企業の人材戦略としても重要なリスキリングですが、以下のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
「リスキリングで使える助成金はある?」
「リスキリング向けの助成金はいつまで使える?」
全国には、企業を対象としたリスキリング助成金が多く設けられており、条件を満たせばコストを削減しながら従業員のスキルアップを支援できます。
本記事では、企業がリスキリングに活用できる助成金制度を給付条件や期限などを交えて解説します。ぜひ参考にして、助成金をうまく活用しながらリスキリングを推進しましょう。
【企業向け】リスキリング助成金はいつまで使える?
近年注目度が高まるリスキリングですが、金銭的な負担を抑えたいなら全国の助成金制度を活用するのがおすすめです。企業向けのリスキリング助成金としては、大きく以下3つの制度が挙げられます。
助成金を適切に活用するためには、いつまで使えるのか把握しておくことが大切です。ここからは、各助成金制度の給付条件や期限を詳しく解説します。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金*1は、従業員の専門的な知識や技能習得を目的に職業訓練を計画的に実施した企業に対し、訓練費用や訓練中の賃金の一部を補助する制度です。厚生労働省が設けている制度で、対象の訓練コースは大きく以下7つに分かれています。
コース名 | 対象となる訓練(コース概要) |
---|---|
①人材育成支援コース | ・10時間以上のOFF-JT ・新卒者等のために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練 ・有期契約労働者等の正社員転換を目的として実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練 |
②教育訓練休暇等付与コース | ・有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、労働者がその休暇を取得して 訓練を受けた場合に助成 |
③人への投資促進コース | ・高度デジタル人材訓練や成長分野等人材訓練 ・情報技術分野認定実習併用職業訓練 ・定額制訓練 ・自発的職業能力開発訓練 ・長期教育訓練休暇等制度 |
④事業展開等リスキリング支援コース | ・事業展開やDX・GXに伴い、新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練 |
⑤建設労働者認定訓練コース | ・認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練 ・建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合に助成 |
⑥建設労働者技能実習コース | ・雇用する建設労働者に技能向上のための実習を有給で受講させた場合に助成 |
⑦障害者職業能力開発コース | ・障害者の職業に必要な能力を開発、向上させるため、 一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置や運営を行う場合に助成 |
それぞれ助成率や対象訓練は異なりますが、リスキリング目的で本事業を活用する場合は①〜④のいずれかのコースで申請するのが一般的です。最大で訓練費用の75%の助成を受けられるので、給付条件に該当しているか確認してみてください。
助成金・補助金制度名 | 人材開発支援助成金 |
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助成金・補助金制度の概要 | 従業員の専門的な知識や技能の習得を目的として、 企業が計画に沿って職業訓練などを実施した場合に 訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度 |
申請要件 | ・有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、 労働者がその休暇を取得して 訓練を受けた場合に助成 |
対象者 | 雇用保険適用事業所の事業主 (人材育成支援コースは事業主団体等も含む) |
経費助成率 | ・人材育成支援コース:45%(訓練によって異なる) ・教育訓練休暇等付与コース:30万円 ・人への投資促進コース:75%(訓練によって異なる) ・事業展開等リスキリング支援コース:75% |
申請の流れ | コースによって異なる |
給付条件
人材開発支援助成金の給付を受けるには、以下すべての条件*2を満たす必要があります。各コースの共通条件なので、事前に確認しておきましょう。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 労働局長が認定した制度導入・適用計画に基づき人材育成制度を新たに導入し、その制度を雇用する被保険者に適用した事業主であること
- 労働組合などの意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作成し、雇用する労働者に周知している事業主であること
- 職業能力開発推進者を選任している事業主であること
- 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、雇用する被保険者を解雇等事業主都合により離職させた事業主でないこと
- 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日 までの間に、被保険者数が規定の割合を満たしていること
- 当該制度導入・適用計画の適用を受ける期間、適用される被保険者に対して通常の賃金の額を支払う事業主であること
- 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類などを整備し、5年間保存していること
- 管轄労働局長が認める必要書類を求めに応じて提出または提示する、管轄労働局長の実地調査に協力するなど審査に協力する事業主であること
また対象のコースによっても、訓練の条件が厳しく定められています。たとえば人材育成支援コースには大きく3つの訓練があり、それぞれの訓練概要や認定要件は以下のとおりです。
訓練名 | 訓練概要 | 訓練の条件(認定要件) |
---|---|---|
①人材育成訓練 | 職務に関連した知識・技能を習得させるための10時間以上の訓練 | ・OFF-JTにより実施される訓練であること (事業内訓練または事業外訓練) ・実訓練時間数が10時間以上であること |
②認定実習併用職業訓練 | 厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練 | ・訓練対象者が15歳以上45歳未満の者であること ・訓練実施期間が6か月以上2年以下であること ・総訓練時間数が1年当たりの時間数に換算して850時間以上であること ・総訓練時間数に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること ・訓練終了後にジョブ カード様式3-3-1-1 「職業能力証明シート」により職業能力の評価を実施すること |
③有期実習型訓練 | 有期契約労働者等に対し、正規雇用労働者等に転換するための訓練 | ・OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること ・OFF-JTの実訓練時間数が10時間以上であること ・訓練実施期間が2か月以上であること ・総訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して 425時間以上であるこ ・総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること ・訓練終了後にジョブカード様式3-3-1-1 「職業能力証明シート」により職業能力の評価を実施すること |
各訓練によって用意する書類も異なるため、事前にどのコース・訓練で申請するか決めておくことが大切です。詳しい申請方法は、公式サイトで確認してください。
いつまで使える?
