企業間の競争が激化する昨今、企業はマーケティングを成功させるため、さまざまな戦略を展開しています。成功した企業の事例を参考にすれば、より効果的なマーケティングができるでしょう。
この記事では、マーケティングの基礎的な知識や成功事例についてご紹介します。後半には、マーケティング施策をおこなう際に押さえるべきポイントについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
そもそもマーケティングとは?
マーケティングとは「商品やサービスが売れる仕組みをつくること」です。企業が商品やサービスを販売する際に、商品やサービスの開発、宣伝、販促などさまざまなプロセスを行います。この各プロセスに対して、どのようなユーザーを対象にし、どのような仕組みを作れば、売れ続けるのかを検討します。
また、マーケティングにはマスマーケティングとWebマーケティングの2種類があります。マスマーケティングは、テレビや新聞などマス(大衆)を対象としてマーケティングで、広告や販促活動を通じて顧客と接点を持ちます。
一方、WebマーケティングではWebサイトやSNSなどのプラットフォームを活用して、企業のペルソナにリーチできる施策を講じて顧客にアプローチしていきます。
企業のマーケティング成功事例10選
ここからは、マーケティングの成功事例についてご紹介します。各企業、異なるマーケティングの手法を取り入れているので、参考にしてみてください。
ユニクロ
ユニクロは「O2O(Online to Offline)」を活用したマーケティング戦略で成功を収めています。O2Oとはオンライン上で顧客と接点を持ち、その顧客を実店舗に誘導する戦略のことです。
ユニクロのO2O戦略は会員限定のクーポンをアプリ広告を通じて配信し、実際に店舗で支払いをするときにクーポンを提示すると、特別価格で商品を購入できるという仕組みです。
また、顧客が購入した商品は、公式サイトで商品レビューやスタイリングの参考画像などが見られるシステムも導入しています。これにより、オフラインとオンラインの両方で顧客を結びつけ、シームレスな買い物体験を提供することに成功しました。
スターバックスコーヒー
スターバックスコーヒーは「マーケティングミックス(4P)」の手法を取り入れたマーケティングをおこなっています。マーケティングミックスとは、製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販促(Promotion)を組み合わせてマーケティングを実行する手法です。
「Product(製品)」では他社との差別化を図るために、高品質なコーヒーだけでなく、居心地の良い環境や顧客が喜ぶ特別な体験の提供し、「Price(価格)」では一部店舗で高価格でさらに高品質な商品の提供を行うなど、さまざまな価格帯の商品を展開し、幅広い層の顧客にアプローチしています。「Place(流通)」では多くの地域に店舗を展開し、顧客が気軽に安心してアクセスできるように努め、「Promotion(販促)」では、独自のブランドイメージを構築し、SNSやイベントなどを活用して顧客にリーチしています。
4Pをうまく組み合わせることで、顧客に満足度の高いサービスを提供することに成功しています。
ハーゲンダッツ
一般的にアイスクリーム市場の主なターゲットは子どもです。そのため、お小遣いの範囲内で手軽に購入できるよう低価格に抑えることを重視する企業が多い傾向があります。
そんな中、ハーゲンダッツは「大人のアイス」という逆の発想のコンセプトで他企業との差別化を図り、高品質で贅沢な味わいを提供しました。「自分へのご褒美として手に取りたい」と思うような商品の販売に力をいれています。
この戦略は、消費者インサイト(購買行動の根底にある動機)を的確に捉えたものです。高級感と特別感を演出することで、アイスクリームという新たな市場を生み出しました。
また、ハーゲンダッツは、季節感のあるフレーバーや期間限定品など、常に魅力的な商品を提供し続けることでも消費者の興味を引きつけています。
レッドブル
レッドブルは「翼をさずける」のキャッチフレーズで知られ、エナジードリンク市場において世界でトップクラスの販売実績を持っています。
