「マーケティングビジネス実務検定」は、マーケティング業務を担当している方や、マーケターを目指す方におすすめの資格です。
本記事では、マーケティングビジネス実務検定の概要や、等級ごとの難易度の目安を解説します。取得するメリットや勉強方法、マーケティング職に活躍するその他の資格も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
マーケティング・ビジネス実務検定とは?
「マーケティング・ビジネス検定」とは、マーケティング実務における知識を判定する検定試験です。2005年から実施されており、難易度別にA級やB級、C級に分類されています。
幅広いスキルが求められる現代においては、特定分野の専門性はもちろん、ビジネス全般で要求されるマーケティングに関する知識が重要です。この検定を通じて、マーケティング理論の基礎に加え、時事情報や実務事例などの実践的な課題の解決方法を習得できます。
マーケティング・ビジネス検定は合格率が公開されていないため、難易度の判断は難しいです。しかし、C級は定型業務、B級は業務運営レベルなので、きちんと学習すれば合格可能といえるでしょう。ちなみにA級はこれらの土台に計数管理とマーケティング関連法務が含まれるので、難易度がやや高くなります。
マーケティング・ビジネス実務検定の受験資格
マーケティング・ビジネス検定は、どの級も誰でも受験可能です。企業の営業や販売業務に従事している人だけでなく、マーケティング職を志望している学生や独立を検討している人も、受験を通して学習することができます。
マーケティング・ビジネス実務検定の種類とそれぞれの難易度
冒頭で述べたように、マーケティング・ビジネス検定の等級は、C級、B級、A級の3レベルあります。それぞれの概要や難易度を見ていきましょう。
マーケティングビジネス実務検定:C級
最も難易度が低いC級は、定型業務をこなすために必要なマーケティング知識が問われる、いわゆる入門レベルです。基本用語やマーケティング概念、戦略に必要な基礎知識(マーケティングミックス、リサーチ方法、消費者行動など)が問われます。
対象レベル
- マーケティング初心者
- これからマーケティング分野に関わる学生や若手社会人
- Webマーケティングの基礎を学びたい
マーケティングビジネス実務検定C級は、マーケティング業務に関わるうえで必要となる基礎知識が問われるため、これから同分野に関わる学生や社会人が入口として挑戦するのがおすすめです。また、マーケティングの基礎知識を体系的に学びたい方にも役立つでしょう。
出題形式と合格基準点
点数 | |
---|---|
マーケティング知識 | 正誤式:10題(30点) 選択式:15題(45点) 語群選択式:10題(30点) 三答択一式:15題(45点) 合計点:150点 制限時間:1時間30分 |
マーケティング事例 | 語群選択式:10題(20点) 三答択一式:10題(20点) 三答択一式:2題(10点) 合計点:50点 制限時間:45分 |
合格基準点 | 2科目合計点(200点)の80%(160点) |
受験料
C級の受験料は税込6,270円です。B級・C級の併願は税込13,750円になります。
マーケティングビジネス実務検定:B級
マーケティングビジネス実務検定B級では、マーケティング業務の運営ができる応用レベルが問われます。C級の範囲に加えて、戦略立案の詳細、情報システム、マーケティング関連法規などが出題されます。C級よりもマーケティング事例の配点が多いです。
対象レベル
- マーケティング実務経験がある
- 現場で役立つマーケティングの応用知識を身につけたい
- マーケターとしてキャリアアップしたい
マーケティングビジネス実務検定B級は、C級よりも実践的な内容が多いため、より現場で役立つ式を身につけられます。実務経験がある人やマーケターとしてキャリアアップしたい人、C級に合格した学生や社会人におすすめです。
出題形式と合格基準点
点数 | |
---|---|
マーケティング知識 | 正誤式:10題(40点) 選択式:15題(60点) 語群選択式:15題(60点) 四答択一式:10題(40点) 合計点:200点 制限時間:1時間45分 |
マーケティング事例 | 正誤式:10題(40点) 選択式:5題(20点) 四答択一式:5題(20点) 語群選択式:5題(20点) 合計点:100点 制限時間:1時間 |
