マーケティングプロセスとは?意味や具体的な手順も紹介

マーケティングプロセスとは?意味や具体的な手順も紹介

マーケティングを勉強していると、施策や戦略を考える手順に悩むことがあるかもしれません。また自分の考えだけで戦略を立案しても、期待する成果につながらない可能性があります。マーケティングのプロセスには基本的な流れがあるので、まずは基礎を理解してから応用スキルを身につけることが大切です。

今回はマーケティングプロセスの意味や具体的な手順などについて解説します。記事の後半では精度を高めるポイントも紹介しているので、マーケティングの効果を上げたい方はぜひ参考にしてください。

マーケティングプロセスとは

マーケティングプロセスとは簡単にいうと、自社の施策や戦略の立案から実行までの流れのことです。例えば化粧品を販売する場合、市場規模や競合の強さ、顧客の属性などを分析して商品を開発します。その後、流通やプロモーションなどの戦略を考えて実際に販売することが一般的です。

つまり市場調査から販売までの一連の動きがマーケティングプロセスであり、「自社戦略の設計図」ともいえるのです。ビジネスは市場調査やニーズ調査で成果が決まるといっても過言ではないので、マーケティングプロセスのフローはしっかりと理解しておきましょう。

マーケティングプロセスの具体的な手順

それではマーケティングプロセスの手順を見ていきましょう。販売する商品やビジネスモデルによって順番が前後することはありますが、一般的には下記の通りです。

  1. 市場調査
  2. 市場の細分化
  3. 市場の顧客調査
  4. ポジショニング
  5. 戦略・手法の立案
  6. テストマーケティング
  7. 実行と評価

順番に見ていきましょう。

1.市場調査

まずは市場規模や競合の強さなどを分析しましょう。具体的には競合他社が販売している商品の価格や品質、市場にいるユーザーの消費行動や消費金額などが挙げられます。例えば他社が販売している製品を実際に試すことで、コストに対する品質などが理解できるでしょう。競合商品の口コミやレビューを調査すれば、市場にいる顧客のニーズを把握できます。

また「キーワードプランナー」などで商品名や関連するキーワードを調査することで、一定の市場規模を分析することが可能です。また市場調査では、下記のフレームワークを活用する企業がしばしば見られます。

名称 内容
3C分析 「市場・顧客(Customer)」「競合他社(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点で市場の分析を行う
SWOT分析 「Strengths(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」の4つの観点で自社の内部環境・外部環境の分析を行う。

フレームワークを活用することで分析作業が効率化できるでしょう。また「3C分析」と「SWOT分析」の具体的なやり方は下記の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

あわせて読みたい
3C分析とは?具体的なやり方や注意点を解説
3C分析とは?具体的なやり方や注意点を解説3C分析とは、自社の強みや顧客のニーズ、競合のバリューなどを分析するフレームワークのことであり、ビジネスにおいて便利な分析方法とされ…
あわせて読みたい
SWOT分析とは?やり方や事例、コツを紹介
SWOT分析とは?やり方や事例、コツを紹介経営戦略やマーケティング戦略を立てる上で使われるフレームワークのひとつに、「SWOT分析」があります。一方で、「SWOT分析とは何か…

2.市場の細分化

市場の細分化は「セグメンテーション」とも呼ばれる工程であり、簡単にいうと「調査した市場をより深く分析する作業」です。市場をより細かくリサーチして、どの市場で商品やサービスを販売するか決めましょう。例えばオフラインでビジネスを行うなら、エリアや人口数などで市場をセグメントすることが可能です。市場がオンラインの場合は、ユーザーの性別や年収などが細分化の基準になるでしょう。

また、すでに顧客を抱えている企業であれば、ロイヤルカスタマー(自社の優良顧客)に近い属性がいる市場を探すことも有効です。

3.市場の顧客調査(ターゲティング)

市場の細分化まで完了したら、販売するターゲットを決めましょう。ただしターゲティングを行う前に、市場にいるユーザーのニーズや課題を理解することが大切です。例えば競合他社が公開しているアンケート結果などを参考にすれば、対象となる消費者の欲求が理解できるでしょう。

ターゲットになる対象者に取材やアンケートなどを実施することも有効です。市場の顧客を深く理解してから、性別や年収、職業などを考慮したペルソナを考えてみてください。

4.ポジショニング

ポジショニングとは簡単にいうと、市場の中での立ち位置を決める作業のことを指します。競合他社のポジションを分析して、自社が入り込める立ち位置を探しましょう。例えば「価格」と「品質」のマトリクス図を作成して市場にいる競合を当てはめることで、マーケットのポジションを可視化することが可能です。自社の強みが発揮できる場所や空いているポジションを探して、販売戦略を考えていきましょう。

