目的別データ分析の手法15選!初心者向けに実践方法も紹介

目的別データ分析の手法15選!初心者向けに実践方法も紹介

データ分析・解析は、マーケティングや事業戦略の検討などさまざまなビジネスシーンで行われています。インターネット技術が発展し、膨大な情報があふれる現代、多くの企業がデータ分析を導入しており、ビッグデータ活用の重要性がさらに高まりつつあります。

一方で具体的なデータ分析の手法や自社に合った方法とは何かをイメージできないと悩む方もいるのではないでしょうか。この記事では、さまざまなデータ分析手法を目的別に紹介します。後半では具体的な実践方法も解説しているのでぜひ最後までお読みください。

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データ分析の手法一覧

事業内容や課題によってデータ活用の方法は異なりますが、代表的な手法は主に以下の通りです。

目的 データ分析の手法
現状を把握する クロス集計
コレスポンデンス分析
t検定
時系列分析
関係性を調べる アソシエーション・バスケット分析
因子分析
主成分分析
グループ化する クラスター分析・セグメンテーション分析
ABC分析
デシル分析
RFM分析
予測する ロジスティック回帰分析
重回帰分析
決定木分析
グレイモデル

各データ分析手法を自分の目的に合わせて選択し、上手く活用できればマーケティングや経営において成果を出すヒントを得られるでしょう。

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データ分析の手法 – 現状を把握する

現状を把握できるデータ分析の手法として、以下の例があげられます。

  • クロス集計
  • コレスポンデンス分析
  • t検定
  • 時系列分析

現状がどのような状態にあるのかわからなければ、課題発見・解決は困難となるでしょう。まずは現状把握を通じて、自社の強みや改善すべきポイントが明らかにすることが重要です。上記4つの手法についてそれぞれ解説します。

クロス集計

クロス集計とは集計したデータについて属性で分類して集計する方法のことです。複数の属性に着目して集計することで、単純な集計ではわからなかった特性が明らかになります。たとえばある商品・サービスの売上個数について地域と年代で集計する場合、以下の表のように数値をまとめられます。

20代 30代 40代 ……
渋谷区 53 41 20 ……
新宿区 64 55 34 ……
中央区 40 37 17 ……
港区 45 34 22 ……
…… …… …… …… ……

「渋谷区の売上の主な中心地であり、全体的には40代の年齢層において売上個数が少ない」といった大まかな全体像が明らかになるため、営業・マーケティングの施策立案のヒントを得られるかもしれません。

コレスポンデンス分析

コレスポンデンス分析とは、クロス集計表の数値を視覚的にわかりやすく表現するデータ分析手法です。多次元(多くの項目)で集計された数値を視覚的に表すことで項目別の特徴を把握しやすくなります。エクセルを活用すれば、グラフを作成してまとめられるので、ぜひ試してみましょう。

競合関係の整理や、近い特性を持つターゲット層・商品の特定など、複数の要素の関係性を整理するときにはコレスポンデンス分析が有効です。

t検定

t検定は、主に「2つのデータ群に差があるのか」を検証したい場合に利用される手法です。たとえば、「広告を配信する前」と「広告を配信した後」で売上に差が生じたとします。t検定を実施することで「売上の差は偶然生じたものではなく、広告配信の効果によって生じたものなのか」を判断する場合に役立つのです。

分析時は「t分布」という確率分布をもとに基準を設定する必要があり、手動で行う場合は一定の統計知識が求められます。一方でt検定自体はエクセルや統計ツールで実行できるため、初心者でも比較的手軽に始められるデータ分析といえるでしょう。

時系列分析

時系列分析は、特定のデータを経過時間ごとに並べて分析する手法です。たとえば、店舗の売上推移を年ごとに集計し、過去から現在にいたるまでの傾向や成長率を算出するときに使用します。

数値を時系列で並べても傾向がみえにくいときは、各期間ごとの平均を算出してみたり、折れ線グラフを描画したりすることで変化の傾向を読み取ります。顧客増加ペース、売上高や利益の成長など数値の変化を分析するときに有効です。

データ分析の手法 – 関係性を調べる

関係性を調べたい場合におすすめのデータ分析手法として、以下の3つがあげられます。

  • アソシエーション・バスケット分析
  • 因子分析
  • 主成分分析

複数のデータの関連性に着目すると、新たな示唆が得られるケースも少なくありません。それぞれ順に解説します。

アソシエーション・バスケット分析

アソシエーション分析は、異なる事象の関連性を分析する手法です。たとえば、商品Aと商品Bの購入頻度から「AとBが同時に購入される確率」「Aを買った人がBも買う確率」などを調べます。

