ワークライフバランスに必要な取り組みとは?企業の成功事例を紹介

ワークライフバランスに必要な取り組みとは?企業の成功事例を紹介

ワークライフバランスとは「仕事と生活を調和させること」を意味する概念です。働き方の多様化に伴って注目されるようになり、多くの企業でワークライフバランス実現に向けた取り組みが活発化しています。

しかし「ワークライフバランスの実現」と一口に言っても、どのように取り組むべきか分からない企業も多いのではないでしょうか。そこで本記事ではワークライフバランスに必要な取り組みと共に、企業の成功事例20選を紹介します。

ワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和」を指す言葉です。「仕事」と「生活」どちらか一方を犠牲にするのではなく、双方を充実させることで好循環を目指すライフスタイルを意味します。

働き方の多様化や女性の社会進出などをきっかけに浸透し、内閣府ではワークライフバランスを以下のように定義しています。

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」

引用:内閣府 「仕事と生活の調和」推進サイト | 仕事と生活の調和が実現した社会の姿より


ワークライフバランスの実現は、従業員の生産性向上や優秀な人材の確保など企業側にとっても大きなメリットをもたらします。少子高齢化や労働力の減少といった課題に対応するためにも、ワークライフバランスの推進は非常に重要と言えるでしょう。

ワークライフバランスの実現に向けた企業の取り組み成功事例20選

ここでは、ワークライフバランスの実現に向けた企業の取り組み事例を詳しく紹介します。具体的な施策や成功のポイントなども解説するので、自社に取り入れられる内容はないかチェックしてみてください。

育児との両立を応援する取り組み事例7選

まずは、育児と仕事の両立を支援する取り組み事例を7選見ていきましょう。

育児と仕事の両立支援は、女性の社会進出に伴い重要視されている取り組みのひとつです。女性が働きやすい環境づくりはもちろん、近年では男性の育児休暇取得を推進している企業も多く見られます。

茅沼建設工業株式会社

北海道に本社を置く茅沼建設工業株式会社*1では、育児中の従業員が長く働き続けられる職場環境づくりに力を入れています。かねてより建設業における長時間労働が問題視されていたことをきっかけに、労働時間や労働条件整備に関する勉強会を実施したうえで、出産・育児を控える女性社員の意見を参考に、法定を上回る短時間勤務制度を導入しました。

ほかにも育児看護特別休暇や家庭教育サポー ト特別休暇を設定したり、育児短時間勤務制度を小学6年生まで認めたりと、育児と仕事の両立に向けた取り組みを推進しているのが特徴です。

独自の休暇制度は外部からも高く評価され、企業表彰の受賞やメディア掲載などを通じて企業イメージの向上にもつながっています。

第一生命保険株式会社

第一生命保険株式会社*2は、社員一人ひとりの個性を活かして新たな価値創造を目指す「ダイバーシティ&インクルージョン」の一貫として、ワークライフバランスの推進を強化している企業です。

具体的な取り組み例としては、女性が家庭と育児を両立させるための支援制度導入や勤務時間の短縮、休暇取得の推進などが挙げられます。特に育児関連の支援制度が大幅に改定され、マタニティ休暇の導入・産前産後休業期間の給与全額支給・育児サービス経費補助など、女性が働きやすい環境整備を実現しています。

また、ワークスタイルの変革に関しては、トップダウンとボトムアップそれぞれでの取り組みを推進しているのが特徴です。

  • トップダウンの施策:入力端末の稼働を17時でシャットダウンして残業時間を削減
  • ボトムアップの施策:業務工程の見える化や業務の標準化を推進

トップダウン、ボトムアップの両側面からアプローチしたことで、月間平均残業時間は業界平均の約3分の1程度、年次有給休暇取得率は7割以上という成果をあげています。

社会福祉法人 寿栄会

老人福祉・介護事業を展開する社会福祉法人 寿栄会*3は、妊娠・出産を機に退職する女性社員の多さを課題と捉え、補助金を活用して職場風土改革へ着手しました。

育児中の社員への両立支援として一般事業主行動計画を策定し、く るみん認定を取得しています。現場リーダー自らが育児と仕事を両立している姿勢を見せることで、産休や育休を取りやすい雰囲気醸成に取り組みました。男性の育児休暇に関しても、リーダークラスの職員が率先して取得したことにより、対象者全員の育休取得が進んだといいます。

