新しいアイデアを生み出し、それを実現可能な計画に落とし込む「企画力」は多くの企業で高く評価されるスキルです。しかし「企画力ってどうやったら鍛えられるの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、企画力がある人の特徴や企画力を鍛える方法、同時に伸ばすべきスキルや参考になる書籍などを解説します。企画力を磨きキャリアアップしたい方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも企画力とは
企画力とは、「アイデアを生み出し具体的な計画やプロジェクトとして実現する力」のこと。単に斬新なアイデアを出すだけでなく、それを実現可能な形に落とし込み、関係者を巻き込んで推進するスキルです。企画力は主に以下のような能力で構成されます。
- 課題発見能力:ターゲットが抱える問題を的確に把握する力
- 創造力:新しいアイデアを生み出す力
- 分析力:情報を収集・分析する能力
- 構築力:アイデアを具体的な計画に落とし込む力
- 表現力:企画をわかりやすく伝える能力
企画力の高い人は、目標を明確にし、ターゲットのニーズを的確に捉えながら、限られたリソースや時間のなかで最大の効果を発揮するための工夫ができます。企画力を高めれば、ビジネスの成功につながる価値ある提案を行うことができるのです。
提案力との違い
企画力はアイデアの創出と計画立案を行う能力なのに対し、提案力はアイデアの伝達と相手の説得を行う能力です。提案は相手の理解と同意を得ることが目的となります。そのため、コミュニケーション能力・傾聴力・プレゼンテーション能力なども大切になってくるでしょう。
企画力で生み出されたアイデアや計画を、提案力を使って効果的に伝え、実現に結びつけるという関係性にあるのです。
発想力との違い
発想力は簡単にいうとアイデアを生み出すことに焦点を当てた能力のことです。一方で、企画力にはアイデアを実現するまでの計画を立てる能力も含まれます。
発想力は「何をするか」を考えることであり、企画力は「何を・どのようにするか」までを計画するスキルといえるでしょう。
企画力がある人の5つの特徴
企画力が優れた人には、以下のような共通の特徴があります。
これらの特徴を理解し、自身に取り入れることで、企画力を向上させることができるでしょう。
洞察力がある
高い企画力を持つ人は、優れた洞察力を持ちます。洞察力とは、表面的な情報だけでなく、その背後にある本質を見抜く力のことです。
洞察力のある人は、複雑な問題を多角的に分析し、ほかの人が見落としがちな機会や課題を発見できます。洞察力を磨くには、常に好奇心を持ち、さまざまな情報を収集・分析する習慣を身につけることが効果的です。市場トレンドの予測や顧客ニーズの把握などに役立つので、ぜひ意識してみてください。
メモをとる癖がある
優れた企画を生み出せる人は、メモをとる習慣を持っている傾向があります。アイデアはふとした瞬間に降ってくることが多いため、記録をしておかなければ忘れてしまうからです。思いついたアイデアを忘れないように、いつでもメモを取れるようにしておきましょう。
メモの取り方は人それぞれですが、スマホのメモアプリを使用するなど、自分にあった方法を選択するとメモをとることが習慣化するのでおすすめです。
従来の考えややり方に囚われすぎない
既存の枠組みや慣習に囚われすぎないのも、企画力が優れている人の特徴のひとつです。柔軟な思考や姿勢が、革新的なアイデアの創出につながります。
まずは「なぜ」という問いを常に持ち続けることが大切です。既存のプロセスに対して「なぜこうなっているのか」「別の方法はないか」と問いかけることで、新たな可能性が見えてくることがあります。異なる分野や業界の事例を積極的に学ぶことも、従来の枠を超えた発想の創出につながるでしょう。
人と交流する機会を積極的に作る
企画を生み出すことが得意な人は、誰かと交流する機会を積極的に持とうとするものです。同じ業界の人だけではなく、異業種で活躍する人と接することで新しいアイデアや異なる視点を得ることが期待できます。
人との対話により自分の考えを言語化できるため、考えを整理する機会にもなるでしょう。外部の人と交流する機会が少ない場合は、オンラインサロンやスクールなどのコミュニティに参加するのもおすすめです。
好奇心や探究心が強い
企画力に優れている人の特徴として、好奇心と探究心が旺盛であることが挙げられます。好奇心と探究心は、新しいアイデアや解決策を生み出す原動力になるものです。
好奇心旺盛な人は、日常生活や仕事の中で気づきを得る機会が多く、それらをインプットとして蓄積できます。また、探究心の強さは、アイデアを深掘りして実現可能な企画へと発展させる力にもつながるでしょう。新しい技術やトレンドに対する関心を持ち続け、積極的に学び続ける姿勢が、企画力を向上させるのです。
企画力と同時に鍛えるべきスキル
次に、企画力と同時に鍛えるべきスキルを見ていきましょう。
各スキルについて詳しく解説します。
論理的思考
