論理的思考(ロジカルシンキング)とは?考え方や具体例をわかりやすく解説

論理的思考(ロジカルシンキング)とは?考え方や具体例をわかりやすく解説
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ライター TaekoYamasaki
同志社大学経済学部卒業。在学中はマネジメントを学ぶために、カフェで時間帯責任者を努める。卒業後はインテリアや家具の販売・接客や店舗管理を担当。働くなかでキャリアを見つめ直し、SHElikesに入会。現在はSEOライターとして、SHEを含め5社と契約をしながら、フリーランスのライターとして活動中。

論理的思考とは、ロジカルシンキングとも言われ、矛盾なく筋道立てて考える思考法のことです。論理的思考を発揮することは、すべてのビジネスパーソンにとって重要なスキルとされています。

「論理的思考とは何か詳しく知りたい」
「論理的思考の基本的な考え方を知りたい」

このような考えを持つ方に向けて、本記事では論理的思考について詳しく解説します。実際に身につける際のポイントまで説明するため、実生活に生かしていくことができるでしょう。

論理的思考(ロジカルシンキング)とは?

論理的思考(ロジカルシンキング)とは、論理的に考え、問題を解決するための思考プロセスや手法を指します。論理的思考を身につけることで、筋道立てて考えることや矛盾なく説明することができるようになります。

論理的思考には、基本的な考え方やフレームワークがあり、思考の指針にもなるため押さえておくといいでしょう。フレームワークは、複雑な問題や状況を明確に理解し、有効な解決策を導き出す手助けとなります。

本記事では、論理的思考の基本的な考え方となる4つの方法と代表的なフレームワークについても解説します。読み進めることで、概要を押さえるだけでなく実際に鍛えるまでの参考になるでしょう。

そもそも論理的とは?

そもそも論理的とは「筋道立てて考えるさま」を指します。また、論理の意味は「考えを進めていく道筋」を意味するため、論理的であるというのは「論理にかなっている状態」を意味します。語源からもわかるように論理的思考は、筋道を立てることを基本とした思考の方法を指すのです。

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クリティカルシンキングとの違い

思考法の1つにクリティカルシンキングがあります。クリティカルシンキングとは、考えや行動を意識的に捉えて客観的な視点で分析する思考法です。普段無意識に行っている行動や考えに意識を向け、「自分の考え方に偏りがないのか?」など、多角的に物事を考察しながら深堀りする思考法です。

クリティカルシンキングがある事象の本質的な意味を理解するための思考法に対して、ロジカルシンキングはある事象に対して道筋を立てる思考法を指します。

クリティカルシンキングでは、根本的な問題やデータを精巧に分析します。本質を捉えたうえでロジカルシンキングを行うことで、筋道を立てるときの精度を上げることができます。2つの思考法はビジネスシーンでよく使用されるため、違いを把握して使い分けるとよいでしょう。

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論理的思考力を鍛えるメリット

論理的思考(ロジカルシンキング)を行うことで、論理的思考力が鍛えられます。論理的思考力が身につくと、事象の因果関係が見出せるなど、ビジネスや日常生活でメリットがあるのです。ここでは、論理的思考力を鍛えることで得られるメリットを3つ紹介します。

原因特定から問題解決までの筋道を立てやすくなる

論理的思考力を鍛えるメリットの1つとして、筋道が立てやすくなることが挙げられます。たとえば、ビジネスで「売上目標が達成できていない」という課題があったとしましょう。論理的思考を用いずに直感や感覚で原因を突き止めると「おそらく営業の回数が少なかったからだろう」など、原因がぼんやりとしてしまい根本的な解決に至らない場合が考えられます。

ここで論理的思考を発揮して、課題が発生した原因を1つ1つ洗い出していきます。売上に直結する項目を上げて、そこにどれだけの時間やコストを割いたのかなど、「売上」に関わる原因を洗い出し「1番原因と考えられるもの」を見つけるのです。

このように、論理的思考力を発揮して問題を直視することで、根本的な原因を特定するまでの筋道が立てやすくなります。

分析力や提案力が高まる

論理的思考力を鍛えるメリットの1つとして、分析力や提案力が高まることも挙げられます。先ほどの例のように、問題に対して原因となるものを1つ1つ洗い出すと、原因とは考えられない項目と原因である項目が明確になるでしょう。あらゆる要素を比較したうえで原因を突き止めることで分析力が高まります。

また、綿密に分析した結果として因果関係がわかると、問題を解決するための最適解が見えてくるのです。分析の結果をもとに解決策を考えられることで「なぜその方法でアプローチするべきか」説得力を持って説明できます。

論理的思考力を鍛えることで、課題を分析し提案することを筋道立てて行えるようになるのです。

コミュニケーション能力が向上する

論理的思考力を鍛えるメリットの1つとして、コミュニケーション能力が向上することも挙げられます。論理的思考力を発揮して問題の原因を突き止めると、因果関係がわかりやすくなります。筋道立てて考えることで、自分以外の周りの人に説明するときにも説得力を持って伝えることができるようになるのです。