ほかにも、子ども参観日やファミリーサービスデー(ノー残業デー)をはじめ、職員が家族との団らんの時間を持てるような取り組みを推進しています。

株式会社資生堂

化粧品の製造・販売事業を展開する株式会社資生堂*4は、子育て中の社員に対するサポート体制が充実しているのが特徴です。女性比率が高い資生堂では、かねてより育児休暇制度や短時間労働を推進しており、女性が働きやすい環境づくりに取り組んできました。

近年では男性の育休取得率100%を目標に掲げており、以下のような支援制度(一部抜粋)を設けています。

  • 産前休暇・産後休暇:産前6週間は有給の産前休暇、産後8週間は一部有給の産後休暇を取得可能
  • 育児休業制度:子どもが満3歳になるまで、通算5年まで育児休業を取得可能
  • 出生時育児休業(産後パパ育休):育児休業制度とは別に子どもの出生後8週間以内に育児休業を取得可能(上限4習慣)
  • 育児時間制度:子どもが小学校3年生まで、1日最大2時間の勤務時間を短縮
  • 事業所内保育所:資生堂掛川工場に保育施設「カンガルーム掛川」を完備し、月極めの常時保育と一時保育を運営

このような制度の推進により、2022年には資生堂グループの618名の社員が育児休業を取得(うち男性139名)しました。復職する社員に対してのセミナーも実施しており、出産・育児後も安心して働ける職場環境が整備されています。

株式会社ブリヂストン

タイヤメーカーの株式会社ブリヂストン*5でも、仕事と子育ての両立支援を積極的に推進しています。妊娠中の勤務時間内通院(有給)をはじめ、出産休暇、育児休暇、ファミリーサポート休暇など休暇制度が整っているのが魅力です。

またブリヂストンでは、休暇制度以外にも育児休職者貸付や育児休職生活補助金といった補助制度が充実しているのも特徴のひとつです。事業所内には2つの保育園があり、出産後も長く働ける環境づくりに重きを置いています。育児による離職期間中も休職者セミナーに参加できるなど、スムーズな復職をサポートする体制は社員からも高い評価を得ているようです。

日東電工株式会社(Nitto)

 日東電工株式会社(Nitto)*6では、家庭状況に応じて多様な働き方を選択できる環境が整っています。産前産後休暇や育児休業のほか、出生時育児休業、育児特別休暇、育児補助などの制度が充実しているのが特徴です。

女性社員はもちろん、男性でも育児休暇を取りやすい雰囲気が醸成されており、女性の育児休業取得率は100%、男性は約90%となっています。

また、3歳未満の子どもがいる社員は1日の労働時間を短縮できたり、小学生までの子どもがいる社員は、コアタイムなしのコアレスフレックス制度を活用できたりと、育児と仕事の両立を支援する取り組みも満載です。

六花亭製菓株式会社

六花亭製菓株式会社*7は、北海道を代表する製菓メーカーのひとつです。従業員のワークライフバランスの実現に向けて、多様な取り組みを推進しています。その中でも代表的なのが「社内託児施設 (ごろすけ保育園)」の設立です。

女性社員の離職防止を目的として2006年に設立され、出産後の職場復帰を支援しています。急な休日出勤にも対応してもらえるため、男性社員・女性社員共にうれしい制度と言えるでしょう。

また六花亭製菓では、平成元年から22年連続で有給休暇取得率100%を継続しているのも特徴です。従業員の心身の健康維持につながり、ブランド力向上や生産性向上を目指しています。

多忙な従業員に配慮した取り組み事例7選

つづいて、多忙な従業員に配慮した企業の取り組み事例を7選紹介します。

従業員の長時間労働や業務過多は多くの企業で問題視されており、フレックスタイム制や短時間勤務制度の導入などの対策を迫られています。具体的に企業ではどのような働き方支援制度を行っているのか、詳しく見ていきましょう。

サイボウズ株式会社

ソフトウェア開発会社のサイボウズ株式会社*8では「100人いたら100通りの働き方がある」という考え方のもと、従業員それぞれに合わせた多様な働き方が推進されています。