ただし「低価格」かつ「高品質」などのポジションは利益率が低くなるので、露骨に空いていることがあります。また市場の中で競合が関与していないポジションは、リスクがあるかもしれません。そのためポジショニングをする際は、自社に有益かどうかをしっかりと判断してください。

5.戦略・手法の立案

自社が目標にするポジションまで見つかったら、複数のフレームワークを活用して適切な戦略を考えましょう。ここでの工程は「マーケティングミックス」とも呼ばれる作業であり、下記のフレームワークを活用する企業が見られます。

フレームワーク 内容
4P分析 「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」の4つの観点で販売戦略を考える
4C分析 「顧客価値(Customer Value)」「顧客のスト(Cost)」「利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」の4つの観点から競合他社との差別化やニーズにあった商品開発を行う

上記のフレームワークは適切な販売経路の発見や、自社のUSP(競合性優位)を活用した競合との差別化に役立つので、ぜひ活用してみてください。

6.テストマーケティング

販売戦略やPRの手法などが決まったら、まずはテストを行いましょう。なぜなら、ここまでのマーケティングプロセスは仮説段階であり、実際の利益につながるか不確定だからです。例えばWeb広告を使用する場合、広告費を最小限に抑えながらA/Bテストを実施して効果を計測します。商品開発を行う際は、試作品でモニター調査などを行うとよいでしょう。

Webサイトを活用する場合は、アクセス解析ツールやヒートマップを使用することで、より精度の高い分析が可能です。作成した施策を試しながら改善して、ビジネスのリスクを最小限に抑えましょう。

7.実行と評価

ここまでの取り組みが完了したら、マーケティング戦略を実行しましょう。広告などを出稿する方はテストマーケティングの内容をもとにコンテンツの修正を先に行ってください。また常に結果を計測して自社のKPIが達成できているか確認しましょう。

もし期待している成果が出ない場合は、テストマーケティングの情報を活用できていなかったり、ポジショニングやターゲティングが間違っていたりする可能性があります。そのような場合は迅速に対応して、修正を行いましょう。また期待以上の成果が挙げられている場合も同様に、「なぜ成果が出ているのか?」を分析して、施策をブラッシュアップすることも大切です。

効果的なマーケティングプロセスを作るポイント

具体的な手順は理解したものの、成果につながる施策を実行できなければ意味はありません。ここからは、効果的なマーケティングプロセスを作るポイントを見ていきましょう。

会社のブランド力や展開するビジネスによっても異なりますが、マーケティングになれていない方は下記の項目を意識してみてください。

上記の4つについて解説します。

顧客理解を優先する

市場規模や競合の強さを調べることは戦略を考えるうえで大切な要素です。しかし商品やサービスを購入するのは消費者(人)であることをしっかりと理解しておきましょう。というのも施策の設計だけを重要視してしまい、顧客のニーズを満たせない商品を販売してしまうミスがしばしば見られます。

つまり適切なマーケティング施策を実行してもユーザーの心理を理解できない限り、大きな利益は期待できないのです。したがってマーケティングプロセスを考える際は市場や競合だけではなく、顧客の理解も徹底して行いましょう。

AIを上手に活用する

AIを活用すれば、さまざまな作業を効率化することが可能です。例えばテストマーケティングから得られた数値データをAIに解析してもらうことで、短時間でROAS(広告の費用対効果)やROI(投資収益率)などを算出できるでしょう。近年のWeb広告には高性能なAIが搭載されているので、最小限の情報で高い効果を期待できます。

ただし顧客ニーズや市場のトレンドなど、数値化できない流動的な情報の分析には、AIはまだ実用的ではないと考えられます。したがってAIを利用する際は、数値として分析・解析できる場面で使用するとよいでしょう。

R・STP・MM・I・Cの流れを意識する

「R・STP・MM・I・C」は経営学者「フィリップ・コトラー氏」が提唱したとされるマーケティングプロセスのことです。本記事で紹介した流れも「R・STP・MM・I・C」の流れにそった順番であり、具体的な内容は下記の通りです。

