妊娠を機に退職はもったいない?辞めるかの判断基準や手当・給付金を解説

妊娠を機に退職はもったいない?辞めるかの判断基準や手当・給付金を解説
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ライター / ライター AKI SHOJI
鹿児島出身のWebライター。 慶応義塾大学卒業後、IT企業を経て現在は広告代理店勤務。 ダブルワーク中、SHEに出会い、女性ひとりひとりの価値観やバックグラウンドを大切にする理念に共感し、Webライターとして就業開始。 女性が「年をとることはステキなことだ」と思えるような 心に寄り添う記事執筆が信念。 保持する資格は、Google Ads 認定資格・Google アナリティクス個人認定資格・ウェブ解析士。 趣味はダイビングと海外旅行、保護犬のポメラニアン「ふくちゃん」とふたり暮らし。
エディター wami
企業でプロジェクトマネージャーとして働きながら、副業ライターとして活動中|ECサイトディレクター⇒UXデザイナー⇒プロジェクトマネージャー|主にIT系・Webマーケティング系・転職系の記事を執筆
労務コンサルタント / 監修者 金田朋子
慶應義塾大学を卒業後、メガバンクへFP職として入行。2015年に社会保険労務士資格を取得し、実務経験を経てマネーフォワード社へ。上場準備やM&Aに伴う労務DD、労務記事監修など、急成長企業の実務を幅広く経験。その後、創業間もないスタートアップでの組織立ち上げを経て、現在は労務コンサルタントとして独立。 社労士としての専門的な知見と、ベンチャー企業内での労務担当者としての現場経験を生かし、実務に即した情報発信を得意としています。

妊娠がわかった時に多くの女性が悩むのが「仕事を続けるか辞めるか」ではないでしょうか。「体調やストレスを考えると辞めたほうがいいのでは?」と思いつつ、「育休や産休が取れるから妊娠を機に退職するのはもったいない」という声を聞き迷っている方も多いかもしれません。

実は、退職のタイミングによって受け取れる手当や給付金が変わる場合があるため、制度を知らずに決めてしまうと後悔する可能性もあります。本記事では、妊娠を機に退職がもったいないと言われる理由や、産休・育休を取得した場合と退職した場合の違いなどについて解説します。

妊娠を機に退職はもったいないと言われる理由

ここでは、妊娠を機に退職はもったいないと言われる理由を紹介します。

それぞれ事前におさえておきましょう。

育休・産休が利用できない

妊娠を機に退職するのはもったいないと言われる理由のひとつは、退職すると産休(産前産後休業)や育休(育児休業)を取得する権利がなくなるためです。産休は出産予定日前の6週間(胎児が双子以上の場合は14週間)と出産翌日から8週間取得でき、その間は雇用が守られます*1

さらに育休は原則としてこどもが1歳になる前日まで取得でき、保育園に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長も可能です*2。これらの制度を活用すれば、出産後に復職できるため、退職はもったいないと言われることも多いのです。

手当・給付金がもらえない場合がある

退職のタイミングによっては、手当や給付金がもらえなくなる可能性があります。たとえば、出産手当金は健康保険に加入している人が産休を取得した場合に支給されますが、産休に入る前に退職すると、原則受け取ることができません*3

また、育児休業給付金は雇用保険に加入し、育休を取得している人が対象となるため、退職すると受け取れません*4。出産育児一時金は退職後でも条件を満たせば受け取れますが*5、妊娠後すぐに退職するとそれ以外の手当・給付金を受け取れなくなるのは、退職するのがもったいないと言われる理由の一つです。

失業手当をすぐに受け取れない

退職後に失業手当を受け取ろうと考えている方もいるかもしれませんが、妊娠・出産を理由に退職した場合、退職後すぐには受給できません。失業手当は「働く意思と能力があり、積極的に求職活動をしている」ことが条件となるため、出産前後で働けない状態では対象外だからです*6

