モデリングとは?3D制作に必要な工程や上手に作るコツを紹介

モデリングとは?3D制作に必要な工程や上手に作るコツを紹介
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ライター KeitoKurisu
埼玉県の美容学校を卒業後、銀座の美容室での経験を経て、雑誌・広告業界のヘアメイクとして活動。その後、SEOメディア事業や映像制作会社を立ち上げ、脚本とディレクター業務を行う。現在は、アート作品の個展を行いながら、フリーライターとして活動中。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

CGクリエイターやゲームクリエイターを目指すなら、モデリングは必須のスキルの一つです。しかしソフトを触ったばかりの方には、「モデリングって何…?」「全然うまくできない…」と悩む方も多いのではないでしょうか。

モデリングのスキルを身につければ、VFXや3DCGアニメーションなど様々な作品を作ることが可能になります。したがってモデリングの作業で挫折せず、まずは基礎を勉強してみてください。

今回はモデリングの意味や必要な工程、モデリングを上手に行うコツなどについて解説します。記事の後半では注意点も紹介しているので、「3DCGスキルを身につけたい…!」と考える方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

モデリングとは?

一般的にモデリングとは、ある物事や事象をプログラムや模型などを用いて表現することを指します。そしてCGにおけるモデリングは、球体や正方形のオブジェクトを使用して3D・2Dの物体を作る工程のことです。CG制作ソフトやゲーム開発ソフトを使用することが多く、映画やアニメ、建築やファッションなどさまざまな業界で利用されるスキルの一つです。

モデリングの作り方や作風などは作品の使用用途によって異なります。例えば建築業界では、完成イメージや3Dプリンタなどに使用されています。近年ではメタバースの空間やアバター開発も注目されており、モデリングのスキルを活用できる幅は広がっていると考えられるでしょう。

3Dモデリングと2Dモデリングの違い

3Dモデリングと2Dモデリングの大きな違いは、奥行きの有無にあります。2Dは平面での表現技法になるため、基本的に縦と横だけで作品を表現します。

しかし3Dは立体的になるため、縦・横に加え奥行きの座標を操作する必要があるのです。つまり3Dモデリングと2Dモデリングの違いは、平面(2D)の作品を作るか、立体(3D)の作品を作るかの違いとなります。

モデリングからレンダリングまでの工程

ここからは、モデリングを実際に行う工程を見ていきましょう。作業に慣れていない方は、下記のステップで作品を作ってみてください。

  1. 作成する作品を決める
  2. 形を形成する
  3. マテリアルを設定する
  4. テクスチャをつける
  5. アニメーションを施す
  6. カメラワークを行う
  7. プレビュー・レンダリングを実行する

人によっては先にマテリアルを設定してから形を形成する方も見られます。しかし基本的なプロセスは上記の順番なので、まずは紹介した手順を試してみましょう。順番に解説します。

1.作成する作品を決める

モデリングを実際に行う前に、何を作るかを具体的に決めておきましょう。なぜなら作りたいものが漠然としている状態では形や質感にズレが生じて、作業が進まない可能性があるからです。

例えば「りんご」や「コップ」などをモデリングする場合は、実物を目の前に置きながら作業を進めるとよいでしょう。スマホで画像を撮影して常に見える状態にすることなども有効です。

作りたい物の「高さや・横幅・色・質感」などを観察することで、制作したい作品のイメージが具体的になるでしょう。したがってモデリングを行う際はデッサンを行う要領で、作りたいものを決めて確認しながら作業を進められる環境を作ってください。

2.形を形成する(モデリング)

作成する作品が決まったら、まずは形を整えてみましょう。視点を変えながら、縦・横・奥行きの座標を適切な大きさに調整します。コップやグラスなどを作成する場合は、水が入る部分の凹みも作成しておきましょう。

