情報セキュリティマネジメント試験の概要やメリット、必要な勉強時間を解説

情報セキュリティマネジメント試験の概要やメリット、必要な勉強時間を解説

情報の取り扱いに細心の注意が払われる現代において、その安全性を確保するための知識や対策は必要不可欠となっています。そこで注目されてきているのが「情報セキュリティマネジメント試験」という国家資格です。試験は職種に関係なくすべての社会人が情報管理に関する知識を向上させるために役立っています。

本記事では、「情報セキュリティマネジメント」の試験概要や難易度、合格に必要な勉強方法まで解説していきます。キャリアやビジネスで生かせる資格を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。

情報セキュリティマネジメント試験とは

情報セキュリティマネジメント試験は国家資格で、組織の情報セキュリティの確保に貢献することを目的とし、情報セキュリティに関する正しい知識を身につけるための試験です。

ちなみに情報セキュリティマネジメントとは、企業・組織がもっている情報をサイバー攻撃や情報漏洩といったさまざまな脅威から守り、組織的・体系的に情報管理に取り組むことをいいます。情報セキュリティを確保しなければいけない昨今、情報セキュリティマネジメントができる人材を確保していくうえで大切な試験です。

情報セキュリティマネジメント試験の資格取得するメリット

情報セキュリティマネジメント試験の資格を取得しておくことのメリットが3つ挙げられます。

  • 情報リテラシーが身につく
  • 他の試験に挑戦しやすくなる
  • 転職時において自己PRの材料となる

一つずつ見ていきましょう。

情報リテラシーが身につく

情報リテラシーとは正しい情報を入手し活用できるスキルを指しますが、情報セキュリティーマネジメントの勉強をすることで情報リテラシーに関する知識を得られます。たとえば、情報リテラシーがないと、スパムメールに気づかずにファイルを開いてしまったり、悪質なサイトにアクセスしてしまったりとITツールへの知識不足がゆえに引き起こしてしまうことがあります。

しかし情報セキュリティマネジメントを取得しておくことで、未然に危険を防ぐ方法やアクセスした場合にどのような行動を取ればいいのかなど、情報に関して適切に対応することができます。

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他の情報処理技術者試験に挑戦する足掛かりとなる

情報セキュリティマネジメント試験はITを安全に活用することを目的としていますが、たとえば同じ情報技術者試験に区分される「ITパスポート」はITに関する基礎知識があることを証明できます。さらにITに関するデータ分析力を深めたいという人は「基本処理技術者試験」に挑戦することで選択肢の幅が広がります。

情報セキュリティマネジメント試験を足掛かりとし、他の試験でも勉強して身につけた知識を活かすことが可能です。

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転職時の自己PRの材料となる

情報セキュリティマネジメント試験を取得しておくことで、情報やITに関する基本的な知識を持っていると証明できるため、自己PRとして活用することが可能です。しかし他の情報処理技術者試験と比べて難易度は低いため、この試験のみでは転職活動でのアピールポイントとしては不十分な可能性があります。

そのため、プラスで他の資格やスキルを有していることをアピールすることが大切です。ITに関する幅広い知識や、転職候補先の企業の業界で役立つ知識を身につけていることを証明できるとよいでしょう。

情報セキュリティマネジメント試験の詳細

続いて、情報セキュリティマネジメント試験の詳細について解説していきます。

  • 出題内容
  • 試験時間と出題形式
  • 申し込みの方法
  • 日程

それぞれ詳しく見ていきましょう。

出題内容

情報セキュリティマネジメント試験は科目A・科目Bの2つがあり、それぞれ出題内容が異なります。科目Aは情報セキュリティの考え方から、ネットワーク、システム監査、経営管理などの関連分野の知識が出題されます。また科目Bでは実践力を問う問題が出題され、情報資産管理やIT利用における情報セキュリティ確保、委託先管理などケーススタディによる問題が出題されます。

