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Webデザイナーの将来性はない?今後の需要と必要なスキルとは

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ライター 角畑 京介
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後はPythonデータ解析や生体化学の研究をしたあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を執筆する。
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エディター 工藤 梨央
  • Webデザイナーに将来性はない?
  • AIに仕事がうばわれる?

結論からいうと、Webデザイナーの需要は今後も高まりを見せるでしょう。なぜならWeb業界は拡大傾向にあり、将来的には人材不足が予想されるためです。しかし、AIサービス発達などの情報を耳にすると、Webデザイナーの将来性について不安をぬぐい切れない方もいるかもしれません。

今回は、そんなWebデザイナーに興味を持つ方の不安を払拭するため、今後の需要や将来性についてわかりやすく解説します。後半では将来の活躍につながるスキルと、具体的なキャリアパスも紹介しています。ぜひ最後までお読みください。

Webデザイナーの今後の需要

Webデザイナーの今後の需要について、現状を踏まえながら解説します。

  • Web業界の市場は拡大中
  • IT業界は人手不足な傾向
  • 政府の取り組み
  • 10年後以降の将来はどうなる?

それぞれ順に詳しく解説していきます。

Web業界の市場は拡大中

近年、Webデザイナーが活躍する市場は拡大傾向にあるようです。総務省統計局の2023年3月の「サービス産業動向調査」によると、Webデザイナーが含まれるとされる*1「情報サービス業」「インターネット付随サービス業」の売上高前年比について、以下の数値が得られています。

「情報サービス業」「インターネット付随サービス業」における売上高前年比(%)*2
年度
情報サービス業(%)
インターネット付随サービス業(%)
2018年
2.4
2.2
2019年
3.2
9.6
2020年
-0.8
2.5
2021年
4.4
2.6
2022年
5.8
6.4
2018年から2022年までの
売上高増減の割合(※)
約1.13倍
(+274,568百万円)
約1.23倍
(+65,925百万円)

※情報サービス業とインターネット付随サービス業における2018年と2022年の各年平均売上高から算出*2

各業界において売上高が上昇しているということは、その業界が成長しているということです。上記の表を見てみると、情報サービス業とインターネット付随サービス業の売上高は上昇傾向であるため、Web業界の市場は拡大中と考えられます。WebデザイナーはWebサイトの企画・デザイン・制作などをおこなう職業*3です。今後のWeb業界の市場拡大に伴い、Webデザイナーが活躍する場は増えるでしょう。
関連記事:Webデザイナーとは?仕事内容や年収・必要なスキルを解説

IT業界は人手不足な傾向

Web業界は人手不足が懸念されており、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年に16〜79万人*4のIT人材が不足すると予想しています。加えて現代の日本社会では、少子高齢化による将来的な労働力不足も課題です。

求人情報・転職サイトdodaの「転職求人倍率レポート」によると、2023年5月のIT・通信における有効求人倍率は「6.09」*5という数値が得られています。有効求人倍率とは、求職者1人あたりにおける求人数の割合のことです。IT・通信の有効求人倍率は「6.09」*5なので、求職者1人につきおよそ6件の求人が掲載されています。

「Web業界は拡大傾向×将来的なIT人材不足の可能性」により、Webデザイナーの求人数が減る確率は低いといえるでしょう。Webデザイナーを含めた職種は今後も需要が高まり、スキルを習得すれば仕事が見つけやすいはずです。

政府の取り組み

経済産業省はIT人材不足の課題を解決すべく、さまざまな施策をおこなっています。たとえば、Webデザインやプログラミングをはじめとしたスキルの学び直し「リスキリング」の推進などです。具体的にはキャリア相談から転職までを支援するための「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」*6などが実施されています。

日本はWebデザインなどを含めたITスキル習得について、国をあげてサポートする方向性を示しているとわかります。

10年後以降の将来はどうなる?

Web業界が成長していることや2030年のIT人材不足などを考慮すると、Webデザイナーの仕事が10年後になくなってしまう可能性は低いかもしれません。一方でAIの発達により仕事が減少するか否かについては議論が必要なようです。

経済産業省の「未来ビジョン」では、「AIやロボットで代替しやすい職種では雇用が減少するが、代替しづらい職種や、新たな技術開発を担う職種では雇用が増加する*7」と述べられています。また同資料の「産業ごとに必要な労働者数の相対的変化(高成長シナリオ)」においては、以下の数値を示しています。

経済産業省の調査によると、2020年から2050年までの期間で順調に経済が成長した場合、情報通信業における労働者相対比は約7%ほど増加するという推計が出ている
引用:経済産業省「未来人材ビジョン」|p25より

この資料は、2020年から2050年の間に「日本経済が順調に成長すると仮定した場合」における各産業ごとの労働者数増減を推計したものです。経済産業省は、Webデザイナーを含む「情報通信業の労働者数」が「すべての職種における労働者数」を占める割合について、2020年から2050年までに「7%」*8ほど増加する必要があるとしています。