ロジカルシンキングとも呼ばれる論理的思考力は、企画力を支える重要なスキルです。アイデアや情報を整理し、筋道の通った企画を立案するうえで不可欠となります。
論理的思考力があると、問題の本質を見極めて原因と結果の関係を分析し、効果的な解決策を導き出すことが可能です。企画を他者に説明する際にも、論理的な構成で説明できれば、より説得力のあるプレゼンテーションにつながるでしょう。
リサーチ能力
効果的な企画を立案するためには、関連する情報を幅広く収集し、分析するリサーチ能力も必要です。高いリサーチ能力があれば、市場動向・競合他社の状況・顧客ニーズなど、企画に必要なさまざまな情報を把握できます。
また、収集した情報を整理・分析し、企画に活かせる形に加工する能力も、リサーチ能力の重要な要素といえるでしょう。
コミュニケーション能力
基本的に企画は一人ではなく、組織やチームで実施するものです。そのため、チームメンバーや関係者と円滑にコミュニケーションをとる能力を持っている必要があります。
自分の企画の意図を正確に理解してもらえるほか、共通認識が持てるのでプロジェクトの進行スピードもアップするでしょう。異なる考えを持つ人と会話を重ねられれば、新しい発想や視点を得ることもできます。
プレゼンテーション能力
どれだけ良い企画を作ったとしても、それを効果的に伝えるプレゼンテーション能力がなければ企画を実現できない可能性があります。企画のプレゼンテーションでは、企画の背景や内容、期待される効果を伝えるのが一般的です。
自分のアイデアを実現し会社に貢献するためにも、企画の伝え方や資料の作り方を磨くと良いでしょう。以下の記事では、プレゼンテーションをする際のポイントや注意点を解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
企画力を鍛える方法6選
ここでは、企画力を鍛える方法を6つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
より多くの情報を仕入れる
企画力を高めるには、より多くの情報を収集することが大切です。さまざまな情報・データを集めつつ、市場の変化やトレンドを把握していきましょう。
たとえば、最新情報を集めるならニュースやSNS、Googleトレンドなどを活用するのがおすすめです。より深い知識をインプットするには、専門書や関連する論文などを読むのも有効といえます。情報は企画を考える際の武器になるため、自分なりのリサーチ方法を見つけておきましょう。
多方面から物事を観察する
企画を行う際は、異なる視点から物事を見るのも大切です。たとえば、「既存商品の売上アップを狙う場合は、視点を変え新しいターゲット層を狙うことで成功する」といったケースがあります。
物事を別の角度から観察することは、優れたアイデアにつながる可能性があるのです。また、第三者からの意見をもらうことも、斬新な企画を作る方法として有効でしょう。自社の強みやサービスの特徴をあらゆる方面から観察し、新しい可能性を探ってみてください。
ユーザー・顧客にヒアリングをする
企画力を鍛えるには、ユーザー・顧客にヒアリングをすることも有効です。既存顧客に質問やアンケートなどを実施し、ユーザーの悩みを直接聞いてみましょう。ヒアリングをする際は、対象が自分でも気づいていない潜在的なニーズを突き止めることが大切です。
たとえば「ダイエットをしたい」というニーズには「痩せたい」だけではなく、「おしゃれを楽しみたい」や「健康的になりたい」などの潜在ニーズが含まれている可能性があります。さまざまな人にヒアリングをすることで、ユーザーの真のニーズを想像する力を身につけられるでしょう。
仮説から企画を練り上げる
仮説から企画を練り上げることも、企画力を向上させるために有効なトレーニングです。ここでは、新しいドリンクを開発する場合を例に解説します。
まずは「消費者は忙しい日常の中で、手軽に栄養を補える飲料を求めている」といった仮説を立て、それが本当に正しいか調査を行いましょう。仮説が正しいと確認できたら、具体的な企画として実現可能なレベルまで落とし込んでみます。
このように、実際のプロセスに沿って企画を練り上げるトレーニングを行うことで、企画力のトレーニングができるのです。
競合他社の企画を参考にする
競合他社の企画を参考にするのも、企画力向上につながります。特に、成功している他社の企画を「どういう目的で実施しているのか」「誰をターゲットにしているのか」といった視点で分析してみると、良い企画とはどのようなものなのかが見えてくるでしょう。
XやInstagramで、競合他社がどのようなキャンペーンを実施しているかチェックし、企画の目的やターゲットなどを分析してみてください。
アウトプットの量を増やす
企画力を向上させるには、アウトプットの量を増やすのも効果的です。アイデアを頭の中だけで考えるのではなく、具体的な形にすることで、思考が整理され新たな発想が生まれやすくなります。
アウトプットを行う際は、6W2H(Who・What・When・Where・Why・How・How much)のフレームワークに沿って企画を考えてみると、具体性が高まるのでおすすめです。定期的に企画書を作成して、アイデアをアウトプットしてみましょう。