ただし、退職日の翌日から30日経過後、ハローワークで受給期間延長の手続きをすれば、出産後に体調が回復してから受け取ることはできます*7。

社会保険料の免除が受けられない

産休・育休期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が免除される制度があります*8これは会社に在籍したまま産休や育休を取得していることが条件となるため、妊娠を機に退職してしまうと対象外となります。

また、単に支払いが猶予されるわけではなく、その期間も保険料を納付したものとして扱われる点が大きな特徴です*9。毎月の社会保険料の負担が軽くなるうえ、将来の保障も維持できる制度であることを考えると、退職によって利用できなくなるのはもったいないと考える方もいるでしょう。

キャリアにブランクが生まれる

妊娠を機に退職すると、その後の再就職までキャリアにブランクが生まれます。出産や育児に専念する期間が長くなるほど、職場復帰にハードルの高さを感じてしまう場合もあるでしょう。しかし、産休・育休を利用すれば雇用が継続されるため、慣れた職場に復帰することができます。

将来的に再度働くことを考えているなら、「今の会社を退職するのはもったいない」という考えもあります。結婚や妊娠・出産を機に今後の働き方を見直したいと考えている方は、以下の記事も参考にしてみてください。

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妊娠を機に退職するメリットは?

妊娠を機に退職するのは「もったいない」と言われる側面がある一方、以下のようなメリットもあります。

それぞれ参考にし、今後の判断材料として活用してください。

育児に専念できる

退職することで、出産後は育児に専念する時間を確保できます。特に初めての出産の場合、慣れない育児に戸惑うことも多く、仕事と両立する負担は想像以上かもしれません。また、保育園探しや復職準備に追われることがなくなるのもメリットといえるでしょう。

「こどもとの時間を何よりも大切にしたい」と考える方にとって、退職が前向きな選択肢になる場合があります。

体調を優先し休養できる

妊娠中はつわりなどの体調不良がつきもので、出産後は体力の回復に時間がかかることも。退職すれば、体調に合わせて無理なく休養を取ることができます。特に、切迫早産などのリスクがある場合や、医師から安静を指示されている場合は、仕事を続けることが母体や赤ちゃんに負担となる場合もあります。

そのため、健康面で不安がある場合は、退職するのが懸命な判断となる場合もあるでしょう。

仕事に関するストレスから解放される

職場の人間関係や業務内容、長時間労働などがストレスとなっている場合、退職によってそれらから解放されるでしょう。妊娠中は心身ともにデリケートな時期であり、ストレスが母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼすこともあります。

そのため、無理に働き続けるよりも退職したほうが精神的な負担が軽減されることもあります。また、出産後の復職を考えると気が重いと感じるなら、一度リセットして新しい環境を探すのも選択肢のひとつです。

妊娠を機に退職すべきかの判断基準

ここからは、妊娠を機に退職すべきかを悩んだときの判断基準を解説します。

ぜひ参考にしてください。

体調的に働き続けられるか

まず考えるべきは、妊娠中や出産後の体調に不安がないかどうかです。つわりが重い、切迫早産のリスクがある、医師から絶対安静を指示されているなどの場合は、無理に仕事を続けることが母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。

一方、体調が安定していて通勤や業務に支障がなく、産休まで働き続ける人もいます。自身の体の状態や育児の負担を考慮し、働き続けることが現実的かどうかを見極めましょう。

時短勤務やリモートワークの制度を利用できるか

職場に時短勤務やリモートワークなどの制度があれば、活用することで無理せず働き続けることができるかもしれません。たとえば、リモートワークが利用できれば、妊娠中の通勤による身体への負担を軽減できます。

さらに、復職後は時短勤務が利用できれば、保育園の送迎や育児の時間を確保しながら働けるでしょう。まずは人事部門や上司に相談し、どのような制度が利用できるのか確認してみてください。