人材開発支援助成金の活用期限は、明確に設定されていません。令和6年には支給要件の改正も行われ、今後の拡充も期待できます。
ただし支給を受けるには、従業員の受講開始前日から1ヶ月前までに訓練計画を提出する必要があります。訓練計画の提出時には、職業能力開発推進者の選任や事業内職業能力開発計画の策定も求められるため、早めに準備しておくのがおすすめです。
なお、助成金の申請期限は訓練終了日から2ヶ月以内となっています。期限を過ぎると申請できなくなるので、十分注意して手続きを進めましょう。
DXリスキリング助成金
DXリスキリング助成金*3は、都内にある中小企業が従業員に対してDX関連の職業訓練(民間の教育機関が提供)を実施する場合に、訓練にかかる経費を助成する制度です。
中小企業だけでなく個人事業者も対象となっており、条件を満たせば対象経費の2/3の助成を受けられます。IT関連の訓練が対象なので、DXリスキリング助成金を活用すればコストを抑えて社内のデジタル人材を育成できるでしょう。
助成金・補助金制度名 | DXリスキリング助成金 |
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助成金・補助金制度の概要 | 都内にある中小企業が従業員に対して民間の教育機関が提供する DX関連の職業訓練を実施する場合に、訓練にかかる経費を助成する制度 |
申請要件 | ・都内に本社又は事業所(支店・営業所等)の登記があること ・訓練に要する経費を従業員に負担させていないこと ・助成を受けようとする訓練について国又は地方公共団体から 助成を受けていないこと |
対象者 | 中小企業もしくは個人事業主 (規定の資本金の額または常用労働者数に該当する企業) ※みなし大企業は除く |
助成額 | 助成対象経費の2/3(助成限度額は64万円/社・年度) |
申請の流れ | 交付申請書提出→審査・交付決定通知→訓練の実施→実績報告書提出 →審査・助成額の確定通知→助成金請求書提出→助成金の振込 |
給付条件
DXリスキリング助成金の申請要件は以下のとおりで、受講料だけでなく教科書代やeラーニングにかかる登録料などでも給付を受けられます。
【申請要件】
- 都内に本社又は事業所(支店・営業所等)の登記があること
- 訓練に要する経費を従業員に負担させていないこと
- 助成を受けようとする訓練について国又は地方公共団体から助成を受けていないこと
- 対象者が訓練時間の8割以上出席すること
また助成対象となる訓練は「民間の教育機関等が提供するDXに関する職業訓練」です。具体的には以下の要件が定められているので、必ず確認しておきましょう。
【助成対象となる訓練の要件】
- 中小企業がDXに関する外部講師を招いて実施する訓練または民間の教育機関等が提供する集合・eラーニングなどにより実施する訓練であること
- DXに関する専門的な知識・技能の習得と向上を目的とする訓練または資格の取得をするための訓練であること
- 以下いずれかの条件を満たす訓練であること
・教育機関等の受講案内と受講に係る経費が、ホームページやパンフレットで一 般般公開されており、1講座及び受講者1人当たりの受講料があらかじめ定められていること(単講座)※訓練時間は6時間以上
・企業の課題に応じた内容を企画し、自社内に外部講師(教育機関等)を招い実施するものであり、1時間あたり10万円以内であること(オーダーメイド講座)※訓練時間は20時間以上 - 助成対象事業者が受講者の受講履歴等を確認できる訓練であること
- 助成対象期間に実施する訓練であること
なお本助成金で定義するDX講座とは、以下の項目に該当する講座を指します。
- 対象となるDX講座:AI/IoT/クラウド/データサイエンス/セキュリティ/基礎理論/経営戦略/プロジェクトマネジメント/コンピュータシステム/技術要素/開発技術/UI・UXデザイン/RPA・ネットワーク/XR・BPR/ブロックチェーン
AIやVRといった最新技術に関する講座も対象なので、将来の技術革新に対応できる人材育成に役立つでしょう。
いつまで使える?
