キャリアラダーとは?キャリアパスとの違いや活用事例を解説!

キャリアラダーとは?キャリアパスとの違いや活用事例を解説!
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ライター shin
航空系の会社に勤務した後、フリーランスとしての活動を開始。現在は主にWebメディアに携わりつつ海外を転々としている。

仕事をするなかで、キャリアラダーという言葉を耳にしたことがある方もいるでしょう。しかし、以下のような疑問を抱くこともあるのではないでしょうか。

「キャリアラダーとは何?」
「キャリアラダーはどのように導入する?」

そこで、本記事ではキャリアラダーの概要やメリットとデメリット、導入ステップを解説。また、キャリアラダーの活用事例も紹介します。

キャリアラダーについて詳しく知りたい方やキャリアラダーの導入を検討している方は、最後までチェックしてみてください。

キャリアラダーとは?

キャリアラダーとは、「キャリア(経歴)」と「ラダー(梯子)」を掛け合わせた言葉です。人事制度や能力開発システムとして活用され、梯子を一段ずつ登るように従業員がキャリアアップすることを目的としています

梯子の各ステップには仕事の内容やスキルなどに関する目標が定められており、目標を達成したら次のステップへと進むことでキャリアアップしていきます。看護職やアパレル業界、外食産業などさまざまな業種で活用されており、今後も多くの企業で導入されるでしょう。

キャリアパスとの違い

キャリアラダーとキャリアパスは似ていますが、それぞれの意味は異なります。キャリアパスとは、企業内における異動や昇進のルートのことです。「どのような職務に、どのような立場や役職で就くか」「目標を達成するために、どのような経験やスキルを身につけていくか」のような道筋を指し、職種間の異動も含まれます。

一方で、キャリアラダーは主に同一職種内でのキャリアアップを実現させるために必要なステップを表したものです。スキルの習熟度がわかるため、専門職としてより難易度の高い業務を担えるようになるための目安として使われます。

つまり、スペシャリストとしてのキャリアを築く場合はキャリアラダー、ジェネラリストもしくは複数の職種や役割を経て昇進を目指す場合はキャリアパスが使われるといえるでしょう。

クリニカルラダーとの違い

クリニカルラダーとキャリアラダーも異なります。クリニカルラダーとは、看護師としての能力を段階的に示したシステムです。看護師のレベルを「初心者」「新人」「一人前」「中堅」「達人」の5段階に分け、それぞれのステップに目標が設定されています。

クリニカルラダーは、看護師の育成や能力開発などに活用されます。また、看護師としての実力を客観的に評価できるため、転職の際に能力を証明できるでしょう。

キャリアラダーもクリニカルラダーも専門職としてのキャリアアップを目指す際に使われる点は同じですが、クリニカルラダーは看護師に特化している点は押さえておきましょう。

キャリアラダーを導入するメリット

キャリアラダーを導入するメリットは、以下の3つが挙げられます。

各メリットを詳しく説明します。

キャリアステップが明確に示せる

まず、キャリアラダーを導入するとキャリアステップを明確に示せます。キャリアを階層化することで現在の自分のレベルや次のステップに進むために必要なスキル、経験などを把握できるため、行動を起こしやすくなるでしょう。

また、キャリアステップが明確になると人材育成がしやすくなります。ステップごとに目標を設定することで教育体制や研修制度に一貫性を持たせられるうえ、企業側と従業員側のキャリアアップに対する認識を統一しやすくなるからです。

従業員のモチベーションが向上する

従業員のモチベーションアップが期待できるのも、キャリアラダーを導入するメリットです。ステップごとに目標を設定すると従業員は自分のやるべきことが明確になるので、意欲的にスキルを磨いたり経験を積んだりするでしょう。

また、一段ずつ目標を達成していくことで成功体験を積めるため、達成感を得られて自信もつくといえます。そうするとモチベーションが高まり、さらなる成長が期待できるでしょう。従業員の成長は、会社の業績アップにつながるかもしれません。

人材の定着率アップにつながる

キャリアラダーを導入すると、人材の定着率アップにつながります。なぜなら、ステップごとに求められるスキルや目標が明確に定められているため、公平性を保てるからです。

キャリアアップに必要な条件が統一され、一律の基準で評価されるため、同じ職種に就いている全員に平等にチャンスが与えられます。誰もが納得できる評価制度を整えると離職率低下の効果が期待でき、従業員に長く働いてもらえやすくなるでしょう。

キャリアラダーを導入するデメリット

キャリアラダーの導入には、デメリットもあります。具体的には、以下の2つが挙げられます。

それぞれを詳しく見てみましょう。

導入に手間がかかる

キャリアラダーの導入には、手間がかかります。キャリアアップを実現させるためのステップを細かく分け、それぞれのステップで必要なスキルや経験、目標などを明確に定めるのは簡単ではないでしょう。

加えて、誰もが納得できるキャリアラダーを構築するには、賃金体系や評価制度を見直したり研修制度や資格取得支援制度を整備したりする必要もあります。全社的な取り組みになるため、手間と時間がかかるといえます。

業種や組織によっては相性が悪い

業種や組織によっては相性が悪いことも、キャリアラダーを導入するデメリットとして挙げられます。前述の通りキャリアラダーは同一職種内でキャリアアップするために必要なステップを表したものなので、異動を前提とした組織や幅広い分野の仕事を担う業種には適していません。

