フリーランスや個人事業主など、ある程度収入がある方は必ず確定申告をする必要があります。しかし確定申告をしないとどうなるのか、どのようなリスクがあるのか知らない人がいるかもしれません。
この記事では「確定申告をしないとどうなるのか」「確定申告をしなければいけないケース」「確定申告の期限を過ぎてしまった場合の対応方法」について解説していきます。確定申告について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
確定申告をしないとどうなる?しないことのリスク
確定申告をしないとどうなるのか知らない人は多いかもしれません。確定申告をしないことで起こりうる主なリスクは3つあります。
一つずつ見ていきましょう。
加算税がかかる
加算税とは確定申告を3月15日までに行わなかった場合に課される税金で、いわば罰金のような性質です。基本的に加算税が課される金額は、申告をしなかった納税額に対し、一定の割合を乗じた額となります。たとえば納税額が50万円までの場合は15%*1、50万円を超えて300万円までの場合には納税額の20%*1が課されます。また故意に収入を隠して脱税したとみなされた場合には、無申告加算税に代わり、納税額に対して税率40%の「重加算税」が課される可能性もあるため注意が必要です。
延滞税も課される
延滞税とは確定申告の期限である3月15日までに本来支払うべき税金を納めていない場合にかかる税金です。納付期限の翌日から延滞税が課され、納付が遅れれば遅れるほど延滞税がかかります。延滞税は「納付していない金額×3%弱×納付遅延年数」で計算されます*2。実際にどのくらいの延滞税がかかるのか国税庁のWebサイトで確認できます。
なお脱税とみなされると、税務調査の年数が5年から7年に延びます。この場合、「延滞税の計算期間の特例(※)」が適用されません。
※「延滞税の計算期間の特例」とは、一定期間だけ延滞税の計算期間から除外される特例のことです。
青色申告承認を取り消される可能性がある
確定申告を行わないことで、青色申告制度を活用できなくなる可能性があります。そもそも青色申告とは毎日の取引を会計帳簿に書き、その記帳を基に正しく確定申告することで最大65万円の特別控除が受けられる制度です。
この青色申告は正しく収入や支出を申告していることが前提となるため、万一正しく申告していないものがあれば、青色申告が取り消される場合があります。最大65万円*3の特別控除や純損失の繰り越しといった税制上有利な制度が使えなくなる可能性が高くなるでしょう。
確定申告をしないデメリット
確定申告をしないデメリットは多くありますが、大きなデメリットとして主に以下の3つが挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
青色申告特別控除の額が適用されなくなる
確定申告を行わないことで、青色申告の特別控除を受けられなくなります。青色申告は、「最高65万円の特別控除」「純損失の繰越が受けられる」「個人事業を手伝っている家族への給料を適正な金額の範囲内で経費にできる」など税制において優遇されています。青色申告が必要な場合は、正しく期限内に済ませられるように準備しておきましょう。
保険料の減免が受けられない
確定申告は所得を正しく申請し、次年度の住民税や国民健康保険料などの算出をするためにも必要な作業です。たとえば「昨年度の年収は300万円だが、今年度は200万円に下がってしまった」といった場合は、各自治体における所定の申請手続きを行うことで保険料が一定の割合で減額される可能性があります。しかし確定申告を行わないことで、次年度の保険料を算出できないだけでなく、軽減判定も行われません。
収入証明を行う書類がなくなる
確定申告をしないと、所得証明書や非課税証明書などの収入を証明できる書類を発行できなくなります。収入証明は住宅ローンや賃貸契約などを行う際に必要で、収入がどのくらいあるのかを示すための書類です。
会社員の人は源泉徴収票などがありますが、自営業やフリーランスの人は確定申告書を作成して収入を証明する必要があります。収入証明ができないことにより、ローンや賃貸物件を借りにくくなるデメリットがあるでしょう。
個人事業主やフリーランスは確定申告が必要?