情報セキュリティ全般 情報の機密性、完全性、可用性など
情報セキュリティ管理 情報資産、リスクなど
情報セキュリティ対策 不正アクセス対策、情報漏洩対策など
情報セキュリティ関連法規 サイバーセキュリティ基本法、個人情報保護法など
テクノロジ ネットワーク、データベースなど
マネジメント システム監査、サービスマネジメントなど
ストラテジ 経営管理、システム戦略など

出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティマネジメント試験 出題内容」より

試験時間と出題形式

試験時間120分の中で科目A、科目B両方が出題される形式となっています*1。問題数は60問、出題形式は多肢選択式です。コンピュータを用いて試験するCBT方式が採用されているため、コンピューターの操作に慣れておいた方がいいでしょう。

申し込みの方法

情報セキュリティマネジメント試験の申し込みの流れは、以下の4ステップです。

  1. 情報処理推進機構「情報セキュリティマネジメント試験」で検索する
  2. 試験概要ページにアクセスする
  3. 受験者登録(利用者IDとパスワードの取得)
  4. 受験予約(希望の日付・会場・時間などを選択)

登録のメールアドレスに予約完了のお知らせが届いて受験予約完了となります。

日程

2023年4月から通年で受験可能となっており、受験予約日の3ヶ月以内の日程で受験予約ができます。試験会場によって受験できる日にちや時間帯が異なっており、自分の都合のいい日程を選んで受験可能なため、自分の勉強スケジュールに合わせて予約しましょう。

試験開催場所は情報セキュリティマネジメント試験の受験者専用サイトの鉄とセンター一覧にて確認できます。

情報セキュリティマネジメント試験の難易度

次に、情報セキュリティマネジメント試験の難易度を確認します。合格点は1,000点満点中600点以上が合格となっています。以下は令和5年4月からパソコンで行うCBT試験に変更となったあとの直近3ヶ月の合格率です*2

  • 令和5年10月:69.8%
  • 令和5年11月:73.8%
  • 令和5年12月:70.7%

情報セキュリティマネジメント試験は、情報処理・ITに関する知識を評価する情報処理技術者試験の中ではレベル2 に該当する、IT試験の難易度としては比較的易しい分類の試験です。上記の数字でもわかる通り、年間通じての合格率はおよそ73%の合格率のため、難易度はそこまで高くないことが分かります。
勉強時間を確保して試験勉強に取り組めば合格は決して難しくありません。

ITパスポート試験との比較

ITパスポート試験も情報処理技術者試験の中ではレベル1 に該当しており、情報セキュリティマネジメント試験よりも難易度が易しい試験となっていて、IT初心者向けの試験です。ITパスポートの直近3年の合格率は以下の通りです*3

  • 2021年度:58.8%
  • 2022年度:52.7%
  • 2023年度:51.6%

およそ合格率が50%台で推移しており、ITの知識がない方でも勉強をすれば、およそ半数の人が合格する試験となっています。

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基本情報処理技術者試験との比較

基本情報技術者試験は情報処理技術者試験の中ではレベル2に該当しており、情報セキュリティマネジメント試験と同等の難易度となっています。高度なIT人材になるための必要な知識・技能を高めていくための試験とされており、より実践的な能力を身につけることが可能です。基本情報技術者試験は2023年4月からパソコンで行うCBT試験を採用してるため、直近3カ月の合格率を参考にします*4

  • 2023年10月:42.4%
  • 2023年11月:44.8%
  • 2023年12月:41.7%

2023年4月~12月までの合格率は約40%となっています。情報セキュリティマネジメント試験と比べるとやや難易度が高いことが分かります。

ITストラテジスト試験との比較

ITストラテジスト試験は情報処理技術者試験の中ではレベル4と最も難易度が高い試験に該当しており、情報セキュリティマネジメント試験に比べて難易度は格段に上がります。ITストラテジストはかなり高度なITの知見を活用し、企業の業務効率を図ったり、IT立案する知識を問われる試験となっています。直近3年分の合格率は以下の通りです*5

  • 2021年:15.3%
  • 2022年:14.8%
  • 2023年:15.5%

記述式も含まれる試験となっているため、IT経験者でも難しい試験となっています。

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情報セキュリティマネジメント試験の合格に必要な勉強時間は?