名称 役割 内容
R(Research) 戦略的プロセス(価値の選択) マクロ分析ミクロ分析
STP(Segmentation・Targeting・Positioning) 戦略的プロセス(価値の選択) セグメンテーションターゲティングポジショニング
MM(Marketing Mix) 戦術的プロセス(価値の提供・伝達) 4C・4P・8Pなどの分析
I(Implementation) 戦術的プロセス(価値の提供・伝達) 実施
C(Control) 戦術的プロセス(評価・検証・改善) 管理

上記の流れは多くの企業が採用しているマーケティングフローであり、高い成果が期待できるとされています。したがって自社独自のマーケティングプロセスを考える際も、「R・STP・MM・I・C」の流れを意識したフローを活用するとよいでしょう。

顧客にあったクリエイティブを作成する

ビジネスにおけるクリエイティブとは、画像や動画、文章などのことを指し、マーケティング効果を高めるための重要な要素です。というのも戦略だけを重視した結果、顧客が好むクリエティブを作成できず、想定よりも低い結果になることがしばしば見られます。

例えば広告などで活用する画像を変更するだけで、CTRが大幅に向上した事例があります。見出しのコピーを変えるだけで売上が上昇することも期待できるでしょう。したがって最低限のライティングやデザインのスキルを勉強して、ユーザーの反応率が高いクリエイティブを作成してください。

マーケティングプロセスを作る際の注意点

ここでは、マーケティングプロセスを作る際の注意点を見ていきましょう。

マーケティング施策を考える際は、上記の2つを覚えておきましょう。順番に解説します。

自社の固定概念を捨てる

市場調査や顧客調査などを行う際は、自社の考えをもとにリサーチを進めると損失につながる可能性があります。例えば競合他社の商品の売れている理由が「品質」だと思っていても、実際には「商品のデザイン」や「アフターフォロー」などが評価されているかもしれません。

仮説を立ててリサーチを行うことは大切ですが、自分たちの固定概念を中心に施策を考えると的外れな結果になるリスクがあります。したがってマーケティングプロセスでは、数値やユーザーのレビューなどを参考にして、客観的な視点で考えることが大切です。

費用対効果で考える

マーケティング戦略でコストが発生する場合は、費用ではなく費用対効果を計算することが大切です。例えば広告費の削減を目的に無料で利用できるSNSだけに注力しても、リーチできるユーザー数はWeb広告よりも圧倒的に少なくなります。

またバナーのデザインや文章の執筆などは費用を払ってでも外注する方が、高い成果が期待できるかもしれません。

つまりコストの削減だけを意識するのではなく、予算の中で効果を最大化できる費用対効果を考えることが、マーケティングで成果を挙げるコツともいえるのです。

あわせて読みたい
費用対効果とは?計算方法や効果を高めるポイントを紹介!
費用対効果とは?計算方法や効果を高めるポイントを紹介!費用対効果はビジネスにおいて重要な指標の一つです。そのため、適切な計算方法や改善方法を理解することは事業の成長につながるでしょう。し…

マーケティングプロセスを理解して適切な施策を立案しよう!

マーケティングプロセスは施策や戦略を考える一連のフローのことであり、自社ビジネスの設計図の役割があります。マーケティングでは適切な戦略を実行することが重要なので、正しい手順を勉強してから活用してみましょう。

また効果の高いクリエイティブを作成方法を学ぶなら、SHElikes(シーライクス)の受講をおすすめします。SHElikesではマーケティングの実務レベルのスキルや、心を動かすライティングテクニックや印象に残るデザインのノウハウを勉強できます。

さまざまな業界で活躍する受講生ともつながれる環境なので、他業種の情報のインプットにも利用できるでしょう。SHElikesは無料体験レッスンも開催しているので、興味のある方は気軽にお越しください。

女性向けキャリアスクールSHElikes無料体験レッスンはこちら

ABOUT ME
ライター KeitoKurisu
埼玉県の美容学校を卒業後、銀座の美容室での経験を経て、雑誌・広告業界のヘアメイクとして活動。その後、SEOメディア事業や映像制作会社を立ち上げ、脚本とディレクター業務を行う。現在は、アート作品の個展を行いながら、フリーライターとして活動中。
エディター Kakuhata Kyosuke
同志社大学 生命医科学部医情報学科卒。在学中、基礎科学や生体情報の取得・制御、プログラミングについて学ぶ。大学院進学後Pythonデータ解析や生体化学を学んだあとライター業を開始。現在はフリーランスとして活動し、キャリア領域のメディアを中心にSEO記事を編集・執筆している。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。