仕事がストレスになっていないか

仕事が心身のストレスになっているかどうかも、退職を判断する重要なポイントです。過度なストレスは妊娠中の体調不良につながるおそれがあります。たとえば、職場の人間関係が悪い、残業が多い、妊娠に対する理解が得られないなどの環境であれば、無理に働き続けること自体が負担になってしまうかもしれません。

一方、仕事にやりがいを感じていて、職場のサポートも得られているなら、無理なく働き続けることもできるでしょう。

家族や職場のサポートを受けられるか

育児と仕事を両立するには、家族や職場からのサポートが欠かせません。パートナーと育児や家事を分担できるか、両親など身近に頼れる人がいるかどうかは大きなポイントです。また、職場の育児中社員のサポート体制が整っており、急な休みや時短勤務に柔軟に対応してくれるかも重要です。

サポート体制が整っていれば、仕事を続けることの負担は大きく軽減されます。

収入がなくなっても生活に支障がないか

退職すると収入が途絶えるため、経済面での影響を慎重に検討する必要があります。パートナーの収入だけで生活費や教育費をまかなえるか、貯蓄は十分にあるか、住宅ローンなどの固定費を支払い続けられるかなど、具体的に家計をシミュレーションしてみましょう。

経済的な不安がストレスになるおそれもあるため、収入と支出のバランスを冷静に分析しておくことが大切です。

キャリアのブランクができても後悔しないか

退職によって生まれるキャリアのブランクについて、将来後悔しないかどうかも欠かせない視点です。仕事から離れる期間が長くなるほど、企業に即戦力として見てもらいにくくなる傾向があり、再就職の難易度が上がってしまう可能性があります。

だからこそ、今の仕事にどれだけやりがいを感じているか、今の職場でキャリアアップを目指したい気持ちがあるかなど、自分の本音と丁寧に向き合うことが大切です。

妊娠したら知っておくべき手当・給付金

制度を知らないまま妊娠を機に退職してしまうのは、もったいない可能性もあります。ここでは、妊娠したら知っておきたい手当や給付金について詳しく解説します。

安心して出産に備えるためにも、事前におさえておきましょう。

出産手当金

出産手当金は、健康保険に加入している人が産休を取得した際に受け取れる給付金です。出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から出産後56日までのうち、会社を休んで給与が支払われなかった日数分について支給されます*3支給額はおおよそ「直近の標準報酬日額の3分の2相当」*10とされており、産前産後の収入減少を補う大切な制度です。

条件を満たさずに退職してしまうと支給対象外になる可能性があるため、妊娠を機に退職を検討している場合は、事前に会社や健康保険組合へ確認しましょう。

出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険に加入している人(または被扶養者)が出産した際に受け取れる給付金です。支給額はこども1人につき50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産は48万8千円)となっています*11。出産費用が一時金を下回った場合は、差額が支給されます。

この給付金は、退職後であっても受け取ることが可能です。退職日までに被保険者期間が継続して1年以上ある方の退職後6か月以内の出産であれば、退職前に加入していた健康保険から支給されます*5

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険に加入している人が育休を取得した際に受け取れる給付金です。休業開始前の賃金の67%相当額(育休開始から6か月経過後は50%相当額)*12が支給されます。受給するには、育休開始前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上あることなどの条件があります。

さらに、給付金は非課税のため、所得税や住民税がかからず、手取り額で考えると実質的な収入減は少なくなります*12。なお、原則として休業開始時点で「休業終了後に離職することが予定されている者」は対象外で、退職すると受給資格を喪失します*13

妊娠を機に退職する際のよくある質問

最後に、妊娠を機に退職する際によくある疑問に回答します。

それぞれ事前にチェックしておきましょう。

産休・育休を取ってから退職しても問題ない?

産休・育休を取ってからの退職は法律で禁止されておらず、基本的にはいつ退職しても問題はありません。ただし、産休・育休は復職を前提とした制度であり、最初から退職するつもりで取得すると急な欠員補充が必要になり、会社や同僚に負担がかかる可能性があります。

しかし、家庭の事情や体調の変化などやむを得ない理由が生じ、産休や育休後すぐに退職するケースもあります。退職の際は、会社との信頼関係を損なわないよう、丁寧なコミュニケーションを心がけることが大切です。

妊娠を機に退職する際のベストなタイミングは?