つまり経済産業省によるとWebデザイナーなどのクリエイティブや新しいものを制作する情報通信業は、10年後以降も需要が高いということです。

とはいえAI技術の急速な発展などにより、今後も働く人を取り巻く環境は目まぐるしく変化していくと予想されます。Webデザイナーといった職業にかかわらず、10年後の将来で活躍するためには、AIの活用方法を考えたり自分のスキル向上やセルフブランディングをおこなったりすることが大切です。

将来性が期待できるWebデザイナーのスキル

将来性が期待できるWebデザイナーのスキルを6つ紹介します。

  • マーケティング
  • ブランディング
  • ディレクション
  • ツール
  • デザイン
  • 動画編集

上記のスキルを身につけることでWebデザイナーとして活躍する幅が広がります。ここからは6つのスキルについて具体的に解説します。

関連記事:【未経験者向け】Webデザイナーのお仕事とは?〜必要なスキルやツール・独学での勉強方法3つをご紹介

マーケティング

マーケティングとは、商品やサービスの購入につながりやすい仕組みなどを指します。Webデザイナーがマーケティングスキルを身につければ、Webサイトの見た目を整えるだけでなく、サービスの問い合わせや購入を促す効果的なWebサイトを設計できるでしょう。

具体的にはボタンの配置や文字の大きさ、ページのレイアウトなどWebサイトにおけるさまざまな要素をユーザー視点で設計します。またWebサイトにおけるユーザーの行動反応を分析し、データをもとにして改善策を立案することが可能です。経験を積むことで一つひとつのデザインの意味を説明できるようになり、クライアントや上司に対して自信を持って提案できるはずです。

ブランディング

ブランディングは商品やサービス、企業などのブランドイメージ形成を図り、競合他社との差別化を目指すことです。Webデザイナーがブランディングスキルを高めることでクライアントに合ったデザインを提案できるでしょう。

ロゴやカラー、フォントなどのビジュアル要素や、ブランドのキャッチコピーやストーリーなどの要素も考慮して提案できます。またブランドの特徴や魅力をわかりやすく表現するためにも、ユーザーの利便性向上やWebサイトの視認性を高める力も必要です。ブランディングスキルを持ったWebデザイナーは、ブランドの認知度拡大やブランドに対する愛着心を育むこともできます。

ディレクション

ディレクションとは、Webサイトの制作プロジェクトを管理し、クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションを円滑におこなうことです。Webデザイナーがディレクションスキルを身につければ、Webディレクターとしてサイトの企画から運用までの作業に携われる可能性があります。

具体的には、Webサイトの目的や要件を明確化、プロジェクトのスケジュール策定や進捗管理などを実施し、Webサイトの品質や納期、予算などを適切にコントロールします。またクライアントのフィードバック内容をメンバーに共有するなど、チームに欠かせない役割を担えます。Webデザイナーとしてリーダーシップを高めることにつながり、取引先やチームメンバーから信頼される存在となれるかもしれません。

ツール

Webデザイナーがツールを自在に扱える力を身につければ、クライアントの要望に合わせて効率的かつ柔軟に仕事を進められます。たとえば以下のようなツールが例としてあげられます。

主なツールの種類
ツールの具体例(一部抜粋)
内容
イラスト作成・画像編集
Adobe illustrator
Adobe Photoshop
ロゴやイラストの作成、写真やグラフィックなどの加工をおこなう
コーディング
Adobe Dreamweaver
Visual Studio Code
Webサイトなどにプログラミング言語(HTMLやCSSなど)を記述する
デザイン
Figma
Sketch(Mac専用)
使いやすい・見やすいデザインを作成する
ノーコードツール
STUDIO
Wix
プログラミング言語を記述せずにWebサイトを作成できる
画像生成AI
Midjourney
Adobe Firefly
テキスト(画像のイメージ)を入力すると画像を自動作成してくれる

近年は上記の表に示したSTUDIOなどのノーコードツールや、Midjourneyなどの画像生成AIが普及しつつあります。これらのツールはエンジニアに頼らずともWebデザインをおこなえることが魅力です。加えてHTML/CSSなどのプログラミング言語を学んでおくと、Webサイトの構造を理解しやすくなり、カスタマイズや修正などの作業をスムーズに進められるでしょう。

デザイン

デザインはWebサイトだけでなくバナーや紙媒体、商品のパッケージなど、多岐に渡る領域で「視覚表現」や「使い心地」を考えることです。デザインスキルを身につければ、将来的にWeb業界以外で活躍できる可能性も広がります。

具体的には色や形、レイアウトなどの視覚的な要素やWebサイトのボタン配置、商品パッケージの開けやすさなどの操作性・機能性について考えます。また目的やターゲットに合わせて、デザインの方向性やコンセプトを決めることもあるでしょう。デザインスキルを習得し「使いやすさ」や「見やすさ」を追求すれば、ユーザー体験向上を目指すためのアイデア・引き出しを増やすことにつながります。