「直感的にこう思ったから」では、納得してもらえない可能性もあるでしょう。論理的思考力を身につけることで、正しくわかりやすく伝える力が身につくため、コミュニケーション能力の向上にもつながります。

論理的思考の基本的な考え方と具体例

論理的思考には基本的な4つの考え方があります。筋道立てて考えるためのヒントになる思考法のため、論理的思考力を身につける際に押さえておくべき基本とも言えます。ここでは、基本的な考え方について、具体例を用いて詳しく解説します。

演繹法 – 大前提の情報をもとに結論を導き出す

演繹法(えんえきほう)とは、大前提となる一般論やルールをもとに順序立てて結論を導き出す思考法です。「AはBである」(大前提)、「BはCである」(観察事項)、「よってCはAである」(結論)というように、論理展開することで結論を導きます。

3つの思考を繋いで結論づけることから「三段論法」とも呼ばれています。大前提となる一般的な考え方をもとにして結論を出すため、難しい事象に対しても理解しやすくなるのが特徴です。

たとえば、演繹法を使うことで次のような考え方になります。

  1. 命あるものはいずれ死を迎える
  2. 人間には命が宿っている
  3. ゆえに人間はいずれ死を迎える

注意点としては、大前提が正しくなければ誤った結論が導き出されることです。正しい結論を導くためにも大前提が間違っていないか必ず確認しましょう。

帰納法 – 複数の事実にある共通点から結論を導き出す

帰納法(きのうほう)とは、複数の事象から共通点を見つけて、そこから結論を導く思考法です。導かれる結論は1つだけにとどまらないことがあり、絶対的な真実であるとも限らないのが特徴的と言えます。

また、もとにする複数の事象のうち、1つでも推論に反する事象があると論理が成り立たないので注意が必要です。

たとえば、帰納法を用いると次のような考え方になります。

  1. リンゴが木から落ちた(事象1)
  2. 葉が木から落ちた(事象2)
  3. 猿が木から落ちた(事象3)
  4. 1〜3より、物は木から落ちる(結論)

ここで「木から落ちないものがある」という事象が見つかった場合、結論は間違っているということになります。

弁証法 – 肯定・否定の対立で新しく結論づける

弁証法(べんしょうほう)とは、ある事象と対立関係にある事象2つを統合して、より高い次元の結論を導き出す思考法です。対立関係にあるものには、肯定関係にあるものと否定関係にあるもの2種類を用意します。

たとえば、弁証法を用いると次のような考え方になります。

  1. 趣味や娯楽としてゲームは楽しまれている(肯定関係)
  2. ゲームは運動不足のもとになるので控えるべきだと考えられる(否定関係)
  3. 体を動かしながら楽しめるゲームを開発しよう(2つを統合した結論)

弁証法は肯定・否定の関係にある事象をどちらも考慮して、よりよい結論を導き出すのに有効な思考法です。

MECE – 漏れや重複を減らして情報を整理する

MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った単語で直訳すると「互いに重複せず、全体として漏れがない状態」を意味します。思考法としては以下のように「漏れなく重複なく考えること」で、物事を整理して筋道立てて考えることができます。

論理的思考(ロジカルシンキング)として重要となるMECEの考え方

たとえば、日本の国民をMECEに分けるとします。年齢別に「10代以下、20〜50代、60代以上」とすると、全国民が1つのカテゴリーに属することになるため「漏れなくダブりなく」国民を網羅できたと言えます。

「漏れなくダブりなく」を基本として考えられたフレームワークは多くあり、論理的思考の基本的な考え方としてMECEは押さえておくことをおすすめします。

論理的思考の代表的なフレームワーク

論理的思考をするにあたって、思考方法の道筋をわかりやすくまとめたものとしてフレームワークがあります。たくさんあるフレームワークの中でも、代表的なものとして以下2つがあげられます。

ロジックツリーとピラミッドストラクチャーを表す図

2つのフレームワークは、構造が似ているため違いを理解したうえで活用する必要があります。ここからは、2つのフレームワークについて詳しく解説します。

※下記の記事では、ロジックツリーを含む10種類のフレームワークについて紹介しています。フレームワークについて学びたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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ロジックツリー ‐ 問題や課題を分解して解決策を考える

ロジックツリーとは、問題や課題となる事象を構成している要素をツリー状に書き出すことで、解決法を導き出すフレームワークです。 問題や課題の原因を見える化することで、複雑な事象でも分解して考えられ、根本的に解決できる方法を見つけることができます。

ロジックツリーを用いて論理的思考をする場合は、下記の3ステップで行います。

  1. 分析対象となる問題や課題を1つピックアップする
  2. 問題が発生した原因を考えられるだけ洗い出す
  3. 原因のもととなる要素を考えられるだけ取り上げる

