自分の機嫌は自分で取る。
仕事帰りにちょっといいスイーツを買う。稼いだお金を趣味に使う。たまには旅に出て羽を伸ばす。ご褒美でモチベーションを保ちながら、普段は仕事に邁進する。
そんな話を聞くたびに、よく分からないなと思っていた。ご褒美が待っていたとしても、目の前のやりたくないことからは逃げられないし、しんどい気持ちもなくならない。
私はいつでも不機嫌だった。
スイーツを食べながら仕事でミスした自分を責めて、趣味の時間が終わると空っぽになった財布と心に落ち込み、旅の最終日には今日このまま人生が終わったらいいのにと思う。私はいつでも、自分の中の不機嫌、つまりマイナスな気持ちに飲み込まれて、ズーンと沈んでいた。それでも自分の不機嫌をごまかして、なんとか生き延びることが毎日の目標だった。
仕事で終わる平日が虚しかった。生きてると思えるのは好きなことができる休みの日だけ。自分の興味のあることや得意なことを仕事にしたら、少しはこの虚しさが減るのかな、と思ってSHElikesを始めた。書くことは好きだから、ライターを目指してみようかな、そのくらいの気持ち。
ライターコースを受講して、面倒くさそうだなと思った。他の人の文章を分析したり、練習したり、そんな面倒くさそうな道を通らずには稼げはしないのか。少し考えれば当たり前のことに絶望した。SHElikesを始めて2ヶ月後、また不機嫌になってしまった私は、ライターになることを諦めた。
2025年12月、そんな私の不機嫌は今、少しだけ解消されている。マイナスな気持ちの波に飲み込まれることなく、やっと自分の機嫌を自分で取れるようになってきた。SHElikesを初めてから、少しだけ、本当にほんの少しだけ大人になった気がする。
私と同じようにご褒美で自分のご機嫌を取れない人は、意外と多いのではないだろうか。
スイーツでご機嫌になれないあなたへ、参考になるかはわからないが、2025年の私が学んだ「自分のご機嫌の取り方」をお伝えしたいと思う。
SHElikesのコーチングで気付いた「私の思考のクセ」と対策
SHElikesでは、月に1回、グループコーチングを受けることができる。
今月達成できたことはなにか。そこから気付いたことはあるか。できなかったことはなにか。どうしたら達成できたか。コーチやメンバーと対話しながら、1ヶ月の行動を振り返り、反省を活かして、次の月の目標を立てる、というサイクルを繰り返す。
コーチングはあくまで「自分の中にある目標や意識を引き出す」ために行うこと。誰かに導いてもらうものではなく、ある意味、自分自身との対話だ。何度かコーチングに参加する中で、そのことを実感するようになった。
あるときのコーチングで、私がその月にできなかったことを共有したとき、コーチが「できなかったことに対して、あなたはどう思った?」と私に問うた。考えたことがなかった。行動だけを振り返って、心がどんなふうに動いていたのかは気にしてもいなかった。
やりきれなかった悔しさはもちろんあった。ただそれ以上に、物事を始める不安感の方が大きかった。
「なにから始めたらいいんだろう」「いざ始めたら、分からなくて手が止まってしまうかもしれない」「やるなら本気でやりたい」「今日は疲れているから、途中で辞めることになってしまうかもしれない」もやもやとした思いが高速で頭の中を巡り、疲れて、動き出すことをやめてしまう。そんな心の動きに初めて気付いた。
私にとって、行動を開始することにはかなり多くのエネルギーを使うらしい。そこで、そのエネルギー消費をできるかぎり減らせる方法を考え、実践してみた。
①「タスクの細分化」で行動開始のエネルギーを減らす
「課題を提出する」ではなく、「課題の要件を確認する」「必要な情報をネットで集める」「構成案をメモに書き出す」「提出用のファイルを立ち上げる」「提出用資料を作る」「提出する」と分解した。次に自分がなにをしたらよいのかを考える必要がなくなることで、動き出しがぐっと楽になった。
加えて、シーンを選ばずに取り組めるタスクがあることに気付く。実は、要件の確認から構成案の書き出しまでは、スマホを片手にベッドに寝転がりながら行うことだってできる。机の上を片付けて、気合いを入れて、PCを開く必要もない。普段SNSで潰す時間で、一歩前に進むことができる。
②「前夜の時刻書き出し」で悩む時間をなくす
「1週間のうちにやろう」では、いつ始めたら良いか分からず、悩んで疲れてしまう。
私に合っていたのは、前日の夜に、次の日やることと”時刻”を書き出しておくことだ。
8:00起床、8:10歯磨き、8:20洗濯機を回す、8:25朝食…といった具合で、仕事や勉強、日常生活の予定を作業レベルに落として文字にしておくだけで、動き出すハードルはぐっと減った。ポイントは、「いつまでに」という期間ではなく「いつ動き出すか」の時刻を決めること。
とはいえ、毎日ここまで細かい予定を書き出すのは大変なので、タスクをチェックリストに書き出すだけに留めることも多い。これも十分に効果がある。
③「やりたい!」のムラを素直に受け入れる
動き出すにはエネルギーがいるが、それを上回る「やりたい!」という意欲が私を突き動かすことがある。その時は勢いに任せて、やりたいと思ったことを全力でやってみる。やる気にムラがあることは悪いことだと思っていたが、やりたいと思った時が結局一番出来が良かったりする。
上記ができるようになって、自分は頑張る=無理をすることだと思い込んでいたことに気付いた。スマホを見る時間は変わらないのに成果があって、頑張ったと思えた。私がやるべきだったのは、無理をしてPCに向かう時間を増やすことではなかった。
上記は、あくまでも私に合っている方法である。
自分の思考のクセがわかり、対策を打てるようになってきてから、いつも不機嫌だった私の心は少しだけ楽になった。私の不機嫌は、できなかった自分を、自分が責めることで起こっていた。私にとっての「自分の機嫌は自分で取る」は、「自分の機嫌を損ねない」ことだったらしい。
2025年の私からあなたへ、自分の心を覗いてみて
これからも私は、スイーツでは自分の機嫌は取れないのだと思う。だから、私の機嫌を損ねないために、私自身と向き合い、知って、工夫して、目一杯私自身に気を使っていきたい。それが私が、不機嫌に飲み込まれず、虚しさを減らして生きていくための方法だと思うから。
私が未来の自分のご機嫌を取るなら、好きなことである書くことをやっぱり仕事にしてみたい。そう思って今、第一歩として、この文章を書いている。これはご機嫌取りの文章なのだ。
あなたにとっての「自分の機嫌は自分で取る」とはなんだろう。私と同じように「機嫌を損ねない」ことかもしれないし、今はご褒美の設定の仕方があなたにあっていないだけかもしれない。世間一般の意見をそのまま当てはめようとするのではなく、自分の心のクセを覗いてみて欲しい。きっとそこに答えがある。SHElikesはその手助けをしてくれるはずだ。
自分の不機嫌をごまかしごまかし、毎日を必死に生きている仲間たちへ。あなたたちの毎日から、不機嫌の闇に飲み込まれることが少しでも減りますように。
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本記事はSHElikesの受講生を対象とした「SHEライターコンペ」の採用作品です。(執筆者 ひなこさん)
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