2018年からは「働き方宣言制度」の運用を開始し、従業員一人ひとりが自分で設定した働き方を実行中です。出勤時間や勤務時間などを自由に設定でき、柔軟な働き方を促進しています。

ほかにもウルトラワークと呼ばれる在宅勤務制度や子連れ出勤制度の実施など、多忙な従業員に優しい環境づくりが行われています。実際に、ワークスタイル変革後は離職率が28%から3%前後に低下し、「D&I AWARD 2023」ではベストワークプレイス企業に認定されました。

Great Place To Work®による「働きがいのある会社ランキング」では8年連続ランクインを果たすなど、外部からも高い評価を獲得しています。

SCSK株式会社

SCSK株式会社*9では、健康的な労働環境構築に向け「健康キャンペーン」を展開し、従業員の健康増進を支援しています。

残業半減運動や有給休暇の取得を推進し、2013年度からは「スマートワーク・チャレンジ20」をスタートさせました。 「有給休暇取得率100%・平均月間残業時間 20時間以下」を目標に掲げ、目標を達成した部門に対して賞与の特別加算を行っています。

この取り組みは会社の経営戦略として位置づけられており、全社一丸となって取り組んでいるのも特徴のひとつです。取り組み以降、平均月間残業時間は年々減少し有給休暇取得率は 年々向上しています。また、総労働時間が減少した一方で、企業としては増収増益を達成しています。

従業員の健康維持を目的にワークライフバランスを推進した結果、企業の業務効率を向上させた成功事例と言えるでしょう。

株式会社お佛壇のやまき 

静岡県に本社を置く株式会社お佛壇のやまき*10では、定時退社と年次有給休暇の消化を中心としたワークライフバランス推進に取り組んでいます。社長がトップダウンで取り組むことにより、残業体質を改善し、従業員が年休消化しやすい職場環境を実現しました。

年休を100%消化した社員に対して追加で休暇を10%上乗せしたり、連続5日間の年休を取得できるファミリー休暇制度を導入したりと、画期的な制度も取り入れています。

またIT技術を導入することで作業効率をアップさせ、従業員の負担軽減にも成功しました。店舗のお客様に対しても18時までに退店するよう働きかけることで、多忙に陥りやすい従業員をサポートしています。

株式会社ライフィ

株式会社ライフィ*11は、東京都による「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」で2度の表彰経験を持つ総合保険代理店です。2014年に従業員が難病を患ったことをきっかけに、ワークライフバランスの見直しが始まりました。

週1回の「ノー残業デー」から取り組みを開始し、残業時間が削減されてからは「短縮労働時間制度」を採用しています。同時に、従業員それぞれのライフスタイルに合わせて出勤できる「選べる出勤時間制度」も導入しました。

また、ウェアラブルデバイスを配布して歩数競争を実施したり、ストレッチタイムを取り入れたりと、従業員の健康維持にも積極的に取り組んでいます。

アクトインディ株式会社

アクトインディ株式会社*12は、子どもとおでかけ情報サイト「いこーよ」を運営する企業です。サイト立ち上げ当初からテレワークを推進しており、従業員のフレキシブルな働き方を促進しています。

従業員が働きながら生活を充実させることを目標に、コアタイムなしのフレックスタイム制(コアタイムなし)やテレワーク制度といった多様な勤務形態を導入しています。パート社員含む全社員がテレワークを活用しており、勤務時間は従業員によってさまざまです。コアタイムがないため、テレワークを有効活用して育児と仕事を両立している社員もいるそうです。

その柔軟な働き方は外部からも評価されており、2018年度には「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」に認定されました。

株式会社オーシスマップ

測量などを行うコンサルタントの株式会社オーシスマップ*13では、残業削減によって従業員のワークライフバランス向上を目指しています。社長自らが「定時退社を目指す会社」だと公言し、残業の申請制度を導入しました。定時退社の重要性を継続して発信しているほか、従業員が発案したワークライフバランスに関する制度が充実しています。

具体的には、毎月1回従業員自らがノー残業デーを設定できる「家族の日」を設け、全社共有のスケジュールにて共有しています。家族の行事や誕生日などの入力を通じ、従業員同士の積極的なコミュニケーション促進を図っているそうです。