また観察している物体の高さや横幅、奥行きを計測することで、実物と同じ比率でモデリングを行うことが可能です。

ただし正面からは上手に作れていても後ろ側の形が崩れていることがあるため、オブジェクトの形を作る際は360度の視点で確認することが大切です。

3.マテリアルを設定する

マテリアルとは簡単にいうと、色や材質、影や光沢のことです。形を形成したオブジェクトの色や質感を調整して作品を完成に近づけましょう。画像を参考にモデリングを行っている方は、カラーピッカーなどを活用して実際に使用されている色の色数を確認することが可能です。

利用するソフトによっては、メタリックな質感やマットな質感も表現できます。作りたい物体の参考をしっかりと観察して、リアルに近い作品に近づけてください。

4.テクスチャを付ける

色や質感の設定が完了したら、マテリアルにテクスチャをつけていきましょう。CGにおけるテクスチャとは、オブジェクトの表面の柄や素材感などを表現することです。具体的には石や壁などの表面の凹凸や柄などが挙げられます。

人によっても異なりますが、テクスチャはオブジェクトの表面に画像を貼り付けることが一般的です。テクスチャ専用の素材は多数存在するので、自分の作りたい作品に適切な画像を使用してモデリングを進めてみましょう。

ただしテクスチャを加えることによって、本来の色や設定した質感が変化することがあります。その場合はテクスチャとの相性を見ながら、もう一度色や質感を調整してください。

5.アニメーションを施す

ここまでのモデリングが完了できたら、作成したオブジェクトにアニメーションを付けていきます。キャラクターの動作や風でなびく植物などを作る際は、オブジェクトに「ボーン」を加える「リギング」を行う必要があります。ボーンとはオブジェクトの動きを記録する「物体の骨」の役割であり、モデラーの技術が試されるスキルの一つです。

例えばアニメのキャラクターをモデリングする場合は関節の位置や筋肉の動きを理解して、適切な位置にボーンを配置・設定することが大切です。

ただし、いきなり複雑な動きを表現するのは難しいかもしれません。そのためモデリングに慣れていない方は、まずは左右に揺れる簡単なアニメーションから作成してみましょう。

6.カメラワークを行う

アニメーションまでの作業ができたら、カメラワークを考えてみましょう。カメラワークとはその名の通り、オブジェクトを撮影する角度やカメラの動きを設定して実行することです。例えば走るキャラクターを作成した場合、足元から上空に引きで撮影することで最終的に空間全体を撮影することが可能です。

またカメラワークを行う際は、ライティングの調整も行いましょう。家などの空間を作る際は、照明の明るさや窓から入る光の角度などを細かく設定することで、さまざまな演出が実現できます。現実世界と同様に撮り方一つで作品の質は左右されるので、適切な撮影方法を模索してください。

7.プレビュー・レンダリングを実行する

ここまでの作業が完了したら、作品を確認してレンダリング(書き出し)を行いましょう。またCGのレンダリングには、下記の2種類の方法が存在します。

名称推奨スペックメリットデメリット
CPUレンダリングCPUコアを利用したレンダリング
計算でレンダリングを行う
性能によっては高速レンダリングが可能CPUへの負荷が大きい
GPUレンダリンググラフィックボードを利用したレンダリング
グラフィックとしてレンダリングを行う
CPUへの負担が少ない
高品質でのレンダリングが可能
GPU非対応のパソコンでは使用できない

スペックの高いパソコンを使用している方であれば、基本的には「GPUレンダリング」で問題ありません。

しかしMacでレンダリングを使用する場合は「CPUレンダリング」になり、パソコンへの負荷が大きくなります。したがってモデリングした作品を書き出す場合は、システム要件などを確認してから実行してください。

モデリングを上手に行うコツ

モデリングについて一定の理解はできたものの、「モデリングを上手にする方法がわからない…」と悩む方もいるかもしれません。ここからは、モデリングのコツを紹介します。CG制作を始めたばかりの方は、下記の項目を意識してみるとよいでしょう。

順番に解説します。

絵に描いてみる

モデリングがうまくいかない方は、作成した物体を絵に描いてみるとよいでしょう。理由は、奥行きや形、表面の質感などが明確に理解できるからです。

というのもモデリングにはデッサンやイラストレーションに近い要素があり、観察力が重要なスキルなのです。絵に描くことで見ただけでは気づかなかった発見があるかもしれません。光の反射の仕方や影の位置や大きさなども理解して、モデルを理解したうえで作業を進めてみましょう。