情報セキュリティマネジメント試験の合格に必要な勉強時間は一般的に200時間と言われており、1日当たり2時間毎日勉強すれば100日程度となります。しかしこの時間はあくまで目安です。

たとえば初心者であれば耳慣れないITの単語から学ばなければならないため、もう少し勉強時間が必要になることが考えられます。またIT経験者であればなじみ深い言葉ばかりで勉強がはかどって少ない勉強時間で済む可能性もあります。人によって必要な勉強時間が異なるため、参考程度に把握し、実際に勉強に着手してから具体的な計画を立てましょう。

情報セキュリティマネジメント試験の効率的な勉強方法

最後に情報セキュリティマネジメント試験に合格するために効率的な勉強方法を紹介していきます。

  • 過去問を活用する
  • 勉強する分野の優先順位を決める
  • 参考書や問題集でインプット・アウトプットを繰り返す

3つそれぞれ詳しく見ていきましょう。

過去問を活用する

過去問を活用していくことで、情報セキュリティマネジメント試験の頻出範囲の傾向が分かるようになり、さらに試験の出題形式を繰り返し解くことで解答力が上がります。情報セキュリティマネジメント公式サイトではサンプル問題や公開問題が記載されているため、ぜひ活用してみましょう。

また過去問に関しては IPA独立行政法人情報処理推進機構の「問題冊子・解答例(2023年度、令和5年度)」などから閲覧できます。

勉強する分野の優先順位を決める

情報セキュリティマネジメント試験は情報セキュリティに特化しているとはいえ、7つの分野に分かれています。一通り問題集などが終わって過去問を解き、頻出分野が分かるようになったら優先で勉強する分野を決めましょう。

とにかく合格を目指すのであれば、配点が少ない分野の問題に時間をかけるよりも、頻出分野に力を入れて勉強することも1つの手です。

参考書や問題集でインプット・アウトプットを繰り返す

勉強をする際にはインプットしたらすぐにアウトプットすることを忘れないようにしましょう。全ての参考書を読み切ってインプットしてからアウトプットするよりも、頭に入れた知識をすぐに問題を解くことでアウトプットさせると知識の定着が早くなります。

最初はまったく解けなくても問題ないので、インプット・アウトプットを繰り返して少しずつ慣れていきましょう。

「情報セキュリティマネジメント試験」を取得してIT社会で活躍しよう!

情報セキュリティマネジメント試験はITに関する基本的知識をもっていることのアピールになりますし、将来的にIT専門職を目指している方は、IT知識の基礎を固める第一歩となります。

ITスキルを高めたい方には、女性向けキャリアスクール「SHElikes(シーライクス)」もおすすめです。全45以上の職種スキルを学びながら、女性の働き方の可能性を広げられるオンラインスクールで、Webデザイン、マーケティング、データ分析などの豊富なコースから自分の興味があるスキルを選んで学ぶことができます。

コミュニティを通して、一緒に学び支え合える仲間も見つかるかもしれません。興味があるスキルを学びながら、ITスキルを高めていきましょう。

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出典

*1: IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティマネジメント試験 出題内容」より
*2:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「統計情報(情報セキュリティマネジメント試験) 」より
*3:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「統計情報(ITパスポート試験) 」より
*4:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「統計情報(基本情報技術者試験) 」より
*5:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「統計情報(応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験) 」より

ABOUT ME
ライター Yukie
大学卒業後は金融機関の事務員として8年働く。その最中にSHEに出会い、自分らしい生き方を叶えるという理念に共感。現在はフリーのライターとして、時間と場所にとらわれることない自由な生活を実現している。FP3級・簿記2級を保有。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

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