動画編集

Webデザイナーが動画編集スキルを習得すると、静的な画像やレイアウトのデザインだけでなく、動きのある動画やアニメーションを通してメッセージを伝える仕事もできるでしょう。具体的なスキルとしては、撮影された映像のカットや効果音・音楽・字幕の挿入などの技術があげられます。これらの技術があると視聴者の注意を惹きつけながら、より印象深くメッセージを伝えられるコンテンツ作成につながります。

近年はWeb広告やYouTube、TikTokなどの動画コンテンツが増加中です。あらゆる企業や個人が参入しており、動画編集・映像制作のニーズは上昇しています。Webデザイナーが動画編集スキルを身につければ、デザインもおこなえる「動画編集者・映像クリエイター」としても市場価値が高まるはずです。

Webデザイナーのキャリアパス

Webデザイナーとしてのキャリアは多岐にわたり、自身の能力や目指す方向性によってさまざまキャリアパスを展開できます。Webデザイナーが構築できるキャリアとして、以下の例があげられます。

  • UI/UXデザイナー
  • Webマーケター
  • ディレクター
  • コンサルタント

Webデザイナーとして知識や技術を身につけていけば、仕事の選択肢が増えていきます。会社員として上流のポジションで活躍したり、フリーランスとして独立してあらゆる業界の人と仕事をしたりと、キャリアパスはさまざまです。またWebデザイナーは国内外問わず需要が高いため、海外での活躍も視野に入れることもできます。将来「どのようなキャリアを築きたいか」などの目標から逆算し、自分に合ったキャリアパスを描くことが大切です。

ここからは、上記4つについて具体的に解説します。

UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーとは、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)の設計をおこなうデザイナーです。UIはユーザーが視界に触れるWebサイトとの接点部分を意味し、UXはWebサイトを通してユーザーが得られる体験のことを指します。UI/UXデザイナーはユーザー視点で設計をおこなうことによりWebサイトの「見やすさ」「使いやすさ」を追求します。Webデザインスキルが役立つ仕事であるため、将来のキャリアアップとして目標にできるでしょう。

Webマーケター

Webマーケターとは、Webサイトの集客やコンバージョンを最適化するための戦略や施策を立案・実行するマーケティングの専門家です。WebマーケターはWebデザイナーと協力して、Webサイトのデザインやコンテンツを改善したり、SEOやSNSなどのツールを活用して、ターゲット層にアプローチしたりすることがあります。Webデザインの知識があるWebマーケターになることで、施策の実行・検証などのサイクルを素早く回すような連携を取りやすくなります。

ディレクター

ディレクターとはWebサイトの企画・制作・運用などを統括する責任者です。ディレクターの仕事の種類として以下3つの例があげられます。

  • Webディレクター:Webサイトの構成や機能、デザインなどを決定し、Webデザイナーやエンジニアと協力して、Webサイトを制作する
  • アートディレクター:ビジュアルやコンセプトなどのデザイン全般を担当する
  • Webプロデューサー:クライアントやユーザーのニーズを把握し、Webサイトの目的や方向性、戦略を決定する

ディレクターにWebデザインの知識や経験があると、Webサイトを制作する際に必要な要件などのイメージが湧きやすいため、プロジェクトの企画を立てやすくなります。

コンサルタント

Webデザイナーとして経験を積めば、コンサルタントとして活動できる場合もあります。コンサルタントとは、自分の専門知識や経験をもとにクライアントの課題解決に貢献するアドバイザーです。経験豊富なWebデザイナーはユーザーに寄り添ったWebサイトを制作するための知識や技術があります。各Webサイトにおいて設計・運用の方法を分析し、これまでの経験から適切な改善策を導き出し、クライアントの課題を解決する仕事ができるでしょう。

Webデザイナーの将来性は今後も期待できる!

Webデザイナーは、ユーザーにとって魅力的で使いやすいWebサイトを制作することで、ビジネスや社会に貢献できる仕事です。今後ますます重要な職業になると予想されます。

しかし、Webデザイナーになるためには、ただデザインのスキルを持っていればよいというわけではありません。Webデザイナーは使用するツールやトレンドが常に変化する業界で働くため、自分も柔軟な対応・スキル習得ができることが求められます。また、自分のスキルや実績をアピールできるようにセルフブランディングも大切です。Webデザイナーは多様なキャリアパスを持つことができ、自分の能力や目指す方向性に合わせてUI/UXデザイナーやWebマーケター、ディレクターやコンサルタント、フリーランスなどの道を選択できます。

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*2023年7月時点のコース数です。コース数は今後も増設していきます。

※出典
*1:総務省|B: 日本標準産業分類第14回改定に関する国・地方公共団体等からの意見に際する改定原案への反映|No.B-48より
*2:総務省統計局「サービス産業動向調査」2023年(令和5年)3月分及び1~3月期(速報)|p8より
*3:厚生労働省|Webデザイナー – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|より
*4:経済産業省- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書|p20より
*5:doda転職求人倍率レポート(データ)|業種別より
*6:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業より
*7:経済産業省「未来人材ビジョン」|p24より
*8:経済産業省「未来人材ビジョン」|p25より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。