働き方の見直し後は残業時間が大幅に削減され、産休・育休後の復職率は100%となっています。ワークライフバランスの取り組みがメディアに掲載されたことで応募者も増え、ワークライフバランスを整えたことで、優秀な人材確保を可能にした成功事例と言えるでしょう。

株式会社ピコナ

CG映像制作を手掛けるピコナ*14でも、残業削減によるワークライフバランスの推進に取り組んでいます。月100時間を超える残業体質を問題視し、総労働時間を見直した働き方改革をスタートさせました。

なかでも特筆すべきなのが「残業チケット」と呼ばれる制度です。月初に10枚のチケットが配布され、残業1回につきチケットを1枚使用するという仕組みです。残業チケットを6枚使ってしまうとピコナポイント(ピコナの福利厚生)が5ポイントマイナスになります。

ピコナポイントとは1日出社するごとに1ポイント貯まる福利厚生の一貫で、溜まったポイントはさまざまな特典に変換できます。残業チケットの使い過ぎによって特典を受けられなくなるため、徐々にではあるものの残業時間の削減を実現していったようです。

無理に残業削減を強いるのではなく、楽しみながらワークライフバランスを推進するのは、エンタメに関わるピコナならではと言えます。

多様性を認める取り組み事例6選

最後に従業員の多様性を認める企業の取り組み事例を6選紹介します。

ライフスタイルの多様化に伴い、近年では人材の個性を活かして新たな価値創造を目指す企業も増えてきています。ダイバーシティ(多様性)の推進は企業パフォーマンスの向上につながると言われており、今後も多様性を発揮できる職場風土の醸成が求められるでしょう。

TRIPORT株式会社

TRIPORT株式会社*15では、在宅勤務や短時間正社員・短時間勤務制度の導入により、従業員それぞれに合わせた柔軟な働き方を実現しています。特にテレワーク制度に関しては全従業員が活用しており、時間的・場所的な制約がある従業員でも活躍できる環境を整えました。

テレワーク推進のためにIT設備を導入しているほか、月1回の全体出社やチャット活用によって希薄になりがちなコミュニケーションの活性化を図ってるのも特徴です。結果として業務の円滑化につながり、従業員側・会社側双方にとってメリットの大きい働き方を構築しています。

個人個人に合わせた多様な働き方推進により、従業員の離職率も創業以来はじめて0%を記録しました。社員満足度が高いことからリファラル採用も多く、人材確保の面から見てもワークライフバランスを成功させた好事例と言えるでしょう。

アイアール株式会社

アイアール株式会社*16は、建設会社向けの人材派遣事業を展開している企業です。男性社会と言われる建設業では珍しく女性社員の割合が多く、女性管理職も積極的に登用しています。

また、アイアールでは未経験者の建設業への挑戦をサポートしているのも特徴です。性別・年齢・国籍・障がいの有無に関わらず、アイアールでキャリアを築けるようなサポート体制を整えています。

従業員にアンケート調査を行ったうえで業務が割り振られるため、残業や出張の希望を自ら決められるのもポイントの一つです。従業員の多様性に重きを置いた福利厚生が評価され、2019年にはホワイト企業アワードの「ワーク・ライフバランス部門」を受賞しています。

株式会社ワコール

女性用下着用メーカーの株式会社ワコール*17では、生産性向上と従業員の働きがい向上を目的として、2017年に「働き方・休み方改革プロジェクト」をスタートしました。

テレワーク制度や配偶者帯同時の休職制度を導入したり、副業制度で多様なキャリアの形成を促したりと多方面からワークライフバランスの実現を目指しています。

またワコールでは、ダイバーシティを意識した雇用を徹底しているのも特徴です。グローバル展開をする企業として外国人管理職を積極的に雇用しているほか、障がい者やシニアが活躍できるような環境整備に力を入れています。

株式会社MUGENUP

株式会社MUGENUP*18は、東京都に本社を構えるインターネット関連会社です。自社で開発した独自システムによるテレワークを推進し、就業規則として「在宅勤務規定」を定めています。

在宅勤務の際は始業時間・就業時間・休憩時間などを自由に設定でき、育児や介護といった家庭事情に合わせて働きやすい環境が整っています。長時間労働に関しても、社員の給与に合わせて事前に残業可能時間が定められており、残業時間の管理を徹底しています。業務全体の効率化にも取り組んでいるのが特徴です。

