ちょうど一年前の今頃、世間が新しい一年を迎える期待に包まれる中、私の心はずっと雲がかかっているような状態でした。
40代に入り、新卒で入社した会社に勤め続けて間もなく20年を迎えようとしています。20代では営業職として現場を駆け回り、産休・育休を経て復職した30代では内勤職へキャリアチェンジ。仕事と育児の両立に必死になりながら、現在は管理職としてチームをまとめる立場になりました。
「勤続20年」「管理職」「ワーキングマザー」
この肩書だけを見れば、「安定したベテラン社員」「キャリアを順調に積み重ねている」と映るかもしれません。実際、大きな不満があるわけではないのです。会社には感謝していますし、仕事にやりがいも感じています。ただ、心の中は決して順風満帆ではありません。
40代になり、ふとした瞬間に静かな焦りを感じるようになりました。
「私、このまま『経験』という貯金だけで走り続けていいの…?」
日に日に大きくなるこの漠然とした不安から抜け出せなくなり、まさに迷宮入り。
そんな状況を変えるために、私は決めました。2025年はこれまでの延長線上にある一年にするのではなく、あえて「新人」に戻り、学び直す一年にしようと。
「経験」という荷物が重くなった瞬間

振り返れば、私のキャリアは「経験」を武器に戦ってきたように思います。
20代の頃は、とにかくガムシャラでした。足で稼ぎ、お客様と膝を突き合わせ、泥臭い努力で数字を作る。それが正義でした。30代になり、ライフステージが変わって時間の制約ができても「過去の事例」や「長年の勘」が私を助けてくれました。トラブルが起きても、「あの時はこうすれば上手くいった」という引き出しを開けて、解決してきました。
しかし、40代になり管理職として「組織」に目を向けるようになった頃から、その「必勝パターン」に少しずつ狂いが生じ始めました。
時代のスピードは加速し、DX化の波が押し寄せています。会議では、今まで聞いたこともない横文字のツールやマーケティング用語が飛び交うようになりました。
そして何より、「仕事の進め方」に対する価値観のズレです。
周りのメンバーが新しい手法を当たり前のように受け入れ、生産性高く成果を出していく中で私はハッとしました。私が大切に守ろうとしていたのは仕事の「質」ではなく、自分が慣れ親しんだやり方への「安心感」だったのではないか、と。
今まで積み上げてきたキャリアという荷物が、今の私には少し重すぎて、動きを鈍らせているのかもしれない。
そう感じた瞬間、私は「このまま自分の中の常識だけで走り続けるのは難しい」と痛感しました。同時に、変化を恐れて守りに入る自分自身のことが、あまり好きではないと気付いてしまったのです。
レールを降りるのではなく、景色を変えるために

もちろん、今の会社を辞めて転職することや、独立することをすぐに考えたわけではありません。
長年勤めた会社には愛着がありますし、生活や子供の教育費を考えれば、安定した収入を手放すことへの恐怖もあります。
私が求めていたのは、レールを降りることではなく、「見える景色を変えること」でした。
会社という組織の中にいると、どうしても視野が狭くなります。社内の力学、長年の慣習、業界の常識。それらに囲まれて20年近く過ごしていると、それが全てのように錯覚してしまいます。
でも、一歩外に出れば多様な働き方や価値観に溢れているはずです。
「会社という看板を下したとき、私には何か残るのだろう?」
そう自問したとき、思いつくのは「社内調整力」や「社内システムの操作知識」ばかりで、市場価値のあるスキルや、自分自身の軸となるものが心もとないことに愕然としました。
40代の今だからこそ必要なのは単に知識を積み重ねる「足し算の学び」ではなく、凝り固まった常識や成功体験を一度手放し、新しい視点を取り入れる「学び」ではないか。
組織の中での「肩書き」が通用しない場所。
利害関係のないフラットな関係性の中で多様な価値観に触れ合える場所。
そして、「会社のため」「メンバーのため」といった義務感からではなく、自分自身がワクワクしながら学べる場所。
そんな「第3の居場所」を探していた時に出会ったのが、SHElikesでした。
2025年、SHElikesと共に歩む「新しい私」

SHElikesを知ったきっかけは、SNSでの偶然の出会いでした。
最初にその世界観を目にした時の正直な感想は、「キラキラしていて、私のような40代には場違いかもしれない」という躊躇いでした。Webデザインやライティングといったクリエイティブなスキルも、どこか「若い人のもの」というイメージがあったのです。
しかし、実際にSHElikesで学んでいる人たちの体験談を読んでいくうちに、そのイメージは大きく変わりました。
そこには、20代の若手社員だけでなく、私と同世代の女性たち、子育て中のママ、地方に住む人、海外に住む人など、本当に多様な背景を持つ「シーメイト」がいました。
彼女たちは皆、「変わりたい」という自分の心に素直に行動していました。
スキルを身につけて副業を始めた人、転職を叶えた人、あるいは今の仕事に学んだことを活かしてキャリアアップした人。そして何より印象的だったのは、皆が「自分の人生を自分でハンドルを握っている」という楽しそうな表情をしていたことです。
「変わりたいと思った今が、一番若い瞬間」
誰かのそんな言葉に背中を押されました。
40代だから遅いなんてことはない。むしろ、社会人経験がある今だからこそ、新しいスキルを掛け合わせることで、より大きな価値を生み出せるかもしれない。そうポジティブに捉えられるようになったのです。
2025年、私はSHElikesという新しい居場所を持ちました。
言葉の力で人の心を動かすライティングや、市場のニーズを捉えて価値を届けるマーケティング。それは、管理職として誰かに指示を出す仕事とは違う、新たな「視点」を私に与えてくれました。
会社での仕事、家庭での役割。そのどちらでもない「第3の自分」として過ごす時間が、結果として失いかけた「自信」を取り戻させてくれました。
未来の自分を形作る、新しい一歩

40代という人生の折り返し地点で、私は自身のキャリアに対する漠然とした不安、そして「経験」が足かせになり始めているという危機感に直面しました。そのモヤモヤこそが、この歳で再び「学び直し」を決意した一番の理由です。
これまでのキャリアで培った経験は、とても大きな財産です。しかし、その経験を新しい時代に通用させるためには、常に知識をアップデートし、固執した考えをほぐす必要があります。
抱えている「古い荷物」を少し整理して、空いたスペースに「新しい知識」を詰め込む。
学ぶことを始めたその先には、今見えている景色とは違う可能性が広がっているはずです。
SHElikesは、そんな「新しい私」に出会うための最初の扉なのかもしれません。
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本記事はSHElikesの受講生を対象とした「SHEライターコンペ」の採用作品です。(執筆者 Rikkoさん)
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