DXリスキリング助成金では、申請書類の提出期限と交付申請書受付期間が以下のように定められています。
【申請書類の提出期限】
- 紙申請の場合:研修開始予定日の1か月前(当日消印有効)まで
- 電子申請の場合:研修開始予定日の1か月前(当日23時59分)まで
【交付申請書受付期間】
- 令和6年3月1日から令和7年2月28日まで(令和6年度)
申請受付期間は毎年異なるので、公式サイトでいつまで使えるか確認しておいてください。
IT導入補助金
IT導入補助金*4は、経営課題の解決を目的として中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際、導入費用の一部を補助する制度です。導入目的に応じて以下5つの枠に分かれており、自社のニーズに合わせて申請できます。
- 通常枠:自社の課題にあったITツールの導入費用を補助し、業務効率化・売上アップをサポート
- インボイス枠:インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトなどの導入費用を補助し、労働生産性の向上をサポート
- インボイス枠(電子取引類型):インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入する企業を支援
- セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃などのリスク対処を目的としたITツールの導入費用を補助し、サイバーインシデントに関するさまざまなリスク低減策を支援
- 複数社連携IT導入枠:複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入する際に費用を補助し、生産性の向上を図る取り組みを支援
基本的には中小企業を対象にした制度ですが、インボイス枠(電子取引類型)に関しては、受発注の取引を行う大企業も対象です。
助成金・補助金制度名 | IT導入補助金 |
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助成金・補助金制度の概要 | 中小企業や小規模事業者が経営課題の解決を目的にITツールを導入する際、 導入費用の一部を補助する制度 |
対象者 | 中小企業または小規模事業者 |
経費助成率 | 各枠によって異なる |
申請の流れ | 「gBizIDプライム」アカウントの取得、「SECURITY ACTION」宣言の実施→ 「みらデジ経営チェック」の実施→「IT導入支援事業者の選定」「ITツールの選択」 →交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)→交付決定→ ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)→事業実績報告 →補助金交付→事業実施効果報告 |
給付条件
IT導入補助金で給付を受ける条件は「各申請枠で対象となるITツールを導入すること」です。対象のITツールは、事前に事務局の審査を受け、公式サイトに公開されているものとなります。
なお助成金の申請時は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請しなければいけません。
各申請枠で対象となるITツールや補助額を以下にまとめたので、確認してみましょう。
申請枠 | 補助対象 | 補助率 | 補助額 |
---|---|---|---|
通常枠 | ・ソフトウェア(必須) ・オプション(機能拡張、データ連携ツールなど) ・役務(導入コンサルティング、保守サポートなど) |
1/2以内 | ・1プロセス以上:5万円以上150万円未満 ・4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
インボイス枠 | ・インボイス制度に対応した会計、受発注、決済ソフトなど(必須) ・PC、ハードウェア ・レジ、券売機・オプション(機能拡張、データ連携ツールなど) ・役務(導入コンサルティング、保守サポートなど) |
・インボイス制度に対応したソフトウェア:3/4以内(中小企業)、 4/5以内(小規模事業者) ・PC・ハードウェアほか:1/2以内 |
・インボイス制度に対応したソフトウェア:50万円以下 ・PC・ハードウェアほか: 10万円以下(PC、ハードウェア)、 20万円以下(レジ、券売機) |
インボイス枠(電子取引類型) | インボイス制度に対応した受発注システム | ・中小企業または小規模事業者等:2/3以内 ・その他の事業者等:1/2以内 |
下限なし~350万円以下 |
セキュリティ対策推進枠 | 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載かつ IT導入支援事業者によってITツール登録されたサービス |
1/2以内 | 5万円以上100万円以下 |
複数社連携IT導入枠 | ・基盤導入経費(ソフトウェア、ハードウェアなど) ・消費動向等分析経費 ・その他経費 |
・ソフトウェア:3/4以内(中小企業)、 4/5以内(小規模事業者)・ハードウェア:1/2以内 ・消費動向等分析経費:2/3以内 ・その他経費::2/3以内 |
・ソフトウェア:50万円以下×グループ構成員数 ・ハードウェア:10万円×グループ構成員数(PC、タブレットなど)、 20万円×グループ構成員数(レジ、券売機) ・消費動向等分析経費:50万円以下×グループ構成員数 ・その他経費::200万円以下 ※その他経費以外の補助上限額は3000万円 |
通常枠を利用すれば、最大450万円の補助が受けることが可能です。他の助成金に比べても補助額が高額なので「自社のDX化を進めたい」「ITツールの導入でデジタル人材を育成したい」という企業は、ぜひ申請を検討してみてください。
いつまで使える?