結論からいうと、個人事業主やフリーランスは確定申告が必要です。会社員の場合は会社が代わりに源泉徴収や年末調整を行ってくれるため納税手続きが必要ありません。
一方で個人事業主やフリーランスの場合は自分で事業を行っています。事業による利益と、所得税をどのくらい納めなくてはいけないのかを自分自身で確定申告をすることによって明らかにする必要があります。
アルバイトで確定申告が必要なケース
アルバイトで確定申告しないとどうなるのでしょうか。アルバイトで確定申告が必要なケースは主に以下の3つです。
一つずつ丁寧に見ていきましょう。
複数のアルバイト先がある場合
年末調整は1社でしか手続きできないため、複数アルバイト先がある場合は自分で確定申告する必要があります。それぞれの勤務先で源泉徴収票が発行されてから申告書を作成しましょう。ただし掛け持ちをしていても、アルバイトでの合計年収が103万円以下*4の場合は所得税がかからないため、確定申告は必要なくなります。年間のアルバイト収入額次第で確定申告の必要かどうかが変わることを抑えておきましょう。
所得税の還付を受けたい場合
税金を多く払いすぎた可能性がある人で還付を受けたい場合、確定申告を行う必要があります。たとえば、年の途中で退職した人は年末調整が行われないため、源泉徴収額が納めすぎとなっている場合があります。納めすぎた税金を戻してもらうために、確定申告によって正しい税額を計算しましょう。
所得税の還付が受けられる主な事例が国税庁のホームページに記載されているため*5、気になる人は確認してみてください。
確定申告が必要な控除を受ける場合
所得控除できる項目はいくつかありますが、年末調整では申告できない控除は確定申告を行う必要があります。年末調整で組み込むことのできない主な所得控除項目は以下の通りです。
- 医療費控除*6
- ふるさと納税を含む寄付金控除*7
- 自信や盗難で資産が損害を受けた時の雑損控除*8
これらの項目を申告することで所得控除ができるため、納めるべき税金額が軽減され、還付金を受け取れます。それぞれの項目で必要な領収証などを保管しておき、確定申告の際に正しく申告できるように準備しておきましょう。
確定申告の期限が過ぎてしまった場合の対処法
確定申告の期限が過ぎてしまった場合にはどのようにしたらいいのか悩まれる方もいるでしょう。期限が過ぎてしまったときの対処として以下の3つを行いましょう。
一つずつ解説していきます。
期限内に間に合わなかった理由を正しく把握する
始めになぜ申告に間に合わなかったのか理由を確認しておくことが大切です。たとえば、書類の保管場所がばらばらで探すのに時間がかかってしまったのであれば、保管場所を統一しておきましょう。
領収証等が混在し、金額を把握するまでに時間がかかった場合であれば、確定申告時にすぐに金額が分かるようExcelファイルに毎日記入するなどの対策があげられます。自分が期限内に申告ができなかった理由を正しく把握することで、具体的な改善策を考えてみてください。
速やかに期限後申告をする
確定申告を3月15日までに行えなかった場合は、すぐに期限後申告を行いましょう。申告書の様式は期限内のものと同じもので構いません。期限後申告となった場合は青色申告の特別控除額が減ってしまうことや保険料減免が受けられない可能性があることに注意が必要です。
延滞税や加算税を支払う覚悟をする
確定申告に遅れた場合は延滞税や加算税を支払わなければいけなくなります。納税日は確定申告書を提出した日となります。延滞税や加算税が発生している場合は速やかに納税しましょう。納税方法としてはインターネットバンキングやクレジットカードなど納付方法が各種用意されています*9。確定申告及び追徴税の支払いまでは一連の流れと考え、すぐに対応するようにしてください。
確定申告をしないとどうなるのかを確認して、期限内に正しく所得を申告しよう!
今回は確定申告をしないとどうなるのかについて解説しました。確定申告をしないことで「青色申告特別控除が適用されなくなる」「保険料の減免が受けられない」「収入証明を行う書類がなくなる」という大きなデメリットがあります。現在フリーランスであったり、会社員で副業をしていきたいと考えている人は確定申告について正しく理解しておき、申告を行う際には期限内に申告できるように日頃から準備しておくようにしましょう。
またフリーランスの方や会社員で今後副業をしたいと考えている人はスキルを身につけたり磨いたりするところから始めてみましょう。
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<出典>
*1:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」より
*2:国税庁「延滞税の計算方法」より
*3:国税庁「No.2070 青色申告制度」より
*4:国税庁「No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか」より
*5:国税庁「No.2030 還付申告」より
*6:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」より
*7:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」より
*8:国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」より
*9:国税庁「振替納付日について/期限内に納付できなかった場合は」より