顧客が商品・サービスを購入する前に欠かせない段階は、商品・サービスに対する認知です。そもそも商品・サービスを認知していなければ、購買意欲は沸かないため、マーケティングにおける認知拡大は重要な役割を担っています。とはいえ、マーケティングで認知を拡大するためにはどうしたらよいのかと迷う人もいるでしょう。
本記事ではマーケティングにおける認知拡大の施策例を解説するとともに、実際の成功事例や効率的に進めるためのポイントについても説明していきます。
マーケティングにおける認知拡大の重要性
顧客が商品・サービス購入に至るまでに、「商品・サービスを認知する」→「興味・関心をもつ」→「本当に必要なものか、自分に適切なものなのかを熟考する」→「商品・サービスを購入する」というステップを踏んでいきます。このステップの始めに認知があるのです。このように、マーケティングにおける認知は顧客の商品・サービスを購入する過程の第一歩となるため、とても重要といえます。
マーケティングにおける認知の目的
マーケティングにおける認知の目的は、「商品・サービスを幅広い顧客に知ってもらうことで、商品・サービスの購買意欲を高めること」にあります。たとえば化粧品を販売している会社であれば、商品の主成分やデザイン、コンセプト、他社商品との違いといった情報を知ってもらうことで、顧客の商品に対する関心を高められる、といった具合です。ただ名前の認知を広めるといった程度だと、顧客の興味はわきません。商品・サービスの具体的な情報を幅広い人に知ってもらうことで、購入意欲を沸かせることができます。
認知拡大のための施策例
認知拡大のための施策例として、以下の7つが挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアとはインターネットを通じたメディアで、相互にコミュニケーションが取れる媒体です。InstagramやTikTok、YouTubeといったものが例として挙げられます。各メディアごとに利用する顧客層が異なるため、ターゲット層となる顧客がよく利用するソーシャルメディアを活用することが重要です。ソーシャルメディアは広告料をかけることなく認知拡大を目指せるというメリットがある一方、メディア運用に時間や労力がかかることも押さえておくとよいでしょう。
ディスプレイ広告・リスティング広告
ディスプレイ広告やリスティング広告も認知拡大に有効です。ディスプレイ広告はサイトやアプリ上の広告枠に動画や画像、テキストなどで表示される広告で、不特定多数の顧客に商品・サービスを見てもらえます。一方、リスティング広告は顧客が検索した言葉に合わせて表示される広告で、すでに興味のある人に再度広告を表示することで、購買意欲を高めていくのに有効です。この方法は幅広い人に見てもらえる機会がある一方で、広告の表示や政策に対する費用が掛かります。
動画広告
動画広告は文字や画像だけでは伝わりにくい情報を提供できるため、非常に有効な認知拡大手段です。たとえば化粧水を販売している会社で商品の肌触りや匂い、塗った後の潤いを伝えたいと思った際に、文字や画像では十分に伝わりづらいでしょう。動画にすることで、文字や画像だけでは伝えられない商品の魅力を存分に伝えることができます。
SEO
SEOとは「検索エンジン最適化」を意味し、顧客が知りたいことを検索した際に、自社のWebサイトが上位表示されるようにする対策をいいます。たとえば顧客が「30代 化粧水 選び方」といった形で検索したとします。検索した際に上位表示されていることでより多くのユーザーがWebサイトにアクセスし、商品・サービスの存在を知ってもらうきっかけになります。検索エンジンの仕組みを理解し、顧客の悩みや問題を解決できるコンテンツをつくることが大切です。
プレスリリース
マスコミに対して商品・サービスの情報を公式発表するプレスリリースも認知施策の一つです。プレスリリースは小規模の企業でも手軽に情報を発表することが可能で、テレビや新聞などで取り上げてもらえれば、大きな認知拡大につながります。PRにかかる費用が抑えられるとともに、企業自ら顧客に伝えたい想いを言葉で伝えられるというメリットがあります。ただし配信したプレスリリースがメディアに取り上げられたとしても、意図しない報道となる可能性が否定できないのがデメリットといえます。
マスメディア
テレビやラジオ、新聞、雑誌といった不特定多数の人に対して、さまざまなジャンルの情報を提供するマスメディアも認知拡大に役立ちます。ターゲット層を含め、多くの人に企業や商品・サービスを知ってもらえる手段ですが、比較的高額な広告費用がかかり、ターゲット層の絞り込みが難しいといったデメリットがあります。また情報の配信が一方向的であるため、即時性や個別化の制約がある点にも注意が必要です。
オンラインセミナー・イベント