この例のように、商品の抱き合わせ販売にフォーカスして分析する方法は「バスケット分析」とも呼ばれ、アソシエーション分析の一種です。アソシエーション・バスケット分析は、よく売れる商品の販売の組み合わせや、商品情報を掲載しているWebページと購入された商品の関連性を分析する場合などに有効です。

因子分析

因子分析は、各データの共通性や要因を明らかにするためのデータ分析手法です。たとえば、国語や英語、社会の点数が高ければ「文系としての学力が高い」、数学や物理、化学の点数が高ければ「理系としての学力が高い」と評価できると仮定します。この場合、国語・英語・社会の点数は、潜在的に「文系の能力」が関係していることを見出せるということです。

因子分析は結果に影響を与える潜在的な要因(共通因子)を抽出できます。マーケティングでは、共通因子を見つけ出して自社と競合を比較することにより、顧客のニーズや差別化の要素を考察する際に役立ちます。

主成分分析

主成分分析とは簡単にいうと、多くのデータを集約して特徴をわかりやすく把握するためのデータ分析です。因子分析はデータに影響を与えている要因(共通因子)を抽出するものですが、主成分分析は総合的な結果を見出すための手法です。

つまり、国語・英語・社会の点数を一括りにし、「文系の能力」という新しい評価を作り出します。主成分分析を活用すれば、自社ブランドや商品・サービスのポジションを把握する際などにおいて、分析処理や解釈がしやすくなります。

データ分析の手法 – グループ化する

グループ化するデータ分析の手法として以下があげられます。

  • クラスター分析・セグメンテーション分析
  • ABC分析
  • デシル分析
  • RFM分析

そのままでは雑然と並んでいるだけのデータ群も共通点を見出してグループ化することで改善策の示唆が得られるでしょう。それぞれ順に解説します。

クラスター分析・セグメンテーション分析

クラスター分析とは、AIやアルゴリズムなどを用いてデータをグループ分けし、特徴を把握する手法です。一方でセグメンテーション分析は人間がグループ分けをしてデータ分析を行います。

たとえばセグメンテーション分析の場合、顧客のアンケートをもとに「価格重視」「使いやすさ重視」「素材重視」といった具合に少数のグループに分類します。分類の基準が明確に分からない場合、クラスター分析を実施して特徴を見出します。

グループ分けすればターゲットや対策すべき領域が明らかになり、対策が立てやすくなるのです。

ABC分析

ABC分析は、重要度や優先度を決めるため、以下のようにA・B・Cの3段階に分類して評価・分析する手法です。

  • A:重要度高
  • B:重要度中
  • C:重要度低

たとえば在庫管理に活用できます。「A」は事業で重要性が特に高い在庫で常に切らさないように管理するなどです。マーケティングであれば、顧客の売上寄与の度合いをもとにA~Cでランク付けする方法もあげられます。

デシル分析

デシル分析は、顧客を特定の評価軸で上位から下位まで10段階に分けるデータ分析手法です。評価軸は、売上高・販売個数・利益寄与などを使用します。デシル分析により、ブランドに対しての売上貢献度を把握できます。

たとえば、上位2番目までが全体売上の80%を占めているとしたら、上位顧客に集中してリソースを投入する方が効率的な売上拡大につながるでしょう。上位グループの顧客特性を分析することで自社が優先的に実行すべき取り組みを明確にできます。

RFM分析

RFM分析は、以下のスコアで顧客をグループ分けする手法です。

  • R(Recency:最終購入日)|最近購入した顧客を高く評価
  • F(Frequiency:購入頻度)|購入頻度の多い顧客を高く評価
  • M(Monetary:購入金額)|購入金額の多い顧客を高く評価

RFM分析で得られたスコアから優良顧客や休眠顧客などに分類し、それぞれに適した施策を講じます。たとえば休眠顧客に対してはメール配信によって割引キャンペーンの情報を提供するなどの施策を打ち出せるでしょう。また、RFMのスコアの高い顧客を分析すれば、優良顧客化しやすい属性の把握にもつながります。

データ分析の手法 – 予測する

未来の予測につながるデータ分析手法として以下があげられます。

  • ロジスティック回帰分析
  • 重回帰分析
  • 決定木分析
  • グレイモデル

データ分析を通じて今後のトレンドや市場変化を予測できる可能性があるでしょう。順に解説します。

ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析とは、ある事象が発生する否か予測するためのデータ分析手法です。たとえば、「問い合わせ」の事象において「広告宣伝費の金額」が関係していると仮定します。ロジスティック回帰分析を行えば、どのくらいの広告宣伝費をかければ問い合わせが発生するのかについて条件を見い出すことにつながるのです。