IT導入補助金をいつまで使えるかは、各申請枠によって異なります。令和6年度の受付はすべて終了していますが、令和7年の実施も決定しているので、随時公式サイトを確認しておきましょう。
中小企業庁「IT導入補助金」より*5
なお令和7年には補助金の拡充も予定されており、さらに安価にITツールを導入できるようになります。
交付申請には、gBizIDプライムアカウントの取得やセキュリティアクション自己宣言IDの取得など事前準備が必要なので、前もって済ませておくとスムーズです。
企業がリスキリングを推進するべき理由
ビジネス環境が目まぐるしく変化する現代において、企業が競争力を維持し続けるには、従業員へのリスキリング促進が欠かせません。
ここでは、企業がリスキリングを推進すべき理由を3つに分けて解説します。
リスキリングは、従業員のエンゲージメント向上や業務効率化にも寄与します。自社にとってのメリットを理解したうえで、リスキリングの推進を検討してみましょう。
従業員の企業への愛着を醸成できる
リスキリングの推進は、従業員の企業への愛着を高める重要な手段です。スキルアップやキャリアの成長機会を提供することで、従業員に「この企業は成長を後押ししてくれる」という印象を与えられます。
新たなスキルや知識の習得の場を設ければ、従業員は自分が会社にとって重要な存在であると感じやすくなるでしょう。結果として従業員満足度の向上につながり、離職率の低下も期待できます。
さまざまな業務を内製化できる
リスキリングによって自社人材を育成すれば、さまざまな業務を内製化できるようになります。外部委託に頼らなくて良いので、コスト削減のほか迅速な意思決定につながります。
たとえば従業員がDXスキルを身につければ、システム構築やデータ分析といった分野でも、自社内でプロジェクトを完結可能です。内製化は従業員にとっても責任感や達成感を生むため、業務全体の効率と質の向上が見込まれるでしょう。
さまざまなスキルを身につけた従業員を育成でき、技術の発展に対応できる
リスキリングによって従業員が幅広いスキルを身につければ、企業は新しい分野や市場へ参入しやすくなります。特にAIやIoTといった先端技術を習得した従業員は、技術の進化に伴う新しいプロジェクトでも即戦力として活躍するでしょう。
このように社員にさまざまなスキルを身につけてもらうことは、企業にとってリスク分散の手段にもなります。多様なスキルを持つチームは新たなイノベーションを発揮しやすいので、企業成長の観点から見てもリスキリングは必要不可欠な取り組みです。
個人でリスキリングに使える給付金・支援制度
リスキリングの給付金の中には、個人で使える制度も多くあります。個人向けの補助金は対象となる講座が幅広く、自分の興味や極めたいスキルに合わせて選べるのが魅力です。
ここでは、経済産業省による「キャリアアップ支援事業」と厚生労働省による「教育訓練給付制度」の2つの制度を解説します。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
経済産業省による「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」*6は、個人のスキル習得を目的とした補助金制度です。キャリア相談・リスキリング・転職支援を一気通貫で支援する仕組みを整備することで、個人のリスキリングを推進しています。
本事業の対象者は、正社員や契約社員など企業等と雇用契約を締結している方です。一定の条件を満たせば、補助事業者(キャリアスクールなど)を通じてリスキリング受講料の一部を還元してもらえます。
最大で受講料の70%の還元(上限額56万円)を受けられるので、コストを抑えて新たなスキル習得を目指す方にぴったりです。
なお、本事業に参画しているスクールは公式サイトから検索できます。学べる講座はもちろん、講座の受講料や還元率も各スクールによって異なるので、希望に合ったスクールを探してみましょう。
助成金・補助金制度名 | リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 |
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助成金・補助金制度の概要 | 経済産業省が認定した事業者からキャリア相談やリスキリング講座の受講、転職支援のサービスを受け、 条件を満たすことで最大で受講料の70%(上限56万円)の給付を受けられる制度 |
対象者 | ・雇用主の変更を伴う転職を目指している方 ・サービスへの登録時とキャリア相談対応における初回面談時に、 雇用主と雇用契約を締結している方 |
助成額 | リスキリング講座の受講を修了した場合、 講座の受講費用(税別)の1/2相当額(上限40万円)。 その後、実際に転職して1年間継続的に転職先に就業していることを確認できる場合、 講座の受講費用(税別)の1/5相当額(上限16万円) |
申請の流れ | 経済産業省が認定するリスキリング講座やサービスに申し込み |
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度*7は、働く方の主体的な能力開発やキャリア形成の支援を目的に、厚生労働省が設けている補助金制度です。厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、ハローワークから受講費用の一部が支給されます。