また、限られた人しかキャリアアップできないような場合も、キャリアラダーの導入は難しいでしょう。たとえば、アパレル店員からファッションデザイナーへのキャリアアップを目指すキャリアラダーを導入しても、ファッションデザイナーとして成功する人は一握りだと考えられるため、誰もが梯子を登り切れるとは限りません。ゴールにたどり着ける可能性が低いキャリアラダーの導入は、かえって従業員のモチベーションを低下させてしまうといえます。

キャリアラダー制度の導入ステップ

キャリアラダー制度は、以下のステップで導入します。

  1. キャリアを階層化する
  2. 評価システムを整備する
  3. 研修を実施する

各ステップを詳しく解説します。

1. キャリアを階層化する

まずは、キャリアを階層化します。キャリアアップに必要な知識やスキル、経験、資格などを洗い出し、梯子を作るように適切な順番に並べましょう。役職や勤続年数なども考慮しながら階層化することが大切です。

なお、キャリアを階層化する際は各ステップ間の隔たりが大きくなりすぎないよう注意してください。次のステップに到達するハードルが高いと短期的な目標を立てにくくなり、従業員のモチベーション低下につながる可能性があるからです。登りやすい梯子を作るイメージで、階層間の隔たりを小さくするとよいでしょう。

2. 評価システムを整備する

続いて、評価システムを整備しましょう。ステップ1で構築したキャリアラダーと評価システムを連動させ、階層ごとに待遇面に差をつけます。階層が上がるごとに待遇がよくなるシステムにすれば、従業員がモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

評価システムを整備する際は、公平性を意識することが大切です。評価基準を明確に定めたり主観が入らない評価制度を構築したりして、すべての従業員が納得できるような評価システムにする必要があります。

3. 研修を実施する

評価システムを整備したら、研修を実施しましょう。階層ごとに研修を用意し、従業員が自分のレベルに合った教育を受けられるようにします。研修を行うことで、従業員は自分のレベルを客観的に把握できたり、次のステップに進むために必要な知識やスキルを身につけられたりするでしょう。

研修を導入する際は「受講対象者を明確にする」「指導経験の豊富な人に講師を担当してもらう」などを意識し、従業員にとって有益な研修にすることが大切です。

なお、キャリアラダー制度は一度導入したら頻繁には変更しないようにしてください。度々キャリアラダー制度が変わると従業員は進むべき方向がわからなくなり、キャリアアップのモチベーションが低下してしまうからです。また、企業側もキャリアラダーを構築し直す手間と時間がかかり、ほかの業務に支障をきたす可能性があります。

キャリアラダーの活用事例

最後に、キャリアラダーの活用事例を紹介します。ここでは、以下3社の事例を見てみましょう。

それぞれを詳しく説明します。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリは、エンジニア部門に「Engineering Ladder」を導入しています*1。エンジニアの成長段階ごとに期待される行動を明文化したもので、「MG(メルカリ・グレード)1」から「MG6」までの6段階構成です。たとえば、「MG1」では「プロダクトの基本的な使い方の理解」、「MG6」では「前例がないようなソリューションを考え、新しいプロダクトや機能で変革を起こせる」などが定められています。

「Engineering Ladder」の導入により、エンジニアは自分のレベルと次のステップに進むために必要なスキルを明確に把握できます。また、公平な評価を受けられるため、納得して仕事に取り組めるでしょう。

公益社団法人日本看護協会

公益社団法人日本看護協会は、自身のレベルに応じた研修を受けられるプログラムを実施しています*2。研修は「分類1」から「分類5」の5段階で、現在の自分のレベルに合った教育を受けられるため、看護職として着実にスキルアップできるでしょう。

たとえば、「分類1」ではすべての看護職の活動の基盤となる研修を提供しており、「分類4」では労務管理や組織管理などに関する研修を実施しています。新人看護職から看護管理者になるまでのステップが明確に提示されているといえます。

ギャップジャパン株式会社

ギャップジャパン株式会社は全社的な人材開発に取り組んでおり、各従業員の状況に応じた段階別プログラムを導入しています*3。たとえば、「リテールアカデミー」では新規従業員向けのトレーニングやビジネスシミュレーション、「ミッドレベルマネージャーコーチング」では中堅マネージャーがシニアリーダー職になるためのコーチングを提供することで、従業員のキャリア形成をサポートしています。

また、社内人材の採用に力を入れているのも特徴です。店舗従業員が店舗や本社でより高い地位に就く機会を提供しており、「Gap社」におけるバイスプレジデント以上の役員の約18%は、店舗でのお客様対応からキャリアをスタートさせているそうです。店舗勤務からキャリアアップしていく前例があると、従業員はモチベーションを維持しやすいでしょう。

キャリアラダーとは何かを理解して、導入してみよう

キャリアラダーとは、従業員が梯子を一段ずつ登るようにキャリアアップすることを目的とした人事制度や能力開発システムのことです。各ステップには、求められるスキルや経験、目標などが定められています。

キャリアラダーを導入すると、キャリアステップを明確化できたり従業員のモチベーションが向上したりなどのメリットを得られます。業種や組織によっては相性が悪い点には注意が必要ですが、本記事で紹介したステップを参考にして導入してみてください。

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※出典
*1:株式会社メルカリ「Engineering Ladder」より
*2:公益社団法人日本看護協会「日本看護協会が提供する研修」より
*3:ギャップジャパン株式会社「人材育成」より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。