従来、栄養ドリンクは疲れを癒すために飲むものと考えられていましたが、レッドブルはエナジードリンクの定義を「スポーツでのパフォーマンス向上やクラブでのエネルギー補給」とし、新たな市場を創造することでエナジードリンクとしての差別化を図りました。
さらに、プロモーションとして、スケートボードやサーフィンなどのエクストリームスポーツへのスポンサーシップを活用しました。このような戦略により、レッドブルは業界内でのトップブランドとしての地位を維持しています。
JINS
JINSは、社長自身が液晶モニターでの作業によって眼の疲れに悩まされていたことがきっかけとなり、産学連携プロジェクトを通じてブルーライトが眼の疲れに影響することを発見しました。この研究をもとに開発したブルーライトをカットするメガネ「JINS PC」を販売し、新たな市場を開拓しました。
これによりJINSは新たな市場を開拓することができ、視力が良く普段メガネをかけていない層をターゲットにして、PCやスマートフォンなどのデジタルデバイスを使用する人々の眼の健康を守ることをアピールしました。
JINSは2001年にメガネ市場に進出しましたが、当初は看板商品がなく、赤字経営が続いていました。しかし、この斬新なアプローチにより、JINSは眼の健康に関する新たなニーズに応えると同時に、市場における自社の地位を築くことに成功しました。
花王
花王は「ヘルシア緑茶」のマーケティングで成功を収めています。競合が数多く存在する緑茶業界において、新規参入は難しいと考えられていました。しかし、ヘルシアは肥満に悩む中年男性や健康へ意識を向けることが難しい多忙なサラリーマンをターゲットにして宣伝を行いました。
その後、厚生労働省から特保の許可を受けていることから有効性の高さが評判となり、健康志向の高い女性にも受け入れられました。そのため高価格ではあったものの、その価格が安心感につながるという相乗効果もを生み出しました。
さらに、多忙なビジネスマンでも購入しやすいように、販売をコンビニに限定して流通方法を差別化しました。ヘルシアは「体脂肪が気になる方に」というキャッチーなフレーズで打ち出され、販売からわずか10ヶ月で約200億円の売り上げを達成しました。
SEA BREEZE
デオドラントブランドの「SEA BREEZE(シーブリーズ)」は、当初マリンスポーツを楽しむ男性を主要ターゲットとして商品を展開していました。しかし、実際には中学生・高校生によく利用されていることが判明し、2007年からターゲットを中高生に変更してマーケティングを行うことで利益をあげています。
更に2022年には「Deo&Water(デオ&ウォーター)」のパッケージを変更し、新たな市場へのアピールを図りました。
現在は、豊富なカラーバリエーションボトルや文字入れでオリジナリティーを出せる宣伝で「推し活」向けのアイテムとしても人気があります。またInstagram、Twitter、YouTubeなど、複数のSNSを駆使して幅広い層に向けたマーケティング活動にも力を入れています。
P&G
P&Gは「ファブリーズ」のマーケティングで成功を収めています。
従来、衣類やカーテン、シーツなどの不快な臭いに対処する方法は洗濯、クリーニングまたは捨てるのが一般的でした。また、セーターやコートなどの頻繁に洗濯するのが難しい衣類、カーテンやシーツの臭いが気になる場合は都度クリーニングに出す場合が多いですが、費用と手間がかかることが問題でした。
ファブリーズは、このような問題に着目して開発されました。スプレーをするだけで消臭・除菌ができる手軽さから、今ではほとんどの家庭に常備され、多くの人々が日常的に使用する商品となりました。
リクルート
リクルートは学習アプリ「スタディサプリ」を展開する際、ターゲットを明確にして、ターゲットのニーズに応えることを重視しました。
スタディサプリは経済的または地域的な理由で予備校や塾に通えない高校生に焦点を当てています。ターゲットは高校生を対象にしたアンケートに基づいて選定しており、調査の結果では「経済的または地域的な制約により予備校や塾に通えない高校生」が全体の約7割を占めることが明らかになっています。この7割を占める層に目をつけ、誰でも手軽にプロ講師の授業をオンラインで受講できるサービスを提供しました。
このような事前調査に基づく的確なターゲット選定が、サービス展開後に多くのユーザーを獲得できた要因となりました。
無印良品
無印良品は顧客と密接なつながりを築くことに焦点を当てた「コンテンツマーケティング」で成功を収めています。