対象となる教育訓練は、内容やレベルに応じて以下3つの種類に分かれており、各訓練の対象や補助額は以下のとおりです。
教育訓練 | 訓練概要 | 教育訓練給付の講座指定の対象となる訓練・資格の例 | 補助額 |
---|---|---|---|
専門実践教育訓練 | 労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練 | 第四次産業革命スキル 習得講座 、 職業実践専門課程、専門職学位など |
受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給 |
特定一般教育訓練 | 労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練 | 登録日本語教員、宅地建物取引士資格試験、 電気主任技術者試験など |
受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給 |
一般教育訓練 | その他の雇用の安定、就職の促進に資する教育訓練 | ITパスポート、簿記検定、TOEICなど | 受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後 |
英語や簿記といった汎用性の高いスキルのほか、大型自動車第一種免許やFPなど専門性の高い資格習得でも補助を受けられるのが特徴です。
教育訓練給付制度の対象講座は講座検索システムで検索できるので、自分が習得したいスキルや費用を考慮したうえで選びましょう。
助成金・補助金制度名 | 教育訓練給付制度 |
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助成金・補助金制度の概要 | 働く方の主体的な能力開発やキャリア形成を支援する補助金制度 |
対象者 | 雇用保険に加入している方(加入期間の条件有) ※ パート・アルバイトや派遣労働者の方も対象 |
助成額 | 教育訓練によって異なる |
申請の流れ | 教育訓練によって異なる ※専門実践教育訓練と特定一般教育訓練は、 講座の受講前に訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認が必要 ※支給申請はお住まいを管轄するハローワークで実施 |
個人のリスキリングにおすすめの講座
経済産業省による「キャリアアップ支援事業」で給付を受けるには、補助事業者のリスキリング講座を受けなければいけません。
キャリアスクールによって講座内容が異なるため、どのように選ぶか迷う方も多いのではないでしょうか。個人のリスキリングにおすすめのスクール・講座を3つ紹介します。
いずれも最大約70%の還元を受けながら講座を受講できるので、安価な費用でスキルアップを目指せるのが魅力です。各キャリアスクールの特徴を以下で詳しく見ていきましょう。
SHElikes(シーライクス)
SHElikes(シーライクス)は、全45以上の職種スキルを学べる女性向けキャリアスクールです。WebデザインやWebマーケティングをはじめ、動画編集、広告運用、SNS運用、プログラミングなど多彩なコースが用意されており、未経験からでもキャリアチェンジを目指せます。
またSHElikesは、月に1回のグループコーチングで振り返りと学習の目標設定ができたり、受講生同士で交流できるコミュニティがあったりと、コース受講以外のサービスも利用しながら、モチベーション高くリスキリングに取り組めるのが魅力です。
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の補助対象となる「レギュラープラン」では、キャリアカウンセラーによる1on1キャリアカウンセリングや書類・面接対策などの転職支援サービスを受けることもできます。
スクール・講座名 | SHElikesレギュラープラン(SHE株式会社) |
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リスキリング講座内容 (リスキリングを通じた キャリアアップ支援事業対象) |
・45職種以上のWebスキル学び放題を中心とした スキルアップのための学習サポート ・キャリアカウンセリングなどの キャリアチンジに向けたサポート |
対象者 | 下記条件に当てはまる方 ・入会時点で企業等と雇用契約を交わしている方 ・雇用主の変更を伴う転職を目指している方 (個人名義で入会される方が対象) |
補助金額 | ・入会時に受講料の50%早期還元 (早期還元はカウンセリングの場でご入会いただいた 初回参加時のみ適用となります。) ・SHElikes入会中かつ2027年4月30日までに SHE株式会社が紹介した転職先へ転職し、 1年間継続勤務した場合は20%追加還元 |
公式サイト | https://shelikes.jp/landing_pages/reskilling2024 |
DMM WEBCAMP(ウェブキャンプ)