ソフトの必要な機能を理解する

CG制作ソフトやゲーム開発ソフトには多数の機能が搭載されています。しかし、全ての機能を使いこなすのはプロのクリエイターでも難しいと考えられます。したがって、まずは必要な機能だけを覚えることが大切です。例えばオブジェクトの表面を細分化するなら、「メッシュ」などの機能を使いこなす必要があります。

色やテクスチャにこだわった作品を作る場合は、ノードの接続方法を理解することが大切です。制作した作品に求められる機能を学ぶことで、モデリングのスキルは徐々に向上します。いきなり完璧を目指さず、少しずつソフトの使用方法を理解してください。

リアルを追求する

架空の物体や空間を作れることもCG制作の醍醐味です。しかしリアルを追及することで、作品のクオリティはグッと高くなります。

例えばCGソフトで現実的な海や川などの水を作成する場合、実際と同じ光の屈折率である1.333*1 に設定することでリアルな表現が実現できます。人をモデルにしたキャラクターなどをモデリングする場合は、写真を撮影してカラーピッカーで細かい色数を確認するとよいでしょう。

つまり科学的な根拠に基づいた情報でモデリングするだけでも、作品の質は大きく向上するのです。したがってイメージだけではなく、物体や人体の構造、光の反射などの情報をネットで検索してみてください。

フリー素材からモデリングを行う

制作する作品によっては、フリー素材からモデリングを行うことも有効です。例えば「Free3D」や「3dsky.org」などには、一定のモデリングが完了してる人体や家具、車などのオブジェクトをダウンロードできます。

ほかにも、マテリアルやテクスチャ素材を入手できるサイトも存在します。ソフトによってはプラグインでの自動生成もできるので、使えるツールは積極的に活用しましょう。

モデリングを行う際の注意点

最後に、モデリングを行う際の注意点を紹介します。

モデリングの勉強を行っている方は上記の項目に注意しましょう。

スペックの高いパソコンが必要

CG制作を行うには、処理速度の速いハイスペックPCが必要です。またレンダリングではパソコンへの負荷が大きくなります。したがってモデリングを行う方は、下記以上のスペックを搭載したパソコンを使用することを推奨します。

名称推奨スペック
CPUCore i7-14900K以上
メモリ32GB以上
GPUGeForce RTX4000以上

スペックの低いパソコンでCG制作ソフトやゲーム開発ソフトを使用すると適切に作業できないだけではなく、パソコン本体がクラッシュする可能性があります。そのためゲーミングPCのようなスペックを搭載したパソコンで作業を進めましょう。

データの形式によって表現が異なる

3Dにはさまざまなデータ形式があり、下記の2つが主に使用されています。

名称内容
サーフェイスモデルゲーム・映像・建築・工業など
ソリッドモデル製品設計・エンジニアリング・面積や体積の計算

Vtube用のアバターや映像作品などを作る場合は、サーフェイスモデルで問題ありません。しかし複雑な計算式を用いて商品などをモデリングする場合は、ソリッドモデルがおすすめです。各形式によって特徴が異なるので、間違えないように注意しましょう。

使用用途によって拡張子が異なる

作成した作品の使用用途によって、適切な拡張子は異なります。例えばVtuberのアバターとして利用するキャラクターを作成した場合は、「VRM」や「FBX」で保存する必要があります。

また使用するソフトによっても対応しているファイル形式は異なるので、モデリングを行う前にツールが目的の達成に利用できるか事前に確認しておきましょう。

モデリングの練習をして3D作品を作ってみよう!

モデリングは3D上で空間や物体を作ることであり、3DCG制作において必須のスキルといえるでしょう。モデリングに正解はありませんが参考のモデルをしっかりと観察しながら、技術を少しずつ向上させることが大切です。

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<出典>
*1:理化学研究所 「真空より低い屈折率を実現した三次元メタマテリアルを開発」より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。