無印良品が運営するWebメディア「くらしの良品研究所」では、自社のアイテムに関連したコラムを定期的に発信しています。これにより顧客は商品だけでなく、その商品が生まれた背景や使い方についても深く知ることができます。
さらに、サイト内には新商品のリクエストを直接受け付けるページを設け、顧客が「あったらいいな」と思う商品や、使用している商品の改善点を提案できるページを作りました。この手法によって、顧客が自分の声が直接反映されることを実感することができ、無印良品を利用する際の安心感につながりました。
マーケティング成功のために押さえるべきポイント
ここからは、マーケティングを成功させるために押さえるべきポイントをご紹介します。これからマーケティングに取り組む方は、下記の手順を参考に始めてみてください。
適切な目標を設定する
マーケティングを成功させて利益を上げるためには、具体的な目標設定が必要です。
主に売上高、利益額、利益率、市場占有率、認知度、ブランド力向上などに対して数値目標を設定していきます。細かく目標を設定することで「社員の足並み」を揃えることが可能です。
他にも「販売数量を10%増加させる」や「製造コストを10%削減する」といったように部門ごとに具体的な目標を設定することも大切です。優先順位が明確になり、組織全体が合理的に目標達成に向けて取り組むことができます。
ターゲットオーディエンスを特定する
ターゲットオーディエンスとは、製品やサービスに対する潜在顧客のことを指します。ターゲットオーディエンスを定める目的は「どの層にアプローチをかけることで利益が出やすいのかを認識するためです。
ターゲットオーディエンスを特定するには、既存顧客のデータ収集と分析、業界と市場のトレンド調査、競合他社の研究と分析、Webサイトのアクセスデータ分析、ソーシャルメディア分析、バイヤーペルソナの作成、ターゲットオーディエンス以外の特定の7つのステップが必要です。
7つのステップを通じて、ターゲットオーディエンスの好みや潜在的に抱えている課題を把握し、効果的なマーケティング戦略を模索します。
顧客との関係を構築する
顧客との関係を築くことは、売り上げに大きな影響を与えます。たとえば、同じスペックの商品を購入する場合、購入歴のないメーカーのものより、購入歴があるメーカーのほうを選ぶ人が多いはずです。
また、集客できたとしても、顧客がずっと自社の製品を購入し続けるとは限りません。競合他社が同様の商品やサービスを提供し始める可能性もあるため、品質以外の部分で差別化できる箇所はないか模索する必要があります。
顧客を長く引きつけるためには、さまざまな方法を用いて顧客に企業のファンになってもらえるように努めることが大事です。
フレームワークを活用する
フレームワークとは、マーケティング施策を検討する際に自社が置かれている状況などを分析するための思考方法です。
ワークフレームを活用することで、自社の現状を論理的に考えられ、情報の取捨選択がしやすくなります。チーム内の認識が統一され、円滑なコミュニケーションに繋がります。
フレームワークを用いた分析で明らかになった強みや弱みを踏まえて、マーケティング施策を考えることができれば、より効果的な施策を効率的に講じることができるでしょう。
PDCAサイクルを回しながらアップデートし続ける
PDCA(Plan-Do-Check-Action)は、計画・実行・評価・改善のサイクルを指します。
企業が社会のニーズに合わせて目標を達成するための重要な手法で、マーケティングだけでなく、あらゆる業務で活用されています。PDCAを継続的に素早く回すことで、業務の効率性や柔軟性を高め、変化する環境に適応できるようになります。
自社が置かれている状況やユーザーのニーズは日々目まぐるしく変化しています。変化に適応するためには、PDCAサイクルを回しながらアップデートし続けることが欠かせません。
まとめ
本記事では、マーケティングの成功事例やマーケティング施策を考える上で押さえるべきポイントについてご紹介しました。
成功した企業の事例を参考にすることで、失敗を避けつつ効果的なマーケティングができます。自社に適した事例を見極めて、施策を検討しましょう。
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