DMM WEBCAMP(ウェブキャンプ)は、未経験からエンジニアを目指せるITスクールです。プログラミング以外にUI/UXデザインやデータサイエンスといった豊富なコースが用意されています。
特にAIコースでは自然言語処理・深層学習を実装したAIモデルを開発できるのが特徴です。実践的なスキルを身につけられるので、即戦力として活躍したい方に向いています。
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の対象コースもWebデザインからマーケティングまで幅広く、最大56万円のキャッシュバックを受けることが可能です。受講生限定の転職サポートや副業サポートも無料で行っているので、本格的にIT人材を目指している方はぜひチェックしてみてください。
スクール・講座名 | DMM WEBCAMP(株式会社インフラトップ) |
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対象者 | ・企業と雇用契約を結んでいる方 ・カリキュラムをすべて完了させる方 ・カリキュラムの課題をすべて提出し合格している方 ・キャリアカウンセリング等の提供するサービスを規定の回数受講している方 |
対象講座 | マーケティング、Webデザイン、 フロントエンド、AIコースほか |
支給金額 | ・コース修了後、提供される規定のサービスをすべて完了した場合に50%還元 ・コース修了後に転職し、1年間継続的に転職先に就業していることを 確認できた場合に20%追加還元 |
公式サイト | https://web-camp.io/reskilling/ |
TechAcademy(テックアカデミー)
TechAcademyは、キラメックス株式会社が提供するプログラミングスクールです。現役のエンジニアが講座を担当し、Java・Webデザイン・AI・アプリ開発・フロントエンドなど多様なコースが用意されています。
またTechAcademyは、転職・副業といった学習目的別にコースを選べるのが特徴です。転職を目的としたコースではキャリアカウンセラーによるサポートを受けられ、1000社以上の紹介求人から転職先を紹介してもらえます。
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」には、Webデザインやフロントエンドなど複数のコースが対象となっており、お得なセット割引も準備されているのがポイントです。Pythonとデータサイエンス、PythonとAIなど関連スキルをまとめて習得できるので、効率的な学習を目指している方はぜひチェックしてみてください。
スクール・講座名 | TechAcademy(キラメックス株式会社) |
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リスキリング講座内容 (リスキリングを通じた キャリアアップ支援事業対象) |
Java・Webデザイン・AI・アプリ開発・フロントエンドなど 幅広いコース(セット割引あり) |
対象者 | 転職意志のある在職者 |
補助金額 | ・対象のコースを受講修了した時点で 受講料の50%を還元 ・テックアカデミーの転職支援サービスで転職し、 1年間の継続勤務をすれば20%を追加還元 |
公式サイト | https://techacademy.jp/benefits/reskilling |
リスキリングの助成金がいつまで使えるか確認し、スキルアップに役立てよう
本記事では、リスキリングの助成金がいつまで使えるのか、給付条件や補助額なども交えて解説しました。
企業向けのリスキリング助成金には、人材開発支援助成金やDXリスキリング助成金などさまざまな種類があります。一定の条件を満たす必要がありますが、助成金を活用すれば、予算を抑えつつ従業員のスキルアップを支援可能です。
また全国には、個人で利用できるリスキリング補助金も多くあります。還元率や学べるスキルは、キャリアスクール・講座によって異なるため、自分が身につけたい分野やコスパを考慮して選びましょう。
「今後のキャリアに悩んでいる」「幅広いスキルを学びたい」という方は、女性向けキャリアスクールのSHElikes(シーライクス)に通うのがおすすめです。Webデザインや動画編集といった全45以上のスキルを学ぶことができ、興味のある分野を自由に組み合わせて学習できます。
「キャリアアップ支援事業」対象のレギュラープランでは、キャリアカウンセラーによる1on1サポートも受けられるので、「転職はしたいが何をしたらいいか分からない」「自分の適職を知りたい」という方にとってはぴったりのスクールです。
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※出典
*1:厚生労働省「人材開発支援助成金」より
*2:厚生労働省「人材開発支援助成金制度導入活用マニュアル」より
*3:公益財団法人東京しごと財団「DXリスキリング助成金」より
*4:経済産業省 中小企業庁「IT導入補助金」より
*5:中小企業庁「IT導入補助金」より
*6:経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」より
*7:厚生労働省「教育訓練給付制度」より