近年では、あらゆる場面で「ビジネスのシームレス化が重要」と耳にします。しかし、シームレスの定義は人や企業、業界によって異なるものです。そのため、「シームレス化って具体的には何を指すの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、シームレス化の意味や業界別の使い方、シームレスが注目されている背景などを解説します。ビジネスのシームレス化は事業の成長に重要な要素の一つなので、ぜひ参考にしてください。
近年話題のシームレス化とは
シームレス(seamless)は、直訳すると「継ぎ目(seam)」が「無い(less)」という意味です。類語として「スムーズ(smooth)」などが挙げられます。ビジネスでは「滑らかなサービス」や「業務の最適化」などの言葉に言い換えられて使用されることが多いです。具体的には電子マネーによるキャッシュレス化、電子カルテの導入による業務効率化などが挙げられるでしょう。
ビジネスにおけるシームレス化とは、大きく下記の2つに分類されます。
- 顧客の商品体験の向上を目的にしたシームレス化
- 自社の生産性・効率性の向上を目的にしたシームレス化
ただし冒頭で解説したように、シームレス化の具体的な意味や定義は業界によって異なるものです。したがって、上記の2つは大枠の概念として理解しておきましょう。
業界別のシームレスの意味
ここからは業界別のシームレス化の意味を紹介します。今回は、下記の職種やビジネスでの意味を見ていきましょう。
順番に解説します。
IT業界
IT業界におけるシームレス化とは、複数のサービスをユーザーが一体的に利用できる状態にすることを指します。具体的には、モバイル通信とWi-Fi接続の切り替えや、スマホデバイスに複数のアプリを導入できることなどが該当するでしょう。
クリエイティブツールを提供している「Adobe社」のソフトでは、他のAdobeソフトと連携できるシステムを採用しており、ITのシームレス化の例の一つです。つまりIT業界におけるシームレス化は、「複数のサービスをスムーズに利用できること」を意味します。
公共交通機関
国土交通省の資料によると、公共交通分野におけるシームレス化とは、下記のように定義されています。
公共交通分野におけるシームレス化とは、乗継ぎ等の交通機関間の「継ぎ目」や交通ターミナル内の歩行や乗降に際しての「継ぎ目」をハード・ソフト両面にわたって解消することにより、出発地から目的地までの移動を全体として円滑かつ利便性の高いものとすること。
引用:国道交通省「第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開」より
公共交通機関のシームレス化では、出発地から目的地までの移動手段を最適化することを指します。具体的にはバリアフリーの導入や乗り換えの利便性、ICカードによる電子決済などが挙げられるでしょう。
海外では、公共交通機関を活用した最適なルートを案内するサービス・アプリなども普及しつつあります。交通におけるシームレス化とは、「利用者にとって最適な移動手段を提供すること」なのです。
交通におけるシームレス化とMaaSの違い
MaaSとは「Mobility as a Service」の略称のことを指します。簡単にいうと、複数の交通手段を活用して移動ができるサービスのことです。具体的には空港への迎車サービスや、新幹線とリムジンバスの複合サービスなどが挙げられます。
前述したように、公共交通機関におけるシームレス化は交通の最適化のことです。つまりシームレス化の中にMaaSが含まれていると認識しておきましょう。
ゲーム業界
ゲーム業界におけるシームレス化とは、シーンの切り替えの滑らかさを表現する際に利用されます。例えば一世代前のテレビゲームでは、アクションシーンや新ステージへの切り替えには、継ぎ目の映像を使用したり、画面が暗くしたりすることが一般的でした。今では技術の進歩によりシーンの継ぎ目がなくなり、ユーザーの満足度や没入感は高くなっています。
ゲーム業界におけるシームレス化とは、「映像の継ぎ目を無くしてユーザー体験を向上させること」を意味するのです。
ファッション業界
ファッション業界で利用されるシームレス化とはその名の通り、「継ぎ目・縫い目のないこと」を意味します。
縫い目がないTシャツなどは凹凸がないため、体に馴染みやすいです。洋服全体に隙間が存在せず、防寒性に優れていることも特徴です。シームレスなファッションの流行は時代によって差があるものの、時期や季節によって一定の人気があります。したがってファッション業界でのシームレス化は、「顧客体験の向上や製法」を表す言葉といえるでしょう。
医療業界
医療業界では、さまざまなシームレス化が導入されています。例えば、電子カルテを活用することで患者の情報の検索・管理を効率化することが可能です。遠隔診断などでは自宅にいながら適切な診断を受けられるため、体が不自由な方に最適化されたサービスともいえるでしょう。
そのほか、さまざまな病院・専門機関と提携して各分野に特化した医療を提携できる体制を「シームレスな医療」と呼ぶようです。
なぜシームレス化が重要とされているのか
シームレス化が注目される背景には、さまざまな要因が存在します。ここでは、大きく分けて下記3つの要因を挙げてみました。
それぞれ詳しく解説します。
インターネットの普及
通信速度の向上やスマートフォンの普及により、消費者のインターネット滞在時間は長くなったと考えられます。ネットサービスの最適化、つまりシームレス化がより求められる時代となりました。
大手ECサイトを運営している「Amazon」は、アプリ内で手軽に検索・決済できる仕組みを常にアップデートしています。スマホで情報収集をするユーザーが増えつつあり、Webサイトなどはスマホ端末への最適化が必須になったため、こういったアップデートは効果的なのです。
業務プロセスの最適化
より効率的に業務を進めることが求められるようになったのも、シームレス化が重要とされる要因の一つです。例えば、顧客管理や契約書類を電子化すれば管理場所の必要がなくなります。重要書類などの検索も手軽にできるので、必要な情報をすぐに取り出すことが可能です。
また、チャットツールなどを導入すれば、タイムラグの少ない円滑なコミュニケーションが実現できます。ビジネスシーンでシームレス化を意識すれば、業務効率のアップが期待できるでしょう。
顧客体験の向上
近年では、消費者の購買行動の判断基準にもシームレス化が影響しています。例えばスマートフォンに最適化されていないWebサイト・アプリでは操作方法が難しく感じられ、購入率が下がることも珍しくありません。そのほか、Webサイトの読み込み速度なども重要な要素の一つです。
IT業界やエンタメ業界におけるシームレス化には、「消費者の操作性の向上」も目的にあるといえるでしょう。
自社ビジネスのシームレス化を検討してみよう
シームレスは「継ぎ目がない」を表す言葉です。ビジネスシーンにおけるシームレス化の具体的な定義は企業や業界によっても異なりますが、「顧客の消費体験の向上」や「業務の最適化」などを意味します。シームレス化を推進することでビジネスが成長する可能性もあるので、ぜひ導入を検討してみてください。
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