合格基準点 | 2科目合計点(300点)の70%(210点) |
※マーケティング・ビジネス検定の合格率や受験者数は非公開です。
受験料
B級の受験料は税込7,480円です。A級・B級の併願は税込20,240円、B級・C級の併願は税込13,750円になります。
マーケティングビジネス実務検定:A級
マーケティングビジネス実務検定でもっとも難易度の高いA級では、マーケティング戦略の立案や、意志決定や管理など、マネジメントレベルの知識が問われます。C級・B級のベースに加えて、計数管理とマーケティング関連法務も出題範囲です。
対象レベル
- マーケティング業務の管理者・責任者
- マーケティング戦略の立案・実行ができる
- 将来的に経営やマネジメントに関わりたい
マーケティングビジネス実務検定A級はマーケティング分野の専門家としての知識が問われるため、マーケティング業務の管理者や、経営視点でマーケティング戦略を立案したい人に向いているでしょう。管理者・責任者として、正確な意志決定ができるようになりたい人にも適しています。
出題形式と合格基準点
点数 | |
---|---|
マーケティング知識 | 正誤式:10題(30点) 選択式:15題(45点) 語群選択式:10題(30点) 三答択一式:15題(45点) 合計点:150点 制限時間:1時間30分 |
マーケティング事例 | 語群選択式:10題(20点) 三答択一式:10題(20点) 三答択一式:2題(10点) 合計点:50点 制限時間:45分 |
合格基準点 | 2科目合計点(200点)の80%(160点) |
※マーケティング・ビジネス検定の合格率や受験者数は非公開です。
受験料
A級の受験料は税込12,760円です。A級・B級の併願は税込20,240円になります。
マーケティング・ビジネス実務検定を取得するメリット
マーケティングビジネス検定を取得するメリットは以下の2つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
マーケティングスキルや知識が身に付く
マーケティングビジネス検定では、特定の業界や職種によらず、一般的なビジネスで必要とされるマーケティング知識が出題されます。理論だけでなく、時事情報を踏まえた実例も含むため、試験対策を通して知識とスキルの両方が身につくでしょう。
具体的には、マーケティングの概念から、マーケティング戦略や製品戦略といった実用的な事項、さらに業界ごとのケーススタディなどが挙げられます。
転職・就職でのアピールポイントになる可能性がある
マーケティングビジネス検定は、マーケティングの実務に関する知識を総合的に評価する検定です。そのため、未経験からマーケティング力が必要とされる業務を志望した場合でも、必要な知識を有していることの証明になります。
また、受験資格が設定されていないこともメリットです。実務経験等に左右されることなく、興味があればすぐに資格取得に取り掛かることができます。
マーケティング・ビジネス実務検定が役立つ職種
マーケティングビジネス検定が役に立つ職種として、第一に考えられるのはマーケティング職です。試験勉強を通して、市場動向や消費者行動を正確に読み取ったり、新商品のプロモーションを効果的に行ったりするスキル取得が期待できます。
そのほか、営業職にも生かせるでしょう。営業職では顧客の潜在ニーズを引き出し、それを解決する商品やサービスを提供することが求められるため、マーケティング力が大きな武器となり得ます。
マーケティング・ビジネス実務検定の対策方法
マーケティング・ビジネス実務検定に合格するためには、出題傾向に合わせた効率的な勉強方法が欠かせません。以下では代表的な対策方法を紹介します。
テキスト・問題集を活用する
マーケティングビジネス実務検定の基本的な試験対策は、公式テキストを読み込み、問題集と本試験問題を繰り返し解いていくことです。公式テキストは出題範囲や用語が明確に網羅されているため、実際の出題形式に慣れるのにも最適でしょう。
独学でも試験対策できますが、A級に挑戦する場合は、補助教材を活用したり、新聞各紙で常に最新の情報にアンテナを広げたりすることも推奨されています。
初心者は通学講座を活用するのもあり!