事象には問い合わせのほか、コンバージョンや購入、クレームなども含まれます。この回帰分析によって事象が発生する法則を発見できれば、アクセス数などの変数をもとに未来を予測でき、その事象に対する準備ができるのでしょう。

重回帰分析

重回帰分析は、複数の要因(説明変数)が結果(目的変数)に対してどのように影響しているのかを分析できます。ロジスティック回帰分析は予測したい結果が質的(0か1:事象が起こるか否か)のときに利用される一方で、重回帰分析は結果が量的(数値データ)のときに利用されます。たとえば、チェーン店において次のようなデータを変数として総売上高を重回帰分析するとします。

  • 客単価
  • 競合店舗の数
  • 広告費
  • 従業員数
  • 口コミ数 など

重回帰分析では複数の要素を変数にして、売上高を表す数式にまとめられます。数式をもとにどの要素が売上の変化にどの程度寄与するかが確認できるでしょう。売上・利益に重要な影響を与える要素を特定し、また各指標の変化がどの程度のインパクトを持つか把握可能です。

決定木分析

決定木分析とは、ある数値に影響を及ぼしている要因を洗い出すため、複数回データ分類を行い、ツリー構造で経路図を生成する方法です。たとえば商品・サービスの購入額の高い層を見つけるとしましょう。

まず平均購入額を男性・女性で算出します。さらに男女それぞれ「首都圏」「非首都圏」で平均購入額を分類します。さらに首都圏は東京都、東京都は渋谷区・新宿区に分け、最も数値が高い経路をたどれば、購入額が大きくなりやすい層の特定につながります。なお、複数の決定木を集め、組み合わせて分析する手法のことを「ランダムフォレスト」といいます。

グレイモデル

グレイモデルは、ビッグデータ分析において曖昧なデータの予測に用いる手法です。「明確なデータを白」「不明なデータを黒」「曖昧なデータをグレイ(灰色)」で状態を色で表して分析する特徴があります。分析を行えば白と黒のデータをもとに曖昧な情報であるグレイ(灰色)を予測できるでしょう。グレイモデルは、リスクマネジメントや売上のトレンド予測にしばしば用いられます。

初心者向けデータ分析を実践する方法

初心者がデータ分析を仕事に応用するときは、次のツールや手法を活用するのがおすすめです。

  • エクセル
  • プログラミング・機械学習
  • BIツール

エクセル

初心者にはエクセルでのデータ分析がおすすめです。たとえば、クロス集計やデシル分析、時系列分析などはエクセルの基本的な表計算・関数・グラフ描画機能を活用すれば簡単にできます。

また、t検定やロジスティック回帰分析・重回帰分析もエクセル内のアドインや関数の組み合わせて実施できます。学習の手間をかけずに少ない費用でデータ分析をするなら、まずはエクセルを活用するのも1つの手です。

プログラミング・機械学習

プログラミングやAIによる機械学習を活用すると、より高度なデータ分析ができたり、日々アップデートされるデータの分析を自動化できたりします。初心者の方でも時間をかけて習得すればデータ分析の精度・作業効率が高まるでしょう。

さらにAI(機械学習)を取り入れれば、過去のデータに基づく高度なトレンドも予測しやすくなります。データ分析に適したプログラミング言語としては統計解析に使われる「R」や、AI開発にも使われる「Python」などがあげられます。

BIツール

BIツールを使えば、初心者でもビッグデータを解析し、分析結果の可視化が可能です。BIツールとは Business Intelligence (ビジネスインテリジェンス)ツールの略で、データ分析を通じて意思決定や課題解決を支援します。

日々の事業活動から得られる膨大なデータをさまざまな視点から分析して、顧客・製品の特性、トレンド予測などさまざまな示唆をまとめます。さらに得られた示唆を資料にまとめ、視覚的にわかりやすく社内共有することも可能です。企業内部のマーケティング・営業活動や事業戦略の策定を効率化、精緻化するうえで適しています。

データ分析手法を理解して目的に合った方法を実践しよう

目的によって、多数のデータ分析手法が存在します。それぞれの手法の特性や用途をおさえたうえで、目的に合ったものを選択してください。

データ分析を有効活用すれば、マーケティングや営業などさまざまな企業活動の効率化や高度化が実現します。データ分析を習得して、必要な時に有効活用しましょう。

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ABOUT ME
ライター Keisuke Ito
一橋大学卒。投資銀行や資産運用会社での社会人経験がある傍ら、ライターとして5年ほどの実績。転職や起業、キャリア形成や資産運用、不動産投資など多様なジャンルで多数の記事の執筆実績あり。証券アナリスト資格保有。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。