ロジックツリーを使うと、1つの問題をもとに因果関係となる要素をできるだけ洗い出し、根本的な原因を見つけ出すことができます。

ピラミッドストラクチャー – 結論から根拠を展開して説明する

ピラミッドストラクチャーとは、話の流れを筋道立てて考える際に使用するフレームワークを指します。ロジックツリーとの違いは「使用する目的」です。ロジックツリーは問題解決のために使用するのに対して、ピラミッドストラクチャーは、情報を整理して話の流れをわかりやすくするために使用します。

ロジックツリーを用いて論理的思考をする場合は、下記の3ステップで行います。

  1. 伝えたいメッセージを1つ取り上げる(メインメッセージ)
  2. メインメッセージの根拠となる要素複数取り上げる(キーメッセージ)
  3. キーメッセージの根拠となる要素を挙げられるだけ考える

伝えたいことに対して、根拠を考えていくため、説得力を持って伝えるための準備ができます。

論理的思考力を鍛える際のポイント

論理的思考力を鍛える際には、ポイントを押さえて身につけることが重要です。ビジネスや日常生活から心がけることで、論理的思考が身につけやすくなります。ここでは、日常生活から気をつけられる4つのポイントについて解説します。

また、論理的思考力を鍛えるトレーニング方法として、書籍を活用して実践するなどの手段もあります。下記の記事では、論理的思考を身につけるための方法を詳しく解説しています。より実践的な論理的思考力の鍛え方を知りたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

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「なぜ?」の思考を癖づける

普段から「なぜ?」の思考を癖づけることは、論理的思考力を身につける第1歩となります。論理的思考とは因果関係を明確にしていく考え方のため、原因を突き止めるという意識が重要です。普段から原因を考えることを習慣にすることで、論理的思考力が身につきやすくなります。

たとえば、スーパーで買い物をしているときに値段が高くなったものがあれば、何が原因で値段が変わったのか?など、変化に対して「なぜ?」と問いかけると考える癖がつくでしょう。

ゼロベース思考を心がける

ゼロベース思考を心がけることも論理的思考力を身につけるのに有効です。ゼロベース思考とは、前提思考や思い込みにとらわれず、真っ新な状態で物事を考える思考法を指します。

私たちが普段考えるとき、これまでの経験や身につけた知識をもとにすることがほとんどです。その結果、既存の枠組みや概念の中で思考することになり、新たな発想ができない可能性があります。

ゼロベース思考を心がければ、経験則にとらわれず因果関係を導き出すことで、あらゆる可能性を考えることができます。思考回数の積み重ねが論理的思考力につながるため、ゼロベース思考をもとにより多くの思考を巡らすことを心がけましょう。

日常的に言葉の具体化を意識する

論理的思考を身につける場は、日常生活でもたくさんあります。特に人と会話をするときは、わかりやすく伝えることを心がけるだけでも思考回数が増えるのでおすすめです。自分の考えを述べる際には、理由を具体的に言語化することを心がけてみましょう。

論理的思考力を身につけるうえで大切なのは、経験を積み重ねることです。ディベートや研修などでも経験は積めますが、日常的に自分の思考を言葉や文字に表すことで、より多くの思考体験を蓄積できるでしょう。

また、毎日思考の言語化を意識することで、ロジカルシンキングの妨げとなる自分の思考の癖にも気づけるため、よりスムーズなスキル習得につながるはずです。

技術的なスキルも並行して身につける

新しく発揮できるスキルを身につけることでも、論理的思考力を鍛えられます。スキルを身につける場合、理論や概念をもとに実践できるようになることが求められます。「なぜこの方法を使うべきか」など、発揮するスキルの根拠や理由を押さえながら学ぶことで思考回数が増えるでしょう。

たとえば、仕事で上司に成果を発表するためにスライド資料を作成するとします。より効果的な資料を作成するために「図表を取り入れる」「フォントの強弱をつける」など、さまざまな技法を駆使して作成することが重要であると気づくでしょう。

そこで学んだことを資料に落とし込むために「1番伝えたいことは何か?」「その部分を強調するのに適切なレイアウトは何か?」など、理由を考えながら作業することになります。

このように新たなスキルを身につけるとき、1つ1つのスキルを発揮する理由を考えながら実践することで身につけやすくなります。理由を考える数だけ思考回数が増えるため、論理的思考力を身につける訓練にもなるのです。

日常生活で意識できるポイントに加えて、発揮できるスキルを増やそうとすることも、論理的思考力を身につけることにつながります。

思考回数を積み重ねて論理的思考を身につけよう!

本記事では、論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か?といった概念から、基本的な考え方、メリットまで網羅的に解説しました。論理的思考は日常生活のあらゆる場面で鍛えるチャンスがあるため、ポイントを押さえて普段から考える癖を身につけることがおすすめです。

思考力は目に見えて身についたことを実感しづらい点で、学習に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。独学で身につけられるか不安な方には、ロジカルシンキングの基本的な考え方について学べるスクールを利用するのもおすすめです。

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