人それぞれ家庭の事情や体調などは異なるため、誰にとってもベストなタイミングというものはありません。ただし、出産手当金を受け取った後に退職する場合は、以下の条件すべてに該当する必要があります*3

  • 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
  • 退職日に出勤していないこと
  • 退職時点ですでに出産手当金の受給資格を満たしていること(出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)の期間内)

つわりがひどい、医師から安静を指示されているなど体調面に不安があれば、早めの退職も選択肢のひとつです。

産休・育休の手当と失業手当はどちらが得?

金銭面だけを比較するなら、産休・育休を取り給付金をもらったほうが得といえます。出産手当金は標準報酬日額の3分の2*10が、育児休業給付金は休業開始前の賃金の67%相当額(育休開始から6か月経過後は50%相当額)*12を受け取ることが可能。さらに、産休・育休中は社会保険料が免除になります*9

一方、失業手当は退職前6か月の賃金の50〜80%(年齢や勤続年数による)*14が支給されますが、妊娠・出産で働けない期間は受給できず、支給期間は90日~360日です。総合的に見ると、産休・育休を取得したほうが、受け取れる金額は多くなるケースが一般的です。

失業手当の手続きはいつすればいい?

妊娠・出産を理由に退職する場合、失業手当の受給期間延長手続きが必要です。通常、失業手当は退職後1年以内に受給しなければなりませんが、妊娠・出産などで働けない場合は最大4年まで延長*15できます。

手続きは、引き続き30日以上働くことができなくなった日(退職日)の翌日から、受給期間の末日まで可能です。ただし、延長後の受給期間を確保するため、30日経過後はなるべく早くハローワークで延長手続きを行ってください*7。延長手続きをしておけば、出産後に体調が回復し、求職活動を始められる状態になってから失業手当を受け取れます。

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妊娠を機に退職はもったいないと感じたら、スキルを身につけて理想のキャリアを手に入れよう

妊娠を機に退職するかどうかは、人生の大きな決断です。産休・育休を利用すれば、給付金を受け取りながら休職し元の職場に復職できますが、「育児に専念したい」「体調を優先したい」という理由で退職を選ぶことも、自分らしい選択のひとつ。

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※出典
*1:e-Gov法令検索|「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」内、第六章の二 妊産婦等 より
*2:厚生労働省|育児休業期間の延長 より
*3:e-Gov法令検索|「健康保険法」内、(出産手当金) 第百二条 より
*4:厚生労働省|都道府県労働局・ハローワーク「育児休業給付を受給中に離職した皆さま」より
*5:全国健康保険協会|「子どもが生まれたとき」内、「資格喪失後の出産育児一時金」より
*6:東京ハローワーク|求職者給付に関するQ&A」内、「Q2  被保険者期間の条件を満たしても求職者給付を受けられない場合がありますか?」より
*7:厚生労働省|「平成29年4月1日から、雇用保険の基本手当について受給期間延長の申請期限を変更します」より
*8:厚生労働省・日本年金機構|「事業主の皆さまへ」より
*9:日本年金機構|厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)内、「2.育児休業等期間中の保険料免除」より
*10:全国健康保険協会|「出産手当金について」内、「Q3:出産手当金は、1日につきいくら支給されますか?」より
*11:全国健康保険協会|「子どもが生まれたとき」内、「子どもが生まれたときは出産育児一時金が受けられます」より
*12:公共職業安定所|育児休業等給付の内容と支給申請手続より
*13:厚生労働省|「育児休業給付を受給中に離職した皆さまへ」より
*14:ハローワークインターネットサービス|よくあるご質問(雇用保険について)より
*15:厚生労働省|「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」内、「Q2 雇用保険(基本手当)の受給要件を教えてください。」より

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。