「企画をするとき、同じようなアイデアしか浮かばない」
「事業成長のために、刺激になるようなアイデアが欲しい」
このような悩みをもつ方は、新しいアイデア創出へのきっかけ作りとして、「アイデアソン」というメソッドが活用できます。
本記事では、アイデアソンの進め方を初心者にもわかりやすく解説します。成功のコツ・メリットにも触れるので、事業成長に活かせるヒントを見つけてみてください。
アイデアソンとは
アイデアソンとは、新しいアイデアを生み出すためのメソッドのことです。アイデアソンとは具体的にどのようなものであるか、以下の観点から解説します。
アイデアソンの基本を把握しながら、事業にとって必要なものか考えてみてください。
アイデアソンの意味・背景
アイデアソン(Ideathon)は、「アイデア」と「マラソン」を組み合わせた造語です。新しいアイデアを生み出すために短期間で行うプログラムのことをいいます。特定のテーマについてグループ内でアイデアを出し合い、結果を競うというものです。一般的に、制限時間を設けて短時間で行うため、メンバー全員でアイデア創出に集中できます。
背景として、アイデアソンは1990年代にアメリカで開始されました。元は、ハッカソンの実施においてアイデアを出し合うために行われていましたが、現代ではアイデアソン単独で実施されることも多いです。
アイデアソンの目的
アイデアソンの目的は、メンバー同士の意見を引き出し合い、新たなアイデアを生み出すことです。個々の凝り固まった視点を意見交換によってほぐし合い、課題解決のためのアイデアを導き出します。
アイデアの創出以外にも、相手に意図を伝える論理的思考力やコミュニケーション力を高めることを目的とすることもあります。個々の思考力を高めつつ、アイデアを生み出すことで、組織全体のイノベーションの促進が期待できます。
アイデアソンとハッカソンの違い
アイデアソンとハッカソンは、目的と進行方法に違いがあります。ハッカソン(Hackathon)は、「ハック」と「マラソン」を組み合わせた造語であり、主にプログラミングや開発を通じてプロトタイプや実装を目指すプロジェクトです。
一方、アイデアソンはアイデアの発案に焦点を当てるため、実行や成果物の有無などゴールが異なります。アイデアソンは、ハッカソンのような専門技術的なスキルが求められないので、誰でも参加できる点が特徴です。
アイデアソンのメリット
アイデアソンのメリットには、以下のようなものがあります。
それぞれを解説します。
開催・参加のハードルが低い
アイデアソンは、アイデアを考える気持ちがあれば、誰でも参加できます。企業やチーム内でスキルや知識の違いを問わず、メンバーが平等に参加できるので、団結感も生まれるでしょう。専門知識に縛られず、自由にアイデアを出し合えるため、多様な視点からの革新的なアイデアが生まれる可能性が高まります。
アイデアを創出できる
アイデアソンをきっかけに、新プロジェクトの立案、事業拡大のための新たな視点などが得られるかもしれません。アイデアソンでは、基本的に短時間でアイデア創出に集中するので、他の業務に気を取られることなく、ブレインストーミングが行えます。既存課題の解決策に行き詰まったとき、アイデアソンを通じてヒントが見つかることもあります。
主体性やディスカッションスキルが身につく
アイデアソンは、参加者が自発的に意見を述べ、チームでディスカッションを進める場です。この経験を通じて、主体性やリーダーシップ、積極的なコミュニケーションスキルが養われます。また、互いの異なる意見を尊重しつつ、最適な解決策を見つける必要があるので、チームワークを高めることにもつながります。
アイデアソン実施の注意点
アイデアソンを実施する際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 議論が迷走することがある
- 1回きりで終わってしまう
- 開催の有効性を周知させる
アイデアソンでは、具体的なテーマの選定を行い、参加者が何をディスカッションすればよいか混乱しないようにしましょう。テーマから議題が逸れないよう、各グループでまとめ役を設置するのもおすすめです。
また、1回のアイデアソンで実行に移せるまでのアイデアが浮かぶとは限りません。繰り返し実行し、アイデアをブラッシュアップしていきます。アイデアソンに馴染みのない方には、その目的やメリットを共有し、実施する理由をしっかり伝えておきましょう。
アイデアソンの進め方 – 準備の流れ
アイデアソンの準備は、以下のように進めます。
アイデアソンの実施前に必要な準備について、それぞれ解説します。
1.テーマの企画・決定
まず、テーマの企画・決定を行います。目指すゴールを示すことで、アイデアソンを実施する意義が明確になります。テーマを絞りすぎると参加者も限られてしまうので、大まかなテーマで尚且つ明確な目的にします。参加者の関心を引き、新しいアイデアを促進するテーマが設定できるとベストです。
2.運営体制の構築
テーマが決定したら、運営体制を整えます。具体的には、運営事務局・司会・メンター・専門家などの役割を用意します。
運営メンバーや司会は、スムーズにアイデアソンが進むよう企画・実施を行います。メンターは、発想力を高めるためのアドバイスを行い、参加者のアイデアを最大限に引き出します。専門家は、アイデア創出のための正しい知識をインプットするサポートを行います。
3.参加者の募集
アイデアソンへの参加者を募集します。参加者を募る手段としては、企業のWebサイト・SNS・メールマガジンなどでの告知が挙げられます。アイデアソンのテーマ・目的を相手に伝わるよう言語化することで、人々の興味関心を高め、参加者を集めることができるでしょう。
4.チーム分け
参加者が効率的にアイデアを創出できるよう、適切なチーム分けを行います。個々のバックグラウンドや専門性を考慮しながら、多様なメンバーでグループを構成します。