マーケティング初心者で独学が不安な方や、効率よく合格を目指したい方は、主催団体による通信講座の活用もおすすめです。解説動画や問題演習によって、効率よく合格を目指せます。Web配信なので、忙しい方でも自分のペースで学習が可能です。
幅広いマーケティングの知識を体系的に学べるので、検定の合格だけでなく、スキルアップにも生かせるでしょう。

マーケティング・ビジネス実務検定の関連資格3選
マーケティングビジネス実務検定と同様、マーケティング職で役立つ資格を3選紹介します。
内容を比較して、自分に合った資格を選びましょう。
マーケティング検定
項目 | 内容 |
---|---|
主催団体 | 日本マーケティング協会 |
受験形式 | CBT(1級記述/2・3級選択式) |
受験料 | 1級 14,850円/2級 9,460円/3級 6,600円 |
出題範囲 | マーケティングの重要概念基礎・応用問題 |
合格基準 | 1級: 60%程度の得点&受験者の上位20% 2・3級: 70%以上の得点 |
合格率 | 非公表 |
「マーケティング検定」は、マーケティング能力を測定する民間の検定です。マーケティングビジネス実務検定が戦略・法務・データ管理など、実務に近い内容が多いのに対して、マーケティング検定は理論や基本概念の理解を重視しています。
マーケターとしての土台を身につけたい方に向いているでしょう。ちなみに1級はマーケティング部門のリーダーを目指す方向けのため、難易度が高く、試験は記述式です。

ネットマーケティング検定
項目 | 内容 |
---|---|
主催団体 | 日本ネットマーケティング協会 |
受験形式 | CBT(選択式) |
受験料 | 6,200円 |
出題範囲 | デジタルマーケティングの基礎・応用 |
合格基準 | 70%以上の得点 |
合格率 | 68.6%(2024年度平均合格率)*1 |
「ネットマーケティング検定」は、ネットマーケティングに必要な知識を体系的に習得できる資格です。広告やSEO、セキュリティなど基礎知識のほか、Webサイトの構築、SNS、関連法規まで、網羅的に智識を得られます。
ちなみに学習時間の目安は15時間と、難易度は低め。マーケティングビジネス実務検定よりもWebマーケティングに特化しているため、Web業界に進みたい人はぜひ検討してみてください。
Webアナリスト検定
項目 | 内容 |
---|---|
主催団体 | 一般社団法人 日本Web協会 |
受験形式 | 会場受験+講義+試験(CBT) |
受験料 | 22,325円(講義+試験一体型) |
出題範囲 | Web解析、アクセス解析の実務 |
合格基準 | 各分野40%以上かつトータル75%以上の正答率 |
合格率 | 約8割(講座を受講した場合)*2 |
「Webアナリスト検定」は、Googleアナリティクスを使ったアクセス解析や、ユーザー行動の分析に必要な知識を体系的に学べる資格です。講座と受験がセットになっていて、講座は1日(5時間)で完結します。(※試験のみもあり)
デジタルマーケティングの実践で役立つ、データ分析やマーケティング手法、データマネジメントなどの知識を身につけたい方におすすめです。

マーケティング・ビジネス実務検定についてよくある質問
最後に、マーケティングビジネス実務検定に関するよくある質問に答えていきます。
- マーケティング・ビジネス実務検定の試験会場は?
- マーケティング・ビジネス実務検定の試験はいつ開催される?
- マーケティング・ビジネス実務検定の合格発表はいつ頃?
- 「マーケティング・ビジネス実務検定は意味ない」と言われる理由は?
マーケティング・ビジネス実務検定の試験会場は?
B級とC級はWeb受験であり、会場での試験はA級のみとなります。A級の試験は、東京と大阪、名古屋の三つの会場で実施されることが多いようです。
マーケティング・ビジネス実務検定の試験はいつ開催される?
マーケティング・ビジネス検定の試験日程は、年4回設定されています。各回によって、実施される試験の級が異なります。詳しくは公式サイトをチェックしてみてください。
マーケティング・ビジネス実務検定の合格発表はいつ頃?
マーケティング・ビジネス検定の合格発表日は、試験日によって異なります。例年は3月上旬、6月下旬、9月上旬、12月上旬頃のようです。
「マーケティング・ビジネス実務検定は意味ない」と言われる理由は?
「マーケティングビジネス実務検定は意味ない」と言われる理由としては、以下が考えられます。
- 民間資格であり、知名度が高くない
- 等級によってはアピールになりづらい
- マーケティング業界では資格よりも実績やスキルが重要
マーケティング職は企業の売上やブランディングに直接影響することも多いため、資格を所有していることよりも、「企業にどう貢献してきたか」「どのくらいマーケティング業務に関わってきたのか」といった実績が重視されやすいです。
しかし、未経験からマーケティング職を目指す場合は基礎知識の証明になったり、試験勉強を通してマーケティングの知識を深められたりとメリットもあります。
マーケティング・ビジネス実務検定の資格を取得して、スキルを身につけよう!
マーケティング・ビジネス検定を取得することで、「マーケティングスキルや知識が身につく」「転職・就職でのアピールポイントになる可能性がある」といったメリットがあります。未経験の人でもマーケティングの知識がある証明としても活用できるため、ぜひ受験を検討してみてください。
資格取得と合わせて、より実践的なスキルを身につけたい方は、スクールを活用するのもおすすめです。たとえば、女性向けキャリアスクールのSHElikes(シーライクス)では、マーケティングの基礎から実戦で役立つデータ分析や広報など、幅広いスキルを身につけられます。
興味のある方はぜひ、無料体験レッスンに参加してみてください。

参考
*1:ネットマーケティング検定「出題範囲・教材」より
*2:Webアナリスト検定「よくある質問」より