多様な人材が活躍できるよう、高齢者や障がい者等に対する特別な採用枠は設けておらず、個人のスキルに応じた平等な採用を実施しています。

実際に従業員からも「ADHDだが、在宅勤務で安心して働ける」「在宅勤務のおかげで療養中でも働き続けられた」という意見があり、社内から見ても働きやすい企業だと言えるでしょう。

株式会社ニトリホールディングス

日本を代表する大手家具メーカーの株式会社ニトリホールディングス*19では、ライフスタイルが変化しても安心して働ける環境づくりに努めています。結婚休暇・育児休暇・短時間勤務制度といったさまざまな制度がありますが、なかでも注目すべきなのが2023年に始まった「マイエリア制度」です。

マイエリア制度とは従業員が就業する地域を限定し、転居なく通勤が可能な店舗に配属される制度のこと。制度を利用したとしても待遇面での減額はなく、社員一人ひとりがライフステージに合わせた選択ができる取り組みを推進しています。

提携託児所の優待利用や出産手当金などの制度も充実しており、従業員が長く働き続けられる環境整備を実現しています。

株式会社JTB

株式会社JTB*20は、残業時間削減の観点から従業員の多様な働き方を支援している企業です。「働き方の見直しプロジェクト」と称して長時間労働を解消するモデル事業をスタートさせ、同時にワークライフバランス改善の好事例を表彰する「JTBダイバーシティアワード」を実施しました。好事例を社内報に掲載することで、グループ全体に対して自律的な取り組みを促しました。

ほかにも、働く時間や場所に制限を受けない「ふるさとワーク制度」や「勤務日数短縮制度」の導入、「副業ガイドライン」の制定などを通じて社員の多様な働き方を推進しています。

また2021年には、社員の成長支援と働き方の多様性拡大を目的として「自己成長支援休職制度」*21を制定しました。自己成長支援休職制度とは、自己成長に取り組む社員を対象に最大2年間休職できる制度のことです。社員の「新たな価値を創出する働き方」を支援し、グループ全体の成長へとつなげています。

ワークライフバランスを整えるために企業が取り組むべきこと

従業員側・企業側共にメリットのあるワークライフバランスの推進ですが、企業は具体的にどのようなことに取り組めば良いのでしょうか。ワークライフバランスの実現に向けた代表的な施策としては下記の4つが挙げられます。

それぞれ詳しく解説するので、自社でワークライフバランスを推進する際の参考にしてください。

フレックスタイム制の導入

フレックスタイム制とは、従業員が自分自身で始業・終業時間を決めて働ける制度のことです。個人の生活リズムに合わせて就業時間を柔軟に設定できるため、仕事と家庭の両立が容易になります。

また、フレックスタイム制の導入によって通勤ラッシュを避けられるので、従業員のストレス軽減や移動時間の短縮にもつながります。実際に多くの企業でフレックスタイム制の導入が進んでおり、従業員の満足度向上だけでなく、企業側にとっても生産性向上や定着率の改善といったメリットがあるでしょう。

短時間勤務制度の導入

短時間勤務制度は、その名の通り勤務時間を時間単位・分単位で短縮できる制度です。特に育児や介護を行う従業員に対して有効な施策で、ライフステージの変化による優秀な人材の離職を防ぐことができます。

さらに短時間勤務の導入は、従業員のストレス軽減や健康維持にも寄与します。短時間勤務制度を取り入れる際は、労働時間・適用条件・子どもの対象年齢・期間中の評価制度など自社独自のルールをあらかじめ定めておくことが大切です。

テレワークの導入

働く場所に制限を受けないテレワークの導入は、ワークライフバランスの改善に大きく役立ちます。通勤のストレスを軽減できるのはもちろん、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなるのが大きなメリットです。従業員の満足度向上も期待できるため、離職率低下にも役立つでしょう。

またテレワークの推進で地理的な制約がなくなるため、企業側は全国各地から優秀な人材を確保することが可能になります。災害時における事業継続計画を考えるうえでも有効なので、企業にとっても導入しておきたい制度と言えるでしょう。

従業員のニーズに合わせた制度の導入

従業員のニーズに合わせた制度の導入は、従業員の満足度・生産性向上に欠かせません。育児支援制度や介護休暇制度、キャリア開発支援プログラムなど、個々のニーズに応じた多様な制度を整備することが重要です。