企画力を鍛える際に役立つ本5選
企画力を鍛えるためには、本から知識を得るのも有効な手段です。ここでは、企画力向上に役立つおすすめの本を5冊紹介します。
- 「センスは知識から始まる」著:水野 学
- 「仕掛学-人を動かすアイデアのつくり方」著:松村 真宏
- 「学校では教えてくれない 企画・プレゼン超入門」著:京井 良彦
- 「逆境を「アイデア」に変える企画術」著:河西智彦
- 「人がうごく コンテンツのつくり方」著:髙瀬敦也
これらの書籍は、どれも商品企画から企画書の作成まで、幅広い視点から企画力を磨くヒントを提供してくれるものです。気になるものがあればぜひ手に取ってみてください。
1. 「センスは知識から始まる」著:水野 学
「くまモン」のアートディレクションを行なったことでも有名な水野学さんが執筆した、企画やアイデアに大切な「センスの作り方」を学べる本です。企画を提出してもなかなか採用されず「自分にはセンスがないかも」と悩んでいる方にぴったりでしょう。
「センス」という抽象的に捉えられがちな力を具体的に定義し、センスを磨く方法を解説しています。ひと味違ったセンスのある企画を生み出したい方は必見の一冊です。
2. 「仕掛学-人を動かすアイデアのつくり方」著:松村 真宏
「仕掛け学-人を動かすアイデアの作り方」は、人の行動を誘導する仕掛けについて書かれた一冊です。スタンフォード大学の講義でも採用されている「仕掛学」を学ぶことができます。
仕掛けを施した実際の事例が掲載されており、企画のアイデアの参考にもできるでしょう。人が「ついしたくなる」という仕掛けを利用した企画を考えたい方は、ぜひこの本で学んでみてください。
3. 「学校では教えてくれない 企画・プレゼン超入門」著:京井 良彦
「学校では教えてくれない 企画・プレゼン超入門」はその名の通り、企画の考え方やプレゼンの方法を解説した本です。相手に刺さる「書き方」「話し方」のコツを学ぶことができます。わかりやすい図解を用いて解説されているので、ビジネス書は難しくて苦手という人にもおすすめです。
企画の作り方と形にするまでの具体的なプロセスが解説されているのも特徴のひとつ。同僚や上司・クライアントへ企画を説明するのが苦手な方は、ぜひ手に取ってみてください。
4. 「逆境を「アイデア」に変える企画術」 著:河西智彦
「逆境を「アイデア」に変える企画術」は、困難な状況を新たな機会に変える方法を解説した書籍です。著者の河西智彦さんの長年の広告業界での経験を基にした、40の企画公式が紹介されています。
単なる理論だけでなく、実際のビジネスシーンで活用できる具体的な手法が紹介されているため、実務に取り入れやすいのがポイントです。困難な状況に直面したとき、創造的な解決策を見出す力を養いたい人におすすめといえます。
5. 「人がうごく コンテンツのつくり方」 著:髙瀬敦也
「人がうごく コンテンツのつくり方」は、人々の心を動かし、行動を促すコンテンツ制作の秘訣を解説した書籍です。著者の髙瀬敦也さんが、ヒットコンテンツを多数生み出してきた経験を基に、効果的なコンテンツ制作の方法を紹介しています。
ターゲットの心理を理解し、そのニーズに合わせたコンテンツを作り出す手法が詳しく解説されているのが特徴です。企画力を磨き、より影響力のあるコンテンツを生み出したい人にとって、指針となる一冊になるでしょう。
企画力を鍛える際のポイント
企画力を鍛える際に意識したいポイントを2つ紹介します。
実行可能なプロセスまで考える
企画力を鍛えたい場合は、具体的な実行プロセスまで考えてみましょう。良いアイデアを考えついても、それが実現不可能だったり予算を度外視したアイデアだったりすれば意味がありません。
企画のアイデアだけではなく、実行に必要な費用や実現するまでにかかる時間といったプロセスを詳細に検討しましょう。成果につながる企画を生み出すためには、実行するまでの細かいプロセスを考えることが大切です。
フレームワークを活用する
企画力を鍛えるには、フレームワークを活用するのも有効です。たとえば、以下のようなフレームワークがあります。
- KJ法:アイデアをカードに書き出し、グルーピングして整理する手法
- マンダラート(曼荼羅シート・マンダラチャート):9×9の合計81マスを使用してアイデアを深掘りする手法
フレームワークは他にもさまざまな種類があるため、自分にあったものを試してみると良いでしょう。
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企画力とは、単に斬新なアイデアを出すだけでなく、それを実現可能な形に落とし込み、関係者を巻き込んで推進するスキルです。論理的思考力やリサーチ能力、プレゼンテーション能力といった関連スキルをあわせて鍛えることで、より良い企画を生み出すことができるでしょう。
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