視点の異なるメンバーを一緒のグループにすることで、斬新なアイデアが生まれやすくなります。グループの人数制限はありませんが、全員に発言の場が与えられるよう、少人数でまとめるのが理想的です。
アイデアソンの進め方 – 実施の流れ
アイデアソンを実施する際の進め方は、以下の7ステップです。
それぞれを解説します。
1.テーマの説明
まず、主催者からテーマの説明を行います。テーマの背景や目的を明確に伝えることで、参加者が目指すべき方向性を理解できます。また、プレゼンテーションの評価基準についても説明し、参加者が平等に課題に取り組めるようにします。
2.問題提起・インプット
テーマに対する問題提起をしたうえで、ディスカッションで活用できるデータを参加者にインプットしてもらいます。テーマによっては、参加者の知識レベルを一定に底上げするために、専門家による説明や資料の共有などを取り入れるのもよいでしょう。
3.アイスブレイク
アイスブレイクとは、初対面の人との緊張感を和ませるためのコミュニケーション方法のことです。簡単なゲームや自己紹介を実施し、参加者に打ち解けあってもらうことで、グループ内の信頼関係を築きます。アイスブレイクを行うことで参加者はリラックスでき、ディスカッションにおいて正直な意見を引き出しやすくなります。
4.アイデア出し(ブレスト)
ブレインストーミングを行い、自由にアイデアを出し合います。制限なく多くのアイデアを出すことが重要なので、意見の否定や評価は避けましょう。紙やホワイトボード、付箋などを活用して視覚的にアイデアをまとめることで、アイデアから別のアイデアが生まれる可能性も高まります。
5.アイデアの絞り込み
一定の時間でアイデアを出し合ったら、それらを整理して効果的・実現可能なアイデアに絞り込んでいきます。グループ内でディスカッションを行ったり、多数決を取ったりして、アイデアの強みや弱みを把握し、アイデアをまとめます。
6.アイデアのブラッシュアップ
1つ、もしくは複数のアイデアを選定したら、ブラッシュアップしてプレゼンテーション用に仕上げていきます。アイデアの実現に向けた具体的な計画、実施するメリットや得られる効果などを、グループメンバーで協力してまとめていきます。
7.プレゼン・審査
まとめたアイデアを、プレゼンテーションで発表します。参加者はアイデアの魅力をアピールし、審査員は優秀なアイデアの選出や各グループへの評価を行います。プレゼンテーション・審査は、参加者の努力へ敬意を示し、モチベーションを高めてもらう重要な時間です。
アイデアソンを成功させるコツ
アイデアソンを成功させるには、以下のポイントを意識しましょう。
これらのコツを把握しておくことが、アイデアソン成功への鍵となります。
目的を明確にする
アイデアソンのテーマと目的を明確にすることで、参加者全員が同じゴールに向かってディスカッションを進められます。
同じゴールを見据えた議論ができない場合、テーマから逸れたプレゼンテーション内容になってしまうかもしれません。アイデアソンを通じて達成したいゴールを明確に示すことによって、発案された多くのアイデアを目的と照らし合わせて評価できるのです。
多様性の重視
アイデアソンでは、多様なバックグラウンドや視点を持つ参加者を集めてこそ、革新的なアイデアが生まれやすくなります。異なる経験や専門知識を持つ人々を集め、その多様性を受け入れましょう。さまざまな業界から多くの人に参加してもらい、価値ある体験をしてもらうことで、事業の知名度向上も期待できます。
アイデアを否定しない
全てのアイデアを尊重し、否定しないようにしましょう。アイデアソンの基本は、アイデアの質よりも量を重視し、その掛け合わせでイノベーションを起こすことです。ディスカッションは議論の場であり、討論をする必要はないことを理解しておきましょう。自由に意見を出し合える環境を整えることで、参加者は安心してユニークな発想を共有できます。
アイデアソン実施後の展開を企画する
アイデアソン終了後は、発案されたアイデアの商品化・サービス化など、事業展開を進めます。良いアイデアを生み出した労力や時間が何にも反映されない場合、事業に変化が表れないだけでなく、参加者のやる気が低下する恐れもあります。
事業展開まで行うのが難しい場合でも、プラットフォームでの共有や報酬の用意などをして、参加者にモチベーションを維持してもらう工夫をしましょう。
アイデアソンの活用事例
アイデアソンの活用事例には、以下のようなものがあります。
- スタートアップ
- 新規事業開発
- 地域活性化
アイデアソンは、特に課題解決策が必要なシーンで活用できます。たとえばスタートアップ関連では、起業を目指す人々と業界の経験者が集まり、ビジネスの立ち上げに向けたアイデアのブラッシュアップを行います。新規事業開発においては、新しいプロジェクトを実施する際、担当者と各部門の専門家がアイデアを共有する場として有効です。
また、地域活性化のために地方自治体の職員・住民など参加者が、過疎化の問題解決や観光促進などの目的に合わせたディスカッションを行う例も挙げられます。
アイデアソンを活用して、イノベーションを生み出そう
アイデアソンは、個々のユニークな発想力を活かして、新たな企画や事業を生み出すきっかけとなるものです。アイデアソンを活用して、社内メンバーがさまざまなアイデアに触れる機会を設けてみましょう。
事業拡大を目指す方には、女性向けキャリアスクールSHElikes(シーライクス)もおすすめです。ビジネス、人材管理、マネジメント系など全45以上の職種スキルの中から、興味があるコースを自由に組み合わせて学ぶことができます。
さまざまな知識をインプットすることで、新しいアイデアが得られるかもしれません。キャリアで活かせるスキルや知識を習得し、事業拡大に役立ててみてください。