オンラインで開催するセミナーやイベントも認知拡大に有効です。オンラインで開催するため、全国どこにいても顧客が簡単に参加できるのが最大のメリットです。企業としても限られた地域だけではなく、全国の興味のある人たちに商品・サービスを案内できる機会となります。ただし機械操作に慣れておらず、オンラインで参加するということ自体にハードルを感じてしまう人もいるでしょう。ターゲット層も見極めたうえで、判断するのがおすすめです。
認知拡大のプロモーション成功事例
認知拡大のプロモーションの成功事例として、以下の3つを取り上げます。
一つずつ見ていきましょう。
ハーゲンダッツのハーゲンハート探し
アイスクリームで有名なハーゲンダッツは、ハーゲンダッツのふたを開けたときに出現するハート形のくぼみをハーゲンハートと名づけ、X(旧Twitter)やInstagramでハートをシェアすること*1を促進しています。もともとユーザーが発信をしていた内容を、メーカーが「幸せのハーゲンハート探し」という形で積極的にPRしたことで、SNS上でこの取り組みが広がり、ハーゲンダッツのさらなる認知拡大と顧客の購入意欲の向上に成功しています。
湖池屋のピュアポテト診断
ポテトチップスで有名な湖池屋は、「自分にぴったりなピュアポテトがわかるピュアポテト診断をした人の中から20名の人に商品詰め合わせがもらえる」という取り組み*2をX(旧Twitter)で行いました。自分にぴったりの商品が分かることで、商品認知ができるとともに商品に対する理解を促進し、興味や関心を持ってもらうことにもつながっています。さらにユーザーによる投稿がさらに他のユーザーにも興味を与え、結果として商品認知が広がっていく取り組みにもなっています。
JA全農にいがたの「レシート投稿キャンペーン」
JA全農にいがたは「新潟県が枝豆の作付面積1位」だという認知を全国に広めるため、対象期間中に新潟県茶豆を購入したレシートで豪華賞品が当たるというキャンペーン*3を展開しました。このキャンペーンにより、商品に対する興味・関心を持ってもらうことはもちろん、新潟県は枝豆の名産なのだという認知が向上しました。豪華賞品においても新潟県産の和牛やお米、ビールといったラインナップとなっており、枝豆以外の新潟のおいしいものをPRするきっかけにもしています。
認知拡大を効率的に進めるためのポイント
認知拡大を効率よく進めるポイントは以下の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ターゲットを明確にする
認知拡大をするのに、ターゲットを明確に定めておくことが大切です。ターゲットを定めるにあたって、ペルソナを設定することがおすすめです。たとえば30代女性の化粧水を販売するとなった場合、ただ単に30代女性をターゲットにするというだけでは漠然としています。30代女性の家族構成や性格、ライフスタイルなど具体的な典型的な顧客像を定めておくことで、顧客の行動や思考などを推測しやすくなります。またペルソナを設定することによって、適切なアプローチ方法も選択しやすくなります。
競合との差別化を図る
認知拡大を進めるにあたって、競合との差別化をするようにしましょう。他社と似たようなコンセプトやデザインにしてしまうと、認知されにくい可能性があります。認知拡大をする際には競合他社の商品・サービスを入念にリサーチし、他社とは異なる方法でアプローチしていく必要があります。
測定と分析を行う
認知を拡大するには顧客のニーズを汲み取った商品を展開する必要がありますが、顧客のニーズを知るためにはまず測定と分析を行うことが欠かせません。顧客のニーズや市場の動きがどんどん変化していく中で、迅速に需要の高いものを見極めていく必要があります。
どのコンテンツが一番顧客の反応がよかったのかをはかるエンゲージメント率や、実際に行った施策がどれだけ顧客獲得に結びついているのかといったコンバージョン率など、マーケティングにはさまざまな指標があります。その数値を測定の上分析し、改善を加えていくことで、顧客に新しい価値を提供するサービス・商品が生み出せます。顧客にとって魅力的な商品が開発できれば、認知も拡大していきます。
マーケティングの認知拡大は購入前の第一歩!施策や成功事例を参考にしてみよう
マーケティングにおける認知は、顧客の商品・サービスを購入する過程の第一歩となるため、とても重要です。「ターゲットを明確にする」「競合との差別化を図る」「測定と分析を行う」ことで認知拡大を効率よく進めていきましょう。
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※出典
*1 ハーゲンダッツジャパン株式会社「幸せのハーゲンハート探し」より
*2 株式会社湖池屋『質問に答えるだけで、自分にぴったりな「ピュアポテト」が分かる!?ピュアポテト ブランド芋くらべ第2弾発売記念「あなたはどのタイプ?#ピュアポテト診断キャンペーン」を実施』より
*3 全農にいがた『新潟県=枝豆の名産地”認知向上へ「レシート投稿キャンペーン」実施 にいがた園芸農産物宣伝会』より