにコツコツと努力を続けられる強みに気づくことができました。
今後どのように仕事につなげていくかは、まだはっきりとは決まっていません。それでも、自分の経験や感性、そしてスキルがどう変化していくのかを楽しみながら、学びを続けています。
“当たり前”の働き方なんてない

私が塗り替えた“当たり前”は「わかりやすい肩書きのある働き方をしていないといけない」という思い込みでした。
以前の私は「教員」という肩書きのある働き方に安心感を持ち、そこからはずれることに不安を感じていました。でも、祖母の生き方や、SHElikesで出会った人たちから、働き方に決まった形はなく、自分に合う形を選んでいいんだと気づきました。
今の私は、まだ理想の働き方を見つけたわけではありません。それでも「自分に合う働き方を探していきたい」と前向きになれたことが、大きな変化です。
もし今、「こうでなければいけない」と感じている人がいたら、少しだけ立ち止まって、「それって、自分らしいことかな?」と考えてみてもいいのかもしれません。
“当たり前”の働き方なんてない。そう思えた今、自分らしい働き方を見つけながら、少しずつ進んでいけたらと思っています。
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本記事はSHElikesの受講生を対象とした「SHEライターコンペ」の採用作品です。(執筆者 eriさん)
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