社員一人ひとりの希望に沿った制度の導入により、企業への信頼感やエンゲージメントが向上します。従業員が安心して働ける職場環境づくりは、企業の競争力を高めるためにも非常に重要な施策であり、継続的な見直しと改善が求められるでしょう。

なお従業員のニーズを把握するためには、定期的な従業員の意見調査を実施するのが効果的です。

ワークライフバランスの推進で従業員の満足度と企業の競争力を高めよう

ワークライフバランスの実現は、従業員の満足度向上だけでなく企業成長にも不可欠な要素です。フレックスタイム制や短時間勤務、テレワークの導入といった具体的な施策を通じて、従業員が自分のライフスタイルに合わせて働ける環境を整えていきましょう。

具体的にどのような施策を取れば良いか分からない場合は、他の企業の成功事例を参考にするのもおすすめです。

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※出典
*1:内閣府 | 社内におけるワーク・ライフ・バランス 浸透・定着に向けたポイント・好事例 p17 茅沼建設工業株式会社より
*2:内閣府 | 社内におけるワーク・ライフ・バランス 浸透・定着に向けたポイント・好事例 p23 第一生命保険株式会社より
*3:内閣府 | 社内におけるワーク・ライフ・バランス 浸透・定着に向けたポイント・好事例 p22 社会福祉法人 寿栄会より
*4:株式会社資生堂 | サステナビリティ 働きがいのある職場の実現より
*5:株式会社ブリヂストン | Workstyle 多様な働き方へ 仕事と子育ての両立支援より
*6:日東電工株式会社 | サステナビリティ 多様な働き方より
*7:内閣府 | 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2011 第2章 第1節 コラム 六花亭製菓株式会社における取組より
*8:サイボウズ株式会社 | 企業・IR ワークスタイル 多様な働き方へのチャレンジより
*9:内閣府 | 社内におけるワーク・ライフ・バランス 浸透・定着に向けたポイント・好事例 p15 株式会社お佛壇のやまきより
*10:内閣府 | 社内におけるワーク・ライフ・バランス 浸透・定着に向けたポイント・好事例 p17 茅沼建設工業株式会社より
*11:TOKYOはたらくネット | ライフ・ワーク・バランス EXPO 東京2019 株式会社ライフィ
*12:厚生労働省 | 働き方改革特設サイト CASESTUDY 中小企業の取り組み事例 アクトインディ株式会社より
*13:内閣府 | 社内におけるワーク・ライフ・バランス 浸透・定着に向けたポイント・好事例 p16 株式会社オーシスマップより
*14:日系 X WOMAN | 残業80%減! これが業界の常識を覆した「残業チケット」より
*15:TOKYOはたらくネット | ライフ・ワーク・バランス EXPO 東京2019 TRIPORT株式会社より
*16:アイアール株式会社 | アイアールの魅力 サポート体制より
*17:ワコールホールディングスグループ | DE&Iの推進 ワークライフバランスより
*18:テレワーク総合ポータル | 株式会社MUGENUPより
*19:株式会社ニトリホールディングス | サステナビリティ ダイバーシティの推進より
*20:内閣府 | 社内におけるワーク・ライフ・バランス 浸透・定着に向けたポイント・好事例 p21 株式会社ジェイティービーより
*21:株式会社JTB | ニュースルーム 「新たなJTBワークスタイル」の確立に向けて働き方の多様性を支える新制度を制定より

ABOUT ME
ライター 岩崎奈々
関西大学 社会学部卒業。在学中は国際協力を行う学生団体に所属し、広報やメディア発信に従事。新卒で凸版印刷株式会社に入社し、無形商材の営業を担当。フリーランスとして独立し、現在は主にインタビューライティングやSEOライティングをメインに活動中。その他メディア立ち上げやコンテンツ運営も実施。
エディター 古澤 椋子
鹿児島大学大学院水産学研究科修了。水産系社団法人にて、水産に関わる調査研究、行政との折衝などを経験したのち、水産系ベンチャーにて、広報を担当。2023年からフリーライターとして活動を始め、主にエンタメ系の記事を執筆。SHElikesでキャリア、マインド共に変化した経験から、SHEsharesのライターを務める。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。